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1:絆,再び
投稿者:
(無名)
彼は指圧も始めた。
信用していなかった訳ではないが,愛撫が続く日々は,やはりこの人も男なのだと思いはじめていた。 ただ,彼自身を挿入はしないのだった。 指圧は背中から腰,お腹周り,骨盤を中心に,必要に行われた。 滞った血液の流れが歓喜するように良くなり,温かくなる。 この頃になると膣への指の挿入はなくなった。ただ,腰の一部分を重点をおいて指圧するのだ。それだけで全身から汗が滲みだし,熱くなる。 毎日の指圧の効果は絶大だった。 私は気付かざるを得なかった。 あれほど感覚がなかったアソコが指圧されるだけで濡れるのだ。 そして,アソコからは忘れていた鈍い快感すらある,欲求するのだ。 女を取り戻した瞬間だった。 涙を流す私を見て,微笑む毛ムクジャラの顔があった。 あれから数ケ月,私は普通の生活に戻っていた。猫との別れは辛かったが,「もう大丈夫だ,人生を取り戻せ」と追い出されたのだ。 心にポッカリ穴があいたようだ。それなりに生活は充実しているのにだ。 彼は引越して,猫と共に姿を消していた。 無性にあの,鯖の味噌煮が食べたい。いや,彼に逢いたい。自分の気持ちに気付いていたが,もうごまかせない。 季節はまた冬になっていた。 あれほどの想いも,日々の忙しさで,もう忘れかけていた。 雪が見たくなった。 以前,夏の北海道へは旅行で訪れたことがあった。 冬はまだないな・・・。 さすがに寒い。 白銀の世界にタンチョウ鶴の優雅な姿は,絵になる光景だった。 北海道は広い。こんどは街をふらつき,市場に向かった。 活気のある人の群れに感動すらかんじた。 北海道独特の魚が沢山ある。その中で,隅っこに鯖が申し訳なさそうに並べてあった。 懐かしさに思わず手がでた。その私の手を掴む大きな手があった。「すまん」手の主は優しい顔で私を凝視している。 彼の診療所であり自宅は場所を変えても温かであった。 あの白い猫は,はじめ警戒していたが,私の匂いを確かめると体を擦りつけてきた。 懐かしさに猫を抱き上げると,もう喉をゴロゴロ鳴らした。 すっかり髭をおとした見違えた顔で彼は笑っている。声をかけられても最初は分からなかった。だか目は変わってなかった。 そして以外にいい男だったのには正直,狼狽したのだった。
2008/08/09 10:49:49(FtmBAM.4)
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