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1:守るべきもの
投稿者:
(無名)
山田康輝は、アニメ好きの高校生。生物部に所属しており、ごく普通の少年に思えた。しかし、彼にはあるアニメに対する憎悪が存在していた。
彼はアニメ「深谷さんは遊びたい」が大嫌いだった。あの甘ったるい雰囲気も、ヒロインのキャラも、正直好きな系統だ。 なら何が嫌いなのか。それは主演のカップルの声優を務める中道あやめと山本大甫。彼らは、康輝が好きなあるスポーツを題材にしたアニメAの、許しがたいカップリングを演じていたのだ。 康輝の推しは、アニメBで中道あやめが演じたキャラの姉だった。その隠しきれない美しさ、そしてある後輩男子(妹キャラと同学年にあたる)へのひたむきな愛情。康輝にとって、このキャラはまさに理想の女性だった。そして、山本大甫が演じるキャラには、正直嫉妬もあったが、推しの幸せを願う気持ちが勝った。そう、あの日までは。 最初に「深谷さんは〜」を知ったのは、アニメ1期が放送された頃だ。山本大甫が主人公を演じていると知り「推しの好きな男を演じている声優か。」程度に思っていたが、ヒロインを演じる声優が中道だと知った途端、康輝の中に何かが生まれた。 「これじゃあ、オレの推しが妹に好きな男を寝取られたみたいじゃないか。こんなもの、絶対に認められないよ」 それでも、1期2期と康輝は見ていた。何が良かったのだろう。ヒロインの親友キャラの1人がキャラと声優どちらも好きだったことか。2期に至っては、放送時間が好きなアニメ―好きなアイドルコンテンツの推しキャラを演じた声優が主題歌を歌い、前述の推しキャラの声優が出演していたアニメの直後だったから、惰性で見ていた。 「深谷さんは〜」に対する嫌悪は原作漫画の連載が終わった現在でも消えない。時にはアニメのタイトルに引っ掛けて罵詈雑言を交えて毒づく。 「『甘神さんちの縁結び』か…中道と山本の縁は、クソみてえな悪縁だな…」 2025年3月のある夜、康輝はいつものようにアニメを見ていた。 「美味しい 楽しい 嬉しい 恋しい 春夏秋冬」、見ているアニメの調子のいい歌に、ついはしゃぎすぎて転んでしまう。 「……ここは…俺の…寝室…?」 意識が戻った時、部屋はひどく寂れていた。壊れたテレビ、テレビの下の収納ケースには、僕が買ったCDが置いてある。アニソンやメディアミックスコンテンツの歌、声優の歌、友達に勧められて聴き始めた「ファンキーモンキーベイビーズ」や「ケツメイシ」、中学時代に好きだった女の子の父親の勤務先のCMソングとして使われた「バンプ・オブ・チキン」など、いわゆるj-popも。だが、それらも今は一切存在していない。 もしや、タイムスリップしてしまったのか。2階で寝るようになったのは中学校に上がり、アニメBの2期が放送された年でもある2020年である。 「来週は康輝の誕生日だね。」「来年は中学校に上がるからな。」聞き慣れた声―母と父の声がする。 (来週は俺の誕生日…?来年中学に…?) 康輝は愕然とした。康輝の誕生日は10月半ばだ。2019年10月といえば、中道や山本が演じるキャラがアニメBの2期制作が決定した、まさにその時だ。 「こんな…こんなことって…」 康輝は混乱した。しかし、すぐに一つの考えが頭をよぎる。 「待て、待てよ。もしかしたら、推しキャラ、というか俺が嫌な思いをせずにいられるかもしれない…」 この過去で、アニメAの未来を変えることができるかもしれない。あの忌まわしいカップリングを、そして、推しキャラの運命を。 「俺が…俺が守らなければ…」 康輝は、固く決意した。愛する推しを守るために、過去を変えるのだと。 つづく
2025/04/11 23:44:17(OHIEhyyT)
投稿者:
