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1:淫獣達の艶かしき戯れ32
投稿者:
彩未
◆sPqX4xP/g6
徹と加奈子が旅行で家を空けている間、純は一人で気楽に過ごした。
日中は節駒中に通う。 部活があるときは午後6時頃学校を出る。 その後は渋谷に出てナンパする。 女が家出娘や帰宅せずに済むならばそのままホテルに泊まる。 翌日、ホテルから直接、節駒中に登校する日も珍しくなかった。 ある木曜日。 純はスタバで羽留奈と出遭った。 その時、スタバで純も羽留奈も互いに一人で夕食を摂っていた。 ふと2人の目が合う。 純は羽留奈の目を見つめた。 20歳過ぎの女子大生に見えた。 小柄だが目鼻立ちの明確な可愛い娘だ。 羽留奈も見つめ返してきた。 互いの意思が通じたようだった。 羽留奈は純の座席の目の前に来て「ここ、いい?」と言って座った。 それから2人は他愛ない雑談を交わした。 純は大学生と偽って応対した。 羽留奈は女子大2年だという。 静岡の実家を出て都内のマンションに一人暮らしだと言った。 実家は関西で父親は会社役員だという。 身に着けているものから裕福な家庭の娘だと感じた。 小一時間ほど経ち、互いに彼氏彼女がいないことで意気投合した。 羽留奈の誘いで彼女が住む目黒のマンションへと転がり込んだ。 女子大生には似つかわしくない高級ワンルームマンションだった。 ソファーに座りチューハイで乾杯した。 言葉数が数なくなっていた。 互いに考えていることは同じ筈だった。 広い部屋の片隅に羽留奈のベッドがある。 いずれ純と羽留奈は全裸で抱き合い、快楽に溺れることになる。 純と羽留奈はキスを交わした。 羽留奈のワンピースを脱がせる。 羽留奈は素直に応じた。 羽留奈は紫のお揃いのブラジャーとパンティーを身に着けていた。 肉づきのよい豊満な乳房とふくよかな太腿が露わだ。 純は瞬時に欲情した。 互いに表面的な身分しか明かしていない。 長く付き合う気もない。 濃厚で淫猥なワンナイトラブが始まろうとしていた。 純は半裸の羽留奈をお姫様だっこでベッドへ運んだ。 体格の良い純にとって羽留奈の躰は軽かった。 ベッドに羽留奈を押し倒すと上に覆い被さってキスを与えた。 羽留奈の両腕が純の背中に回される。 純は羽留奈にキスしながらズボンとパンツを脱いでいた。 逞しい下半身が露わになる。 水泳部で鍛えた引き締まった躰だった。 尻も太腿も筋肉質だ。 純の股間では見事に太く見事に硬く膨れ上がった逞しい男根が生命力を漲らせて天を衝いていた。 純は羽留奈のパンティーを膝まで下げた。 羽留奈のよく手入れされた薄目の陰毛が股間を覆っていた。 純は羽留奈の陰毛に顔を埋めた。 女の臭気が純の鼻をついた。 純は舌で陰毛を槌き分けながら羽留奈の割れ目に舌を這わせた。 「あん……あん……気持ち……いいの……」 羽留奈が喘ぐ。 その時だった。 部屋のドアが勢いよく開く音がした。 「おめぇ、俺の女に何してくれてんだ!」 純は慌ててベッドから跳ね起きた。 乗り込んできたのはチンピラ風の男だった。 上下スーツ姿にサングラスをかけた男だ。 中にTシャツを着ている。 純は下半身を剥き出したまま男と向き合った。 男根は急速に萎えた。 男が純が向き合うや否や純の顔面に殴りかかった。 鈍い音がした。 純は軽い脳震盪を起こしてフラフラと床に倒れ込んだ。 「どう落とし前をつける気だ? お前、学生か? お前の親に全部バラして慰謝料を払ってもらうぜ」 男は早口でたたみかけた。 