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夢枕
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:夢枕
投稿者: アリス ◆Df3LS3WJTE
2198年。

まだ地球は存在している。人間もいる。
平和になった世界。
ただし現実だけ・・・・。別の世界ではもっと悪化している。
でもそれは仮想だから。
人は死なない。


目の前にウサギがいる。
ステッキを持ってニンジンスティックをポリポリかじっている。
「おい、ニル!サボるな」
ウサギは耳をピョンと立てて姿勢を正した。
シルクハットをかぶっている。
人形みたい。
口元はモフモフ世話しなく動いている。
まだニンジンスティックが口の中に残っているらしい「アリス様、ランチくらいお許し下さい」
「だめっ!」
このウサギは私の相棒。
名前はニル。
私はアリス。
今はある人を探している。普通の町並み。
人もいっぱい。
現実に見える。
そういう風に作ってある。ニルはステッキをクルクル回しながら歩く。
「落ち着かないね・・」
「ウサギですから・・申し訳ありません」
全然申し訳なさそうな感じはしない。
目標の人はもうすぐ目の前店に来るはず。
「チーターは来ませんね」
「まぁ待て・・」
なんでこいつを相棒にしたんだろう。
まぁ素行は悪いが性能は良いし。
黒いコートを来た男が店の前に立ち止まった。
「ニル!あれだ、行くぞ・・・全員、目標確認。捕獲準備・・」
他の仲間に連絡する。
私はニルと男に近づく。
G36Cを構えて近づく。
「動くな・・」
男は手を上げた。
ひげ面でいかにもって感じ・・・。
「チーターだな?」
「あぁ・・そうだ」
迂濶に近づけない。
その場は騒然とする。
「武器を捨てろ・・ゆっくり・・」
「俺は死なないよ・・」
まさか・・・。     一瞬戸惑った。     男に隙をつかれた。   私はトリガーを引こうとした。
遅かった。
男が素早く路地裏に逃げた「くそっ、ニル。追うよ」
「ラジャッ!」
本当にムカつくウサギだ。たまに敬語を忘れる。
男を追う。
路地裏からビルに入ったようだ。
G36Cのストックを降り立たんで構える。
ドアは空きっぱなし。
階段をかけあがる。
「屋上にいるようです」
「厄介なやつだな・・」
仲間はまだ来ない。   待ってられない。    屋上のドアを蹴破る。
素早く近くの物陰に隠れる屋上は広い。
「ニル、まだ屋上にいる?」「いるよ・・あ、います」
物陰から出る。
制圧していく。
「ははっ、こいよ!」
遠くに男がいた。
私は男が持っている物を見て素早く隠れた。
パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパッ!
安物のマシンピストル。
ミニUZIあたりか。
マガジンはとっくに空のはず。
けど笑いながら延々と撃ち続けている。
チートの一種・・・。
銃撃が止んだ。
「ニル、挟み込むよ」
「おまかせあれ!」
ニルと別れて挟み込むように隠れながら進む。
男の真横に来た。
キョロキョロとしている。素早く近づく。
G36Cを構える。
「動くな、銃を捨てて」
「ははっ、女か」
男がニヤリと笑う。
パンッ。
男の腕を銃弾が貫く。
UZIが吹っ飛ぶ。
男は平均な顔。
「死なないって言ったろ?」「クソッ!」
捕まえなければならない。だが近寄れない。
男は走り出した。
向かい側のビルに。
「ニル!撃って」
「はいっ!」
男は飛んだ。
向かい側のビルまでかなりの距離。
けど可能だ。
チートを使っているなら。ニルのステッキがNTW20に変わる。
対戦車ライフで2メートル近くある。
ニルがスコープを覗いてトリガーを引いた。
ボンッ。
もはや大砲だ。
空中の男の足に当たる。
足がちぎれた。
ニルがボルトを引いてもう一発撃つ。
男の両足は無くなりビルにぶつかって下の道路に落ちた。
私は無線で仲間に連絡。
「6番通りの真ん中に落ちたから確保して」
「了解」
下に落ちた男は這って逃げようとしている。
「ニル、左手」
「オッケー」
ボンッ。
男の左手が吹っ飛んだ。
もう動けない。
ニルはライフルをステッキに戻した。
「任務完了でやんすね!」
「ニルを一回バラしてちゃんと敬語使えるようにしないとね」
「お許し下さい!」
ニルの耳がしゅんと垂れた
下の道路に向かう。
仲間が男を確保している。「くそっ・・いてぇ!」
男は私を睨んだ。
私は男の右手をつかんで袖をまくる。
キーボードと小さなモニターのついた機械。
それを外して操作する。
「パッドは確保、住所も個人情報も載ってる。確保して」
仲間に渡す。
私は男を見下ろす。
「ある程度の規則は守ろうね、チーターさん」
「・・・・っ」
男は悔しそうな顔をした。「ニル、戻るよ」
「はぁーい・・かしこまりました」
ニルがポケットから鍵を取り出す。
私の右手にあるパッドに差し込む。
意識が戻っていく。
現実へ・・・・。






