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憑クモノ島
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:憑クモノ島
もし…もしもだよ、差出人不明な荷物が届いたら…君なら開けるかい? 悪い事は言わない、止めときな。俺の様に為りたくなければね…。


「こんにちは!荷物をお届けに上がりました」
 見た事も無い制服とロゴマークの業者。ここで気付くべきだったんだ。
 箱にはよく判らないシールがベタベタと貼られている。友人が何か仕送りしてくれた物と思い込み何も考えずに開封してしまった。
 シールをペリペリと捲くり、粘着テープを引き剥がすと…。
プシューー!!
 玉手箱よろしく白い煙が噴き出して来た。
『ゲホッ!ゲホッ…』
 床を這って壁まで辿り着き、窓を開けると少し視界が拓けて来る。
『な…何だ?誰かの悪戯か…』
 悪友は沢山居るがここまで巫山戯るヤツは居ない。シャツで口元を押さえながら煙の元に近付いてそっと覗き込むと…。
『何だ?この紙切れ…』
 ル○ンか?キャッ○ア○の仕業か?…んな訳が無い。そもそも狙われるお宝なんて無いんだから。などと浮かれていられたのはここまで…。
 その古風な字で綴られた内容は…。
 
【汝 約束を違う事勿れ】
 
 蛍光灯の光が壁にもうひとつの影を作り出す。
『…ッ!?』
 咄嗟に振り返るも誰もいない…ただ窓の外に一匹のカラスが電線に留まっていた。まるで返事を待つかの様に…。
 
・・・・
 
 いくら世が高速化したとはいえ、それは首都圏や大都市近郊のみの話で、俺の故郷には関係の無い話だった。何度か電車を乗り継ぎ、辿り着いた無人駅の寂れた港町。この岸壁から微かに見える小さな島、そこが俺の産まれた場所、【伊城の島】。しかし地元では誰もその名では呼ばない。かつて古えの夫婦神が流した異形の子が流れ着いた場所、【遺棄の島】と伝えられているのだから…。

 島へ渡るには二週間に1度、生活用品を納める為の船があるだけ。何故そんな陰欝な場所にわざわざ帰って来たのか?それは村に伝わる因習にあった。
 島民200名位の小さな集落の割に不似合いな鳥居と社、それが伊城神社。島の殆どが神域であり、奉られている物は鬼とも魔物とも謂れている。百年に一度、18歳を迎える男子が御遣いとなり、女人に憑く魔を祓う儀式を執り行わねばならない。その百年目が丁度今年であり、該当する男子は俺しか居ないのだ。
 そして女人の心当たりは3人。誰も幼馴染みな筈だ…。
 3人とは村長の孫娘の楓、そして伊城神社の娘の椿姫、最後が従姉妹の桜。言い伝えではその異形の神は夫婦神の最初の子供である為、子供を宿した事の無い…つまり処女に憑くらしい。何せ百年に1度の祭事だから何処まで正確に伝わっているかも判らない。詳しい文献などは伊城神社の祭具殿に納められているらしいが、その行方は不明だ。女側からすれば根拠の薄い因習によって意に添わぬ相手と、しかも穢れの贄とされるのだから堪ったものじゃ無いだろう。
 過去に選ばれた娘が拒絶し、想い人と祭の前に通じた際、娘と想い人その両方の家族が謎の死を遂げ、島も壊滅的な被害を受けたらしい。おそらくは地震に因る津波や台風などの偶然が重なったのだろうが、今となってはその真相は定かでは無い。
「着いたぜ、兄ちゃん…」
 送って貰った礼に荷下ろしを手伝っていると後ろから声を掛けられた。
「あれ?珍しいね。新しいバイトの人?」
 仕方が無いさ、この島に人が来る事自体稀なのにこんな時季、少しでもこの島の事を知っているなら近付きたくも無いはずだ。現にこの業者の男も蒼白な顔で帰り支度を急いでいる。
「そ…それじゃあな兄ちゃん。助かったよ…」
 最大船速で離れていく船を見送る。これで二週間は滞在となるのか…。
 改めて島の景色を見渡すと先程の声の主らしき女の子。マジマジと俺の顔を見詰めている。
「もしかして…剣人?」
 ショートカットの髪に機能性重視のラフな服装。性格を表す様なつり目とトレードマークのクローバーを摸したヘアピン。間違いない、村長の娘の楓だ。
「やっぱ剣人だ、でかくなったな。見違えたよ」
『そういう楓こそ。驚いたよ、ビックリする位変わって……無いな』
 頭の先から爪先まで一通り見渡して、ある一カ所で視線が止まる。
「ちょ…今、何処見て言った!?」
 慌てて控え目な胸を両手で隠す。どうやら気にしていたらしい。
「…ったく、相変わらずスケベだなぁ」
『健康な男子の健全な反応と幼馴染みとしての素直な意見だが?』
 たかだか10年じゃそうそう性格も変わるものじゃ無いか。ケンカ友達のスタンスは変わらないらしい。
『懐かしくて嬉しいって思ったんだよ。気にすんな』
「バ…ナニ真顔で言ってんだ?」
 事実、帰ってきたんだなと思えるし、嬉しいのも本当だ。きっと女らしい楓には違和感しか感じないだろう。俺は浦島太郎なんだから。
「さぁ…コッチっても、知らない訳じゃ無かったな」
 楓に連れられて村への道すがら景色を眺めながら歩く。本当に10年もの時間が過ぎているのかと疑いたくなる位に記憶通りの風景。都会では3年も経てば店の半分どころか街そのものが変わるというのに…。
 
『……ぁ』
 いや、人以外にも変わった物があった。俺の視界に入ったうらぶれた廃屋、そうかつて俺の家族が住んでいた家。小さな家だったが屋根は落ち、窓ガラスは割れて今や見る影も無い。
「…人が住まないとどうしても…ね」
 顔を伏せる楓。その理由は知っている。
「よう、お帰り楓ちゃん…その男は?」
 閉鎖的な場所特有の排他的な反応か…。
「剣人だよ、知ってるだろ?」
「おお!あの悪ガキの鼻垂れ坊主が帰って来たんか?良かったな、楓ちゃん」
 途端に表情を崩す男、しかしその目は笑っていない。
「う…煩い、余計なお世話だ!」
 顔を背ける楓は耳まで赤くなっている。
「さ…さぁ行くよ」
 俺の手を取り、早足で立ち去ろうとする楓。俺は軽く会釈をしてその場を後にした。


「楓ちゃん、お帰り」
「こんにちは、楓ちゃん」
 流石は村長の孫娘、周りの方から挨拶をしてくる。そして必ず俺に向けられる冷たい視線と背後から微かに聴こえる「これで祭がひらける」の言葉。
 
 
「おお剣人、よく帰ってくれたな。見違えたぞ」
 連れて来られたのは楓の家、つまり村長の屋敷って事だ。
『お久し振りです。その節は両親が大変ご迷惑をお掛けしました』
 案内された奥の部屋に待っていたのは楓の祖父である村長と伊城神社の神主でもある椿姫の父親だった。二人とも村の実力者だ。
「ご両親の事は聞いている。大変だったね」
『いえ…村を出て行ったのですから当然かもしれません。逆に私を村に招き入れて頂いた寛大な御心に感謝致します』
 しきたりを破り村を出た俺の家族は新居に向かう途中、事故に遭い両親はこの世を去った。後日知らされた事だが事故による車の破損に比べ、俺は奇跡と言える程に全くの無傷だったらしい。まるで何かに護られていたかの様に。
「この家では落ち着かんだろう、椿姫の所に部屋をとった故、ゆるりとするが良い。楓達も話をしたいだろうしのぉ」
『有難うございます』
 一礼し部屋を出ると玄関に楓が待っていた。
「案内…は要らないだろうけど、まぁ椿姫に会うついでってやつ?」
『Thanks…』
 道中も同郷であった俺を見る目やコソコソ話す声は気分の良い物では無く、実際楓が居なければ暴れていたかもしれない。
「気にし無くて良いからね。私がついてるから…」
 俺の心を読み取ったのか、楓は繋ぐ手を強く握った。


 最初の鳥居をくぐり、上へと続く山道の階段。この先に伊城神社がある。かつて楓達と無邪気に遊んだ境内、しかし懐かしさは感じない。あえて例えるなら異質な空間といった感じか。
「お~い、連行して来たよ~」
 二ツの人影に楓が叫ぶ。一人は竹箒を持った巫女、もう一人は髪をツインテールに結わえた少女だ。
『連行って…おま…』
「散々私達に悪戯して泣かせてた悪人じゃない?」
 泣かされてたのは俺だった気もするが敢えて口にしない。
「あら、楓ちゃん。という事はそちらの殿方が剣君?」
「うわっ!?剣兄ぃデカッ!」
 口元にホクロのある巫女さんが椿姫姉さんとゆう事は、このツインテールが従姉妹の桜か?
むにゅん♪
 うわっ!?椿姫姉さんがナイスバディになるであろう事はおばさんを見て予想出来たが、巫女装束な巨乳にここまでの威力があるとは…。さらに童顔なくせに、押し付けて来るこの弾力。桜…、それは反則だろう?
 恐るべきはオッパイ爆弾。それに引き換え…。
ズンッ!
『…っ痛ぇ~、何すんだ楓!?』
 思い切り俺の足を踏み付けている。
「別に…何か腹立ったから」
 超能力者かコイツ?
「う~ん、どちらかというと剣君が判り易過ぎるというか…」
「アハハ、剣兄ぃのH」
 色々サイズが変わっただけで俺達は昔のまま…か、少なくともあと1週間は…。
 
 1週間後、つまり祭の当日。伝承通りならこの3人の内の誰か、或いは全員に人為らざる物が憑く事になり、それを俺が封じなければならないのか。
 
 
「じゃあ自分の家のつもりでユックリしていってね」
 流石、椿姫姉さん。そして見惚れる俺の後ろで【バ~カバ~カ、バ~カバ~カ】と呟く楓。
『何か言ったか?』
「…別に」


