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優希のひめごと -女装のHな体験談を脚色・創作しました-
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:優希のひめごと -女装のHな体験談を脚色・創作しました-
投稿者: 優希
1.優希0
 艶やかな黒いサテン光沢のブラを着け、揃いのダブルストリングショーツに脚を通す。その前につけていた人工乳房の接着力の頼りなさが、肩ストラップに感じる重さで落ち着きと興奮に変わり始める。シャワーで日常の匂いを洗い流した後、念入りに塗ったボディクリームで肌はなめらかで少し甘い香りをまとっている。

 ガーターベルトをショーツの下にくぐらせる。よく見かける画像ではショーツの上に着けているものばかりだけれど、それではショーツを下ろせず、肝心なとき、熱い流れに身を任せきれなくなってしまう。 丸めてから太ももまで引き上げた網タイツを、シリコンクリップで挟んでから、透け防止に同じブラックのベビードールを身に着ける。しなやかに軽やかに揺れる裾に、高ぶる気持ち。

 ドレッサーのスツールに腰掛ける。メイク下地を丁寧に広げてから、リキッドファンデーションとコンシーラーを重ね、チーク、ハイライト、シェーディングで立体感を加えていく。今日は大人の色気を目指してブラウン系に。整えていた眉をアイブロウマスカラで染め、目尻ではね上げたアイラインでちょっとセクシーな猫目に、グラデーションにしたアイシャドウとカラコン、上下のつけまつ毛で目力アップ。ルージュとグロスで仕上げた唇は鏡越しに誘っているように光る。メイク完成、良い感じに仕上がりそう♪

 白いニットワンピを着て、オフショルダーを調整する。ドレッサーの引き出しから、華やかに下がるネックレス、繊細に揺れるイヤリング、指先を華奢に見せるリングを取り出して順に着けていく。ハニーブラウンのウィッグをブラッシングして毛先を整え、最後に小さく煌めいたネイルチップを付ける。鏡の中に完成した、あたし。自分好みの、男ウケを追求した甘くセクシーなスタイル。変身への欲望がひとまず満たされたあたしは、時計を確認した。

 7時40分。シャワーを出たのが6時50分だから、1時間弱かかった。流していた 音楽アルバムも終わり、近くの国道を走る車のノイズと遠くを走る救急車のサイレンが小さく部屋に届いている。ブラックとピンクに溢れた部屋。カーテン、ベッド、ラグ、テーブル、ドレッサーにシャンデリア、壁までピンクのクッションクロスに張り替えたので、レディースファッションのショップさながら。とても他人には見せられないなと思う。

 「さて、何しよう…」

 そんな部屋に、あたしのつぶやきが響いた。せっかく見た目良く仕上がったのだから、誰かに見てもらいたい。綺麗だとかセクシーだとか、あるいはもっとストレートに、そそられるとかでもいい、誰かに褒めてもらいたい。何人かに口説かれて、まんざらでもないながら、それをあしらう小悪魔のように振る舞えたりしたら最高だろうななんて、思いを巡らしていた。

 とはいえ、あたしの身長は172㎝ある。女性なら珍しいほど背が高いから、それだけで目立ちやすく、そんなのが男を挑発するようなカッコをしていたら視線を集めてしまう。この世界には「完パス」という言葉がある。本物の女性と見分けがつかず、そう扱われることをいう。身長が165cm以下なら完パスしやすいだろうし、170cmくらいでもユニクロで揃えてヒールのない靴をはいた普通っぽい感じにすればいいのかもしれない。でもそんなカッコは全然魅力的ではないし、それならわざわざこんな手間やお金をかけて取り組む必要はないのだ、あたしにとって。

 もっとも、この趣味としては恵まれている身長ではないけれど、普段は低いコンプレックスを感じることもなく、完パスを目指さなければモデルのようにファッションが映えるスタイルということにできる。幸い、あたしは男子としては細く、レディースのLサイズ・11号を着ることができるし、歌舞伎系とよく言われる顔立ちはメイクとの相性も悪くないと思っている。



 今日の変身は、3カ月ぶりだった。ここのところ仕事が忙しく、プライベートとの兼ね合いもあって、なかなか取り組むことができなかったのだ。しばらく放置していた無駄毛を丹念に剃り、この間に少しずつ取り寄せていた新色のメイク用品や今シーズンの服を初めて着け、やっと仕上がったあたしを披露したいと思った。だからといって普通の街中に出かければ目立ってしまう。あたしの美学を、何も知らない他人から奇異の視線で見られるのには強い抵抗があった。

 新宿に行けば、同類も多く受け入れる土壌もあるから楽しみやすいのは分かっていた。でも新宿までちょっと距離もあって、なかなか行く機会もないまま今日に至っている。そしてたぶん一度行ってしまえば、仲間ができてどっぷり填まってしまうだろうとも思う。

 いっとき、近くにある公園で土曜の夜に同類が集まって、とりとめもなく喋ったり、合意した同士で関係をもったりするサークルのようなものに参加していたことがあった。手間暇かけて装った後、それを認めてもらえる場を求めていたあたしは、しばらくそこにのめり込んだ。毎回10人以上が集いながらも、美を追求する者はほとんどいない中で、あたしは褒めそやされちょっとしたアイドルみたいになれた。でも、常連の間で近寄りがたい存在にされてしまったあたしを口説こうとする人はいなくて、また逆にこちらからその場を離れてまでつき合いたいと感じる人もいなかった。そして少しずつ足が遠のいていき、時おりネットでどうなっているのかなと暇つぶしに調べる程度になってしまった。

 その後、ネットの掲示板に出会いを求めたこともある。画像と住んでいる所、どんな人と会いたいか等を投稿すると、フリーメールに何十件という誘いが来る。ちょっと違うなという人に、ごめんなさいとコピーした文章を返信し続け、残った人に車のことなど尋ねてみる。かなりの時間メールを続けた結果、夜遅くなってしまいせっかくの変身が無駄になったことも多かった。

 
2018/02/18 11:04:21(/9LPqjVZ)
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