(無名)
康輝が真っ先に行ったのは、1階の様子を伺うことだ。過去の自分を含めた家族が寝静まっているのを確認し、靴入れ棚から使われていない靴(父親の靴)を取り出し、2階に持っていった。
2階の物置には長い間使われていない服が多くあり、ワイシャツとフード付きジャンパー、スラックスを拝借し、パジャマの上から着た。 夜明け前の冷たい空気を切り裂くように、2階の窓から飛び降りた。目的はただ一つ。全ての発端となった、あのスポーツアニメから、山本大甫を排除することだ。 始発電車に乗り込み、イヤホンから流れる「世界が終わるまでは…」を聴きながら、康輝は決意を新たにした。 東京の街に降り立った康輝は、スポーツアニメAの制作会社が入るビルへと向かった。 ビルに到着した康輝は、受付で制作スタッフとの面会を求め、幸運にもキャスティング担当の中本賢と会うことができた。 「あの、僕あのアニメのファンなんです。どうしてもお伝えしたいことがあるんですが、良いですか?」 康輝は、用意してきた資料を中本に手渡した。そこには、二階敏明役に推薦する声優、梶原嵩夫の情報がまとめられていた。 「この梶原嵩夫さんなら、二階敏明役を魅力的に演じてくれると思います。ぜひ、お願いします!」 康輝はこの道中で、山本に声が似た声優をスマホでざっと調べ上げ、列車内で熟考した結果、梶原にたどり着いたのだ。 中本は、康輝の熱意に押され、資料を受け取った。 「参考にさせていただきます。しかし、キャスティングはまだ始まったばかりですので…」 中本の言葉に、康輝はわずかな希望を感じた。
25/04/13 00:19
(J1a5qGD8)
投稿者:
(無名)
「東京なんて初めて来たな…。せっかく来たんだし、思い出作りに東京見物でもしようかな。」
中本との面会―自分の義務を果たした康輝は、東京観光とばかりにビル街の歩道を歩いていた。しかし、慣れない都会の喧騒の中、やはり道はわからない。街中なので歩きスマホもできない。 「隙間道に行こうかな」そう呟き、ビルの間の道に入っていく。 (東京はおしゃれな家が多いな…) そんなことを考えていると、転んでしまい意識を失ってしまう。 「あれ…ここは…」 次に目を覚ました時、康輝は自宅のベッドに戻っていた。あれは夢だったのか、そう思った。 「ああ、夢だったのか。いい夢見させてもらったな。」 そう言いつつスマホを起動し、スポーツアニメAを検索する。 (二階敏明:梶原嵩夫…!?) 康輝は驚き、思わず声を上げかけてしまった。まさか、俺は本当にタイムスリップし、二階役を梶原嵩夫にするように頼んだのか。 「やった…やったのか…俺は…あの子を守ったのか…」 推しキャラを救えた(?)喜び、東京観光の思い出、それに自分のエゴでアニメのキャストを変えてしまった、少しの罪悪感。感情が環状線のように頭の中でぐるぐると巡り、複雑に絡み合っていく。 朝が来た。正直寝不足の気もあったが、なんとか耐えて起きた。過去での自分の行動が、確かに未来を変えたのだ。込み上げてくる喜びを必死に押し殺し、康輝は何食わぬ顔で学校へと向かった。 だが、康輝は感情を隠しきれていなかったようだった。 教室に入り、荷物の準備をしていると、派手なネイルを弄びながら、金髪ツインテールの黒ギャルの同級生・加賀井紗々(かがい さしゃ)がニヤニヤとこちらを見ていた。 紗々は康輝に近づき、こう言い放った。 「やあ、康輝。今日やけに嬉しそうじゃん。何かいいことでもあったの?」 紗々。彼女はいわゆるギャルで、クラスの中心にいる人物。康輝が好きなアニメ――好きなアイドル声優と推しのキャラの声優が出演し、そのアイドル声優が主題歌を歌っているアニメのキャラクターに名前が似ているため、康輝はそのキャラの名前から取って、陰で「サーシャ」と呼んでいた。 