 薄暗い部屋の中に揺れる蝋燭の灯、鈍い輝きを放つ刀を高く掲げる男。足元には四肢を縛られ猿轡を噛まされた少女が転がされている。そのはち切れんばかりに丸く膨らんだ腹部目掛け…。
バシューッ!!
ピシャ…ピシャ…
 
『ーッ!?』
 ―その夜、俺は夢を見た。とても…とても嫌な夢…。全身を滝の様に伝う汗。鼓動は早鐘の如く打ち鳴らされ、口はより多くの酸素を取り込もうとする。
 …取り敢えず水分…、そして汗を拭こう。パジャマどころか下着までグッショリ濡れて気持ちが悪い。
 俺の寝屋として宛がわれたのは境内から更に山奥の外れに在る離れ家の一室。そして何故か楓達もこの離れ家にそれぞれ部屋を与えられ今頃は寝息をたてている筈。つまり若い男女が一つ屋根の下、鍵も架からない襖一枚隔てただけの状況下にいるって事。
(余計眠れんわーッ!)
 意識しだしたら更に眠れなくなってしまった。今ならまだ風呂の残り湯も温かい筈、取り敢えず汗を流そう。
 
 
『フゥ…』
 サッパリと気分転換も出来たし、改めて床につくか…。
バシャ…キィキィ…バシャ…
(水音…こんな時間に?)
 奥の井戸辺りから聞こえてくる様だ。誰だ今頃…?
 足音をころしてそっと近付くと白い人影が見える。
パキ…
「…ッ!?誰?」
 この声は椿姫姉さんか?
「あら、剣君。ごめんなさい、起こしちゃったかしら?」
『い…いや、何か寝つけ無く…ッ!?』
 咄嗟に背を向ける。相変わらず寝間着は和風なんだな…と思った瞬間に気付いてしまった。白い布地が濡れて、す…透け…透けて…。
「あら、私とした事が…」
 動揺の理由に気付いたのか、騒ぐ事無くバスタオルで隠してくれた。
 
 
「お待たせ…」
 狼狽えたままの俺は「少しお話ししましょうか」と手を掴まれ椿姫姉さんの部屋へと連れ込まれてしまった。やっぱ怒られるよな結果的に覗いてた訳だし。良かった汗を流した後で…。
『す…すみません、椿姫姉…いえ、椿姫さん。決して疚しい気持ちとかそういうのじゃ…』
「昔通りに呼んでくれた方が嬉しいかな?それと疚しい事が無いならちゃんとコチラを向いて話しなさいね」
 優しく諭す様に俺の頬に手を添えてくる。
『ハ…ハイ…』
 無理です。どうしてもさっきのシーンがダブって直視出来ません。まさか下着着けて無い何て思ってませんでしたから。
「剣君?」
『あの…さっきは本当に疚しいとか全然…。ただ今はその…何というか…』
「…そっか、剣君はまだ小さかったし、村を出てご両親を失ったから何も知らされて無かったんだものね」
 真剣な表情で椿姫姉さんが見詰める。
「剣君は葦舟祭についてどれだけ知っていますか?」
 俺の知る祭の伝承はこうだ。
 ―百年に一度、神社に封じた祟り神が若い娘に憑依し災いを為す。それを若者がその身と共に神域にて幾夜をかけてその太刀を持って穢れを祓った…と。
2011/10/17 18:29:34(SONY5Gsv)
2
投稿者: たんたんタヌキの○○
しかし、一番正確に伝承を知るであろう神社の娘、椿姫姉さんの口から告げられたのは恐るべき驚愕の内容だった。


 ―遥か昔、この国がその形を為す前に二柱の神が産まれた。その兄妹神は禁忌を犯して御子を産んだ。しかしその御子は愛を持たぬまま睦事を行った故に骨も皮膚も持たぬ凡そ人型を成さぬ臓物だけの悍ましい姿だった。夫婦神となった二神は己の罪と穢れを御子と共に葦舟に乗せて海に流した。やがてこの国を創った夫婦神はその小さな島を穢れた土地として組入れる事無く刻が過ぎた。
 しかし溢れ出した穢れは若い国にも及び、新しい命は次々と失われ、狂乱する女神と国を救う為、男神は一振の太刀を用いて祟り神を小さな島に封印した。
 それがこの島に伝えられる神話であり、祭はそれを準えた物だと…。


『ちょっと待ってくれよ椿姫姉さん!?そ…それじゃあ…』
 あまりの恐ろしさに体の震えが止まらない。それが事実なら…。
「そう、剣君はその男神。私達を孕ませ、その赤子を殺すのが役割です…」
 馬鹿な…有り得ない。
『…そんな、嘘だろ?俺が…椿姫姉さんや楓や桜を…。出来る訳無いじゃないか!』
「剣君が拒否をするのも自由です。その場合、私達は村中全ての男達から犯されるだけですから。例え血を分けた親兄弟であろうと関係無く、身も心もズタズタになろうと…むしろその方が神話に添った形になりますね。穢れていれば穢れている程、御利益は高いでしょうし…」
 椿姫姉さん達を連れて逃げる事も提案したが、返ってきた答えは…。
「その場合は村そのものが滅ぶ事になりますから直接では無いにしろ、家族を殺された事になりますね」
『でも村が滅ぶかなんて保証は…』
 いや、保証されているじゃないか…不可思議な事故による俺の両親の死によって…。
「剣君が選ばれた事はせめてもの配慮でしょう。少なくとも自分の意に添わぬ相手ではないのですから。赤ちゃんは残念ですが、流産したものと諦めれば良いと私達は覚悟を決めています」
 そんな簡単に割り切れる物なのか?いや待て…子供が産まれるまで8ヶ月はかかる…その間に方法を。それ以前に祭が成立しないんじゃ…?
「3日あればお腹が膨らみ、この世に産まれますよ。赤ん坊は人の子では無いのですから。剣君もその身に浴びた筈ですよ、神の穢れを…」
 そんな覚えは…ッ!?あの荷物の煙か?初めから何者かに仕組まれているのか?
「…今日はもう眠りなさい。また明日お話ししましょう」
 
 
 私達…椿姫姉さんはそう言った。つまり楓も桜も知っていて、その覚悟を決めているって事か…。
 かつての対象者となった娘はこの呪われた祭を終わらせる為、異行の子を抱え男と共に村を出ようとした。しかし、逃亡中に追っ手の村人に男は殺され、追い詰められた断崖からその身を投げた。その下は奇しくも葦舟が漂着した場所だったらしい。
 今までも何らかの手段はとられている。それでも続いているのは方法が無いという事なのか?

ス…
『・・・』
 俺に割り当てられた部屋に戻る途中、障子や襖を少しだけ開けて楓や桜の様子を伺う。彼女達は自分の運命を、俺の事をどう思っているのだろうか…。
ス…タン…
「・・・」
 改めて戻った部屋の中は薄暗く、蝋燭の灯がひたすらに不安を煽る。取り敢えず今夜は無理にでも寝よう、混乱し過ぎて頭が働かない。全ては明日からだ…。


 ぁう…眠い…。色々な理由で寝不足な割に今日も元気だねぇお前は…。
「剣人…起きてる?」
スス…
「……エッ?」
『・・・』
「キャーーッ!!」
 


「…ったく、朝からとんだ災難に遭ったわ」
『朝なんだからしようが無いだろ!』
 楓達との生活第1日目の朝は微妙な雰囲気から始まった。
 食卓には早起きして準備してくれたのであろう純和風な朝餉が並んでいる。
『…!?美味っ!』
 確かに向こうでは一人暮らしでロクな物食って無かったけど、味噌汁、浅漬け、ご飯と派手さは無いがどれも一流料亭にも負けないであろう逸品。聞けば自家製だそうな。椿姫さんも桜も自分の自信作を嬉しそうにアピールしていた。
『んじゃ、次はこの煮物を…』
「…あ!?」
ガリッ…
 何だコレ?独特な食感と素材本来の持ち味を活かしに活かしまくったある意味究極に素朴で個性的な煮物は…。
「・・・」
 先の二人が〔私じゃないよ〕と言いたげに視線を逸らしている。という事は…。
「・・・」
 俺の視線の先に一人俯いて小さくなっている娘が一人。やっぱり楓か…。相変わらず料理下手なんだな…。
「な…何だよ、その憐れみの視線は…」
『…別に』
ガリ…ボリ…シャリ…
 何事も無かった様に個性的な煮物を口へ運ぶ。
「む…無理して食わ無くて良いよ」
『無理はしてない、俺が食いたいから食ってるだけだ。それに俺が作るより遥かにマシだしな…』
 噛む力が弱くなっている都会人には良いトレーニングになるし、噛み続けている間に不思議と素材の旨味や甘味が感じられてきた。
ゴリ…
「……剣人、つ…次は頑張るから…ね」
『ああ…』
 他の二人も少し顔を顰めながら食べ始め、いつしか食卓は笑顔に溢れていた。
 一息ついた所で改めて3人を見ると全員巫女装束を纏っている。本職(?)の椿姫さんは当然として何故楓や桜まで?
「これは神事の一環だからね」
 少し気恥ずかしそうに答える楓。記憶の中では男の子みたいな服しか着てなかったし、ちょっと新鮮かも。
「……剣人、……目がヤラシイよ」
『そうか?なら楓が女らしくなったって事だろ?』
「ば…馬鹿ッ!?」
 顔を真っ赤にして逃げてった。
「…剣兄ぃ、ナンパ?」
『ぅおっ!?』
 ある意味一番驚きなのがこの従姉妹の桜だった。島を出る時はまだ村の分校の初等科にも上がって無かったから仕方が無いが、10年という時の流れは少女に劇的な変化を能えていた。
 俺の腕に抱き付き、上目遣いで甘える仕種は変わらぬ物の、肘に伝わる弾力は桁違いだった。
「ネェ、剣兄ぃ…私だって剣兄ぃの赤ちゃん産めるよ…」
 一番気安く接しられる楓にヤキモチを妬いたのか、小悪魔的にかけてくるモーション。しかし、それは俺に課せられた使命、島へ戻ってきた理由を否応無く再認識させる。
(そうだよな…俺がやらなきゃこの桜も…だけど…)
 時間はあまり無い。何か良い手だてを探し出さなければ…。


