あるサークルで知り合った俊彦(56)と美津子(51)は、夜の海を眺めていた。
沖合には、眩いばかりの漁り火が輝いている。
海水浴客の人影も消え、広い駐車場には俊彦と美津子の二人きりだった。
その日は美津子の夫は町内の旅行で留守だった。
その事を美津子は俊彦にサークルの場で、こっそりと告げていた。
夫以外の男性と二人きりでの食事は美津子に取っては初めての事で…夫の留守を目がけて男性と逢うなんて…と多少の後ろめたさを覚えながらも次第に美津子は俊彦との時間に嵌って行った。
食事を終えた後、俊彦にドライブを誘われる。
美津子はOKすれば、きっとその後も誘われるかも?と感じながらも、美津子は頷いてしまう。
そして人影もない海岸沿いの駐車場。
海を眺めながら寄り添うように並んで立つ。
熟年に成った美津子の胸に、甘酸っぱい感覚が漂う。
俊彦が指で沖を示す、その方を見つめる美津子の手に俊彦の手が触れて来る。