純は殴られた頬を手で押さえた。 口の中が切れて血の味がした。 純は冷静さを取り戻して男と羽留奈とを見た。 羽留奈はワンピースを着ていた。 特に取り乱している様子はない。 純は最初から男と羽留奈がグルだったことを悟った。 いわゆる美人局だ。 純にとっては金銭の要求など痛くも痒くもない。 寧ろ相手が中学生だと分かれば分が悪いのは美人局の方だろう。 それよりも、純は美人局に騙されたことに怒りを感じていた。 純は立ち上がって男と対峙した。 「何だこの野郎? やんのか? てめぇ! ブチ殺すぞ!」 男は胸元から出刃包丁を取り出して身構えた。 「ちょっとあんた、早まらないで!」 羽留奈が慌てる。 「るせぇ! おめぇは黙ってろ!」 男は逆上していた。 刃物が邪魔だが身長体格や体力的には純の方が上に見えた。 純から見れば相手は刃物を持って「殺す」と脅してきた。 男に応戦したとしても正当防衛が成立する筈だった。 純は男が刃物を振り回して近づいて来た瞬間、ベッドの枕元にあった目覚まし時計を素早く掴んだ。 男の顔面目掛けて投げつけた。 男がその場に崩れ落ちた。 目の下を直撃して血が噴き出ている。 羽留奈が悲鳴を上げた。 純は倒れた男の手を強く蹴って刃物を部屋の隅へと蹴り飛ばした。 続けて純は男の喉仏を右足で踏みつけた。 衝撃で男は悶絶した。 喉仏への強い衝撃と圧迫。 血管の内膜が裂け脊髄神経の損傷により肢体がマヒしたような特異な症状に陥らせる。 純の怒りは収まらなかった。 男の股間を勢いよく蹴り上げた。 男が鋭く吼えた。 全身を細かく痙攣させながら悶えている。 純はベッドの上の羽留奈の方へ向き直った。 「最初からこれが目的だったんだな?」 純の目は怒りに燃えていた。 「やめてッ! 許してッ! お願いッ、ち、違うのッ!」 羽留奈はブルブルと震えながら泣きそうな表情で懇願した。 純は羽留奈を平手で殴りつけた。 パシンッという乾いた音が部屋中に響く。 「お願いッ、許してッ、何でもするわッ、お願いッ」 羽留奈は殺される恐怖に慄いていた。 「この男の口にお前のパンティーを丸めて突っ込め、 それからタオルを出してコイツの両手を後ろ手に縛るんだ、すぐにだ!」 羽留奈は弾かれたように慌ててパンティーを脱ぎ、悶絶した男の口に押し込んだ。 男は窒息寸前に追い込まれていた。 準は足で男の躰を蹴り転がし、男の躰を俯せにした。 両腕を背中で合わせ、羽留奈にタオルで縛らせた。 女の縛り方では弱すぎる。純は自分で再度縛り直した。 純は羽留奈のブラジャーを剥いだ。 「お前は俺とヤリたかったんだろう、一発ヤラせろよ!」 純は低い声で冷たく言い放った。 「そうよっ、あなたのヤリたかったの、お願い、抱いてっ」 羽留奈は助かりたい一心で震えながら純に迎合した。 純は荒々しく羽留奈を押し倒した。 羽留奈をマングリ返しにして、乾き掛かった膣を舐めた。 その直後に羽留奈にいきり立ったモノを突き立てた。 欲望を満たすためだけの荒々しい強姦だった。 「ああッ、ああッ」 羽留奈が喘ぎ叫んだ。 感じているのか痛がっているのかは分からなかった。 数分間、純は激しく羽留奈を責め立てた後に勢いよく射精した。 純は男根を引き抜くと羽留奈の肢体をベッドに投げ出した。 家電品に接続されていた延長コードを2本取り外した。 その電機コードを使って羽留奈の躰をマングリ返し状態の恰好にさせて両手両足を縛り上げた。 羽留奈の尻の下に枕を置いて羽留奈の股間を高く掲げさせた。 テーブルにあった羽留奈のスマホを使って羽留奈の破廉恥な姿態を何枚も撮影した。 