シャカシャカシャカ…
 ヘッドセットから洩れる音。あっちでは定番ツールとなった小型音楽プレイヤーでお気に入りの楽曲を聴いている。こんな時代に取り残されたような孤島では時間を持て余すだろうとノーパソと共に持っては来ていた。が、逆にやるべき事は意外な程に多かった。まさか、未だにガス菅が通って無かったとは…。
 そういえば俺を運んでくれた業者の船の荷物にはプロパンガスのボンベも有ったし、発電機用のガソリンが入ったポリタンクも有ったっけ…。つい10年前に住んでいた場所なのにすっかり忘れていた。

カツーン!カツーン!
 釜戸や風呂に使う薪を割るのをかって出たものの、意外と重労働だったのには驚いた。カチッと捻ったり押したりするだけで済んでしまう都会とはえらい違いだ。
ピー…ピー…
『あ…もうバッテリー切れか、充電しとかなきゃ…』
 木の枝に引っ掛けておいたソーラーパネル式の充電器に接続する。これで夕方にはチャージ完了出来るだろう。
「お疲れ様、ちょっと一休みしましょうか…」
 保温の効く魔法瓶タイプのポットと手作りの饅頭を手に椿姫姉さんがやって来た。かつてガキながらも淡い恋心を抱いていた椿姫さんも神事の対象の一人、そう思うと複雑な心境だ。
「まだ迷ってる?」
 俺は事此処に及んで3人を傷付けずに済む方法を探している。
「私達は剣君に抱かれる事を望んでいるのよ。だから貴方はそれを叶えてくれれば良いだけ…ネ」
 不意に塞がれた俺の視界、感じるのは心を惑わす甘い香りと身体を熱くさせる柔らかな感触。
「…ン…ンン」
『ン~!?ンンン~!』
 キ…キスされた?椿姫さんにキスされたーッ!
「今夜…待っていますね」
 思考停止…身体停止…、元気に活動中は異常な早さで血液を駆け巡らせる心臓と他、ごく一部分。頬を染めて去り行く背中を呆けたまま見送った。


ボカッ!!
『~っテエーッ!?』
「何ボ~っとしてサボってんのよ!やる事は沢山有るのよ」
『え…えっ?姦る事…って』
バキッ!
 撲った!この人、また薪で撲ったよ!
「馬鹿言って無いで手伝うから早く運びなさい。殴るわよ!」
 もう撲ってるじゃないか!しかも2回も…。
 昔からこの調子なんだよ、せめてソコは変わってくれ。
ボソ…
(凶暴男女…貧乳怪人…)
ピキッ…
「おやぁ~、こんな所に貧相な薪がまだ残ってたわぁ~」
ブンッ!!
 楓が振り下ろした鉈が俺の脚の間の地面に突き刺さっている。
『あ…危ねぇな!使い物に為らなくなったらどうすんだよ!?』
「そうなったらスボイドで汁吸って入れるわよ!」
『汁…って?俺は足の話をしてんだけど…』
「~ッ///!?」
 あ~ぁ、耳まで真っ赤だよ…。ホントからかい甲斐のあるヤツだな。
「と…とにかくさっさと戻りなさいよね」
『あ、待て…よ…?』
パサ…
1.引き留めようと袴を掴む
2.少し緩んでた袴の帯が解ける
3.当然、袴が落ちる…
4.何故か眼前に拡がるイチゴ畑…
「ーーッ///!!」
バキッ!ゴキッ!ボクッ!
『ま…待て!ワザとじゃ…イテテ…だから…イテ…ちょ…』
「スケベッ!変態ッ!!フンッ!」
 ○○乱舞の如く殴って行きやがった…。ホントに抱かれるつもり有るのか?アイツ…。
『オ~イ、今はもう縞パンだ…ぞ』
メキ…
 薪が顔面直撃!ナイスコントロール…。
(楓としなきゃいけない時は前戯無しでしてや…る)
バタリ…



『あ~あ、酷い目にあった…』
 割り終えた薪を納屋へと収めると昼を過ぎていた。本当に昔の人は大変だったんだねぇ…。
「剣兄ぃお疲れ~。ちょっとコッチに来て」
 楓にそろそろ帰って来ると聞いていたのだろう。縁側に薬草を浸したお湯とタオルが用意されていた。こういう細かな気遣いが桜の良い所なんだよな、ホント誰かさんも見習って欲しい。
「…クシュッ」
『桜、風邪?』
「私じゃ無いよ~」
 どうやらクシャミの主はその[誰か]さんらしく、本当に起きるんだなと驚いた。
「んじゃ、剣兄ぃ服脱いで。私が拭いてあげる」
『い…いいよ、自分でするから』
「ハイハイ、駄々こねて無いでイイ子だから早く脱ぎ脱ぎしましょうね」
 園児扱いかよ?ちょっと恥ずかしいが従った方が良さそうだ。
「っしょっと…」
 適度に搾られたタオルが汗でベタついた肌を拭う度にスゥっとして気持ちいい。ミントも混ざっているのかな?
「ホェ~、剣兄ぃ結構良い身体してるんだねぇ」
『ジロジロ見るな、恥ずかしいだろ』
 バイトの賜物だな、結構体を使う仕事が多かったから。隆々とまではいかないがお陰でソフトマッチョ位には鍛えられている。
プニョン♪
プニョンプニョン♪
 桜が動く度に何か柔らかくて温かい物が背中に当たる。しかもダイレクトに伝わってくる。
『さ…桜?何か当たってるんだけど…』
「エヘヘ…さて何でしょう?
1.オッパイ
2.ボイン
3.乳房…」
『全部同じじゃないか!』
 反射的に振り返ろうとする頭をグイッと固定される。
「まだ見ちゃダメ!」
 そういわれても見え無い分、全意識がソコに集中し、少し硬さの違う部分がある事すら感じ取ってしまう。ヤバイ…色んな所が色んな意味でヤバくなってきてる。どうか桜に気付かれませんように…。
「ホェ…?」
 胸板から腹部に廻されたタオルを持つ手が止まる。
「剣兄ぃ…?」
『な…何だ?』
「ソコはタオルがイイ?手拭いがイイ?それとも…」
 タオルしか持ってない筈なのに手拭いってどういう意味…?
 背後に視線を流すと好奇心で目をキラキラさせた桜が指を輪にして上下に動かしていた。[手]で拭うって意味かよ!
『バ…いい加減にしろ!』
 タオルを引ったくると背中を押して桜を追い返した。
11/10/17 18:39 (SONY5Gsv)
3
投稿者: たんたんタヌキの○○
「アン、剣兄ぃのイジワル…」
 残念そうに口を尖らせる桜。全く…変に色気づきやがって…。[それとも…]の先は考えない方が良いだろう。
『・・・1回抜いとくか…』
 どうにも治まりのつかない愚息を眺め、俺はそう呟いた。どのみちこの状態で家に入ったらまた楓の○○乱舞を喰らいそうだし…。
カチャカチャカチャ…
 今俺は空いた時間を利用して持ってきたノーパソで情報収集をしている。何せテレビすらロクに無いというこの島は改めて本当に日本なのかと疑いたくなる。下手をすれば50年は文明が遅れているのでは無いだろうか?電話も村役場兼駐在所に1器あるだけで黒電話じゃなかっただけでもマシだった。
 勿論携帯電話なんて必要無いから電波も届かない。少々割高だが衛星回線が使える端末を持ってきて良かったと思う。

『…日本神話で類似しているのは[蛭子神]と[淡島神]か…葦舟って事は[蛭子神]の方が有力か…』
 蛭子神が産まれた理由、それは女神から声をかけて行為に及んだという手順が間違っていたから…。これは聖書のアダムとリリスの話にも類似する気がする。全く男に都合よく書かれているというか、こんな姑息な手を使わねばならぬ程どれだけ昔から立場弱いんだよ男って…。
 まぁ、人権問題はさておき、蛭子神は祟り処か流れ着いた後の話さえ見当たらない。同じ不具な淡島神なら婦人病を患っていて…などの話は有る。案外混同されているのかもしれない…。ポイントはルールを破って性行為をした為に不具な子供が出来たという事か…回避するにはやはり俺から行くしか無いようだ。
 出来れば楓からは避けたいよな…アイツの性格からしてボコボコにされかね無いし、後々響きそうだ。だが椿姫さんは「今夜、お待ちしてますネ」なんて言われているから神話通り、間違った手順を踏む事になるし、桜は従姉妹で年下だから気が退けるんだよな。何処まで理解出来てるか疑わしいし…ハァ…。

