その翌日から、徹は２週間の講演旅行に出かけた。
徹は講演活動を全国展開で活発に行なった。
内容は性に関わる凡ゆる事柄に及んだ。
依頼者や依頼団体の要望に応じて多岐に渡った。
執筆生活の中で取材したことが元ネタだった。

京都のある私立女子大学が主催するイベントのコーナー。
徹はここで『日本の性事情』と題する講演を行った。
以下、その要旨……。
男性の自慰は周知の通りだ。
が、これは女性にも欠かせない。
方法は各種多様だ。
自分が好む方法で快感が得られればよい。
自身の体で快感を得られる探すことから始めるとよい。
快感を得た部分を入念に触れる。
女性の自慰を望む男性は多い。
自分の彼女が自慰をすると知れば大抵の男性は喜ぶ。
男性は自慰する女性を好む。
更にはどのように自慰をするのか聞きたがっている。
口頭のアンケートでは羞恥心が禍いして９割の女性は「してない」と回答する。
が、匿名だと正直に回答する。
それによれば、実際には９割近くの女性が自慰を経験している。
昨今、全国の男女5000人強を対象にした調査で次のような結果が出た。
まず、「性交の目的」について――。
６割の男女が「愛情表現」と答え、４割の男女が「コミュニケーション」と答えている。
これらの回答に男女差はほとんど見られない。
多くの男女は愛し合い触れ合うことを目的として性交していることが分かる。
性交は相手の躰を用いて快楽を得るものだからこれは当然だ。
また、「やすらぎ」という回答が１割弱。
これもとくに男女差はない。
が、40歳台の女性だけは他の年代の２倍近くにのぼっている。
「子作り」という回答は２割５分程度。
これも男女差はほとんどない。
「性的快楽」という回答では男女差が生じる。
男性が７割で女性が２割５分。
実際は多くの女性も「性的快楽」を求めているはずだが、これを性交の主目的とは考えたくないのだろう。
ここに日本人の性への考え方が如実に現れている。
「相手に求められるから」という回答は、女性が３％弱、男性が数％程度となっている。
多くの女性は自ら性交を求めることを認めたくないのだろう。
「相手を征服したいから」という回答は圧倒的に男性が多い。
女性の十倍以上の割合だ。
これは、欲情した男根で突き立てて女性を絶頂させるという男女の身体的な構造上、男性がその意識を抱くのは当然と言える。
次に「女性の性欲が高まる時期」について。
これは「生理直前」との回答が多い。
40歳代以下の女性が３割程度であるのに対し、50歳代以上の女性は２割弱だった。
次に多いのが「性欲の昂りを感じたことがない」との回答。
全世代とも３割程度。
逆に「いつでも性欲の昂りを感じる」との回答は40歳代以下では１割５分程度なのに対し、50歳代では２割、60歳代では３割を超えた。
50歳を超えるあたりから女性の性欲は高まる傾向がある。
また「性交を自ら求めるか」について。
男性は全世代を通じて７割が「自分から」と回答。
女性は全世代を通じて５％程度。
本来は女性も自ら求めたいはずだ。
が、身体的な構造上、男性がその気にならなければ性交に至らない
これはやむを得まい。
さらに「頻繁に行う前戯」について。
まず男性の場合は、最も多い回答は「キス」および「乳房へのキス・愛撫」が８割程度。
「クンニ」が６割。
女性の場合は「キス」が６割５分で「フェラチオ」が４割５分程度。
また、「性交の時間」について。
「全体で20分以内」が５割を超える。
日本人の「性交時間」は世界的に見てもかなり短いことで有名だ。
また、「不倫経験」について。
「現在進行形で不倫している」が、男性は20歳代が16％、30歳代が13％、40歳代が15
50歳代が11％。
女性は、20歳代が７％、30歳代が７％、40歳代が９％、50歳代が８％だった。
さらに「自慰の頻度」について。
男性は「週に５回以上」が30歳代までは３割程度、40～50歳代が１割程度だ。
女性は40歳代までは「週に４回以上が」１割弱。
「週に２回程度」が20歳代は３割、30歳代は２割強、40歳代が２割弱、50歳代が１割程度だった。
また、「自慰のオカズ」について。
男性は全世代を通じて７割が「ＡＶ動画」と回答。
女性でも20歳代の４割、30歳代の３割弱は「ＡＶ動画」と回答している。
次に多いのが男女とも20歳代は「エロ漫画」、20～30歳代の女性は「官能小説」という回答も多かった。
女性の方が妄想を膨らませながらの自慰が多い。
実際、ＡＶ動画の内容が自らの性的興奮のスイッチにピッタリとマッチすることは少ない。
想像力を要する小説の方が自分の好みに合わせて妄想できるため、より興奮するというのも理解できる。
最近のＡＶ動画は数が多いので、好みのものを見つけられる可能性も高いが。

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