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魔法使い体験告白 RSS icon
※私は魔法使い、そんな私の空想H体験告白

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2010/07/02 23:21:50 (ZiuHaeXC)
「【旅人と砂粒の書】の反応が途絶えました。
 おそらく、書自体が破壊されたものと思われます……これ以上、量子マップ
での追跡は不可能です」
「そうか。あれを放出してから、まだ一ヵ月しか経ってないのにな……。
 書を拾った奴が、自分の意思で始末したのか……それとも、あの書の能力に
勝てる魔法使いが出現したのか……?
 まあ、どちらにせよ、書そのものが無くなってしまったんじゃ、これ以上の
実験は無意味だな」
 薄暗い部屋の中、男がふたり、テーブルを挟んで言葉を交わしていた。
 まるで、何か邪なことを企んでいるかのように、声を潜めて、慎重に情報を
やり取りしているようだった。
 片方がささやく。
「しかし、【旅人と砂粒の書】のような強力な魔法書を使い捨てにしてよかっ
たのですか?
 どのような遠大な目的があるにせよ、あなた自身があの書を使いさえすれ
ば、一瞬で叶えられるはずでしょうに」
 もう片方は答えた。
「残念ながら、その考え方は正しくない。あの書の能力は、願いを叶える時、
主観的な願いしか叶えられないという欠点がある。
 例えば、そうだな。君に、病気の恋人がいたとしよう。不治の病にかかっ
て、今にも死にそうな恋人だ。その恋人を助けるために、君があの【旅人と砂
粒の書】に願ったとしたら、何が起きるか?
 次の瞬間には、君は病気が完治した恋人に出会えるだろう。主観的には、問
題は解決される……。
 しかし、それは君自身が『恋人の病気が治っているパラレルワールド』に移
動しただけのことで、もともと君がいた世界には、治らない病気で苦しむ恋人
が取り残されることになる。客観的に見て、これは問題が解決されていること
になるだろうか?」
「なりませんね」
「そうさ。結局のところ、あの書にできるのは、持ち主を夢を叶えるという困
難から逃げ出させる、というだけのことに過ぎない。俺は、あんな書の力に頼
らず、自分の力で目標を達成したいんだ。他ならぬ、この世界でな」
「……わかりました。それで、これからどうします? 【旅人と砂粒の書】を
使った実験は破棄するとして、次は何をしましょう?」
 問われた男は、ニヤリと唇の端を歪ませて、答えた。
「同じさ。他の魔法書で実験をする。魔法を、世の中に対して無作為に使用
し、影響を与え……そこから先は、結果を見て決めるのさ。
 そうだ、いいこと思いついた。お前、俺の魔法書を実際に使ってみろ」
「え~っ!? 僕が、ですかぁ?」
 その思いつきに、提案された方は驚きの声をあげる。
「男は度胸! 何でも試してみるものさ。案外、病み付きになるかもしれない
ぜ……お前さん、魔法を使った経験は?」
「あ、ありません。空間移動の痕跡を追跡する量子マップだって、科学的なセ
ンサーですから」
「そうか。だったらなおさら頼むよ……実験には、魔法に詳しくない、自由な
発想で魔法書を使ってくれる奴を起用したいからな」
「わ、わかりました。本当に、自由に使っていいんですね?」
「ああ。欲望のままに、遠慮なく使いな。ちょうどいいのを、今選んでやる
よ」
 そう言ってテーブルから立ち上がり、壁際に寄る。そこには、大きな本棚が
しつらえてあって……大量の本が、整然と並べられてあった。
 驚くべきなのは、その本棚に並んでいる本が全て……古い、革装丁の書物
(我々は、この体裁を知っている!)……その本棚に並んでいる本が全て、魔
法書であるということだ!
 その数は、ゆうに千冊を超えていた。
「世界中から集めた、俺の宝物……これを全部浪費してでも、俺は俺の願いを
叶える……。
 ああ……お前さんにはこれがいい……受け取れ、【矢と稲妻の書】だ……」
 彼は、一冊の本を取り出し、仲間に手渡した。
 受け取った方は、かしこまって頭を下げ、感動に震える声で言った。
「謹んで、お受けいたします。『詩人』様……」
 その言葉に、男は……詩人は、満足そうにうなずく。
 大量の魔法書を所有する男、詩人。その魔法書で、なにやら怪しげな実験を
行なっている男、詩人。その実験によって、世の中にどんな影響が出ても、ま
ったく頓着しないであろう危険な男、詩人……。
 その詩人が何者なのか、誰も知らない。

・・・・・・。

「なあなあ。今日の昼休みさ、ガッコ抜け出して駅前行かねぇ?」
 ある日、学校に行くと、悪友の岸野が、そんな誘いをかけてきた。
「昼休みに駅前? なんでそんなハンパな時間に行くんだよ。あそこのゲーセ
ンなら、放課後だって行けるだろ」
 ハンパな時間のサボり勧誘に、俺は露骨に気が進まないという言い方をして
やった。
 しかし岸野は、人を馬鹿にしたように肩をすくめ、かえって強く言ってき
た。
「ばっか、ゲーセンじゃねぇよ。目的は駅前の商店街だ。今日の昼、あそこに
『地元悠々ぶらり散歩』のロケでテレビの撮影隊が来るんだよ! それを見に
行くのさ!」
 その番組なら、俺も知っていた。くじ引きで適当な街を決めて、そこにタレ
ントが出かけていって、地元の名物なんかをレポートする人気番組だ。平日お
昼の生放送番組としては、『い○とも』に並ぶ視聴率を取ってるとか取ってな
いとか。
「そんな全国区の番組が来るってだけでも珍しいのに、その上、今回のレポー
ターはあの桃川美月だぜ? こりゃ、見に行かない方が難しいだろ!」
 その名前も知っていた。19歳のグラビアアイドルで、中学生みたいな童顔
とHカップのバストを併せ持つ、なんとも男心をくすぐる美人だ。水着姿はも
ちろんセクシーだが、トークも上手で、最近はバラエティ番組を中心に露出が
増えている。
「桃川三月といえば、岸野。こないだの深夜番組で着てた、女教師のコスプレ
はエロかったな?」
「お! お前もアレ見たか。やっぱ巨乳が白いブラウスを着ると、ふくらみが
目立っていいよなー。あと、タイトスカート最高」
「同感同感。でも、ナース服もよかったよな。あんな看護婦さんに、シモの世
話とかしてもらいてぇ」
 男同士が友情を深めたければ、猥談をするに限る。というわけで、俺たちは
始業前の時間を楽しく有意義に使っていたわけだが、その価値を理解しない人
物が、ここに介入して来た。
 ぱこん、ぱこんと、俺と岸野の頭の上を、丸めた教科書がスキップしていっ
た。
「ふたりとも? そういう話をするなとは言わないけど……女子のいる教室で
は、もう少し小声でやりなさいな」
「げっ、生徒かいちょ」
 笑顔で、しかしその奥に静かな怒りを秘めた雪菜さんの登場である。
 彼女は、俺たちが通う高校の生徒会長をつとめている。成績も素行もよく、
リーダーシップにも優れる彼女は、いかにも絵に書いたような生徒会長だった
ため、クラスメイトからも、名前より「生徒会長」という役職で呼ばれること
の方が多かったりする。
「ちぇー、なんだよー、いいじゃんいいじゃーん。エロい男子を嫌う女は、彼
氏できねーんだぞー」
「あら。エッチなお話が大好きな、いかにも男の子らしい岸野君が、女の子み
たいなジンクスを口にするなんてね。今日は槍でも降るのかしら。
 まあ、そんな戯言はどうでもいいとして、もうそろそろ始業の時間よ。さっ
さと自分の席にお戻んなさい」
 岸野を野良犬のようにしっしっと追い払って、奴がいた俺の隣に、今度は雪
菜が立つ。
「……で、あなたは、女教師とかナースとかの格好をした、グラビアアイドル
がお好みなのかしら」
「イエ、モチロン雪菜サン一筋デス」
 ガラスの棘みたいに鋭い視線で睨まれると、俺はもう彼女の奴隷になるしか
なくなる。将来は愛妻家になるつもりだが、恐妻家になる可能性も高い。
「ふーん? 何なら今夜は、桃川美月……だっけ? そのアイドルそっくりに
変身してあげてもいいわよ?
 ただしSMプレイ限定ね。桃川美月を見るのも嫌になるぐらい、縛って叩い
て蝋燭を垂らしてあげるわ」
「イエイエ何ヲオッシャイマスヤラ、アリノママノ雪菜サマトラブラブシトウ
ゴザイマス」
 耳元で、甘ったるい声で……刺激の強いことを囁かれる。
 学校や人前でこそ真面目人間な雪菜だが、俺とふたりっきりの時はエロの塊
のようになる。今朝も実は、学校に来る前に、朝勃ちをかるーく処理してもら
った。生徒会長らしい清楚な雰囲気を漂わせる雪菜の唇が、つい数十分前には
俺のチンポをしゃぶっていた……それを思い出すだけで、また性欲が頭をもた
げそうになる。
「ふふ、アイドルばかり見るようになっちゃったら困るけど……あなたがエッ
チな気分になることは、私は大歓迎よ? それだけ、私とくっつく機会が増え
るってことだもの」
 そう言って、笑顔と甘い香りを残して、彼女も自分の席に戻っていった。
 この短い会話のせいで、本格的にまたチンポが勃ってまった……次の休み時
間にでも、また雪菜に処理してもらうことになりそうだ。
 その日は、そんな風にいつも通り、平和に始まった。
 異常が起きたのは、昼を過ぎてから……しかも、この高校から少し離れた、
駅前でのことだった……。