 結局これといった情報も入手出来ぬまま夜を迎え、悩み抜いた結果、一人の候補者の閨へと赴いた。


「…で、結局私の所へ来たと?」
 呆れ顔で俺を見下す楓…。
『これでも一大決心で来たんだからそう言うなよ。コクるより恥ずかしいんだからな』
「ぁ~あ、どうせならもう少しロマンティックな申し出を期待してたんだけど、剣人じゃ期待するだけ無駄か…」
『バ…相手が誰でも良いならお前なんか選ぶかよ!楓だから来たんだぞ』
 互いに姿勢を正した状態で、しかも蒲団の上で正座したままの痴話喧嘩、何この構図…。大体小さい頃からお互いを知り尽くした幼馴染みっていうだけでも甘い雰囲気は作り辛いし、気恥ずかしい。楓も同じなんだろう、顔を真っ赤にして横向いてる。
「な…何かイマイチ褒められてる気がしないけど、剣人がどうしても…っていうなら相手してあげても良いわよ。い…言っとくけど、神事だから仕方無くだからね、勘違いしないでよ…」
 ツンデレか…コイツ?
『…楓』
 肩を抱くとビクッと震える。強がっていてもやはり怖いのかもしれない。
「そ…その代わり優しくしてよね。初めてなんだから…」
 いや、処女なのは神事の内容を椿姫さんに聞いてるから判断出来ている。ってか、コイツこんなに可愛かったか?そんな楓に俺はこう答えた。
『ヤダ!』
「…エッ!?」
『楓には昔から色々と虐められたからなぁ~、思いっきり恥ずかしい格好で、思いっきり痛くしてやる!』
 ちょっと楓の表情が蒼褪める。ウワッ、俺の中で何か目覚めそう。
「じゃ…じゃあ絶対ヤダ!剣人なんかとしない。は…放せバカァ!痴漢ッ、変態ッ!強姦魔ッ!!」
 駄々っ子の様に暴れる楓を組み伏せ無理矢理口を塞ぐ。
「ン!?ン~!フン…ンン…ン…」
『うそ…優しくするよ』
 やがて大人しくなった楓は甘い吐息を交ぜながら俺と舌を絡ませ、少し脅えながらも俺を受け入れた。
 全てが終わった後、俺達は互いを慈しみあう様に抱き合い朝を迎えた。

・・・・

チュン…チュンチュン…
 窓の向こうから小鳥の声が聴こえる。どうやらあの後、眠ってしまったらしい。
 部屋には楓の姿は無く、モーニング・キスも寝ぼけた顔を見る事も出来なかったのは少し残念だった。
(可愛かったなぁ…楓…)
 俺の腕の中で小さく震え、漏れる喘ぎ声を必死に抑える姿を思い出す。
『・・・』
 ウキャキャーと転げ廻る姿は他人から見ればきっと異常者に違いない。そんな幸せボケもシーツに残った赤い破瓜の証を見た瞬間、スッと褪めた。
(もう後戻りは出来ないな…)
 俺は自身の責任と使命を自覚し、表へ出た。


『結構落ちるもんだな…』
 他の二人に気付かれないようにシーツを持ち出し、井戸の側で洗っている。中性洗剤をつけて揉み洗いすると綺麗になっていった。
パンパン
『これでヨシ!と』
 たった1枚のシーツを洗っただけなのに達成感を感じていると向こうから妙に内股で歩いて来る楓を見付けた。
『お…お早う、かえふぇ…って、ひふぁひ!ひふぁひって!』
 俯いたままいきなり両頬を思いっきり抓られた。
「……嘘つき」
『…ふぁひ?』
 朝一から何ですか、楓さん?
「痛かった…物凄ーく痛かった!もう死んじゃうかと思ったんだからねッ!」
 あ…、昨晩の事ですか?どうやら楓が想像していたよりかなり痛かったらしい。仕方無いっしょ、貴女は初めてだったんだから。
 涙を貯めた上目遣いで責めて来る。
(か…可愛い…)
「朝になっても腰は痛いし、脚の間にはまだ何か挟まってるみたいな感じするし…」
 ああ、それで変な歩き方してたんだ。
 堪らなくて楓をギュッと抱きしめると髪からイイ匂いがする。お風呂に入ってたのか…。
『ごめんな…』
「…ッ!?///」
 朝って事もあり、楓の甘い香りに惑わされて一部が元気になってしまった。思わず片手が腰の辺りに…。
「謝りながら朝からサカってんじゃ無いわよ!私とはもう済んだんだから、さっさと他の二人の所に行きなさいよ~!」
ドゴーーン!!
 背景に宇宙だか星座だかが見える様な勢いでブン殴られてしまった。照れ隠しなのは解るけど、その不器用さは何とかしろーッ!
 結局俺は山の中腹まで飛ばされてしまい、野草を採りに来ていた椿姫さんに出くわしてしまった。
『やぁ、お早うございます椿姫さん』
 木に引っ掛かったまま逆さまの状態での挨拶って結構シュールだな。
「お早う、剣君。変わったお散歩ね…」
 流石に楓に吹っ飛ばされたとは言えないので笑って誤魔化した。
「ところで、昨夜は来てくださいませんでしたね、お待ちしてましたのに」
 マズい…昨日は楓の所に居たのがバレてる。誘われていなかったら間違いなく椿姫さんを選んでたと思うんだけど、出来るだけ神話には準えたくないからな…。
『ホ…ホラ、来ると分かっているとドキドキ感が足りないっていうか…せっかくだから夜這いってのも良いかなーーッ!?』
ドシャッ!
 ワタワタと言い訳してると木から落ちて背中を打ってしまった。
「大丈夫ですか?」
『イテテテ…ハイ、大丈ぶーッ!?』
「ハイ?」
 心配そうに覗き込む椿姫さん。ってか、見えてます、ピンクのレースの紐パン。編み目の隙間から薄っら黒いヘアーとプクッと盛り上がった柔らかく美味しそうな肉丘…。
 イ…イイよな…?日付も変わってるし、まだ誘惑されてないし。
『椿姫さんッ!』
「キャッ!?」
 袴の中のお尻に手を伸ばしてグッと引き寄せると、バランスを崩した椿姫さんが前のめりになって丁度69の体制になった。
「もう…相変わらず悪戯っ子ですねぇ…」
 ガキの頃のスカート捲りと今の状況とが椿姫さんの中では同列なのか?
プニ…プニプニ…
「あン…駄目ですよ、ちゃんとお家に帰っ…てか…ンン…」
 無理です、待てません。さっきの楓との余韻も有り、制御不能です。
 微かに形作られる縦筋を指で押すとジワリと染みが拡がっていく。袴で遮られた空間はむせ返る程に椿姫さんの香りで充満し、俺の理性を根こそぎ奪っていく。
「け…剣君…私…もう…」
 豊かな乳房を露わにし、結び目を解かれたショーツはダラリと揺れている。捲り上げられた袴は白いお尻を隠せず、ピッタリと閉じられていた女陰は物欲しげに涎を垂らしている。


『いきますよ、椿姫さん』
 木の幹に身体を預けて袴の裾を啣える椿姫さんの片足を抱え上げて腰を押し進める。
「ンッ!?…ンンーーッ!!」
 
・・・・
 
「ハァ~、イカされちゃいましたぁ」
 初めてが駅弁スタイルという状況にありながら、じっくりと性感を高め、体重を利用して一気に貫いたのが良かったのか、子宮の最奥を突いた俺は無事に椿姫さんを絶頂へと導く事が出来た。ただ、狭すぎる膣穴にグイグイと締め付けられて最後の一雫まで搾り取られてしまったが…。
「もう、悪い子にはお仕置きです♪」
 チユッと唇を奪ったかと思うと、まだ付着している精液を綺麗に[お掃除]されてしまった。
「苦~い、ウフフ…」
 彼女の微笑みは大人の妖艶さを含ませていた。
 
・・・・
 
「湯浴みをしてから戻ります」
 そう言って別れた椿姫さんの代わりに篭一杯の山の幸を持って帰ると桜に出会った。
「あにゃ?椿姫さんと一緒だったの?」
 まだ子供と侮っていたが、流石は女性。何か感じ取ったらしく、俺を中心に回りながらクンクンと鼻を鳴らしてニヤリと笑った。
「フ~ン、成る程ねぇ…」
『な…何だよ…?』
「フム、そっか~。フムフム…」
 謎の笑みを残して去って行った。
『何だったんだ?一体…?』
「何だったんだ?…じゃ無いわよ、ホント馬鹿ねぇ…」
『ウワッ!?な…何だよ楓、お前まで』
 いきなり背後から声を掛けらたので飛び退いてしまった。
「気付いたに決まってるじゃない。シタんでしょ?椿姫さんと…」
『…ウッ』
 恐るべし女のカン…。
「気付くも何も、椿姫さんの移り香が残ってるわよ、勿論エッチな方もね。これからは気を付けなさい、最低限のマナーよ」
 呆れ果てた顔で溜め息を吐かれてしまった。
『勉強になります…』
(しかし…確かに他の人の所に行けとは言ったけど、ホントに行っちゃうなんて…)
『…ン、何?』
「…別にィ」
 微妙に楓が不機嫌なのは気の所為かな…?
『ひょっとして何か怒ってる?』
「胸に手を宛てて考えれば…?」
ムニュ…
バキッ!
「自分のに決まってるでしょ、馬鹿ッ!」
 顔面へ思いっきりの裏拳!Critical Hit!剣人は256pointのダメージを受けた…。
『調子にのってました、ホントすみません…』
 七重の膝を八重に折り、相手の心に憐憫と慈悲を生むという華麗な土下座で謝罪する。
 以前なら余裕で○○乱舞の筈が裏拳と「ったく、ホントに馬鹿なんだから…」でおわってしまった。何だろ?ちょっと物足りないっていうか、何か寂しい…。

 この時、静かにそして確実にその影は近付いている事に俺は気付いていなかったんだ…。

『ウ~ン、相変わらずめぼしい情報は無いなぁ…』
 楓と椿姫さんの二人と肌を重ねた俺は少し焦っていた。オカルトに詳しい友人にも声を掛けてみたが思った程の効果は上がってない。物は試しで考え方を変えてみるか…。
 両手を胸の前で交差させて翼の様に広げる。
『さぁ、検索を始めよう。キーワードは[日本神話・蛭子神]…』

・・・・

 当然だが本どころか本棚すら出てこない。やってみたかったんだよ、悪かったな…///。

『ハァ…気分転換でもするか…』
 いい加減同じ編成の楽曲にも飽きたので新しい曲をDLしようとググってみてもコレといった物も無く、諦めかけた瞬間、何気ない文字が目に止まった。