羽留奈の顔のアップ、羽留奈の乳房と乳首のアップ、羽留奈の尻や肛門のアップ。 羽留奈のクリトリスや精液を溜めた膣口のアップ。 淫猥な写真や動画が鮮やかなカラーで撮れていた。 「お願い、やめてっ、許してっ!」 羽留奈が懇願する。 「お前のこのハレンチな姿をインスタに投稿してやろう」 「イヤッ、お願いッ、それだけはヤメてッ、イヤッ、イヤッ!」 純は羽留奈の泣き声を無視してインスタに投稿した。 LINEを開き、羽留奈の知人や友人宛てに動画や画像を送信した。 終わると純は悠々と服を来てマンションを出て行った……。
2021/03/21 21:49:12(11BFyhtq)
投稿者:
彩未
◆sPqX4xP/g6
夏休みに入った。
茜は優秀な成績で初年度を終えた。 学部生でありながら院の研究室に入り浸り、教授達と議論や実験を繰り返した。 茜の研究の中心は米国のある化粧品会社からのオファーだった。 茜は昨年の入学直後から媚薬の開発を求められていた。 現存する媚薬は全てプラシーボ効果や副作用を伴うものだ。 漢方薬や生薬、ステロイドホルモン剤では大した効果はない。 フリバンセリンなどの催淫剤も同様だ。 茜が開発したのは、催淫効果をもち、麻薬と同等の快楽増強効果を持つ、それでいて副作用や中毒症状のない、画期的なものだった。 Sexual Love Aphrodisiac(略称SLA)という塗り薬だ。 茜は自ら治験に関わった。 アルバイトで雇った米国の男女十数人をペアにして個室に入れ、SLAを性器に塗って性交してもらう実験を行った。 このペアは付き合っているカップルだけではなかった。 性欲を昂らせた恋人同士が性交で燃えるのは当然だ。 化粧品会社が確認したかった点は、恋人同士や熱愛する夫婦ではない男女でも性欲を昂らせて快楽を増強させることができるか、だった。 茜はAdrianという27歳の白人男性とペアになった。 Adrianは細身で痩せ型の青年だった。 落ち着いた雰囲気だが、体力はあまりなさそうだ。 ルックスに関しても茜の好みではない。 早速、茜とAdrianは自分の性器にSLAを塗り込めた。 Adrianは亀頭から竿の根元、睾丸にSLAを塗り込んだ。 茜は乳房や陰核や小陰唇、膣内や肛門にSLAを塗り込んだ。 十数分ほど他愛ない会話を交わす。 効果はたちまち現れた。 十数分経つと2人は下半身に疼きを感じ始めた。 大好きな恋人の躰と互いに愛撫し合う際に感じる、あの疼きだった。 茜とAdrianはどちらかともなく近づいてキスを交わし始めた。 茜とAdrianは互いの唇を貪り合った。 2人の股間はどうしようもなく熱くなっていた。 互いに洋服の上から躰を愛撫し合った。 Adrianの男根は硬くそそり立っていた。 茜の乳房は固く張り、膣からは大量の愛液が溢れていた。 茜は仰向けに寝たAdrianの顔に跨るように四つん這いになった。 シックスナインの体勢で互いの性器を貪り合った。 Adrianの長くて硬い男根を茜は興奮しながら扱き吸った。 Adrianは茜のズブ濡れの女陰を音を立てて舐め吸った。 SLAは無味無臭だったが、効果は覿面だった。 2人は30秒も経たないうちに果てた。 Adrianの濃厚な精液が茜の口腔内に打ち込まれた。 茜は夢中で嚥下した。 茜も尿道から大量の潮を噴いた。 Adrianは夢中でそれを嚥下した。 塗る量にもよるが、SLAの効果は数時間続く。 SLA効果でAdrianは全く衰えを見せなかった。 茜とAdrianはその後も様々な体位で交わった。 