気づいたら俺はどこかの高校にいた。だけど、誰も俺を見てはくれない。
理由ならわかりきっている。俺は不可視の存在、つまり透明なのだ。
なにやら怪しい薬で見えなくなった訳ではない。
むしろ薬なんかより怪しいことに、これが俺の当たり前の姿なのだ。
・・・少し昔話をしよう。
昔、とはいってもよく覚えてはいないが、俺は学者だった。
俺は空間学の天才だった。
空間学とは、この次元と隣の次元の境界を研究していくもので、これを高めていけばどこで○ドアですら作ることが可能な全く新しいものだ。
俺は独自の研究の結果、空間の境界に進入する方法をあみだした。
俺はそれを一人で実践した。危険な実験の為、俺一人でやらざるをえなかったのだ。
実験は・・・失敗した。
俺の体は空間の境界に位置しており、世界に存在がなくなった。
だが・・・俺自身の心が世界に残った。
つまり、体がないのにもかかわらず、心は・・・俺はここにいるのだ。
体を失ってからどれだけの月日が流れただろう?
空間学は危険なものとして研究は終了した。
俺はすでに元には戻れないことを悟った。だから俺になにができるのかを確かめることにした。
今日はここまでだ。