【貴方の心に癒しを…】

 丁度寝ようと思ったところだったので、俺はスローテンポのオルゴールアレンジの子守唄を小型音楽プレーヤーにインストールする。これが思ったよりも心地好くて1分も経たない内に眠りに落ちてしまった。


『ン~、フウ…。イイ朝だね』
 昨日の曲のお陰か朝には気持ち良く目覚める事が出来て疲れもスッキリ取れていた。
 台所から小気味良い包丁のリズムと良い香りが漂い、俺は誘われる様に台所へと歩いて行った。
11/10/17 22:04 (SONY5Gsv)
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投稿者: たんたんタヌキの○○
「あにゃ?剣兄ぃお早う!今日は早起きだねぇ」
『イイ匂いに釣られて起きた』
「アハハ、剣兄ぃらしいね」
 弱火で炊かれる鍋がコトコトと音を奏でている。
『味見してイイか?』
「ン~、ちょっと早いかもだけど…ハイ」
『サンキュー!ハフハフ…』
 根菜の煮物(関西なら炊いたん)は桜の言う通りまだ味は少し染みて無かったが、ほっこりとして優しい味わいだった。
「どう?」
『うん、出来上がりが愉しみだ』
「良かったぁ」
 桜の笑顔はその名の通りに明るく頬を染めた愛くるしい物だ。だからこそ散らしてしまわぬ様にしなくては…。
 しかし、巫女装束にフリル付きエプロンっていうのも面白い組み合わせだなぁ。しかも桜は椿姫さんにも負けず劣らず胸が大きいからエプロンの裾位置が上がってしまっている。
『んじゃ、コッチも味見しようかな?』
「エッ?…ン…ンン!?」
カツン…
 後ろから抱きしめる様に唇を奪うと驚いた桜は持っていたお玉を落としてしまった。
「あ…ダメ、剣兄ぃ…まだ朝ご飯が…」
 言葉では拒否しているものの、体をくねらせるだけで逃げようとはしない。
「ふにゃ…そんな事し…だむぇ…」
 エプロンで隠れて見えないが着物からこぼれた豊かな乳房を
ブランデーグラスの様に転がし、指先で自己主張しだした突起を弄ぶ。勿論袴の腰からもう一方の手を差し込ませて直接秘唇を撫で上げている。
「クチュ…やん…ムム…お尻に当たっ…ンン…」
 袴があるとはいえ、ショーツは太股までずり下げているので俺の硬直がお尻の谷間に入ろうとしているのを感じているのだろう。
「や…剣兄ぃ、駄目だってばぁ~」
「何が駄目なの?」
『うわっ!?か…楓ッ!?』
 相変わらず空気読めないっていうか、絶妙なタイミングで現れやがる。着物にエプロンじゃなきゃ完全にアウトだった。
「楓ちゃん、剣兄ぃってばつまみ食いしようと邪魔するんだよ~」
 桜、ナイスフォロー!嘘は吐いてないし、不自然さは無いぞ。
「フ~ン、じゃあ剣人にはお腹一杯になるまで私の拳を喰らわせてあげるとして、二人共椿姫さん何処に居るか知らない?」
『いや、見てないけど…また野草とか採りに行ってるんじゃ?』
「今日の担当は私だからそれは無いわ」
 珍しいな椿姫さんが行き先も告げずに出掛けるなんて。そういう事にはキッチリした女性だと思ったけど…。
「私は朝ご飯食べたらもう一度捜してみるわ」
『ああ、俺も捜してみるよ。んじゃ、そういう事で…』
「お待ち…」
 脱出失敗…楓に襟首を掴まれてしまった。
「アンタの朝ご飯はコッチでしょ?」
 これ以上無い位のイイ笑顔で拳を握っている。やっぱりバレてたらしい…。
『アハハ…ハ…』



『ぅう…酷い目にあった。楓のヤツ容赦無いな…』
 身体が宙に浮く程しこたまボディブローを喰らい、俺は山の向こう側の川岸にまで吹っ飛ばされた。村長の家は実は一子相伝の拳法家か何かなのかもしれない。
『ただいま~、これお土産の川魚』
「お帰りなさい剣君、大漁ね」
 アレ?椿姫さんがいる。どうやら入れ違いになったようだ。
「ごめんなさい、ちょっと小用があったの…」
『…?』
 何か引っ掛かるが、まぁ女性だし色々あるんだろう。
 部屋に戻ると座卓にオニギリとメモが置かれていた。
《楓ちゃんの事、怒らないでね。お部屋で待ってます―桜―》
 流石は桜、きっといいお嫁さんになれるよ。


 ・・・誰にもやらんがね!

 楓は野菜を村の農家にわけて貰いに行き、椿姫さんは祭の最終打ち合わせがあるとかでまた出て行ってしまった。つまり今は桜と二人きり、このチャンスは逃せない。
 ・・・何?勿論、桜を村人からの輪姦強姦にあわせない為さ。


 ・・・ホントだぞ!

「あ…剣兄ぃ…エヘヘ」
 互いに顔を合わせた瞬間、気恥ずかしさで真っ赤になってしまった。
「不束者ですが宜しくお願いします」
 桜は蒲団の上で正座し、三つ指をついて頭を下げた。
『こ…こちらこそ…』
 吊られて俺も頭を下げる。頭を上げると相手は下げているのでまた下げる、この繰り返しが続いた。コメツキバッタかいっ!?
「プッ…アハハハ」

『じゃあ、貰うよ…』
「ウン、剣兄ぃ。桜の[初めて]を貰って…」
 桜の愛らしい唇にそっと触れ、ゆっくりと身体を重ねた…。



カチャカチャカチャ
 これで祭の第一段階が終わった事になる。伝承通りなら楓達は祭前日にはお腹が膨らみ、祭壇奥の部屋で産まれるであろう[神]を俺が倒さねばならない。御神刀は神社から賜わってきた。しかしこんな刃立てもしていない刀で倒せるモノなのか?
 何か間違えていれば俺はただ楓達とエッチしただけになる。それで済めば俺得で済むが、[神]が甦ったら楓達はただでは済まないだろう。


「フゥ…男の人ってあんな風になるんだ、ビックリしちゃった…。しかし剣兄ぃ上手だったなぁ…ハッ!?まさか向こうでそんな事ばかりしてたんじゃ…」
ガタ…
「あれ?お帰りなさい。村に行ってたんじゃ…エッ?どうしたの…何か変だよ…」
 …しかし桜も可愛かったなぁ…。背面座位であの大きなオッパイと脚の間の敏感な突起を弄びながら破瓜の時と絶頂を迎えた時のあの表情は…。しかも余程気持ち良かったのかシッカリ[おかわり]まで要求してくるし…。桜、末恐ろしい娘…。
 チェッ、3人とも隠し録りしとけば良かった…。そうしたら向こうに帰っても淋しく無かったろうに…。
 そんな不謹慎な事を考えながら最後の情報集めを続行させていた。

ドタドタドタ…
「椿姫さん、居るッ!?」
 いきなり楓が飛び込んできた。
『い…居ないけど?』
「そっか…てっきり剣人が無理矢理押し倒してるんじゃないかと…」
 コイツは俺を何だと思ってるんだ?一度キッチリ話をつけた方が良さそうだ。
 ・・・ベッドの上でな!
『ってか椿姫さんがどうしたんだ?村に居たんなら帰りに会わなかったのか?』
 椿姫さんは神社で打合せと言ってたから帰りは一本道な筈だが…。
「それが神社にも寄って無いらしいのよ!気の所為なら良いけど…」
 何だ?この嫌な予感は…。予想外の何かが起こっているのか?
「キャーーッ!!」
『桜の部屋からだ!』
 叫び声のした場所に行くと、そこにはヌイグルミや本が散乱していた。桜の姿は無い…。
「何…何が起こってるの?」
 こんな島にわざわざ部外者はやって来ない。だとしたら…まさか痺れを切らした村の奴等が…!?
「と…とにかく私も捜してみる!後でここで会いましょう!!」
『ま…待てッ!勝手に動くなッ!』
 
・・・・
 
 それっきり椿姫さんや桜、そして楓までもが夜になっても帰って来なかった。村長や宮司、村の奴等にも問い詰めてみたが誰も行方を知らず、その態度にも嘘を吐いている様には感じられなかった。
 船が出た形跡は無い、という事は島の中にいる筈だ…。村人総出で捜索したが、山狩りも結果を出せなかった。

・・・・

チチチ…チチチチ…
『ぅ…う、もう朝か…』
 闇雲に暗い島を捜しても効果は薄いと判断した村長は夜が明けてから捜索隊を組織し、班ごとに地域を分けて捜す事にした。
 本部は電話の有る村役場、互いの連絡は年代物の軍事用トランシーバーで取り合う事となった。
 生まれ故郷とはいえ、幼い子供だった俺は土地勘が薄く、村の地図と衛星端末のGPS機能を頼りに捜索を始めた。
『楓ーッ!椿姫さーんッ!桜ーッ!居たら返事しろーッ!!』
 捜索した範囲の色が変わる様にプログラムした地図はかなり変化を示している。
<剣人君、そちらはどうだ?>
 トランシーバーのスピーカーから宮司…つまり椿姫さんの父親の声が聴こえる。
『駄目です!離れ家から山頂方面には手懸かりありません』
 俺は今、山頂近くの見晴らしの良い視界が拓けた場所に居た。中腹付近に数名のチームが捜索しているのが見える。
 俺が…俺が抱いたから3人とも居なくなったのか…?せめて警察犬でもいれば彼女達の匂いを頼りに…っても離れ家にはパンツ位しか…いや犬っころに嗅がす位なら俺が嗅ぐ…って違うだろ!
 気ばかりが焦って考えが纏まらない。今日はもう祭の前日、そろそろ母胎となる楓達のお腹が大きく…待てよ?本当に祭の基となった伝承が原因だとしたら?
『宮司さん!神社以外に言い伝えに関係する場所は在りませんか?例えば海の近くで…』
 もし俺の予想通りなら見当違いの場所を捜している。きっと彼女達は山には居ない。
<海…?ちょっと待ってくれ…今の伊城神社は何代か前に移築された物だと先代に聞いた覚えがある。元々は流れ着いたとされる海岸の岩壁に祠が有って、小さな祭壇が奉られていたとか…>
 ビンゴ!間違いない、楓達は其処だ!海にまつわる伝承なのに山の中腹に神社が在るのはおかしいと思ったんだ。
『判りました!俺が其処に向かいます。皆さんは引き続きお願いします!』
<ちょ…剣人君!剣人く…>
 船着き場とは丁度反対側に位置する岬。昔の依り代となった女性が[神]を抱えて墜ちた呪われた場所に楓達は居るに違いない!
 俺は電子機器を詰めたリュックにトランシーバーを捻り込み、岬へと全力で駆け出した。

・・・・

『何処だ…?祠は何処にある?』
 確信めいた感覚。息が苦しい…走り続けただけじゃ無い、空気そのものが違う気がする。
 鉛色の波は荒く、ドンヨリと薄暗い雲に覆われた空。如何にもな雰囲気が調い始めている。
「剣人君!見付かったか?」
 宮司さん…村長に駐在まで到着したようだ。
『まだです!ですが此処に居る気がするんです』
「有ったぞー!ココだ!」
 丁度今は干潮、普段は海水に隠れて見えないらしい。
シャラン…
 念の為に持って来た御神刀を抜くと綺麗に研かれた刀身に俺の顔が映る。
「ワシ等も…」
『いえ、俺だけで行きます。皆さんは万が一を考えて直ぐにでも診療所もしくは本土の病院に運べるように手配をお願いします』
 最悪、出来れば3人の無惨な姿を見せたくは無い。俺は懐中電灯を借りて祠の中へと入って行った。
 思ったよりも奥深く、狭くて暗い。普段は海中の為か壁も苔みたいな物でヌルヌルしている。
『まるで膣だな…』
 変な例えだが素直な感想だった。ある意味[蛭子神]には相応しいのかもしれない。そして最奥の子宮にあたる場所、その神殿に楓達が居る。
キラッ…
 懐中電灯の光が何かに反射した。
『コレは…!?』
 クローバーを摸したヘアピン。間違いない此処だッ!
『楓ーッ!椿姫さーんッ!桜ーッ!無事かーッ!?』
 祠内に反響する俺の声、返事は返って来ない。まさか…?
 一刻も早く傍に駆け付けたい、だがヌルヌルとした足場がそれを阻む。
『…エッ?そんな馬鹿な…』
 懐中電灯の光が照らし出したのは行き止まりの壁。これ以上は進めそうも無い。
『おかしい…だったら何で楓のヘアピンが中間に落ちてたんだ…?』
 信じろ!彼女達は必ず此処に居る。そして考えろ!ここはただの洞窟じゃない。
『…そうか!』
 ヒントはもう自分で言ってたじゃないか…今までの洞窟が膣なら行く手を遮るコレは当然…。
ドン!ドドン!
 響く音は向こうに空洞がある事を示している。
『セイヤァーッ!!』
ドーン!ガラ…ガラガラ…
 何度か体当たりを続けるとピキピキと亀裂が入り音を発てて砕けた。
『ゲホ…ゲホ…ヤッパリ突き破るのが男だよね』
 壁の向こうにはそれまでとは一転して拡がる空間。本当に子宮みたいだな…。
『ぅう…背中打った…』
 壁の有った向こうから改めてリュックと懐中電灯、そして御神刀を持って入った。
 下から上へ左右に移動させながら照らしていくと一瞬白い何かが見えた。
『…ッ!!』
「ぅ…だ…誰?誰か居るの?」
 この生意気そうな声は…間違いない楓だ!という事は…、椿姫さんと桜もそれぞれ横に並んでいた。
ボッ…ボボボッ…
 俺が入ったのと呼応する様に壁に並んだ燭台らしき物に青白い灯火が燈る。
『良かった…心配したん…だ……ぞ』
 思わず身体も視線も固まってしまった、そしてある一部分も…。
11/10/17 22:16 (SONY5Gsv)
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投稿者: たんたんタヌキの○○
「ェ…エエーーッ!?」
 まるで分娩台に座ってるみたいに思いっきりM字の大股開きで宙に吊られてるーッ!

カシャッ!カシャッ!
「ちょっ…このバカ剣人!何撮ってんのよッ!?コラ!変な所を写すなーッ!!」
 3人とも巫女装束がズタズタでしかもオッパイは零れてるわ!下着は着けて無いわ!と凄まじい姿である。

カシャッ!カシャッ!
「エ~ン、剣兄ぃのおバカ~!」
カシャッ!カシャッ!
「け…剣君、ちょっとおイタが過ぎ…キャアッ!」
『何を言ってるんだ!もしコレが神事に関係無い犯罪だったら状況保存で証拠を残さなきゃいけないんだぞ!今、警察や助けを喚んだらどうなると思う!?』
「そ…それは…」
 流石にこの状況を衆人に晒されるのは恥ずかしいのだろう、楓は口籠もってしまった。

チャララン♪
「ちょっ…今の音は何?まさかメモリーカードに保存したんじゃ…っていうか、もう早く降ろしなさいよッ!」
 ジタバタ暴れるが蔦の様に絡まった海草はビクともしない。
「ぁ…剣兄ぃ…ダメ…広げ…ァン…」
 急に聴こえる桜の艶っぽい声。
「ちょ…今度は何?変な声が聴こえるわよ!?」
『強姦とかされて無いか確認してるんだよ、中出しされてたら大変だろ?』
 今度は椿姫さんの下に移動する。
「ヒャアッ!?駄目…そんな所舐め…ハァ…ゆ…指は…入れ…ンン…」
「ちょ…本当は悪戯したいだけでしょ?殴るわよ!蹴り飛ばすわよ!」
 椿姫さんも達した様なのでいよいよ最後の一人の前に。
『大人しくしてろよ』
「こ…コラッ!私にはアンタが犯罪者に思えるわよ!ちょ…何処に顔突っ込んで…!?イヤッ!見るな、広げちゃ…アアン…バ…馬鹿、後で覚え…ハァ…ハァ…ァアッ!?」

・・・

『…フゥ、異常無し!』
 一通り見回ってからハサミを取り出し海草を握る。
「う…恨んでやる~」
『まぁまぁ、そう言うなよ』

ボコ…
「…ッ!?」
「…ァアッ!?」
「け…剣…人…に…逃げ…」
ボコ…ボコボコ…
『エッ?何か……グフォッ!?』
 3人の腹部が急激に膨らみ何か別の生き物が潜伏している様に動き始め、女陰から何かが飛び出した。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ーーッ!!」
 その何かの攻撃をモロに受けた俺は壁にまで吹っ飛ばされた。

ズ…ズゾ…ズゾゾゾ…
『な…何だ?アレは…』
 ウネウネと頭足類の足の様に動いてるって事は触手…?いや、臓腑みたいだ…。まさか伝承は事実だったのかッ!?

『アレが蛭子神…?』
 楓達は白目をむいて口をパクパクさせている。早くしないと3人の命が危ない!
 ブンブンと振り回される内臓等を避けて御神刀を拾って構える。
『いつまで[そんな処]に入ってやがる!挿れて良いのは俺だけなんだよッ!』
ダムッ!
「ア゙ア゙ア゙ーーッ!!」
 手応えが無い…いくら斬っても刃の無い刀では効果的なダメージを与えられず、誰かが苦悶の叫びを上げるだけだった。

(落ち着け…落ち着け、俺…。よく見て冷静に考えろ!)
 霊力で強化されているのか、元からなのか、振り回される触手的な物は天井や壁を次々破壊していく。
(的確に俺を狙えてる訳じゃない、闇雲に暴れている様だ。まるで駄々っ子じゃないか…)
 岩陰に隠れ、ネット情報や神話からキーワードを探り思い出す。

 骨や皮膚の無い筋肉や内臓だけの赤子…不明な結末…繰り返される神事…復活・再生…駄々っ子の様な闇雲の攻撃…祝詞・呪文・唄…ああ、クソ!何かが引っ掛かってるんだ。オカルトやホラーは苦手でもクイズや推理ゲームは得意だろ?考えろ、考えるんだ…。ダメージが無いなんておかしい、早くしないと楓達が苦しむ…大体何で刃が付いてないんだよこの刀…。
ブウン…ドゴッ!!
『ウワァッ…!?』
 触手の1本が隠れていた岩に当たり、また弾き飛ばされた。
カチッ…
『…痛ぅ~』
~ティンティンティティティン~♪
『アレ?この曲は…?』
 飛ばされたショックでリュックの中身が散乱していて、その内の音楽プレーヤーのスイッチが入ってしまったらしい。流れているのは先日DLしたオルゴールアレンジの子守唄だ。ユックリと静かな透明感のあるリズム、これのお陰でいつの間にか寝落ちしたんだ。
『…アレ?』
 蛭子神が大人しくなってる、チャンスか?
『テェイッ!』
「ア゙ア゙ッ!!」
 まただ、触手を攻撃すると誰かが苦しむ様に叫ぶ。
 …内臓だけの神…復活…苦しむ楓達…闇雲な動き…。
『…まさかッ!?』
 脳に閃いた1ツ目の答え。それは今、俺が蛭子神だと思っているのは実は楓達自身の内臓で、蛭子神は楓達の身体を乗っ取る事で復活しようとしている…だった。
 ならこれ以上傷付けられない。とにかく子守唄を聴かせて動きを封じなければ。
ズ…ゾ…ズゾゾ…
 思った通りだ。蛭子神は赤ん坊のまま成長が止まっている、だから子守唄に反応しているんだ。楓達の内臓はそれぞれ元の身体に戻って行き、代わりに色が違う蛭子神自身が胎内から現れ始めた。
『良いぞ、その調子だ…』
サ…ササ…サ…
 今がチャンスとツールを拾い集め体勢を整える。
 子守唄を求める様に3ツの穴から這い出た蛭子神を構成するパーツ群は絡み合って1ツに纏まり、赤ん坊的な形を形成していく。
〔ヴァ…ヴァ…ア゙…〕
カチ…
 改めて御神刀を強く握り締めて渾身の突きを放つ。しかしやはりズブズブと沈むだけで効果は薄い様だ。
〔ヴァッ!〕
ブンッ!
『ゲフッ…乱暴なガキだな…ったく、親の顔が見たいぜ…って、ある意味俺か…』
 腕の様になったパーツに弾き飛ばされ背中を思い切り打ち付けられた為に全身が痺れて上手く動けない。
(し…しまった…)
 御神刀は遥か先に飛ばされてしまっている。だけど子守唄は蛭子神に有効なのは確かだ。今の内に何とか…。

ティンティン…ティティ…ティン…ティ…ン…ティ……ン~♪
・・・・・・


『ゲッ!?嘘、ここでバッテリー切れーッ?』
 ボコ…ボコボコ…と蛭子神の胎動が活発になり、怒って浮き出た血管が勢い良く血液を運ぶ。
〔ヴァ…ヴァァーッ!〕
 大きく振り上げられた腕が俺を狙っている。
『ぁ…ぁああ……』
ブウォン!