どの体位でも茜は複数回の絶頂を迎えた。 Adrianもその都度、茜の膣内に射精した。 ピルを常用している茜に妊娠の心配はない。 互いに何度も絶頂して喘ぎ悶えた。 それでも後から次々と性欲が膨れ上がってきた。 2人は肉欲に飢えた性獣と化していた。 Adrianはローションを塗ったバイブで茜の膣を責め立てた。 茜はローションを塗ったオナホールでAdrianの男根を扱き立てた。 茜は何度も大量の潮を噴いた。 Adrianも何度も大量の潮を噴いた。 精液は枯れていた。それでも快感の絶頂は次々に襲い掛かった。 SLAの効果が収まったのは数時間後だった。 2人は精魂尽き果て、泥のような眠りに堕ちた。 他の男女ペアでも続々とSLA効果が確認された。 茜は特許を得た。 その特許をもとに化粧品会社は正式に茜と契約を結んだ。 今後、大々的な宣伝と共に爆発的な売れ行きを見せる。 茜には莫大な報酬が支払われることになる。 茜は自らSLAを常用するようになった。 茜の好奇心はどんな男でもSLA効果があるかを試した。 学内の見知らぬ学生に声を掛け、SLAの効用を話して試させた。 SLAを塗った学生は茜に靡いてすぐに性交に応じた。 学内の人気のないトイレで茜と学生は性交に耽った。 別の学生とは講義のない空き教室で快楽に溺れた。 他の学生とはグラウンドの片隅の草陰で絶頂に達した。 元来、性欲旺盛だった茜は、SLA効果で性欲の鬼と化した。 街ゆく全ての男にギラギラとした情欲の目を光らせた。 誰でもよかった。 ペニスを付けた生き物であれば犬や馬でも相手にする勢いだった。 茜は夏の間中、一日に数人ずつ、ひと月で数百人の男たちを相手に快楽に溺れた。 茜の奔放な性生活は学内に知れ渡ることになった。 それが渉の耳にも届いていた。 渉は茜の行動を窘めた。 が、茜は全く耳を貸さなかった。 茜は別れ話を切り出した。 渉のいかなる説得も無意味だった。 それで2人は別れた。 茜は満足だった。 SLAの味を知った者はSLAから離れられなくなる。 中毒症状に陥っていた。 が、不眠、幻覚、食欲減退、嘔吐、下痢、焦燥感や筋肉の痛み、といった麻薬のような症状は一切なかった。 SLA効果が切れるまで続く性交で体力はかなり消耗する。 が、躰自体に特に害はないということで、法的規制を受けずに販売が開始された。 茜は卸売り担当者が集まる販売促進会議でSLAのプレゼンテーションを行った。 ******************** 男女共用の媚薬としては最強の塗り薬です。 効果の秘密は女性ホルモンやエストロゲンといった物質を極度に分泌させる催淫効果。 催淫物質や女性ホルモンにより普段は脳で抑えつけられている哺乳類特有の中出し欲求が解放されるのです。 SLAは効き目が早く、持続時間も長いため全てのシチュエーションに対応可能です。 SLAは男女をセックスの虜にすることだけを目的に作り出された薬です。 互いの情欲させ乱れさせ、性的に興奮させてセックスしないではいられない状態にしてしまう薬です。 老若男女、全ての男女を性欲に支配された性獣に豹変させます。 それがSLAの効果です。 効果は大きく2つに分けられます。 身体的効果と心理的効果です。 身体的効果とは性器が疼いて感度が上がるという効果。 心理的効果とは、性欲が昂ぶり脳が興奮状態になるという効果です。 SLAが男性の躰を興奮状態にするため男を勃たせます。 SLAが女性の躰を興奮状態にするため女を濡れさせます。 躰に対し強制的にセックスの準備をさせてしまうということです。 