突然の指摘に、康輝は内心で動揺しながらも、平静を装って答えた。「いや。気のせいだよ」 「そうなの。そう言うならそれ以上詮索しないけどさ。何でも相談乗ってあげるよ」 (ギャルの人間観察力を舐めてはいけなかったか…) しかし、康輝の異変に気づいたのは、紗々だけではなかった。 「おう、ヤマコー。何かいいことあったのか。やけに嬉しそうじゃねえかよ」 親友の荻原誠一が、俺の顔を見るなりそう言ってくる。俺と同じくアニメや漫画が好きな誠一は、成績がクラス上位の、いわば優等生だ。誠一の慧眼と言うべきか、俺が感情を隠しきれないアホなのか。 「確かに…言われてみればそうだな。」やはりアニメ好きで、俺と誠一といつも一緒にいる高野修斗まで、俺のことを変な目で見てくる。 (な、なんて言えばいいんだよ…タイムスリップしたなんて言っても信じてくれねえだろうしな…) どうしたらいいんだ、俺は迷った。
25/04/14 00:23
(nMhFxbWZ)
投稿者:
(無名)
移動教室から帰ってくる途中、またもや誠一が話しかけてきた。
「どうしたんだ?なんかいつもと違うぞ」 「さすがだな、誠一。」 観念した康輝は、昨夜のタイムスリップから、過去でキャスティング担当に梶原を推薦したこと、そして今朝公式サイトで確認した結果まで、全てを誠一に打ち明けた。 誠一は目を丸くして康輝の話を聞き終えると、信じられないといった表情で言った。 「『深谷さん』は聞いたことあるけど、お前、声優が嫌いとか言ってたっけ?」 (時々言ってたけどな…やっぱり世界は変わってるんだ…) 「マジかよ…!俺、お前によく深谷さんが嫌いだって言ってたけどな…俺はやっぱり世界変えたんだな…。」 「信じられない話だけど…口ぶりからして嘘を言ってるようにも聞こえないな。お前の言ってることを信じるよ。」 康輝は、まだどこか夢を見ているような心地だった。 放課後、一人になった康輝は、ふとそんなことを思った。(帰ったらアニメでも見ようかな。もう嫌う理由もない深谷さんを久しぶりに見よっかな) あの忌まわしい、いや忌まわしかったカップリングの声優は、もう片方のアニメにしかいない。 康輝は、変わった未来をゆっくりと噛み締めながら、家路を急いだ。 声優を変えたことによる歴史の変化は、驚くほど何もなかった。深谷さんは歴史を改変する前の通り2年前に2期が放送され、世間を賑わせた。スポーツアニメAのほうも、やはり5年という月日が流れても3期が制作されることはなかった。 それでも、康輝は後悔していなかった。大切なものを守り抜いたのだから。推しキャラが惚れているキャラの声優も、以前のような嫌悪感を抱く相手ではなかった。それで十分だった。 夕暮れ時、自転車で帰路につく康輝は、中学時代からの同級生、渡辺百香と偶然再会した。彼女は、タイムスリップ前に康輝が嫌っていた声優、山本大甫の熱心なファンだった。 「そういえば山田って、山本さんのこと嫌いだったよね」 百香は、少し訝しげな表情で康輝に問いかけた。 康輝は、穏やかな笑みを浮かべて答えた。「もう嫌いじゃないよ。」 百香は不思議そうな顔をしたが、それ以上は何も聞かなかった。康輝は軽く会釈し、自転車のペダルを漕ぎ出した。 家に着き、自室のベッドに腰を下ろした康輝は、ふと呟いた。「深谷、久しぶりに見ようかな」 かつてあれほど嫌悪していたアニメだったが、今はもう、それを嫌う理由はどこにもない。むしろ、あの時、過去に戻って行動した自分がいたからこそ、今の穏やかな気持ちがあるのだと思えた。 康輝は、パソコンの電源を入れた。画面に映るアニメ配信サイトのアイコンを、躊躇なくクリックした。 終
25/04/14 20:36
(9JM4sw3d)
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