ーーーーーッガシャン...
グラスの割れる音がした。
机の上に綺麗に並べられた美しい料理達は彼女の手によって払い落とされていく。
恐らく、僕が来る何時間も前から支度をして僕の笑顔を見たいがために懸命に料理をして美しく盛り付けもしたのだろう。
その想いをも振り切るように1つ1つ料理の皿は床へと消えていく。僕は考え得る様々な理性をも彼女の身体へと溶かしていった。
彼女のぷっくりと膨らんだ唇に引き寄せられていった。
今までの様々なキスに関する知識など本能の前には何ら役に立たないのだ。ただ、僕の体液と彼女の甘く少し苦くそして温かな体液を交換する。ただそれだけの行為なのだと悟ってしまうほどの動物的であり衝動的であるキスだ。
彼女の中に僕は舌を差し込む、口内の粘液をも全て絡め僕の唾液を注ぎ込む、これはセックスと言ってもいいだろう。
哀しくも小さく彼女は喘いだ。
時々合う僕らの視線は瞳の奥の肉欲しか映していない。
愛情をも越える肉欲ただそれだけが深く、深く沈んでいった。