SLAにより女性の不感症は解決できます。 SLAによりセックスレスの夫婦は激減します。 SLAにより妊娠率を格段にアップさせます。 SLAには吊り橋効果があります。 互いに性交相手として意識していない状態でも大丈夫です。 SLAを性器に塗るだけで目の前の異性を性交の対象としてしか見られなくなります。 信じられないかも知れませんが、一度お試し頂ければ分かります。 どんなに理性が強いと自負される方でもSLA効果に逆らうことはできません。 男性ホルモンには女性の性欲に歯止めをなくす特徴があります。 女性ホルモンには女体の持つ妊娠欲求を爆発させる特徴があります。 男性ホルモンを増進するSLAを使ったときの特徴は、快感をひたすら求め合うアグレッシブなセックス。 一方、女性ホルモンの分泌を促進するSLAが実現するのは女性特有の子作り欲求。 つまりセックスして精子を中出しされたいという願望を満たす男と女のセックスです。 SLAは女性を心も身体も発情させるためのもの。 ではSLAにはどんな特徴があるのでしょうか。 まず、脳や神経に強力な作用を及ぼすことが挙げられます。 SLAの作用原理は、ホルモンや催淫物質を大量分泌させます。 人間の心理や身体の状態を作用する女性ホルモンや男性ホルモンを操ることができます。 妊娠することしか考えられない雌や、男以上に性欲が爆発した淫らな女を作り出すことができます。 女性的な種を孕む性欲、男性的な快感を求める性欲のどちらもSLAでは実現できます が、そのベースとなるのは脳や神経への作用。 SLAは、身体に吸収されやすいことも特徴です。 効果の高いSLAを買うことで、街中ですれ違う異性、身近にいる意中の異性、その全てがあなた方のもの。 実際、私はひと月以上、その効果を試し続けました。 その結果、見ず知らずの異性、数百人と濃厚なセックスに耽りました。 わけがわからなくなるくらいの快楽に溺れました。 ピルを服用していなかったら数十人分は妊娠していたでしょう。 大切な点は、麻薬を使ったセックスと同じ効果があります。 にも拘らず、麻薬のような副作用は一切ないということです。 人間としての喜びを増大させる効果をもちながら、躰への害が一切ないということ。 これがSLA最大の特徴と言えるでしょう。 ぜひあなた方もSLAを使ってください。 そして、街で一目見た理想の異性や、職場や学校にいる意中の異性との中出しセックスを実現して下さい ******************** 茜のプレゼンは卸売り担当者の目を輝かせた。 化粧品会社には注文が殺到するようになった。
21/03/21 21:49
(11BFyhtq)
投稿者:
彩未
◆sPqX4xP/g6
徹は専門誌『新思想』の「バタイユ特集号」に『エロティシズムの概念』と題する論文を発表した。
以下、その要旨。 ******************** エロティシズムとは何か。 これはギリシャ神話における性愛の神エロスを語源とする。 エロやエロスと区別する識者もいるが本稿では同義として扱う。 バタイユの『エロティシズム』は人間の本質を次のように規定する。 「本能では欲望の際限なき発露である暴力を労働とその組織化により抑制禁止する体系を確立した。 エロティシズムの衝動は禁止を侵犯しつつ至高の生へと逢着する。 人間が自己存続を欲する限り禁止と侵犯の終わらぬ相克が渦巻く。」 各論において彼は「連続性」や「宗教理論」といったキーワードをもってエロティシズムを規定していくが、本稿では詳細を割愛する。 