私は宇宙戦艦の艦長だ。
ここは太陽系の外れ。
地球の公転面の直上数百億キロメートルの宇宙空間。
奴らの宇宙船を我々はレーダーに捉えた。
奴らとは人間を食糧とする肉食宇宙人だ。
文明レベルは我々地球と同じレベルだ。
奴らは知的生命体を食べる事で知的成長すると思っているらしい。
太陽系の各惑星には宇宙基地があり防衛は完璧と思われたが、奴らは惑星の公転軌道の直上から直接地球にやってくる。
艦内にレッドアラートが鳴り響く。
レーダー手が「敵発見、方位１時の方向、上下角コンマ２度、距離は９００万キロメートル」と叫んだ。
光速で３０秒先か。
「敵の速度は？」と私が叫ぶとレーダー手が「光速の１０％」と答えた。
「敵艦に艦首を向けろ攻撃する」とデッキのクルーに叫ぶとクルーは「了解」と言い戦闘体制を取る。
レーダー手が「敵も気付きました、艦主をこちらに向けました、正面から来ます」と緊張した声で言う。
情報処理クルーが叫ぶ「敵艦が発砲したもよう、右舷５０００キロメートルにエネルギー通過反応」
私は「光速で３０秒も離れているんだ当たる訳が無い」と言うとデッキクルーは「艦長の運が悪くない限り大丈夫ですよ」と言い笑った。
他のクルーも頷きながら笑っている。
少し緊張が解けたようだ。
「敵との距離は？」と言う私に「距離６００万キロメートル」とレーダー手が答えた。
光速で２０秒か。
レーダーに写っているのは２０秒前の位置だからな敵艦はどう動く。
私は情報処理クルーに命令した。
「敵艦のレーダー情報から今後の未来位置予測を出せ」と。
情報処理クルーとAIが敵艦の未来位置予測データを正面表示盤に出して来た。
敵艦は軌道を少し右に曲げていた。
ミサイル攻撃が来るかもしれないなと思い「一番二番ビーム砲を広角モードにしろ」と命令する。
少ししてレーダー手が私の予想通りに「敵のミサイルを感知、距離３００万キロメートル速度光速の３０％」と叫ぶ。
命中まで３０秒か。
高性能レーダー搭載のミサイルだから、こっちに近づけば近づくほど正確な位置を把握して確実に命中コースに乗せてくる。
だかバカ正直に真っ直ぐこちらに向かうミサイルは何も怖くない。
「一番二番広角ビーム砲発射」と私が叫ぶと宇宙戦艦が「ブンッ」と軽く音を出した。
収束ではなく広角なので多少コースがズレていても確実に当たるし、ミサイルの装甲では少しでも当たれば爆散するだろう。
予想通りかなりの遠距離にミサイルの爆発光が見えた。
直後に情報処理クルーが叫ぶ「左舷５００キロメートルにエネルギー通過反応」
ミサイルと同時にビーム砲も撃っていたか。
しかも５００キロメートル横を通過とかだいぶこちらの動きを把握して来ている。
「距離３００万キロメートル」とレーダー手が叫ぶ。
情報処理クルーが「敵のエネルギー通過反応が僅かに左下にそれています」と言う。
なるほど右に動くと見せかけて左下か。
私は勘で目の前のパネルに写される敵艦情報の少し左下に照準を合わせた。
「三番四番撃て」
砲撃手がスイッチを押す。
艦が「ブンッ」と音を出して収束ビームが発射された。
「エネルギー再充電まで５秒」と砲撃手が叫ぶ。
エネルギー再充電と何回も撃つとオーバーヒートの可能性もあるのでむやみやたらには撃てない。
同じ方向に動くのは危険だから「右舷スラスター噴射、艦を左にずらせ」と命令してから「着弾または敵の攻撃を見て再度攻撃をする」と私はクルーに命令した。
２０秒後、敵艦が光を放った。
こっちのビーム砲が命中したんだ。
情報処理クルーが「敵艦首右側にビーム砲命中」と叫ぶ。
「敵があわてている間にたたみかけるぞ」と叫び「一番二番も収束モードに変更、各砲座エネルギー再充電しだいビーム発射」と命令した。
こちらの攻撃が命中した敵艦は焦っているようで反撃が無い。
「ブンッ」「ブンッ」「ブンッ」「ブンッ」と音がした。
十数秒後、敵艦が大爆発を起こして宇宙のゴミになった。
デッキに「わー」と言うクルーの歓声が響きわたる。

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