毎日毎日、透明人間になりたいと思っている男がいた。
痴漢もしたし、覗きもした。
しかし、もっと大胆なことがしたい。捕まらないで大胆なことがしたい、そう思っていた。
ある朝、目が醒めると、鏡に自分の顔が映っていない。手で顔を触ると感覚はある。しかし、手も鏡に映っていなかった。
体を眺めると、はっきりと体が見える。だのに鏡には服しか映っていない。
僕は、本当に透明人間なのかを確かめるために、全裸になって表に出てみることにした。
誰もいないことを確認してアパートを飛び出し、目の前の大通りへ。
通勤途中のサラリーマンが沢山歩いている。
股間を隠しながら目の前に立つ。
ドン!
勢いよくぶつかって転ぶサラリーマン。僕も転びそうになった。
起き上がりながら、サラリーマンは何にぶつかったのか、見回している!
僕は本当に見えないんだ!
思わず顔がにやけてきた。
続く