彼の主張の要点は次の通りだ。 「有性生物における生殖行為に関して人間のみがこれにエロを付加した。 エロは人間固有のもので他の動物にはない。」 「エロの本質は禁止の侵犯にある。禁止事項は欲望の対象となり、 自己存続の危険性の不安を煽ることで欲望は燃え上がる。」 「女は化粧で美を高め、男の欲望の対象として躰を曝け出す。男は女の美を汚すという禁止を侵す。 女に美を求めるのは美が汚しうる価値をもつからだ。女はそれを求めて自らの美を一層高める。」 この最後の主張は多分に男目線に偏っており普遍性は希薄だ。 が、普遍性の希薄な定義にせざるを得ない点にこそ「エロティシズム」の特性があるとも言える。 文化的背景が異なればエロの定義も異なる。 否、同じ文化圏内にあってもだ。 個々の生育背景が異なればエロの定義も変わる。 何にエロを感ずるかは個々の生育背景に影響されるからだ。 バタイユの定義も彼自身の個人的観念に基づく部分も多い。 本稿では彼の言説の普遍性のある部分のみを抽出して検討したい。 有性生物はオスとメスによる生殖行為をなす。 人間も男と女による生殖行為をなす。 新たな遺伝子型個体の生産、遺伝子の連鎖を目的とする生殖行為は凡ゆる生物に見られる性活動だ。 「人間のみこれにエロを付加した」とバタイユは言う。 一般的にはエロは性愛や猥褻さや淫靡さと同義と見做される。 ポルノグラフィやフェティシズムと大差はない。 「ポルノ」とは「性的興奮を誘発する表現媒体」を指す。 「フェチ」は「性的興奮を誘発する物品への固執や崇拝」を指す。 前者は、官能小説、AV動画、猥褻画像、性玩具、等々。 後者は、下着や躰の各部位、仕種や匂い、等々凡ゆる事物に及ぶ。 わが国では「猥褻」は「人の羞恥心を侵し、善良な性的観念に反するもの」と規定される。 要は「性的描写で性的興奮を刺激し自慰行為に供しうるもの」だ。 ここでは人間特有の「エロ」を「猥褻性や羞恥心を煽る刺激により異性への性的興奮を一層昂ぶらせるもの」と規定する。 生殖行為をなす生物は例外なく異性に対して発情している。 が、生殖行為自体にエロはない。 これは本能的な性衝動であってそれ自体に猥褻性や羞恥心を煽る要素はない。 空地で交尾する犬猫、サバンナで交尾するライオン、彼らは自らの生殖行為に対して猥褻性や羞恥心を感じていない。 人間のみが生殖行為においてのみ猥褻性や羞恥心を煽るような非日常を演出する。 その非日常性を敢えて喚起、暗示、表現することがエロだ。 それは本質的に心理的な基盤から発せられる。 猥褻性や羞恥心を感ずるには相応の文化的背景を要する。 本能や感情や欲望や裸体を剥き出しに晒すことを恥とする文化だ。 そのために高度な知能と規律ある社会性を備えておく必要がある。 理性で感情を抑制した高度な文化的日常を営むことが要件となる。 人間以外の動物にエロを演出することはできない。 男女の性交はエロの付加により性的興奮が昂ぶり快楽が強まる。 バタイユは日常社会において欲望や裸体を晒すことを「禁止」された人間が隠蔽された秘密(バタイユは「呪われた箇所」と呼ぶ)を敢えて「侵犯」する魅力として説く。 社会において裸体の発露を抑制禁止された男女が、2人きりの隠蔽された密室では裸体を晒し合う。 禁止の侵犯の快楽。 ここにエロがある。 本能や感情や欲望や裸体を剥き出しに晒す。 本来の生殖行為に必要な性欲や快感をエロティシズムで意図的に倍増させる。 そして深い快楽の悦びに溺れて非日常を堪能する。 