つづく。
106

雪菜7

投稿者:液男 ◆p.LufJKJx.
削除依頼
2010/06/28 02:32:25 (8mBu5V9D)
俺と雪菜の早朝デートは、開始早々台無しになっていた。
 突然現れた、薄汚い露出狂……これが実は、俺たちに悪意を向ける(チンポ
出してる時点で、そう判断せざるを得ない)魔法使いだったのだ。
 雪菜は、敵が【旅人と砂粒の書】なる魔法書を使っているらしいと看破する
が、看破すると同時に、逃走を開始した。
 経験豊富な魔法使いである雪菜を、ここまで警戒させる【旅人と砂粒の書】
とは、いったい……?
「【旅人と砂粒の書】はね、ドラえもんで言うと、もしもボックスみたいなも
のなの」
 早朝の、ひと気のない街中を走りながら、雪菜はそう説明した。
「持ち主の望んだ通りのパラレルワールドに、瞬時に転移できるの。別な言い
方をするなら、望まないようなことが起きる世界からは、あの男はさっさと脱
出しちゃうわ。
 ねえ、あなただったら、どう? あなたに向かって槍が飛んできたとして、
大人しくそれに当たりたいと思う?」
「もちろん、思わないな」
 俺は雪菜に併走しながら、背後を振り向いて見た。追いかけてくる【旅人と
砂粒の書】を持つ魔法使いの方を。
 相変わらず、チンポ丸出しでニヤニヤ笑っている。雪菜さえ恐怖させる、と
んでもない魔法使いには見えないが……説明された奴の魔法の力は、確かに恐
ろしいものだった。
「私があの変態を攻撃しようとしても、絶対に当たらないのよ。必ず、回避か
防御をされてしまう。攻撃が自分に命中する世界には、彼は存在しようとしな
いから。
 つまり、逆を言えば……」
 雪菜は急に立ち止まり、振り向きざまに再び髪の毛で槍を形成し、男に向か
って放った。
 まっすぐ飛んだ黒い刃が、男の胸に直撃……するかと思いきや、その直前
に、男はパッと姿を消していた。
「……危険な攻撃を、命中するように撃てば、私たちのいる世界からは、アレ
を追い出せる。攻撃を回避したパラレルワールドに、瞬間移動したのよ」
 消え去った男が、数秒経っても姿を現さないので、雪菜はようやく、肩から
力を抜き、戦闘体勢を解除した。
「でも、この世界の私たちはこれでいいけど……別世界の私たちが大変なのよ
ね……別世界で、奴は攻撃を避けて、元気たっぷりに、別世界の私たちに襲い
かかってるでしょうから。
 奴の退治は、別世界の私たちに丸投げするしかない……でも、退治されそう
になったら、奴はまたさらに別の世界に逃げ込む。……最終的には、必ずどこ
かの世界の私たちが、あの変態の餌食になっちゃうの。
 私があの魔法を恐ろしいと思うのは、それが原因なのよ……」