『・・・なんてね♪』
~ティンティンティティティン~♪
 止まった筈の音楽が優しく鳴り響く。
〔ヴァ…?ヴァ…〕
 蛭子神はキョロキョロと音源を探している様だ…。
『さっき御神刀の切っ先にBluetooth対応のヘッドセットを引っ掛けておいたのさ。良く聴こえるだろ?』
 ニヤリと笑ってG-Padをかざす。赤ん坊は母親の耳や羊水に伝わる振動を通して音を聴いているというが、直接自分に届くのだから効果は絶大だ。念の為コッチにも落としておいて正解だった。コレはフル充電して有るから今日1日でも鳴り続けるぜ。
 ズズ…ズズ…と内側へ内側へと集まっていく蛭子神の身体は楓達の胎内から臍の緒と胎盤も抜け出て、遂には透明な膜に覆われた羊水球に浮かぶピンク色の球体になった。
シュルシュル…
 3人を捕縛していた海草の戒めが緩み、ゆっくりと地面に降ろされていく。
 あられもない姿で横たわる3人。本当に俺一人で良かった、こんな姿を誰にも見せたく無いからな…。
『・・・コレも撮っておこうっと』
カシャッ!カシャッ!カシャッ!
 一人一人上からと足の間からのアングル、そして秘密の場所のアップという構図をハイクオリティー画質で保存する。勿論メモリーカードにも保存してから抜き取り、ダミーのカードを入れておいた。
『これで良しっと!』
「ン…ンン…」
 どうやら楓達が悪夢から醒める様だ。流石にこのまま連れ出す訳にはいかないのでリュックの中からジャケットを取り出し、3人に被せてやる。といっても数が無いので桜には取出した分、椿姫さんには羽織っていた物、楓には…仕方無い、少し汚れたけど今着ているワイシャツで我慢して貰おう。裸よりマシだよな…。
『風邪ひくなよ…楓』
「ン…ぁ…剣…人?」
 目を醒ましたがまだ意識がハッキリしない様だ。
「…ぁ…私…どうして…」
 虚ろな瞳に映ったほぼ全裸の自分と迫る上半身裸の俺…。
『大丈夫か、楓?怪我は…ゥブッ!?』
「キ…キャアーッ!?イヤーッ!!な…何?何考えてんのよ、このバカ剣人ーッ!!」

・・・・

「何…?どうしたの楓ちゃん…」
「ンン…何ですの?頭がボゥ~っとして…」
 二人が最初に目にしたのは捻りを利かせた渾身の一撃を放った裸の楓と顔面直撃の俺…。む…惨くない…?。

「だから、謝ってるじゃない。だって普通裸の男がいきなり迫っていたら手だって出るわよ」
 それぞれ俺の貸した上着に袖を通し、モジモジしている。椿姫さんは「剣君の匂いがする…」と服に顔を近付けてウットリしていて、洗剤の香りしかしない自分のと比べて羨ましそうに頬を膨らませていた。
「あ…そ、そうだ!神事は?神様はどうなったの!?」
 楓は明らかに話題を逸らそうとしているが、説明は要るだろう。
『神様ならそこに居るよ』
 フワフワと宙に浮かぶ球体を指差した。それはゆっくりと淡い光の点滅を繰り返し、まるで寝息をたてている様だった。
「か…可愛い~♪」
「コレが伝承の祟り神ですの?随分イメージが…」
「学校で習った受精卵みたいだね。赤ちゃんの卵か…」
 一人ずつ順番に抱き寄せると嬉しそうに輝きを増して、やがて光の粒となって天に還っていった。
『奉り方を間違えていたんだよ。あの子はただ親に愛されたかっただけさ、ただ持っていた力が強すぎたから誤解されたけどね…』
 事実、あれだけ暴れたのに楓達の臓腑は無傷だった。方法は間違えていたけど赤ん坊の判断力なら仕方が無いか。しかし、アレが赤ん坊が泣いてるだけなのと同じとは神様ってのは本当に恐ろしいな。
『…フゥ』
 思わず溜息が洩れる。
 しかし、あの内臓グチョグチョのスプラッターな姿を楓達に見られなくて良かったな。流石の俺もひいたから。出産に立ち会った旦那がEDになる事があるらしいが俺は大丈夫だろうか…?というか楓達の身体の方が心配だ、早めに祠を出なければ…。
『さぁ、帰ろうか。ちゃんと歩ける?出産は凄いエネルギーを消費するっていうし、外の村長達に救急車の手配を頼んでおいたから』

・・・・

「楓ッ!大丈夫だったか?」
「椿姫、無事に務めは果たせましたか?」
「桜、ご苦労でした…」
 三者三様、言葉は違えど己が娘の身を案じ、無事を悦ぶ姿は同じだった。
 家族の姿を見て安心したのだろう、3人とも崩れる様に倒れ込み、毛布を掛けられて担架に乗せられた。
 村の診療所で簡易検査を受けて明朝には本土の大病院で精密検査を受けた後、ベッドの上で寝息をたてている事だろう。俺も一度離れ家に戻り、一晩養生する様に言われた。

ズ…ズズ…ガラガラガラ…
 岩壁にポッカリと開いていた祠は俺達が出終わったのを確認すると、その使命を果たしたかの様に崩れ落ちて波間に消えていく。
『…終わった…のか?』
 取り敢えず全ては明日だ。誰の介添えも無く、俺は一人山道を上って行った。

・・・・

バシャ…バシャ…
『ぅう…痛てて…』
 離れ家に着いた俺はそのまま倒れ込む様に眠りに就いた。朝、俺を起こした目覚ましのアラームは全身に疾る激痛だった。
 汚れだけでも落とそうと服を脱ぐと全身に痣があり、血が滲んでいた。
『あのガキ…父親には容赦無いんだな…』
 冷たい山の水が熱を帯びた体に心地好いと同時に痛みも呼び起こす。脱ぐ時もそうだが、着る際にもかなりの苦痛を伴った。

カツーン!カツーン!
 玄関の呼び鈴代わりの木の板が鳴らされる。誰だ?こんな朝早く…。

「ごめん!剣人君は在宅か?」
 この矍鑠とした声は村長か…、それ以外にも数人の気配がある。
『ハイ、只今…』

「昨日は神事遂行ご苦労だった。また孫娘達を助けてくれた事に感謝する」
『・・・・』
 奥の間に一堂に会する村の重鎮達。村長とその娘夫婦、つまり楓の爺さんと両親。その隣には伊城神社の宮司である椿姫さんの両親、という事はその反対に座して居るのは桜ん家の親父さん夫婦か。俺も幼かったしあまり交流が無かったから良く覚えて無いが、他の人とはまた違った迫力というか威圧感を感じる。
11/10/17 22:17 (SONY5Gsv)
6
投稿者: たんたんタヌキの○○
そういえば桜ん家の職業って何だっけ?
「どうぞ…」
 椿姫さんのお母さんが笑顔でお茶をいれてくれた。相変わらずお綺麗だよな。
「昨日は恩人である君を一人で返してしまい申し訳無かった。偉そうに踏ん反り返ってはいるが、ワシ等も人の親でな、自分家の子供の事だけでイッパイイッパイだったんだ。赦して欲しい」
 深々と頭を下げる一同に俺は狼狽えてとにかく頭を上げるように言うしか出来なかった。
「良かった、君に赦して貰えなかったらと思うと胆が冷えたよ」
「当然です!娘の命の恩人を放ったらかす人がありますか!?」
 あ…相変わらず奥さんには頭が上がらないのね、楓の親父さん…。

 一同に笑いが起こり、場が和むと本題を切り込んできた。
「話してくれるね?祠の中で何があったか…」
『…ハイ』
 俺はお茶で喉を潤し、一呼吸すると事の顛末を話し始めた。勿論悪戯したり、あられもない姿を写した事は内緒だけど…。
 伝承や奉り方が間違えていた事をメインに祠内の戦いは多少ボカシて話した。だって必要以上に恥ずかしい思いはさせたく無いし、俺の服を着ていた事からも察してはくれるだろう。
『ですからこれ以上この神事を続ける必要は無く、逆に奉り方を変えた新しい方法を模索する方が良いと思います』
 本来は部外者となった俺が口を出すべきでは無いだろう。しかしこんなクダラナイ神事で犠牲となる女の子を増やさないで済む筈だ。
「成る程の…ワシも人の親として後世の者に同じ思いをさせ、轍を踏ませる訳にはいかんからの、早急に検討し、これまでの文献や伝承は堅く封印するとしよう」
『有難うございます。それと無躾ながらもう一つお願いが…』