それは常に隠れた場所で特定の男と女が2人だけで秘密裏に行う。 第三者から見れば2人の行為は猥褻そのものだからだ。 第三者に晒されれば2人の男女は極度の羞恥心に苛まれるからだ。 その背景には欲望や裸体を周囲に晒すことを恥とする文化がある。 この隠蔽された密室なる状況もエロには不可欠だ。 2人の間だけに共有される極秘の侵犯行為。 究極の隠匿性が禁止の侵犯を一層魅力あるものに高めるのだ。 隠匿性がなければエロは半減する。 売春婦、AV女優、風俗嬢を相手にした性交ではエロは半減する。 彼女達は性交を日常とする者であり性交に対する羞恥心も希薄だ。 AVでのモザイク画像、全裸よりも下着姿やパンチラ状態の方がその隠匿性により性的興奮が高まる。 この点については男女に差異はない。 さて、2人だけの密室で男も女も異性なる相手の肉体を奔放に弄ぶ。 これも日常社会では許されない禁止行為だ。 やはり禁止の侵犯の快楽すなわちエロが生ずる。 弄ばれた肉体は一層強い快感を紡ぎ出し、男も女も喘ぎ声を上げる。 これも欲望や感情を剥き出しに晒す禁止行為だ。 エロを感じて男も女も性的興奮を更に昂ぶらせる。 男は女に卑猥な言葉を浴びせる。 女も卑猥な言葉を口にする。 エロが極まり男女の性的興奮と快感は一層強度を増す。 男は女に破廉恥な姿態をとらせ、女も悦んでこれに応じる。 生殖行為に関係ない卑猥な恰好で羞恥心や性的興奮を煽る。 興奮した男は激しく女の躰を前から後ろから責め立てる。 暴力という禁止行為で男は女を支配する悦びを得る。 女も日常では得られない異性からの激しい暴力に興奮し、悦ぶ。 更に猥褻性や羞恥心を煽って性的興奮を昂ぶらせる場合もある。 躰を緊縛したり性具で性器を刺激したり鞭打ち浣腸で折檻したり。 結果、男も女も人間業とは思えぬほどの痴態を晒す。 泣き喚き、絶叫し、噴潮、射精、失禁、放屁、脱糞に及ぶ。 生殖とは何の関連性もない淫猥な行為。 単なる快楽性戯、単なる快楽痴戯、単なる快楽淫戯。 当の男女にはこのエロティシズムにより強烈な快感が襲い掛かる。 バタイユの指摘する通り、他の動物にはない人間特有の行為だ。 欲望と裸体を剥き出した性交という、日常社会の禁止を侵犯することで、男女は鮮烈な性愛の快楽に溺れる。 これに生殖目的が加わればエロの極みに至る。 避妊なしの性交ほど男女の性的興奮を昂ぶらせるものはない。 男女にとって美しければなお好都合だ。 破廉恥で淫乱な快楽痴戯としての暴力行為。 男は美しい女を支配し服従させた挙句、女の神聖な性器を自らの汚物で穢すという究極のエロを味わう。 女も美しい男が暴力的で激しい性行為で自身の躰を責め苛む姿に愛され支配される悦びを感じる。 男の情欲で躰を穢されるという究極のエロを醸し出す。 エロティシズムは性的興奮を昂らせると同時に「美」を要求する。 その意味では「セクシー」と同義とも言える。 一般的に「セクシー」は「性的魅力のある状態」を指す。 レズやBLを想定すれば分かる通り、同性に対しても性的魅力は生ずるが、「美」の要素が不可欠だ。 その美を侵犯する意識がエロを醸し出す。 エロの演出により、性的快楽の一層の高まりが得られるのだ。 エロの直接規定は困難だが、これには不可欠な要素がいくつかある。 非日常性、隠匿性、猥褻性、禁止の侵犯なる禁忌性、等々。 AV業界ではこの事情を充分に弁えている。 例えばAVに見られる「制服もの」シリーズ。 女子高生、看護婦、メイド、スチュワーデス、巫女を犯す設定だ。 制服は社会規範を象徴する服装であり侵犯を禁止されている。 