・・・・・・。

 男は、チンポをプラプラさせながら、朝っぱらからデートしてやがるけしか
らんカップルを追いかけていた。
 彼氏の方はどうでもいい……男はとにかく、カップルの女の方(彼氏は、彼
女のことを「雪菜」と呼んでいた)に魅かれていた。
 黒髪のロングヘア、肌が白くてととのった顔立ち、脚が長くてスタイルもい
い。上品で、ものすごくイタズラ心をくすぐる美人だ。この娘にザーメンぶっ
かけて、嫌な気分にしてやりてぇ!
 ただし、彼がこの雪菜に関心を寄せるのは、その美貌だけが原因ではない。
 雪菜という少女は、チンポ丸出しで現れた彼に、いきなり攻撃を仕掛けてき
た。それも、なんと自分の髪の毛を槍にして、投げつけてくるという方法で!
 この子も、自分みたいに、何か妙な神様に守護されているのだろうか? し
かも、【旅人と砂粒の書】のことを知っているらしい言葉を口走った。
 彼を守護する魔法書の神。それについて、もっと知りたい。
 この雪菜ならば、俺の知らない色々なことを教えてくれるかもしれない
ぞ……そう思いながら、彼は追跡を続けていた。
 走って逃げていた雪菜が急に立ち止まり、振り向きざまに再び髪の毛で槍を
形成し、彼に向かって放った。
 まっすぐ飛んだ黒い刃が、男の胸に直撃……するかと思いきや、ほんのわず
かの誤差で、槍は男の脇の下を通り抜け、後ろへと飛んでいった。
「く……ここは『回避された世界』ってわけ……!?」
 雪菜が悔しそうにつぶやき、またしても髪で槍を形成する。
 そして放つ。今度は一本ではない、数十本の槍が、男めがけて殺到する。
 避けようがない、まさに矢襖。槍なのに矢襖だ。男の視界全体が、槍の先端
で埋まるような、凄まじい物量攻撃だった。
 しかし、男は恐れない。彼の【旅人と砂粒の書】の力は、どんな苦境からも
持ち主を守ると、彼は信じていたからだ。
 最初に彼のところに到達した槍は、彼の右耳をかすめて外れた。
 二発目は、彼の股間をくぐり抜けた。三発目は、腰の右側を通り過ぎ、贅肉
を揺らしただけだった。四発目と五発目は互いにぶつかり合い、大きく的を外
して地面に突き刺さった。六発目も、七発目も、八発目も……一発たりとも、
当たらない。全部、ギリギリのところで外れていく。
 数十本の黒い槍を避けきる、この奇跡に要した時間は、わずか1.5秒。し
かし、彼はその短い間に、二十回以上の量子テレポートを行い、同じ数のパラ
レルワールドを跳躍したのだ。
「ああ、もう! 無数にある可能性世界の中で、私は特別運の悪いひとりみた
いね……嫌になるわ」
 そう悪態をつく雪菜は、肩をゆっくりと上下させていた。呼吸が荒くなり、
額から汗が滴り落ちる。
 彼女は、目に見えて疲労していた。
 その原因はもちろん、魔法の使い過ぎによるものだ。肉体を変化させる彼女
の魔法は、精神力を消耗する上、変化の対象となる肉体にも疲労を蓄積させ
る。エッチなことに使うぐらいなら大したことはないが、攻撃用の武器とし
て、すばやく劇的な変身を行なうと、あっという間にエネルギーが枯渇してし
まうのだ。
 ちなみに、時空間移動という大魔法を使用していても、【旅人と砂粒の書】
は、持ち主の男を少しも消耗させたりはしない。瞬間移動に大量の精神力を消
費しても、移動先が「持ち主の精神力が充実している世界」であればいいの
だ。能力の使用によるエネルギー消費が、エネルギーの充電を兼ねている……
本当に、どうしようもないぐらいチートな魔法であった。
「はあはあ、よ、よくわかんないけど、髪の毛固めて撃ってくるのは、もう打
ち止めみたいだね~?
 疲れてるんでしょ? それだったら無理しないほうがいいよ~。お、大人し
く、俺のチンポじっくり見てよ~」
 ガニ股になって、腰を左右にふりふりしながら、男は雪菜に近付いていく。
彼我の距離は、もう三メートルもない。
(とりあえず、この雪菜ちゃんのお顔にチンポ擦り付けて、嫌悪感で泣いちゃ
ったところに精液ぶっ掛けてやりたいな~。で、その後、お持ち帰りして、
【旅人と砂粒の書】について知ってることを聞き出そう。もちろん、ベッドの
上で、お互い裸になって尋問会だ……へへへ、夢が広がるなぁ……)
 よだれを垂らして妄想にふけっている男を、再び【旅人と砂粒の書】は量子
テレポートさせた。いつも通り、迫った危機から、持ち主を守ったのだ。
 固く握られた拳が、男の頬肉をかすめた(ひとつ前の世界にいたままだった
ら、鼻の骨を叩き折られていただろう)。男は、つまらなさそうに殴ってきた
人物を見た。それは、すっかり忘れられていた、雪菜の彼氏だった。
「雪菜が疲れたってんなら……俺が代わりに、相手になってやる!」
 殺意のこもった鋭いパンチが、男に向かって繰り出される。
 しかし、もちろんそれも無駄だ。男はろくに避ける動作もせず、ただ、偶然
パンチが命中しないパラレルワールドに移動することで、ダメージの全てを回
避する。
 それどころか、ここに来て初めて、男は「攻撃」のために、自分の魔法を使
ったのだ。
「お、お前、さっきからじゃ、邪魔だよ……あっちいけっ」
 彼がそう言って、殴りかかってきた彼氏を手で払いのけると……その瞬間、
彼氏の姿が忽然と消えていた。
 これには、魔法書の神の加護を信じている男も驚いた。
(いろんなことが自分の思い通りになるとは思ってたけど……まさか、人ひと
りこの世から消しちゃうなんて! 俺の神様は、ホントに全能だったのかぁ
~!?)
 正確には、彼氏が消えたわけではない。この男の方が「雪菜に彼氏がいない
パラレルワールド」に移動しただけだ。彼氏は見事に、自分と同じ世界に住む
雪菜は、守り切ったことになる。
「ど、どこ行っちゃったんだろ、あの男……まさか死んじゃったのかな~? 
まあ、どうでもいいけど……邪魔者がいなくなったんだから、べ、別にいいか
~」
 きょろきょろしながらブツブツつぶやく男に、雪菜が皮肉っぽく言い放っ
た。
「何? 私に彼氏がいる世界でも経由してきたの? おあいにく様、私は人に
守られるほど、弱くは……うっ……!」
 雪菜の疲労は、今もなお蓄積し続けていた。体から力が抜け、とうとう地面
に片膝をついてしまう。
 ほんの数秒、顔を伏せて呼吸を整える。そして、再び敵意に燃える瞳を男に
向けた時……彼女が目撃したのは、目の前数センチにまで接近した、醜いチン
ポだった。
「はあはあ、雪菜タンの息が、俺のチンポに当たってるよぉ……ううっ、興奮
しちゃうなぁあ~」
 雪菜は、膝をついて屈んでいるため、その美しい顔が、男がチンポを擦り付
けやすい位置にまで下がっていた。
 熱気と悪臭が届くぐらいにまで接近され、雪菜は嫌悪感をもよおし、反射的
に飛び退こうとした。だが、男は、雪菜が離れていくことを望みはしない。
「あっ!?」
 動かした脚が空転する感覚を、雪菜は味わった……靴底が滑って、体が傾
く。後ろに行こうとした動きは、意に反して、前に進む動きとなって……。
 べちゃっ、と、雪菜は男の下半身に寄りかかるように倒れこみ、この変態露
出狂の薄汚いチンポに、思いっきりキスする羽目になってしまった。
「う、うあっ……や、やだっ……!」
 しかも、雪菜の唇が接触したのは、男の勃起した亀頭付近。すでにオナニー
していたせいで、カウパー液でヌルヌルに濡れていた部分。透明なヌルヌル
が、雪菜の唇にグロスのように付着し、チンポと唇との間に、透明な糸を引い
た。
「おほぉっ! ゆ、雪菜タン、顔に似合わず積極的ぃ~! もっと、もっと舐
めて~!」
「ば、バカ言わない……でっ……うぷっ!」
 喜んだ男が、さらに雪菜の顔にチンポを擦り付けようと腰を動かす。雪菜
は、怒り顔で文句を言おうとする……その、文句を言おうと大きく開いた口
に、カポッとタイミング良く、男のチンポが挿し込まれた。
「んんっ!? んぐぅーっ! んっ、んんんーっ!」
 男のサオを根元まで咥え込まされ、嫌悪にうめく雪菜。口の中に塩味や渋
み、エグみが広がり、尿のアンモニア臭やチンカスの発酵臭が、鼻に漂う。不
潔なモノを口に入れていることを嫌になるほど認識させられ、普段冷静なはず
の雪菜は、さらに動揺する。
 雪菜は慌てて、チンポを口から抜こうと行動を開始した。鼻で呼吸をしなが
ら、舌を動かし、必死で口内の異物を押し出そうとする。
 だが、それは単にチンポを舐め回して、男を喜ばせる結果しか生まなかっ
た。
「おおおおっ……雪菜タン……! フェラ、すっごい上手だよ……。
 お、俺、勇気がなくて、眠ってる女や、酔っ払って意識のない女にしか、チ
ンポ咥えさせたことないんだよね……。
 でも、意識があって、嫌がってる女の子にムリヤリ咥えさせるってのも、
い、いいもんだなあ、ひひひ!」
 その言葉を聞いて、雪菜は眉根を寄せ、殺意のこもった眼差しで、男を睨み
つけた。
 しかし、チンポをしゃぶりながら、上目遣いで睨んだものだから、かえって
男の嗜虐心を煽ることになってしまった。
「そ、そういえば雪菜タン、さっき髪の毛を槍みたいにして、俺に投げつけて
きたよねー。
 あれは何だったの? もしかして雪菜タンも、古い本の神様に守られてて、
そのご加護であんなことができたの?
 少しの間だけ、口を自由にしてあげるから、教えてくんない?」
 そう言って、ずるりっと雪菜の口から、唾液まみれのチンポを引き抜いた。
 ゲホゲホとせき込み、男の臭いで汚された唾液を吐き出そうとする。その様
子を、男は黙って見ていた。
 こうして自由になった時点で、雪菜には逃げ出すという選択肢があった。し
かし、男は雪菜が質問に答えることを望んだ。その時点で、ここは「雪菜が冷
静さを失って、ヤケになって自分の手の内を晒してしまうパラレルワールド」
だったのだ。
「……ええ、そうよ。あれが私の魔法。魔法書【墓場と地下牢の書】から学ん
だ魔法よ。自分の体を、自由に変化させることができるわ。
 あなたが持っているのは【旅人と砂粒の書】でしょう? 確かにそれは、持
ち主の望むパラレルワールドに持ち主を連れて行く、自動的で強大な力を秘め
た魔法書だけど……私は、自分の持っている魔法書をよく読んで、学んで、修
行したわ。
 あなたなんかに、このまま負けたりしない。魔法使いとして……必ずあなた
を、ねじ伏せて、みせる……!」
 気丈に挑戦の言葉を突きつける雪菜に対し、男は得心したように、満面の笑
みを浮かべていた。
「そ、そっかぁ。【旅人と砂粒の書】って、そういうものだったんだぁ~。
 なるほど、だから今まで、あんな都合のいいことばっか起きてたのか……。
じゃあやっぱり、【旅人と砂粒の書】を持ってる限り、俺の望んだことは何で
も実現するんだね? どんな無茶なことでも……。
 例えば、雪菜タンの……えーと、自分の体を変化させる魔法、だっけ? そ
れが暴走して、雪菜タンが動けなくなっちゃったらいいのにーとか、望めば実
現するんだよねぇ~?」
「……え……?」
 雪菜の顔が、さっと青ざめる。
 そして、次の瞬間には、そこは彼の望んだ出来事の起きている世界だった。
「きゃっ!? な、何……? わ、私の魔力が……せ、制御、できな……いや
ああぁぁっ!?」
 雪菜の長い黒髪が、彼女が操作していないにもかかわらず、のたうち始め
た。そしてそれは、蛇のように雪菜の四肢に絡みつき、動けないように拘束す
る。
 しかも、それだけでは終わらない。暴走した彼女の髪は、明らかに彼女の前
に立つ男の利になるように動いていた。
 人形使いがマリオネットを操るように、髪は絡め取った雪菜の手足を器用に
動かし、まず彼女をその場に座らせ、二本の脚を、男に股間が見えるように、
ぐぐっと開かせていった。
「嫌っ……ちょっ、嘘……まさか……!」
 M字開脚というやつである。黒いプリーツスカートの中の、ピンク色の下着
を鑑賞しやすいように、スカートを少したくし上げさせるあたり、意思のない
髪の毛のくせにサービスが行き届いている。
「おほぉっ! お、俺にそんな格好してみせるなんて……雪菜タンのおマン
コ、俺に捧げてくれるってことかな~?」
「そんなわけ、ないでしょう……う、あんっ!」
 髪の毛のひと房が触手のように蠢き、本体を傷つけないよう、履いていたパ
ンティを引き裂いた。
 さすがに、脱がせるほどの精密な動作はできなかったようだが、男にとって
は話が早くていい。
 今、男の目の前で、雪菜が股を大きく広げている。スカートはまくり上げら
れ、下着は引き裂かれ……女性の一番大事な部分が、さあいつでもお使い下さ
いとばかりに、彼の目前に晒されてしまった!
「はあ、はあ、こ、これが、雪菜タンのおマンコかぁ……。高校生ぐらいなの
にツルッツルなのは、体質? それとも、趣味で剃ってるのかな? でもま
あ、ボーボーよりはこっちの方がソソるなぁ。幼女犯すみたいでさ、へへ
へ……」
「くっ……み……見ないで、よっ……!」
 自分の恥ずかしい部分を凝視され、雪菜の顔は耳たぶまで真っ赤に色づいて
いく。誰にも見られるはずがないと思っていたので、油断していた部分につい
て、指摘されたのも恥ずかしさを助長していた……下の毛は、無い方が便利な
のだ……主にトイレで用を足す時とか。
「割れ目がぴったり閉じてるなぁ……でも、さっきの雪菜タンのおしゃぶりの
おかげで、俺のチンポはヌルヌルに濡れてるし……このまま入れても、たぶん
大丈夫だよね? ね?」
 目を血走らせ、熱い鼻息で小鼻を膨らませて、豚のような醜い男が、雪菜に
覆い被さっていく。
 小柄とはいえ、太さのある重たいオスに乗っかられ、か細い雪菜は息苦しさ
に喘いだ。しかし、そんな苦しみは、直後にやってきた苦痛と屈辱に比べれ
ば、それこそカスのようなものだ。
「ぃっ! ……う、あ……ああああぁぁぁぁっ!」
 男性を受け入れるために存在している、股間のささやかなスリット。雪菜の
そこが、初めて使用されようとしていた。ただし……好きな男性との子供を作
るためという、人間的な使われ方ではなく、ただ強いオスの性欲を処理させる
ためという、あまりに獣じみた使われ方で。
 濡れた亀頭が、ぴったり閉じた割れ目を押し開きながら、グニュウゥッと膣
内に侵入していく。
 侵入者の圧力と体温を感じ、雪菜は必死になって逃れようと、身をよじっ
た。しかし、自らの髪で縛られた彼女の抵抗は、男がやすやすと押さえつけら
れる程度のものでしかなかった。
 完全に動きを封じられた雪菜の目の前には、醜い男の顔……にきびだらけの
肌、だんご鼻、ニヤニヤ笑うぶ厚い唇の奥には、黄ばんだ歯。見ているだけで
寒気のするそれが、だんだん近付いてきて……ついに、唇を奪われた。
「むぐっ! んーっ! ん、んーっ!」
 にんにくとカレーと便所を混ぜたような口臭が、直に口に流し込まれた。ぬ
ちゃぬちゃとネバっこい唾液もだ。男は、雪菜の小さな唇にむしゃぶりつきな
がら、慌てる雪菜の表情を堪能していた。
 雪菜の、アーモンド型の大きな目が見開かれ、そこにはいっぱいに涙が溜ま
っていた。そして、真珠のような涙が流れ落ちたのは……男のチンポが、雪菜
の膣の途中にあった膜状の何かを、ぶちっと突破した瞬間だった。
「んほおおおおっっ! い、今の……もしかして処女膜かい雪菜ちゃん!?
 こ、こんな可愛い子のバージンで筆おろしできるなんて、さ、最高だああぁ
っ!」
 興奮した男は、雪菜の細い体を抱きしめ、力強くピストン運動を始めた。
 少女の上で、ぶよぶよしたぜい肉の塊のような男が腰を振る様子は、豚との
獣姦を思わせる背徳感があった。「豚」であり「犯す側」の男には、その背徳
感は痺れるような快感をもたらしたが、「人間」であり「犯される側」の雪菜
には、悪寒と吐き気しかもたらさなかった。
 しかし、どんなに嫌がっていても、肉体は侵入してきた男性器を喜ばせるた
め、自動的に動いてしまっていた……温かい破瓜の血液と、肉体の防御反応と
して分泌される愛液が、ニチャニチャとチンポに絡みつく。ひだひだの膣壁
が、チンポをぎゅっと締めつけ、優しく刺激する。
「はっ、はっ、はっ、はっ、これが、これがセックス……! うああっやべえ
えっ、これやべえよおおっ!
 何発でもヤレるっ、何時間でも続けられるぞっ、こんな気持ちイイことなら
あぁっ!
 雪菜タンもしたいよねっ!? 俺と何時間でも、何日でも、セックスしまく
りたいよねっ!?」
 男の叫びに返事をするだけの元気も、今の雪菜にはなかった。あらゆる苦痛
と屈辱に、心も体も打ちのめされ、彼女にできるのは、男の乱暴な動きに合わ
せて、頭をガクガクと揺らすことだけだった。
 男は、そんな雪菜の顔をべろべろ舐めながら、うっとりと腰からせり上がっ
てくる快楽に身を任せた……ただひたすらに雪菜の膣をかき混ぜ、子宮口を突
き、彼女の体をダッチワイフのように扱った。
 やがて、最初の絶頂が訪れる。
「ぷぎゃああぁぁっ!」と、本当の豚のように一声鳴いて、男は雪菜の中で果
てた。ゼリー状の濃厚な精液が、子宮口に接した亀頭から、子宮内部に直接注
入される。
 下腹部で広がる熱い何かに、雪菜は何をされたのかを知り、一瞬怯えの表情
を浮かべた。
「はー、はー、種付けしちゃったぁ……雪菜たんのお腹ん中で、俺の精子が受
精したらいいなぁ、うひひ……。
 いや、絶対受精する! 何でも、俺の思い通りになるんなら、俺は雪菜タン
が俺の子を孕む世界を選択するぞぉ!
 俺と雪菜タンの子供だったら、どんな顔の子が生まれるのかな? うへ、う
へへへっ……!」
 この時の雪菜の心は、ただ諦観のみだった。【旅人と砂粒の書】の持ち主が
それを望んだなら、必ずそうなる。どんな手を尽くそうと、雪菜はお腹の中
に、この豚のような変態強姦魔の子供を宿さなければならないのだ。
「ふーっ、ちょっと休んだら、またズッコンバッコンしようねぇ雪菜タン……
きみはもう、俺の恋人で嫁ってことで決定だからねぇ……?
 うへへ、本当に【旅人と砂粒の書】には感謝しなくちゃ。何でも思い通りに
なって、セックスできて、こんな可愛い恋人も手に入って……そうだ、あとで
雪菜タンの持ってる魔法書ももらっちゃおう。自分自身の体を自由に変化させ
られるようになったら、さらに無敵だもんなぁ」
 雪菜は、おぼろげな意識の中で、男の言葉を聞いていた。
 この男に、自分の【墓場と地下牢の書】まで奪われたら、自分はどうなって
しまうのか? 魔法書がなくても、その内容はちゃんと覚えているから、魔法
は使える。でも、肉体変化の魔法は私だけのものだ。この豚とおそろいの魔法
を使うようになるなんて、おぞましいにもほどがある。
 でも……肉体変化以外の魔法は、私はあまり詳しくないし……他の魔法書な
んて、持ってない……から……。

 その時、雪菜の脳髄に電流が走った。

「よーし、汗も引いてきたし、第二ラウンドいこうか雪菜タン。
 チンポ抜かずに、そのままズコズコしちゃうからねー。子宮内にどんだけ精
液溜めれるか、試してみようよ、えへへ……」
 やがて、短い休憩時間が終わり、男は再び雪菜にのしかかっていった。
 ここから先も、雪菜は反撃もできずに犯され続ける。男がそう望むからだ。
【旅人と砂粒の書】は、彼の望みを叶える世界へ、彼を連れていく……!

 ばちぃっ!

 ゴム風船が割れるような、水っぽい音が響いた。
 男は、信じられない気持ちで、雪菜を見下ろしていた。雪菜は、会心の笑み
を浮かべて、男を見上げていた。
 男の、厚ぼったい頬に……握りしめた、雪菜の拳がめり込んでいた。
 女の細腕からは想像もできないような、力のこもった一発だった。男の顔面
を完璧にとらえたその一発を、雪菜はそのまま、思いっきり振り抜く!
「ぷぎゃうっ!?」
 醜い悲鳴を上げて、男は仰向けに倒れこんだ。その瞬間、雪菜を苛んでいた
チンポが、彼女の性器からちゅぽんっと抜き取られ、精液と血液にまみれたグ
ロテスクな姿を晒した。
「ば、馬鹿なぁっ!? あ、あんなパンチが当たるなんて……!?」
 男は、驚きに震える声で叫びながら、ジンジン痛む頬を押さえた。
 そうしているうちに、雪菜は立ち上がっていた。彼女の目に、もう絶望感は
ない。
 二本の脚でしゃんと立ち、男の前に立ちふさがる。男を見下ろすその表情に
は、かすかに笑みのようなものまで浮かんでいて……。
「ひ、ひいっ! 何かわからんけど、【旅人と砂粒の書】! 俺を守るんだぁ
あぁーっ!」
 彼の望まない世界から、瞬時に彼を脱出させる魔法書は、彼の意思を読み取
り、彼の望む通りのことをした。
 がすっ!
「げぴっ!?」
 雪菜のローファーの靴底が、男の顔面にめり込んだ。
 世界は元のまま……どこのパラレルワールドにも、移動していない。
「な、なんでだ? なんで、俺は攻撃を食らうんだ!? そういうのが避けら
れる世界に、移動できるんじゃないのかよぉ?」
 半狂乱で叫ぶ男に、雪菜は……にっっっっこりと、これ以上ないくらい優し
い笑顔を浮かべて、言った。
「ええ、移動できるわ。あなたが本当に、私の攻撃を避けたいって思っている
のなら、ね」
「なん……だと……?」
 意味不明の言葉に、男はあっけに取られた。避けたいに決まっているじゃな
いか。誰が好き好んで、痛い思いをしたいものか。
「ところが、痛い思いをしたい……と思っているのよ、あなたは。
 私に殴られたい、蹴られたいって思ってるから、【旅人と砂粒の書】は、あ
なたの願いを叶えるために、その望みが叶うこの世界から、あなたを移動させ
ないってわけ……。
 マゾヒストなのよ、あなたは。私を屈服させるより、私に痛めつけられて、
虐げられて、敗北させられたいと思っている……ううん、思わされている、と
いうのが正解かしら」
 言いながら、雪菜は胸ポケットから、一冊の古びた革装丁の本を取り出し
た。
「これはこの前、偶然私の手に入った魔法書よ。肉体を変化させる【墓場と地
下牢の書】じゃないわ。【慈悲と友愛の書】っていうの。
 この書に記されているのは、人の心のパラメータを変動させる精神魔法。こ
の魔法を使えば、人の性格を自由に操ることができるの……女の子をいじめて
楽しんでいた男の人を、根っからのドMに変えることだって、一瞬でできちゃ
うわ。
 さて……この本の魔法のおかげで、あなたは今、心の底ではいじめられたい
って思わされているわ。
 苦しい目に遭うことこそ、あなたの今の望みなの……。
 だから、ね……これから、あなたに酷いことしようとしている私がいるこの
世界から、【旅人と砂粒の書】が、あなたを移動させる必要があるかしら?」
 雪菜の目が、すっと細くなる。それだけで、春の野原のような暖かい優しい
笑顔は、極寒の氷原で凍りつく水晶のような、冷たい笑みに変わった。
 男は、仰向けに倒れたまま、がたがた震えて雪菜を見上げている。恐怖! 
危険が迫った時の根源的な恐怖が、彼の心の中を占めていた。
 しかし……それでいて、彼のチンポはバッキバキに勃起し続けていた。
 彼が今まで感じたことのない興奮が、恐怖の中に確かに潜んでいたのだ。
「私の魔力の暴走も、どうやらおさまったみたいね。体が自由に動くわ」
 しゅるしゅると、雪菜の髪がよじれ、束ねられ、一本の長くて黒い棒を形成
した。
 その棒は、しなやかに湾曲しながら振り下ろされ、バチーンと男の腕を叩い
た。
 男の悲鳴と共に、桃色のみみず腫れが生まれる。その黒い棒は、SがMをい
じめる時に使う伝統的な道具……鞭となっていた。
「豚の悲鳴でも、聞き続けていたら心地良くなるかしら……? ちょっと、試
させてね」
 笑顔で……雪菜は、男に鞭を振り下ろした。
 振り下ろした。再び振り下ろした……数え切れないほど、振り下ろして、振
り下ろして、振り下ろした……。

 ……二十分後。
「はひいいいっ! 雪菜タン、雪菜タン、もう駄目ええぇぇ勘弁してぇぇっ!
 もう俺駄目っ! これ以上やられたら死んじゃううううっ! 天国イッちゃ
うよおおおぉぉっ!」
 男は全身傷だらけになりながら、しかし恍惚とした表情で、のたうち回って
いた。
 何百回も鞭で打たれて、着ていた服はボロボロだ。露出している皮膚もアザ
だらけ、とても見れたものではない。しかも、数回打たれるごとにチンポがビ
クンビクンと反応し、触ってもいないのに射精して、ナマ臭いものを辺りに撒
き散らすのだから、これはちょっとした生物兵器と言える。
「駄目よ、まだ満足したら駄目……もっと殴らせてちょうだいね。私の味わっ
た苦痛の、百分の一も返していないんだもの……」
 雪菜も雪菜でトリップしていた。黒い鞭を振り回し、転がる男を的確に打ち
据える。一発当てるごとに、こちらもうっとりと頬を染めている。【慈悲と友
愛の書】は、彼女に対しても、ドSになるように性格改変を行なったのだろう
か。
「はああっ! 雪菜タン、またイッちゃう! 叩かれて、精液出ちゃううう
っ!」
「きゃっ! ……もう、汚いわね……靴にかかったじゃない。舐めてキレイに
しなさい。命令よ」
「わ、わかったよぉ! 雪菜タンの命令なら、俺、なんでもするよおおっ!」
「素直でよろしい。でも『タン』はもう禁止ね。これからは雪菜『様』と呼び
なさい」
「はいいいいぃぃぃぃっ! かしこまりました雪菜様ああぁぁっ!」
 四つんばいになって、ピチャピチャと雪菜の靴を舐め始める男。そこについ
ているのが、自分が出したばかりの精液だというのに、躊躇う様子もない。
 さらに彼は、足首からふくらはぎまで舌を伸ばし、雪菜の脚を徐々に上へ舐
め上げていった。
 先ほどのレイプの際、雪菜の膣内に吐き出された彼の精液が、雪菜の白いふ
とももをつたって流れ落ちてきたから、それも舐めてキレイにしようとしてい
るのだ。
「あん、もう……駄目よ……そこまで舐めろ、なんて、命令してないわ……」
 雪菜は、そう言って彼の行動をたしなめたが、内ももを舐められる感触に、
その声は熱を帯びたものになってしまう。
「し、仕方ないわね……特別に許可してあげる。ちゃんと、脚の付け根までき
れいに舐めて……私の中に出した、あなたの汚い精子も、全部吸い取るのよ?
 しっかり、私が満足するまで吸いだせたら……ごほうびに、踏んであげ
る……♪」
 豚男の舌が、徐々に脚を這い上がって、スカートの中に入り込んでくるの
を、雪菜は期待と共に待ち受けた。
 雪菜は、この変態で、男のクズのような、醜い豚男をどうするべきか?
 さすがに、殺しまではしたくないが、まだまだ復讐は終わっていない。これ
からも痛めつけ続けてやりたい。
 となると、この世界に縛っておくためにも、【旅人と砂粒の書】は取り上げ
て、焼いてしまわなくては。突然別の世界に逃げられたら、困るもの。
 ずーっと私のそばに縛りつけて、毎日殴って、蹴って、酷い目にあわせ
て……ときどきこうして、オナニーの道具に使ってあげよう。
 そうだ、首輪をつけて、私のペットにしてあげたらどうかしら。普通のペッ
トでもミニブタとかあるし、豚みたいな男をおうちで飼っても、別にいいわよ
ね……。
「ベロベロベロッ、ぷはぁっ、雪菜様っ、雪菜様ああっ!」
 男は、ぬめった舌を雪菜の性器の中にねじ込むようにして、膣の奥の方まで
必死に舐め、精液も愛液も、一緒くたに飲み込んでいた。
「何でも従いますっ! ご満足頂けるように頑張りますっ! だからもっと!
 もっといじめて下さいいいっ!
 愛してますぅ、雪菜様ああああぁぁぁぁっ!」
 とても人とも思えない、醜い男の叫びを聞いて……この世界の雪菜は、軽く
オルガズムに達したのだった。

・・・・・・。

 いくつか前の世界。
 雪菜に、ちゃんと彼氏がいる世界。
 メタ的に言って、これから先継続していく「雪菜」の世界。

「……もう、戻ってこない……よな。あの変態」
「たぶんね。もう、魔力反応も感じないし。まったく、冷や汗かいたけど……
無事にあれを追放できてよかったわ……うっ」
「おっと……大丈夫か、雪菜?」
 何発もの髪の毛の槍を撃ち、疲労した雪菜に、俺は肩を貸した。
「ん、ありがと……こんなことなら、もっと普段から魔力を温存しておけばよ
かったわね。変身エッチを控えたりして」
「いや、それは困る!」
 雪菜としてはちょっとした冗談だったのだろうが、俺はかなり真剣に異を唱
えた。
 その様子がおかしかったのか、彼女はクスクスと笑う。
「ふふ、そんなにしたいんだ……じゃあ、これからどこかホテルにでも入っ
て、スッキリしちゃう?
 どうせ、今のままじゃ、デートも楽しくないだろうし……気分転換に、
ね?」
 恐ろしい魔法使いと対決した直後なのに、もう俺は誘われていた。
 彼女の、見事な気持ち切り替え術に驚きながらも、俺もその提案には賛成だ
った。汚い他人のチンポを見せられて、悪くなった気分を回復するには、美し
い雪菜の裸身を見るのが一番だ。
「じゃ、決まりね。といっても、あんまり変身する魔力は残ってないから、私
の普通の体でするのがメインになるだろうけれど……。
 ああ、本当に残念……あんな変態魔法使いに出くわさなかったら、もっとじ
っくりいろいろ、凝ったプレイができたのに……」
「ま、それは次に期待するさ。あんな魔法使いに襲われるなんて、そうそうあ
ることじゃないだろうし」
「そうなん、だけどね……」
 雪菜は、そう言って言葉を濁した。

 そう、魔法使いに襲われるなんてことは、そうそうあることじゃなかったの
だ。
 というより、普通ありえないことだったのだ。
 雪菜はそれを知っていた。だから、この時も疑念を抱いていたのだ。そうそ
うないことが、どうしてあり得たのか?
(ただの偶然ならいい。でも、もし人為的な何かが働いていたなら……)
 雪菜はそんな疑念を抱いたが、さすがにそれは考え過ぎだろうと、すぐに頭
から追い払った。
 しかし、それは決して考え過ぎなんかじゃなかった。
 魔法みたいな強い力なら、利用したいと思う奴だって出てくる。今回の事件
が、魔法を利用して何かをしようとした何者かの、遠大な計画の一部だという
ことに気付くには、俺たちはまだ、幼かったのだ。


 ……思わせぶりに言ったけど、続くかな?
107

雪菜6

投稿者:液男 ◆p.LufJKJx.
削除依頼
2010/06/21 01:21:21 (KAwlSbTf)
さえない風体の男がいる。
 背が低く、足が短く、太っている。にきび面で、額がかなり後退している。
 自信なさげに下を向き、ときどきキョドキョドと辺りを見回す。悪いことを
しているようでもないが、他人を恐れているとしか思えない態度だ。
 誰が見ても小物である。強そうでも、頭が良さそうでもなく、善良そうでも
なければ、悪そうでもない。
 まったく取るに足らない、つまらなさそうな男……これが実は、恐ろしい秘
術を使う魔法使いだなどと、誰が想像できるだろうか?

 初夏の陽気を受けて、額から噴き出す汗をハンカチで拭きながら、男は駅の
プラットフォームに佇んでいた。
 時間は、午前7時。周りは、会社へ向かうサラリーマンや、電車通学の学生
でいっぱいだ。そのなかで、襟の汚れたTシャツに、だぼだぼのスラックスを
はいている彼は、あまりに浮いていた。これから会社へ出勤する、というに
は、この格好はだらけすぎている。
 そう、彼は働きに行くのではない。自分の趣味のために電車に乗るのだ。
 7時10分。三両編成の電車が到着し、無数の乗客に混じって、彼も乗り込
む。
 クーラーの効いた車内で、彼はやっと一息ついた。それから、どこに座ろう
かと考えながら、車両の中をうろつき始めた。
 席の埋まり具合は、およそ90パーセントといったところだ。余っている席
自体、ほとんどない。
(でも、できるなら、ただ空いてる席に座るんじゃなく、可愛い女の子の隣り
に座りたいよなぁ)
 ……男がそう思った次の瞬間には、ちょうどいい席を見つけ出していた。
 彼が見つけ出した理想の席は、最後尾の車両にあった。他の車両がそこそこ
混んでいるのに、その車両だけは、人っ子ひとりいなかった。まるで、そこだ
けが台風の目であるかのように。
 いや、正確には、ひとりだけ乗客がいた。高校の制服を着た女の子だ。
 セミロングの黒髪で、メイクっけもない、真面目そうな女の子。足元には、
通学カバンと、テニスのラケットケース。ボックスシートの窓側の席に座り、
こっくり、こっくりと舟をこいでいる。
 男はきょろきょろしながらも、一直線に少女のところへ向かい、彼女の隣り
に腰掛けた。
 にやりと笑う。いやらしい視線が、少女の体を舐め回す。
 まず、ミニスカートから伸びるしなやかなフトモモに、視線が固定された。
ほどよく肉がついていて、それでいて太すぎない、健康的なフトモモだ。男の
劣情を刺激する、エロい脚……。
 男の汗ばんだ手が、その表面にそっと置かれた。スベスベとした、若い女の
肌を撫でる感触が、男を笑顔にさせた。
(はー、はーっ、起きるなよ……起きないでくれよ……)
 もっちりとした極上の若い肉は、男の指に吸いつくようだった。表面を撫で
るというより、フトモモ自体を握るように揉んでいるようなさわり方だった
が、少女は安らかな寝息を立てたまま、目覚める気配もない。
 スラックスの中で、チンポが大きさを増していく。男はニヤニヤとだらしな
い笑みを浮かべていて、唇からダラーッとツバが漏れ落ちた。そのツバは、少
女の制服の胸の辺りにこぼれ、薄い白シャツを透けさせる。それによって男
は、この少女が、水色のブラジャーをつけていることを知った。
(む、胸も大きそうだな……ちょ、ちょっと測らせてねーっと……)
 男は、少女の背中を抱くように手を回し、シャツの上からオッパイをわしづ
かみにした。手からあふれるような、たっぷりとしたボリューム。大人しそう
な顔に似合わず、Dカップはありそうだと男は判断した。
 片方の手でフトモモを撫で、もう片方の手でおっぱいを揉みしだく。寝てい
る少女に、やりたい放題である。もし少女が目覚めたら、男は一巻の終わ
り……のはずなのだが、その行動に恐れは見られない。
 それどころか、さらに彼は大胆な行動に出た。突然立ち上がると、はいてい
たスラックスを、ためらいなく脱ぎ捨てたのだ。
 勃起したチンポが、公共の空間である車両の中でさらされる。しかし、それ
を目撃したのは、持ち主の男ただひとりだ。もうひとり、同じ車両内にいる少
女は、相変わらず眠り続けている。桃色の唇を半開きにした、無邪気な寝顔
で……。
(はあはあ、はあはあ、柔らかそ~な唇だぁ……きっと、オナホなんかよりよ
っぽど柔らかくて、気持ちいいに違いないぞ……)
 男は胸を高鳴らせながら、更なる卑劣な行為に及んだ。少女の頭に手を添え
ると、そのふっくらとした唇に、醜いチンポの先端を押し付けたのだ。
 いや、それだけでは終わらない。ゆっくりと少女の頭を引き寄せ、少女の口
の中に、ぐぐっとチンポをねじ込んでいったのだ。
(おおお~っ! す、すっげー……! ねっちょり柔らかくって、あったけぇ
~!)
 はっきり言って男のモノは短小だったが、それでも目いっぱい突っ込めば、
少女の浅いノドを先端で突くぐらいのことはできた。呼吸が不自由になり、少
女は苦しそうに眉根を寄せるが、それでも目を覚ましはしなかった。
 男は、ヘコヘコと腰を前後に振り、少女の口腔をチンポでかき回した。まる
で、少女の肉体をオナホとして使っているかのように。
 見知らぬ男のチンポを咥え込んだ少女は、無意識のうちにチュウ、チュウと
汚いモノに吸い付き、さらに舌を絡めて、男の性欲処理を助けていた。暗闇の
中で、手触りだけでそれが何なのかを当てようとしているかのように、丁寧
に、時間をかけて、ヌルヌルの舌でペニスを撫で回した。
(はあ、はあ、やっぱりオナホにするなら、女子高生だよな……。オカズとし
ても、やっぱりこれくらいの年齢が一番いいや……今後のためにも、ちょっと
保存しておくか……)
 無意識のうちにフェラを強要されている少女の顔に、男はあろうことか、ケ
ータイのカメラを向けて、写メを撮影した。パシャ、パシャッと、大きなシャ
ッター音が響く。それでも……しつこいようだが、少女は目を覚まさない。他
の車両からも、誰もやってきたりしない。
(ううっ、それにしても、こりゃーすごい刺激だ……もうすぐ駅に着くし、朝
の一発、そろそろ抜いとくかな……)
 ぐっちゃぐっちゃと、ネバっこい音が響いていた車両が、急に静かになっ
た。
 男は背中を丸め、股間に少女の頭を挟むようにして、肩をビクン、ビクンと
ふるわせ始めた。射精しているのだ。肩と一緒にチンポも脈打ち、ドビュ
ッ……ドビュッ……ドビュッ……と、断続的に少女の口内に、精液を吐き出し
ている!
 男は、少女がいつ目覚めるかもわからない時に……誰の邪魔が入るかもわか
らない電車の中で……最後まで落ち着いて痴漢行為を働き、口内射精までやっ
てのけ、文句なしに満足したのだった。
 チンポをちゅぽんと引き抜く。すると少女は、精液と唾液が混ざった緩い白
濁液を、ゴボッと吐き出した。
 大量の液体が少女の胸を濡らし、シャツをほぼ完全に透けさせ、内側のブラ
をほぼ完全に丸見えにしてしまう。唇にも、ゼリー状の精液がへばりついてい
て、非常に卑猥だ。そして何より、臭いがすごい。精液のナマ臭さが、これは
もう車両中に充満している。
 そんな酷い状態の少女をほったらかして、男は別の車両に移動した。
(ふう、気持ちよかった……朝から出すモノ出すと、やっぱりスッキリするな
ぁ。
 あ、でも、チンポ拭くの忘れた……このままスラックスはいたら、ベトベト
するよなー。どうしよう)
 実はこの時、男はフルチンのままであった。スラックスは、はかずに肩にか
けている。先ほどの、眠っている少女以外誰もいない車両とは違う。起きてい
る乗客が何人もいる、別の車両に、そんな格好でいたというのに……誰も何も
言わなかった。
 というか、誰も彼の方を見ていなかった。サラリーマンも、高校生も、男も
女も、彼が近くに来た時だけ、別な方を向いていた。誰も、男の異常な姿を目
撃していないのだ。
(えーと、何かチンポをキレイにするのにちょうどいいものは……あ、これが
いいな。使わせてもらおう)
 彼の視線の先では、つり革や手すりにつかまった数人の女子高生たちが、大
声でおしゃべりをしていた。さっきみたいな真面目そうな子と違い、彼女らは
指輪やピアスなどのアクセサリーをしていたり、髪を茶色に染めてたりと、ど
ちらかというと遊んでるギャルっぽい感じだ。スカートの丈がすごく短く、今
風でそれなりにソソる容姿だったので、彼の標的に選ばれてしまった。
 彼は、彼に背を向けているギャルのひとりに近付く。彼女が肩にかけている
バッグのファスナーが半分ぐらい開いていて、中から水筒が顔を覗かせてい
た。
 ギャルどもに気付かれないように、その水筒をバッグから引き抜くと、彼は
それのフタを開け、チンポをひんやりした水筒の中に挿入していった。
 中に詰められている冷たい飲み物が、ちゃぷちゃぷと汚れたチンポを洗う。
 精液だとかカウパー液だとか、少女の唾液などの汚れが、全て水筒の中に溶
け込んでいく。
(これで水洗いはできた……それにしても冷たいな……あ、やべっ)
 チンポを冷やされて、男はうっかり「じょろっ」と、少量の小便を水筒の中
に漏らしてしまった。
(ここまでするつもりはなかったけど……ま、別にいいか)
 男は、元通り水筒のフタを閉め、ギャルのバッグに、元通り入れ直しておい
た。
 そして、そのギャルのお尻に腰をすり付けて、チンポに滴る水分を、ミニス
カートで拭き取り、ようやくスッキリして、スラックスをはいたのだった。
 やがて、駅に到着する直前、ギャルのひとりが仲間にこう言った。
「ねえミカ、お茶少しちょうだいよ。ちょっとノド渇いてきちゃった」
「いいよー。でも、ちょっとだけだかんねー」
 ミカと呼ばれたのは、男が水筒を借りた少女だった。ミカは、ファスナーの
半分開いたバッグから、男がチンポを突っ込んだ上、小便を注ぎ込んだ水筒を
取り出し、友達に渡した。
 渡された友達は、グロスのついたプルプルの唇に、直接水筒の飲み口をつけ
て、中身をゴクゴクと飲み始めた……が、すぐに変な表情になり、口を離し
た。
「ミカ、これ、お茶じゃないの? 変な味するよ……? 何か、しょっぱい」
「え? ウソ……ただの麦茶よ? ちょっとちょうだい」
 ミカは友達から水筒を返してもらい、自分でも口をつけて飲み始めた。反応
は、同じようなものだった。
「んー? 何だろ、ホントにしょっぱい。塩とか入れてないんだけど
な……?」
 見ず知らずの男の小便を飲んだことにも気付かず、ギャルたちは首を傾げて
いた。
 そして駅に着いた。男はひとり、ニヤニヤしながら、電車を降りた。

(ふひひ、最近、なんかいいことばっかり起きるなぁ。やっぱり、こないだ拾
った、この本のおかげかなぁ)
 男は朝の繁華街を歩きながら、スラックスのポケットに入れた手帳サイズの
古書のことを考えていた。
 ある日の散歩中、彼はその本が道に落ちているのを見つけた……革装丁の、
かなり古そうな本だったので、価値があるかもしれないと思って拾っておいた
のだ。
 内容は外国語で書かれていて、さっぱり読めなかったが、表紙のタイトル部
分にだけ、日本語で書き込みがしてあった。【旅人と砂粒の書】と……おそら
く、これがこの本のタイトルなのだろう。
(たぶん、外国の知らない宗教の聖書みたいなモンなんだろうな。神様が宿っ
てるんだ……だから、それを持ってる俺を守ってくれてるんだな)
 彼の予想はおおむね正しい。【旅人と砂粒の書】は、強力な魔力を秘めた魔
法書で、内容を読まなくても、持ち主のために自動で魔法を使ってくれるとい
う特性があるのだ。
 この書に記されているのは「平行世界間の移動魔法」であった。
 パラレルワールドという言葉がある。我々が存在しているこの世界とそっく
りの、しかしどこがが違っている別の世界のことだ。
 例えば、地球が存在しなかったり、人間の代わりに馬が知性を持って世界を
支配していたり……そんな桁外れに大きな違いのある別世界もあるかもしれな
いし、あるいはあなたの足元の砂粒のうち一粒が、たった一ミリだけ大きさが
違っているだけで、それ以外は全然違わない別世界なんてのもあるかもしれな
い。
 とにかく、そういった少しずつ違う世界が、この世界ではないどこかに無限
に存在しており……無限に存在する別世界の間を、【旅人と砂粒の書】を持つ
者は移動できるのだ。
 その移動は、本人も気付かないうちに行なわれる。例えば、駅で「可愛い女
子高生がひとりで乗ってる車両に乗りたいなぁ。あ、その女子高生が眠りこけ
てると、なおいいかも」なんて考えたとすると、そういう条件の電車がプラッ
トホームに入ってくる別世界に、瞬間的にテレポートするのだ。
「眠ってる女子高生にイタズラしよっと。でも起きて騒がれると困るから、寝
たままでいてくれよー」と考えると、女の子が目覚めずに眠り続ける世界に移
動する。チンポを出したまま移動する姿を人に見られたくなければ、偶然他の
人がそっぽを向いている世界に移動する。
 つまり、どこまでも彼にとって都合のいいことが起きるように、世界自体を
合わせてしまうのだ。
 彼は、意図して魔法を使っていないが、持ち主を守るため、【旅人と砂粒の
書】は、彼の望んだ世界へ、彼を移動させ続ける。魔法の内容を理解していな
いので、この幸運を性欲処理にしか使用していないが、やろうと思えば世界征
服だってできる魔法だ(彼が世界征服した世界へ移動するだけだから、すごく
簡単である)。
 射精をしてスッキリした後でも、その快感を彼が嬉しく思っていたら、再び
その快感が味わえるよう、彼のキンタマの中が精子で満タンになっている世界
へ移動するので、何度でも間を置かずに、彼はそこらにいる女性を食い物にで
きるのだ……。

・・・・・・。

「なんだか、妙な魔力を感じるのよね」
 早朝のデートを楽しんでいると、雪菜がなにやら物騒なことを言い出した。
「あっちの駅の方から、かなり大きな魔力を……誰かが、変な理由でヤバイ魔
法を使ったとかじゃないといいんだけど」
 俺の彼女、雪菜は、かなり経験のある魔法使いだ。特に、自分の肉体を自由
に変化させる魔法に優れている。
 その魔法を使って、俺らは普段、愛を深め合っている。具体的には、彼女の
体を変化させて、いろいろ変態的なプレイに興じているわけだが……。
 しかし、世の中にはそんな平和な魔法使いばかりがいるわけではない。この
間も、【慈悲と友愛の書】とかいう魔法書を持った魔法使いが、雪菜のカラダ
目当てで、俺たちに襲い掛かってきたのだ。
 あの時は雪菜が守ってくれたが、また変な魔法使いに襲撃されたら、今度は
どうなるかわからない。
 ……というか、【慈悲と友愛の書】の襲撃の時、雪菜が取った解決法がそれ
はもう非道なものだったので、できればもう二度とあんな方向で彼女の手を煩
わせたくないのだ。
「ふーん? じゃあ、私にやらせたくないなら、次はあなたが私を守って
ね?」
 そんな無茶を言いながら、雪菜はクスリと笑って、甘えるように俺の腕に抱
きついてくる。
 一般人の俺には、どうやっても魔法使い同士の争いに手を出せないが、こん
な可愛い彼女を守るためなら、命の一つやふたつ捧げても惜しくはない。……
捧げるような事態の発生を、歓迎はできないが。
 しかし、歓迎してなくても、災厄は向こうからやってきた。
 ……なぜか、チンポを出した状態で。

・・・・・・。

 男は、目の前でいちゃつくカップルを見て、正直ムカついていた。
 魔法書を手に入れるまで、30年近く彼女も女友達もいなかった彼は、普通
のカップルを見るだけで苛立つようになっていたのだ。
 そして、目の前の奴らは、腕を組み、笑顔でささやき合い、人の目も気にせ
ず幸せオーラを出しまくっている。
 こんなバカどもには、もてない男代表として天罰を加えねば。今日一日、嫌
な気分で過ごさせてやる!
 そう考えた彼は、その場でスラックスを脱ぎ、再びチンポをさらけ出した。
 露出狂に出会って、可愛い彼女が精液ぶっ掛けられでもすれば、この盛りの
ついた奴らも冷めるだろ!
 勃起したチンポを手でしごきながら、男はカップルに近付いていく……。

・・・・・・。

 薄汚れた小男が、オナニーしながらこっちに近付いて来ている。
 なんだこの状況。え? ギャグ?
 不審に思いながらも、俺はとにかく背後に雪菜をかばった。彼女が見ていい
のは俺のチンポだけであって、こんな頭のおかしい露出狂のモノなど見る必要
はない。
 しかし雪菜は、後ろから俺の前に回りこんで、逆に俺をかばう様子を見せ
た。
 こんなただの変態、俺ひとりでも何とかするつもりだったのに……しかし、
彼女の表情は予想外に真剣で、俺は考えを改める必要に迫られた。
 この男……ただの露出狂ではないのか?
「ものすごい魔力を放ってるわ……この男。見た目からは想像もできないくら
い……。
 さっき、駅で魔法を使ったのも、あなた? 何をしたの……?」
 雪菜に睨みつけられながらも、男は平然と、チンポをしごき続けている。
「答えなさいっ!」
 雪菜の髪が渦巻き、数本の黒い槍となって飛んだ。標的は、もちろん目の前
の露出狂。
 直撃すれば、人体でもやすやす貫通してしまう髪の槍を、しかし男は避けよ
うともせず……。
 ただ、姿を消した。
「えっ!?」
 雪菜は、驚きの声を上げた。もちろん俺も、目を見開いて呆然としている。
 何をしたのか知らないが、男は消え去った。誰もいない空間を、黒い槍が空
しく通り過ぎた。

・・・・・・。

「えっ!?」
 目の前の少女が、驚きの声を上げた。
 驚いたのは、男も同様だった。少女の髪が動いたかと思ったら、槍みたいに
尖って、自分に向かって飛んでくるのだから。
 だが、それらの槍は、一本も彼には当たらなかった。つまづいてこけそうに
なったおかげで、頭上を槍が通り過ぎていったのだ。
 彼はこの時、「つまづいて前屈みになって、槍を避けることのできるパラレ
ルワールド」に移動していたのだが、本人に自覚はない。
 代わりに、何が起きたのかを理解したのは、男に攻撃を仕掛けた少女――雪
菜だった。
「なんて魔法……量子テレポートを使ったプレーン間移動!? まさか……噂
にだけ聞いたことあるけど、【旅人と砂粒の書】だっていうの……?」
 顔色を変えた彼女は、身をひるがえし、彼氏の腕をつかんで、脱兎のごとく
走り出した。
「お、おい、どうした雪菜!?」
 彼氏が、それこそ何が起こったかもわからず、少女に引きずられながら問い
かけた。聞かれた少女は、もっと速く走れと急かすように、早口で彼氏に告げ
る。
「逃げるのよ! 伝説の【旅人と砂粒の書】……私でも勝ち目がないわ!」
 カップルは、走って男から逃げる。
 男は、走り去るふたつの後ろ姿を見ながら、考えていた……少女の言葉に、
興味を引かれたのだ。
(あの少女、俺の【旅人と砂粒の書】を知ってるのか? 気になるな……イタ
ズラするだけでなく、いろいろ聞き出したいな……)
 そう思い、彼はカップルの後を追い始めた……もちろん、チンポを手でいじ
りながら。


続く、といいなぁ。

108

雪菜5

投稿者:液男 ◆p.LufJKJx.
削除依頼
2010/06/13 00:33:06 (lH8OV9ph)
ずいぶん間が開いちゃったんで、前回までのあらすじ。

 女子高生・雪菜は実は魔法使い! 自分の肉体を自由に変化させる魔法を使
って、大好きな彼氏とくんずほぐれつイチャイチャしながら、幸せな毎日を送
っています。
 今日も彼氏と、嬉し恥ずかし夜のデート! でも、そんなラブラブなふたり
に、思いも寄らない魔の手が迫ります。
 人間の精神を好き勝手操作できる魔法書【慈悲と友愛の書】を持つ悪い魔法
使いが、雪菜を寝取っちゃおーと、ふたりをこっそり尾行し始めたのです!
 魔法で精神を操作されたら、深い愛で結ばれたふたりでも、ひとたまりもあ
りません。
 この恐るべき危機を、雪菜と彼氏は乗り越えることができるのでしょうか?
 ヒヤヒヤ!
 ……てな感じで、それでは本編をどうぞ。

・・・・・・。

 俺は雪菜と腕を組んで、夜の街を歩いていた。
 頭を俺の肩にもたれかけさせて、雪菜はいかにも幸せそうだ。こんな美人が
俺にぞっこんなのだから、俺は運命の神様に感謝せずにはいられない。
「ね、これから、どこにいこっか?」
 俺の耳元で、雪菜が甘い声で囁いた。
「このまま、普通に散歩を続ける? 何か、お夜食でも食べにいこっか? そ
れとも……もっと、別なトコ、行きたい?」
 俺は、今更ながらドキドキした。ちょうど、T字路にさしかかったところだ
ったからだ。左に行けば、賑やかな大通りに出る。レストランやデパートも、
まだやっているところもあるだろう。
 対して、右側は、けばけばしいネオンのきらめくホテル街だ。俺は、自然と
股間に血液が集まるのを感じた……どこへ行くかをたずねた当の雪菜が、俺の
腕を引っ張って右側の道に足を進め、ニヤッと笑ったからだ。
 彼女が何を期待しているのか、わからないほど鈍感ではない。そして俺も、
彼女の望みに賛成だ。というか、ぜひともご一緒したい。
 どのホテルがいいか、ふたりでじっくり選ぶ。絶対条件は、フロントが無人
のところ。俺の懐具合は問題ない。財布に、割と多めに入れてきてよかった。
「あ、あそこがいいな」
 雪菜が指差した先には、いかにもといった外観の、お城を模したラブホがあ
った。しかも、丸い塔とかがついている西洋風のお城ではなく、天守閣にしゃ
ちほこが二匹のった和風のお城だ。口に出しはしないが、雪菜の趣味はあんま
りよくないようだ。
 本当にあそこでいいのか、と聞くと、彼女は笑顔で頷く。ま、別にいいか。
と軽く考えて、俺はそのラブホの入り口に向かおうとした。だが、なぜか、雪
菜がそれを引きとめた。
「どうした?」
「ん、お楽しみの前に、ちょっと問題を片付けておきたいなって思って。……
あなたも気付いてるでしょ? さっきから、ずっと後ろをつけてきてるアレの
こと」
 雪菜は振り返らず、親指で後ろを指差した。俺はそっと振り返ってみた。
 ちょっと離れた電柱の影から、そいつはこちらをうかがっていた。陰になっ
ていてよく見えないが、若い男だというのは間違いない。腐った魚のような、
暗い目で俺たちを見つめている。
「ああ、まだいるな。さっき、公園の横を通ったあたりから、ずっとつけてき
てるよな……雪菜、お前の知り合いか?」
「さあ。でも、私たちに興味津々みたいね……どうする?」
「ほっとこう。何をしたいのか知らないけど、どうせ、ホテルの中までは入っ
てこれないよ」
 まさか、俺の手から雪菜をさらっていこうとか思っているわけじゃないだろ
う。そんなことはできっこない。
 雪菜も、自分が安全だと信じているためか、ちょっと大胆なことを言った。
「そうね、彼が何者であれ、私たちに何かできるわけないわ。だから……ね?
 ちょっと、見せつけてやらない?」
 言って雪菜は、俺の胸にギュッと抱きついてきた。サラサラの黒髪から、シ
ャンプーのいい匂いがした。
 彼女の顔を見る。横目で、背後の男の様子をちらちらと見ていた。口元に
は、悪戯っぽい、楽しそうな笑み。彼女の態度は、背後の男に対して少し残酷
な気がしたが、俺も多少の優越感は感じていた。彼女の細い体を抱きしめ返
し、男の方に目をやる。相変わらず、電柱の影からこちらだけを見ている。口
元も見えた……何か、ブツブツ呟いている。魔法の呪文のように。
「もうちょっとサービスしてやるか? いっそ、ホテルに入らずに……ここ
で、本番をしちゃうとか……雪菜は、そういうの、嫌か?」
 俺は、少しばかり調子に乗っていた。本当に路上で始めてもいい、と思って
いた。
 少なくとも、キスぐらいは見せつけてやりたい。それっくらいの悪戯はいい
よな、雪菜?
 そう思いながら、俺は彼女の顔に、唇を近づけていった……。
 が。
「駄目よ」
 俺の顔は、彼女の手のひらに、優しく押し戻された。
「こういうプレイはね……本気でしないのが、一番楽しいのよ。こっちが本の
悪戯でやっていることを、相手が本気にしてくれるのが面白いの。こっちも本
気になったら、つまらないわ」
 クスクス笑いながら言う雪菜だったが、俺はやはり、微笑するわけにはいか
なかった。これだけで止められては……もっと、過激なことがしたいのに!
「一度やってみたかったのよ、こういう焦らしプレイって。あえて放っとい
て、我慢させて我慢させて我慢させるの。そうした方が、あとで燃えるでし
ょ? だから……」
 俺は、雪菜の言葉に頷いた。
「ああ、わかったよ。我慢しよう……だから、早くホテルに入ろう。あんなス
トーカーをからかって遊ぶのは、これくらいで切り上げようじゃないか。それ
とも、あいつをダシに、俺をもっと我慢させる気か?」
 俺は、もう雪菜を抱きたくてたまらなかった。可愛い雪菜。俺の雪菜。我慢
して、抱きたい気持ちが高まるのは確かだ。しかし、俺はもう十分我慢してい
た。
 そんな俺に、雪菜は落ち着いた声で、こう言った。
「あら、誤解しないで。我慢させたのはあなたじゃないわ……あっちの電柱の
影にいる人よ?
 ――数分だけだったけど、楽しめたわ。名前も知らない魔法使いさん」
 信じられない雪菜の言葉を聞いた次の瞬間、さらに信じられないことが俺を
襲った。
 雪菜の髪が竜巻のように渦巻き、そこから何か、黒い光線のようなものが何
本も飛び出してきた。それは俺の腕、足、腹に直撃し、俺の体を宙に持ち上げ
た!
 光線に見えたのは、束ねられた雪菜の髪の房だった。鉄串のように硬く密集
し、本当に金属に匹敵する硬さを持って、俺を襲ったのだ。
 直撃を受けた部分が……二の腕、ふともも、下腹部が、ジワッと熱くなって
いく。俺は、ぞっとしてそれを見た。彼女の髪は、俺を単に捕まえて吊り下げ
ているのではない。俺の体を串刺しにして、磔にしていたのだ。
「ひいいいいっ!」
 悲鳴を上げると、腹が痛んだ。激痛にもだえる俺を、雪菜は冷ややかに見上
げている。
「能力からして【慈悲と友愛の書】かしら? あなたが持っているのは。
 私の恋人にはよく効いたみたいだけど、ごめんなさいね。私、そういうの効
かないの。
 大抵の物理攻撃が効かない体だから……精神系の攻撃を防ぐ魔法を、集中的
に勉強していたのよ。
 あなたが、公園のそばを通った私たちに術をかけてきた時には、その場で殺
そうかと思ったんだけど……彼を焦らして遊ぶプレイを思いついちゃったか
ら、ちょっと調子を合わせてあげたの。どうだった? 私、なかなかいい恋人
だったでしょう?」
 言いながら彼女は、俺の体に撃ち込んだ鉄串を、グリグリとねじっていた。
 吐き気をともなう苦痛の中、俺はこれまでのことを思い返していた……そう
だ、公園の前を偶然通りかかったこの雪菜と、その彼氏のカップルを見て、雪
菜を寝取ってやろうと、彼氏の「見ず知らずの俺への恐怖感」、雪菜の「見ず
知らずの俺への深い愛情」を、それぞれ無制限に高めてやったんだ。
 彼氏は俺が近付くと、怖がって逃げていった。雪菜は、笑顔で俺の腕に腕を
絡めてきた。俺は、いつもどおり、俺の魔法が効いたんだと思って、得意にな
ってここまでやってきた……まさか、効いていなかったとは……それに、この
髪の毛……雪菜、お前は……。
「ゆっ、ゆきなっ、おま、おまえは、ま、まほうつかい、だった、のかっ……
おれと、おなじっ」
 血を吐きながらの俺の言葉に、彼女は笑顔で答える。
「そうよ。たぶん、私の方が強力な、ね。……自分以外に、魔法使いはいない
と思ってた? 残念だったわね、いるとわかっていたら、もう少し用心深くな
ったでしょうに」
 雪菜は、にこりと微笑む。優しく、美しく、それでいてぞっとするような笑
顔を見ながら……俺の視界は揺らぎ……耳に届く音が小さくなり……いつし
か、意識を失っていた。

「ゆ、……雪、菜……」
 俺は、どきどきと激しく打つ心臓を押さえながら、じりじりと雪菜に近付い
た。
 彼女は、髪の毛で串刺しにした男を、地面に投げ落としたところだった。
 たぶん、この男が俺に、何か変な魔法でもかけたのだろう……公園の前でこ
いつの姿を見た途端、急に恐ろしくなって、思わず逃げ出してしまったのだ。
しかし、雪菜のことが気になって、気を失いそうな怖さを我慢して、戻ってき
たのだ。
 正直、今でもまだ怖い。魔法を使った男が倒されても、足の震えが止まらな
いほどだ。
 でも、雪菜のためなら、俺はそれを克服しなければならない。男が雪菜に、
何か危害を加えようとしているのなら、それは他のどんな恐ろしいことより、
防がなければならないことなのだ。
「雪菜……無事か、お前……?」
 俺の呼びかけに、雪菜は、とびきりの笑顔で返してくれた。俺の恐怖心を吹
き飛ばし、安心で癒してくれる、そんな笑顔で。
「ええ、もちろん。きっちり片付けたわ。
 それにしても――こいつの魔法に抵抗するほど、心配してくれたんだ」
 彼女の髪のひと房が触手となって、倒れた男の服の中を探り、一冊の古びた
洋書を取り出した。
「こいつが使ったのは、【慈悲と友愛の書】っていう魔法書に書かれてある精
神操作魔法でね。この魔法で恐怖を与えられたら、どんな勇敢な人だって足腰
が立たなくなっちゃうほどのものなのよ。
 ……まあ、これは原書じゃなくて、できの悪い抄訳みたいだから、それほど
強力じゃなかったのかもしれないけど……そんなに、汗まみれで、顔真っ青
で、ぜえぜえと息が荒くて、膝プルプルさせてて、ズボンの前のところにちょ
っとシミができちゃうぐらい怖い気持ちにさせられて、それでも追っかけてき
てくれるって……彼女冥利に尽きるぐらい、嬉しいな……ふふっ」
 指摘されて初めて、俺は自分が下着を濡らしていることに気付いた。
「それ、気持ち悪いようなら、ここで脱いじゃう? 安心して、ワイセツ物陳
列罪にならないように、私の髪を編んでズボンを作ってあげるから……あ、そ
れとも、私自身があなたのズボンになって、下半身を包んであげようかしら。
あなたが街を歩いている間、私はズボンの内側に口を作って、オチンチン舐め
てあげるの。そういうプレイ、興奮したりする?」
 安心した。いつも通りの、変態な雪菜だ。
 そこで倒れている男にかけられた魔法の影響など、少しも感じられない。
「それより、その人……怪我させちまったみたいだけど、大丈夫なのか?」
「問題ないわ。刺した髪を抜く時、自己治癒力を強化した細胞をたっぷり注入
してあげたから。目を覚ます頃には、完治してるわよ」
「そっか。……この人が使う魔法はどうする? どう考えても、魔法で悪いこ
としようとしてただろ。ほっといたら、また別な人にロクでもないことするか
も……」
「それも大丈夫。私が彼に【慈悲と友愛の書】を使って、魔法を使うことに恐
怖を感じるように精神を操作しておくから。呪文をカスタマイズして、効果が
永久に続くようにね。その上で魔法書を没収しておけば、もう問題は起こせな
いでしょ」
 そこまで言って、雪菜はふと思いついたように、イジワルな笑みを浮かべ
た。
「そういえばこいつ、身の程知らずにも、わたしとあなたの仲を裂こうとした
のよね……よりによって、魔法を悪用して……。そんな奴に、罰のひとつも与
えずに解放するのは、よくないわよね……」
 え? さっき串刺しにしたのではまだ足りないんですか雪菜さん?
 そう思ったが、口には出さなかった。たぶん聞いてくれないから。

・・・・・・。

「う……な、何だ……?」
 男は、不思議な場所に生温かさを感じて、目を覚ました。
 視界がぼんやりする。薄暗い……大通りからは少し外れた、路地裏のよう
だ……確か、雪菜と名乗る少女に、手や足や腹を刺されて……しかし、大怪我
を追ったはずなのに、それらの痛みはまったく感じられない。
 温かいのは、下腹部だ。温泉にでも浸かっているような……おお、なんだか
気持ちいいぞ……ぺちゃぺちゃと、いやらしい音も聞こえる……。
 やがて、視界がクリアになってきた。そして、下腹部に何が起きているのか
を確認した男は、驚きに目を見開いた。
「はふ、あむ、ちゅぱっ、はあ、はあ……ぺろっ、ちゅぱっ」
 幼い少女が、男の股間に顔を伏せて、チンポに一生懸命舌を這わせている。
 髪を左右でツインテールにした、小学三、四年ぐらいの女の子。どう頑張っ
ても中学生にはなっていない。
 どうしてこんな小さな子が、男のチンポを舐めているのだろうか?
「はふ、あ、起きましたか……?
 わたし、そこの学習塾に通ってるんですけど、帰る途中に、知らないお姉さ
んに、おじさんのオチンチン舐めてあげてってお願いされちゃって……。
 嫌だったんだけど、なんだか急に、オチンチン舐めるのがすっごく楽しいこ
とみたいに思えてきちゃって……それで、こうして舐めさせてもらってま
す……あふ、ぺろ……おじさんが寝てる間に、お口の中に、ネバネバしたニガ
い白いオシッコされましたけど、頑張って飲みました……そして、おじさんが
起きたら……」
 少女は立ち上がり、子供らしいプリーツスカートをめくって、股間を見せ
た。
 下着は、すでに穿いていない。毛の一本もない、きれいな縦スジがそこにあ
った。
「おじさんのオチンチンを、ここに入れてあげなさいって……そうしたらもっ
と楽しいからって……。
 だから、入れさせてくださいね……? いいですよね……?」
 男の目から見ても、少女は明らかに正気を失っていた。
 虚ろな目、異常な価値観……間違いない、精神操作の魔法を使われている!
 精神を改ざんされた少女は、力のない笑みを浮かべて、男の下腹部に馬乗り
になってきた。天を向いた元気なチンポを、自分自身の割れ目にあてがう。
 未使用の幼い性器であったが、それをこじ開けるチンポには、すでに少女の
唾液が充分まぶされており、それが潤滑剤の役目を果たした。少女が腰を落と
しただけで、膣は大人の太く、巨大なモノを受け入れ、処女膜を簡単に引き裂
いてしまった。
「うぎゃっ……ひうっ!」
「おおっ……締まるっ……!」
 異常にキツイ、幼女の膣。すでにさんざんフェラチオで刺激されていたチン
ポは、その締めつけに耐え切れなかった。
 びゅくんっ、と、尿道を精液の塊が押し広げ、少女の小さな子宮に欲望をