私は叶わない恋をしている。

『ヨシくん』は私の義父だ。私のママの旦那…。ママは３ヵ月前に交通事故で死んじゃった…。
ヨシくんは私の顔がママに似ている為に思い出し辛くなると言い私を祖父母に預けた。

ヨシくんは、ママより年下で若いから、次の幸せをゆくゆくは考えなくちゃダメで私が居ると邪魔になると祖父母に言われた。

そしたら私の幸せは？

私はヨシくんに恋をしていた。ママの恋人として紹介された時に、生まれて初めて心が震えた。
今まで男の子と付き合った事はそれなりにあったが、ホントウに欲しい人間に出会った時は心が震えるんだと私は感じた。
そして同時にママを呪った。

ママが居なければ…と。同時にママよりも先に出会っていればという事を望んだ。

しかし現実は変わらない。私は事実を受け止めるしかなかった。

ママは私が今までに見た事無い笑顔で私に紹介をした。

「伊織、こちら北野良和さん、ママの恋人よ」

私も笑顔で挨拶する「はじめまして、娘の伊織です」と…。

「はじめまして、伊織ちゃん。」と緊張まじりの挨拶が返ってきた。

これが私とヨシくんの初めての会話だった。