これを敢えて剥ぎ取る、脱がすことで、男は性的興奮を得る。 敢えて剥ぎ取られる、脱がされることで、女も性的興奮を得る。 禁止の侵犯がある。ここにエロが生じる。 AVに見られる「近親相姦もの」や「不倫もの」。 実母、義母、姉妹、人妻、未亡人を犯す設定だ。 社会的に禁じられた背徳行為。 これを侵犯することで男は興奮する。 男に限らない。 女も背徳行為に身を置く状況に興奮し、濡れる。 「してはいけない」から「したくなる」のだ。 その他、幼女玩弄、夫婦交換、乱交、SM、盗撮や覗き、痴漢や強姦、等々の設定も全てエロの演出だ。 バタイユは禁止の究極は何かを問う。 彼は「死」こそ禁止の最たるものとする。 『エロティシズム』の冒頭で「エロティシズムとは死に至るまでの生の称揚だ」と主張する所以だ。 生殖行為を究極の目的としつつ生殖とは無縁のエロティシズム。 「死に至るまでの生の称揚」なる言説は様々に解釈が分かれる。 それは「死に至るまで性を謳歌する」ことか「性を謳歌しうる生を讃美する」ことか。 前者の例は腹上死に代表される。 わが国では年間で数百人が腹上死を遂げる。 死因の大半は、男の心臓麻痺、女は脳溢血だという。 人間のエロにより死に至るまで性交の快楽を求める動物だ。 後者の例は生殖を伴う快楽の堪能に代表される。 快楽に溺れた性交に耽りつつ子供を作る。 健康で生きているからこそ生の存続繁栄が可能になる。 バタイユの言説では死に至った後のエロには言及していない。 SMプレイにおいて究極的に死に至ることがある。 が、プレイ自体は相手を死に至らしめないことをルールとしている。 ならば、死者に対してエロティシズムは存在しないのか? ここで各国に見られる屍姦の例を思い起こそう。 これは性衝動ないし性的興奮が死体に触発されることを意味する。 かつて、夫が死んだ直後、夫の下半身を剥き出し自身の下半身も剥き出した状態で夫に覆い被さっていた妻がいた。 同様の逸話は江戸時代以降のわが国で複数言い伝えられている。 昔、中国には死姦できる店があった。 客は腐敗しないよう特殊な薬を用いた少女の遺体を与えられる。 その股間に興奮した客は少女の遺体を卑猥な恰好にさせて犯した。 客は少女の遺体を激しく責め立てた挙句に何度も射精したという。 他にもわが国では市営火葬場に勤める火夫が遺族から若い女の遺体を受け火葬するまでの束の間に女の遺体を凌辱した事件があった。 下着を剥いで若い女の股間を弄び、犯して射精した。 しかもこれは火夫にとって習慣化した行為だったと言う。 火夫が自慢げに話すのを聞いた同僚がこれを録音し、公表したことで事件が発覚した。 彼らは異性の遺体にエロティシズムを感じていた筈だ。 これはバタイユのエロティシズムの定義には含まれていない。 要するに個々の生育背景が異なれば「エロ」の定義が変わる。 屍姦と同じことが動物を相手になす獣姦についても言えよう。 自らの股間にバターを塗り、犬に舐めさせて快楽を得る女も多い。 実際に牡犬と性交した女、牝羊を犯した男、などの例も世界各国で多数報告されている。 彼らは人間ならぬ動物に性的興奮を覚え、性的快楽を得ていた。 一般人には理解しかねる倒錯性欲だが、彼らの感ずるエロティシズムを否定することはできない。 非日常性、隠匿性、猥褻性、禁止の侵犯なる禁忌性、これにより性的興奮を昂ぶらせ性的快楽を増幅させるのがエロティシズムだ。
21/03/21 21:50
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