・・・・

『ン…相変わらずコッチの空気は汚いねぇ…』
 あれから1ヶ月、あの会談の翌日にも島を出たいと申し出た。もう俺は島の部外者で島の中に住む場所も無い、それはあの朽ち果てた元住居が示している。受験も有るから学校も休めず、生活の基盤はコッチにある事は確かだった。しかし、僅かな間とはいえ島の暮らしに比べ、便利過ぎる環境と時間に追い立てられる都会の生活には多少違和感を覚えているのも確かだった。
 たった10日程離れただけなのに潰れた店、新しく入れ替わった店がある。何だ3年も要らないじゃんかと思った。
「2,584円になります。3千円お預かりの416円のお返しになります。有難うございました~」
 このマニュアル通りの一方的な口調にも懐かしさを感じなくなった、独り者には有り難いよね…。
キシュンキシュン…
ガラガラガラ…
 ガレージにバイクを入れてポストを確認。毎日の通過儀礼を済ます…。
 まぁ、この親が残してくれた家があるから助かったけど、一人じゃ広すぎんだよな、元々家族向け住宅だし…。
カタン…
 今日もお手紙は無し。来たとしてもDM位だしな。…手紙と言えば昨日村長から3日前に楓達が無事退院した事を知らせる手紙が届いていた。俺が帰った事を知ると怒って八つ当たるやらショックで部屋に閉じ篭るやらふて腐れるやらで大変だったらしい。

ガチャ…
『ただいま…』
 って言っても俺だけなんだけどね…。
「あ、お帰り剣人。遅かったね…」
ズザーッ!
「あら、剣君お帰りなさい。もうすぐお夕飯の用意が出来ますからね。でも本当に便利ねぇ」
「椿姫ちゃん、私のパンツ知らない?クマさんのやつ~。あ、剣兄ぃシャワー借りたよ~」
『・・・・何故?』
 慌てて村長あてにクレームもとい連絡を入れると、
「いやぁ、入院中に都会の便利さにハマったらしくての、まぁ迷惑かもしれんが呉々も宜しく頼むでの」
と笑って言われてしまった。
 もしかして世話を押し付けられた?住所教えたの誰?っていうか鍵掛けてた筈ですが?
「剣君、お二階の開いてるお部屋を使わせて戴きますね」
「明日から同じ学校だよ。一緒に行こうね、剣兄ぃ」
 おい、ちょっと待て…。って事は何、完全移住っすか?
「大体、誰か一人で良かったのに全員としちゃうんだもん。姦り逃げは良く無いよ剣人!」
 エッ!何それ?聞いてないよ!?
「あんな恥ずかしい姿を見られちゃいましたしねぇ~」
「いつまで[そんな処]に入ってやがる!挿れて良いのは俺だけなんだよッ!だっけ?コレってプロポーズなのかなぁ…?」
 覚えてたのか?聴こえてたのか?
「そうそう、それに恥ずかしい写真も撮られちゃったから『ご奉仕しろ!』なんて言われたら逆らえ無いもんね。嗚呼、何て可哀相な私達…(棒読み)」
 誰、その極悪人…?ネェ教えて…。


 まさか差出人不明な小包からこんな事になるなんて…。こんなの想定外だよ、島を出た意味無いじゃん!!
「不束者ですが末永くお願いしますね、旦那様」
『旦那様!?』
「今度は元気な赤ちゃんだと良いね、パパ」
『パパ~!?』
「もう逃げられないから覚悟してね、あ・な・た♪」
『あ…あなたぁ!?』
 てっきり遊びに来ただけかと思ったのに、ひょっとして3人とも……。
「宜しくお願いしま~す♪」×3


【教訓】
伝票はちゃんと確認しましょう。ガク…orz
‐終‐(笑)

―後日談―

「剣君、宮司になりません?」
 都会では珍しい程に雲一つ無い爽やかな快晴の休日の朝、騒がしくも安寧で少しだけ異常な日常にいきなり椿姫さんが爆弾を投下した。
『…どうしたんです?いきなり』
 島の神事での精密検査と養生が済み、退院した3人が我が家におしかけて来てそのまま暮らす事になったのだが、互いに牽制しあいながら刺激的なハプニングやアプローチはそれなりにあったものの、結構仲良く暮らしていた。
「いえ、将来の事は考えてるのかな~と思いまして」
 一緒に暮らし始めて分かったのだが、年上という事もあって清楚で落ち着いた大人のイメージな椿姫さんは結構負けず嫌いで子供っぽい所があるサイレントボマーだった。天然なのだろうがたまにトンでもない事を口にして危険な空気を発生させていた。ちなみに蛭子神を奉る伊城神社の娘で巫女さんだ。
「このご時世ですし、実際の神を救った実力をもってすれば誰も文句は言いませんよ。確かに小さな島ですが宗教法人としての特典もありますし」
 確かに運営できているのだからそうなんだろうけど…。
「あーッ!椿姫さんズルい。それなら私だって村の事は自由に出来るし、親戚筋に色々なお偉いさんもいるから各種方面に融通利くよ、お父さんも国会議員だし」
 とは言うけど同じ党内でも派閥とか色々しがらみがあって面倒臭いんだよな。特に政界に巣くう古狸どもは祟り神より質悪いだろうし…。
 椿姫さんに負けじとお得度アピールをする幼馴染みで村長の孫娘の楓。彼女は幼い頃のイメージそのまま育った感じ、逆に居心地の良さはあるが、変わったとしたら少しだけデレ期に寄ったのかな…って位。
「ウ~ン、パワーアップする度にデザインが変になるんだよね~」
 で、いつもなら争奪戦の一角を担う筈の従姉妹の桜はソファに寝転がり特撮ヒーロー物を楽しんでいた。っていうかスカートの裾からクマさんが顔出してるぞ。
「はしたないですよ、桜ちゃん」
「エ~ッ?見られたら恥ずかしい様なボロパン穿いて無いよ。剣兄ぃだから構わないし、むしろ見て!って感じ」
「っていうか、桜はどうなのよ。妙に余裕じゃない?」
 俺より2歳年下でこの中では一番若い桜、甘えん坊だが意外と常識派だったりする。背丈に対する巨乳以外は…。良く寝転がっているのも胸が重いからだそうだ。
「え~とネ、私はまだいいかな~って感じ。どちらかというと剣兄ぃとドキドキワクワクイチャイチャラブラブしてる方が愉しいし」
 確かに村長でも神社の管理者でも無いんだよな。親戚の割にあまり付き合いがなかったからご両親の職業知らないし…。ただ、俺が事故で両親を亡くした後、色々手配してくれたのが桜の親だと聞いた。事実この家に住めるのも桜んとこが管理してくれていたかららしい。という事は不動産系かな?
「そうだねぇ~自慢する程じゃ無いけど、私となら島に帰ら無くても良いし、色んな技術は身に付くよ。宅建や登記とか不動産管理に特殊車両、あと経営学や興業マネジメントに火気危険物取扱とか。あ、輸入代行や薬品の取扱は駄目って支部長さんに言ってた。まぁ、ある程度は働か無くても不自由はしないけど…」
 ちょっと待て、一見普通に聞こえるけど、考え方によっては一部不審なキーワードが無かったか?
『なぁ、もしかして桜ん家って…』
「ウン、だからあまり自慢出来ないの。でもちゃんとルールは守ってるよ、弁護士や警察にも仲良しさんが居るから…」
(・・・Σ(¨;/)/ )
 どうりで交流無い訳だ。それならコッチに戻る前の会合で他とは違う妙な存在感があったのも頷ける。…っていうかそんなとこの娘に手を出して良く生きてたな俺。
「心配し無くても、コンクリのお風呂なんてドラマの中だけだから」
「あれ?親戚なのに剣人知らなかったんだ…」
「てっきりご存知かと…」
 成る程ね…施設の先生が優しい訳だよ。良く考えりゃ10歳に満たないガキが一人で暮らしていける程世の中甘く無いしな。
 俺じゃあ何のお返しも出来ないけど御三家には年賀状と暑中見舞いだけは忘れない様にしよう。
 何か桜に毒気を抜かれた形でアピール合戦は終息を迎えた・・・かに見えたが、ここでまたもや椿姫爆弾が投下されてしまった。
「でしたら島に帰って私達全員と婚姻を結べば宜しいのでは?丁度村の過疎化や少子化対策にもなりますし…」
『いやいや、椿姫さん。重婚は法令違反ですから…』
「バレ無きゃ犯罪じゃ無いから大丈夫だよ。あんな僻地の島にワザワザ調査に来ないって」
『ちょ…桜、さっきルールは守ってるとか言わなかったか?』
「だったらいっそ島ごと独立宣言しちゃう?そしたら日本の憲法守ら無くて済むし、私達も取り合いしなくてみんな幸福だよ。剣人だって国王で大神官でハーレムの主人な勇者…格好良いじゃない!」
『それ何てエロゲー?頼むからコッチ(現実)に還って来て、お願いだから!』
 何か無茶苦茶な計画で盛り上がってるぞ、この3人は…。
「それではまず簡単で身近な問題から解決していきましょうか…」
チラッ
「簡単だけど深刻な問題だしねぇ…」
チラリ…
「ウンウン、責任重大でひいては世界平和の礎だよね」
ジロリン…
 責任重大で深刻な世界平和の何処が簡単なんだーッ!ていうか何故俺を見る!?…ひょっとしてまさか…?
「神様を退けちゃう剣人なら得意分野だし楽勝でしょ?」
 ヤッパリかーッ!!キャーッ!助けてー、耳の無い猫型な青い人ーッ!!


 ・・・・
 
 天国のお父さん、お母さん…今日も僕に昇る太陽は黄色です…。


《息子よ、それは自業自得です…》

‐fin‐
11/10/17 22:19 (SONY5Gsv)
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