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死んでいく
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:死んでいく
投稿者: カナガワアキラ ◆2yz/HcE6YU
落ちていく女と、窓ガラス越しに手を繋いだ。そうして引きずられるようにベッドから出て、ともに落ちていく。
 そんなわけのわからない夢だった。
 目を覚ますと、猛烈に吐き気がした。
 あのまま落ちていたら、どうなっていたのだろう。浮遊感を、落下するあの恐怖を、体が欲していた。
「嫌だ」
 無意識に、そんな言葉がこぼれる。自分で自分に驚いた。突然地面がなくなったかのような、そんな感覚に陥る。吐き気がひどい。
 俺は立ち上がり、いつもの吐き気どめを一錠飲むと、そのままコップの水を飲み干す。
 落下する水が、跳ね返って口から逆流しそうだった。
 そのくらいの吐き気だ。
 いつものことなので、構わず床に散らばった昨日の服に再び袖を通す。廊下に落ちていた財布をかがんでとると、ドアを開け、外へ出る。
 そこは店の裏口のような裏路地だが、この光景もいつも通りだし、別にこのドアは裏口じゃない。意図的に通りに出ないように歩き続けること数分、潰れた店の階段に腰掛ける女子高生を見つけた。
 たくしあがったプリーツスカートに欲情する。太ももはほぼ丸出しで、組んだ足を直せば下着が見えそうだ。女子高生はタバコをくわえていたが、火はついていなかった。
「ライター持ってない?」
「……ぁ」
 喋り出そうとすると、喉が詰まった。大きく咳払いして痰を喉の奥に押し込み、首を横にふる。
「何?」
 視線に気づいていたらしく、女子高生は座ったままこちらを睨み上げる。
 俺は無言で財布を取り出し、万札を三枚手渡した。
 女子高生は古臭い財布を見て一瞬顔をしかめたが、額を見てその白い細腕を伸ばしてきた。半ばひったくるように万札を奪い取ると、わざわざ手元で数え直してから、スカートのポケットに乱暴につめた。その際、紺の制服の隙間から、白肌の腰がチラリと見えたが、下着までは見えなかった。
「来て」
 女子高生はその長い金髪とスカートをふわりと翻し、通りへと歩いていく。
 通りといってもそれほど大きな道ではなく、車が通るには窮屈なほどだ。そんな通りを少し歩いた先に、地味な色あせた看板を掲げるすすけた小さなホテルがあった。休憩30分いくらとか、そんなようなことが書かれた看板が入り口に置かれている。縁を等間隔に並んだ電球が囲っていたが、今は一つも光っていなかった。
 忘れていたわけではないが、思い出したように吐き気の大きな波が来た。思わず立ち止まり、口を押さえる。あくびが出た。吐く寸前によく出るあくびだ。
 女子高生は、気づいているのかいないのか、無人の店内にずんずんと足を進めていき、内装の写真が貼られた大きなボタンのうちの一つを押すと、無言で奥へ進んでいく。女子高生は猫背で、どこか覇気がないが、その後ろ姿は俺には輝いて見えた。不思議と引き込まれるような魅力がある。それは、あの夢で抱いた感覚に通ずるものがあった。
「どうする? 一緒に入る? 一人で入る?」
 部屋に入るやいなや、女子高生はかばんを床に投げ出し、服を脱ぎ出す。
「じゃあ、一緒に」
 言いながら、俺も服を脱ぎ出す。服は脱がし合うのが趣味だったが、この際どうでもいい。俺は裸の女子高生と連れ立ってシャワールームに入り、軽く下半身を流す。その際、俺の性器の先が女子高生の尻にあたった。顔をしかめるその横顔を見て、思わず笑みがこぼれる。女子高生は先立ってシャワーを終え、タオルで体を軽くふいて、ベッドに腰掛けた。
「制服、着た方が良い?」
 ベッドは枕のあるほうが窓際で、そこに腰掛ける女子高生の顔は、ちょうど逆光になって見えなかったが、どうしてか、泣いているような気がした。
「いや、そのままでいい」
 返事もそこそこに、俺は女子高生の胸に貪りついた。小ぶりな胸だったが、味は最高だった。そのまま尻に手を伸ばそうとすると、「触らないで」とはたかれた。
「は?」
「挿れるだけにして」
 意味がわからなかった。逆ならわかるが、挿れるだけとはどういうことか。問いただすと、女子高生は「当たり前でしょ、セフレなんてそんなもんよ」と返した。別にセフレのつもりで金を渡したわけではなかったが、女子高生があまりにも譲らないので、早々に諦めた。こんな美人に挿れられるだけましかと考え直し、黙って騎乗位で挿れた。女子高生が上で、俺が下だ。その際、目の前に女子高生の胸が来たが、もうしゃぶりつくことはしなかった。
 女子高生は、仕事のように雑に腰を振った。あえぐこともなく、ただ乱雑に。それでも気持ちよかったし、俺はそれなりに満足だった。抜いたあと、突然、女子高生の方からキスをしてきた。女子高生は、泣いていた。今度こそ、明確に。両の瞳から大粒の涙を流していた。
 唇はやわらかかったし、キスの味は甘かったが、どうしてか、また吐き気がぶり返して来た。
 咄嗟に女子高生をおいてトイレに駆け込み、すべて吐き出す。
 それでも、キスの余韻は残り続けていた。
 トイレから出ると、女子高生がいなくなっていた。
 ヴァンパイアにでも噛まれたように、窓から刺す日光が眩しい。床を見ると、俺のズボンが扉の前に移動していた。拾い上げると、案の定財布がなくなっている。車の鍵だとでも思ったのか、なぜか反対側のポケットの家の鍵もない。
 部屋の中を探す前に、陽の光だ。ベッドに膝立ちになって、枕まで寄り、窓の両端のカーテンに手をかける。
 と、その時だった。
 上階から飛び降りたらしい女と、逆さまのまま目があった。
 それは、あの金髪の女子高生だった。
 紺の制服を丁寧に着たその女子高生は、どうしてか、窓の向こうの俺に、手を伸ばす。
 触るなと言ったくせに。
 俺は、ガラス越しに女子高生と手を繋いだ。
 ありえないことだったが、その感触は確かだった。
 落ちていく女子高生の腕にひかれ、俺の体も窓の外へ放り出された。
 飛散するガラスの破片が、反射で美しく輝く。
 その中に咲く、女子高生の笑顔。ガラスで切れた、血に濡れた笑顔。
 落ちていく女子高生。落ちていく俺。
「ありがとう」
 女子高生は、言いながらまた笑った。
「いいさ、別に」
 笑いかける俺。もう、吐き気はなかった。
 
2020/11/08 23:35:22(JSBPhE7W)
2
投稿者: カナガワアキラ ◆2yz/HcE6YU
あとがき

感想、質問など、お待ちしております。
20/11/08 23:37 (JSBPhE7W)
3
投稿者: カナガワアキラ ◆2yz/HcE6YU
よろしければ感想ください。
20/11/09 00:10 (zBWoLDF/)
4
投稿者: (無名)
私の吐き気が止まらなくなりました。
20/11/12 00:12 (TBwnOx1J)
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