目が覚めるとパソコンの前にいた。
「ふはぁ・・つかれた」
仲間が数人パソコンの前の椅子に座って目を閉じている。
まだ戻って来ないだろう。
自分のデスクに戻ってパソコンでレポートをまとめる。
「今回は無限弾と重力無視のチートか・・はぁ、手強かった」
レポートを本部に送信。
私はまだまだ駆け出しの新米。
バーチャルリアリティーポリス。
もう一つの世界の警察。
略してVRP。
「そろそろ上がろう・・」
カバンを持って建物を出る街がある。
建物もある。
けど人はあまりいない。
車も走っていない。

メールが来た。
ニルからだ。
【これから気をつけますからバラさないで下さい】
ムカつくけど頼りになる。相棒はAIだ。
バーチャルリアリティー空間でのみ存在する。
バーチャルリアリティー空間・・VR空間が出来てから120年。
だいぶ洗練されてきた。
もう現実との区別も難しいくらい。
戦争はVR空間でされるようになった。
軍も軍需産業もある。
現実で戦争するよりVRで戦争するほうが儲かる。
そう聞いた。
政府は現実で戦争するよりよっぽど金がかからないVR空間で戦争をしている。
場所を決めて戦争したい国と戦争をする。
VR空間で使う武器類ももちろん金がかかる。
けど現実よりは安い。
軍需産業は儲からないと思うはず。
けど一般人も戦争に参加できるようになった。
オンラインゲームのような感覚で痛みもない。
武器類は銃器メーカーからダウンロードして買う。
武器もダウンロードして買う時代・・。
そして犯罪も減った。
現実での犯罪はほとんどない。
殺人、性犯罪はVR空間では当たりまえ。
被害を受けるのは人間ではなくNPC。
プログラムされたVR空間のキャラクター。     人間ではないので好きな事をできる。
罪にはならない。
規則の範囲内なら・・。
VRPが取り締まるのはチート使い、VR空間にいる人間に危害を加えた者など。

欲望の捌け口ができたお陰で人間は大人しくなった。まさに平和になったのだろう。
私の家はマンション。
二人暮らし。
恋人がいる。
「ただいま!」
「アリス、おかえり」
ちなみに私は日本人。
名前は好きな絵本の主人公から取った。
彼は正樹。
最近知り合った。
もちろん現実で。
「つかれた?」
「うん、つかれたよぉ」
私が甘えられるのは恋人だけ。
正樹に抱きつく。
「エッチしよ・・」
「うん、いいよ」
キスする。
現実のキスの方が好き。
エッチも現実の方が気持ちいい。
ゆっくりとベッドに倒れこんだ。
生きてるって実感する。
この時は・・・。



レスを見る(23)
2010/12/25 14:59:08(as3AsvRi)
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