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1:女上司 北見冴子
投稿者:
ミキ
冴子 佐藤さん、あの件は進んでる?
部下:佐藤 はい…午後にもう一度、連絡を取る予定です……追って報告をします 冴子 そう、よろしくね……ありがとう、いつも頼りになるわ… 部下であっても名前の下に必ずさんを付けてから相手を呼び、労いの言葉を忘れない。 大手ゼネコンの一角に専用の机、観葉植物が部下たちとを隔てる衝立代わりに並べられている、そこに冴子はいた。 一見、異様に見えなくもないが、常に顔が見えるよりも適度な距離を保つほうが、お互いに能率が上がることを知っている。 個室を用意する話もあったが、それは丁重に固辞させてもらった。 部下の顔がまったく見えないのでは理想とする仕事はできないし、そうかといって自分では分からない威厳を振りまくでもなく、感じさせては能力を発揮させてあげられない。 男社会においては女であることは不利になることが多いが、逆手に取り使いようによっては武器になる。冴子の包容力と笑顔は、その最たるものだった。 やり手と皮肉を言われたり、女狐、身体を使ったなどと噂を流されたこともある。 そのたびに結果を残し、黙らせてきた。 噂を流した輩は誰だか分った。自分の前では気持ち悪いほどの笑顔で接し、そのくせ目が笑ってないからだ。 実力のない者は人の足を引っ張りたがる。 なんとか結果を出そうとして相手を不利益な状態にしたり、非合法ぎりぎりのことを平気でする。 彼等は時期ごとに左遷されたり、退職にに追い込まれた。 会社の利益にならない者は生き残ることはできないし、自浄作用のない会社もまた今の時代は生き残れないのだ。 冴子の私生活は誰もよくは知らない。 机に飼い猫の写真が飾られていることから、猫が好きらしいことぐらいだろう。 冴子はこの日定時を20分ほど過ぎて、主のいなくなった部下たちの机の前を通り過ぎる。 グレーのスカートスーツの下は黒のシャツブラウス。スカートは膝下まで丈があり、サイドは太腿まで深いスリッドが入り、嫌味なく着こなしていた。 まっすぐ自宅に帰るわけではなく、会員制のスポーツジムに向かう。 週3回、冴子はここで汗を流すのが好きだった。 まずは下半身を鍛える。 膝から先を上下に動かして、太腿の筋肉を使う。 それを前側、裏側を動かしてから、股を開いて内側に閉じる器具を使った。 次にバーペルを肩に乗せた、スクワット。 これはそう何回もできないが、おかげでお尻が垂れることなく若い頃と遜色ない形を維持している。 今日は下半身を動かす日だったので、有酸素運動のランニングマシンで仕上げだった。 黒のスパッツにピッタリ張りつくお尻が、密かに注目を浴びる。 タオルで汗を拭く者や腹筋中の者、そこかしこからさり気なく盗み見る男達。 8の字を描きなから揺れる乳房は、どうしたって煽情的にさせる。 冴子は40歳にして30代の前半から半ばにしか見えないその外見は、男であれば興味が出る。 体を鍛えることを目的に来ている男達は、表向きはそんなことを感じさせる素振りをしないくらいの品位は持ち合わせていた。 この日のメニューを終えるとシャワーを浴びて、濃いめのメイク、ウイッグ、黒ぶちメガネをかけ、黒のワンピースを着て別人に変身する。 夜の街に出て徘徊を始めるのだ。 ゆっくりと歩き続けると、公園が見えてきた。 いい時間になってきたが、都会の公園はまだちらほらと人の姿がある。 周りに人が見えなくなると、ワンピースのボタンを上から外していく。 上半身がタイトなだけにノーブラの乳首が浮き出ていたが、歩いていると意外に気づかれないものだった。 それが快感で、やめられない。 白い乳房を出して、肌に当たる風を意識しながら歩いた。 もしいま誰かに見られたら……そう思うだけで濡れてくるのが自分でも分かった。 先のほうから人がくるのが見えた。 気づかれるぎりぎりまで待って、生地をかき寄せて胸元に手を置く。 自然にすることで違和感を抱かせることなく、そのまますれ違う。 今度は下のほうのボタンを外した。 前側が左右に開き、下半身が露出する。 黒い陰毛が風に吹かれ、僅かに揺れた。 上が藤のツルで覆われた一角にベンチがあった。 そこに座ると、向こうの植え込みから視線を感じた。 人の姿は見えないから、カップルを覗き見する輩かもしれない。 冴子はスカートを捲り、見せつけるように脚を開いた。 薄暗い中でも藤のツルに隙間の空いたところから、下半身に街灯の灯りが照らす。 冴子は2本の指で、開いて見せた。 黒い陰毛が左右に別れ、濃いピンク色が現れた。 灯りに照らされて、テラテラと光っている。 植え込みのツツジから顔が見えた。 目だけが異様に光って見える。 いつもここで男女の営みを見ているのだろう。 サービスはここまでにして、バッグから取り出したショーツで濡れた下半身をを拭く。 きちんと畳んでから横に置いて、その場を後にした。 距離を歩いてから振り向くと、今まで自分がいた場所にショーツを手にする男がひとり立っていた。 公衆トイレでメイクを直し、着替え用のショーツにおりものシートを付けて履く。ブラジャーも身に着けたら駅に向かって歩き出す。 毎月どうしようもなく情欲がそそる期間がある。 身体を動かしたくらいでは収まらなくて、ある時にブラジャーを外すと気分が良かったのだ。 それがエスカレートして、今に至る。 恋人はいたが、自分よりも能力のある女に嫉妬する男だったから別れてしまった。 見知らぬ男と関係を結ぶのは気が進まない。 疼く身体を慰めるために始めたことだったが、いつかは止めなければ身の破滅を招きかねない。 どうしたものかと帰りの電車に揺られながら、ぼんやりと冴子は考えていた。
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2024/09/08 13:53:24(uBGBTsIF)
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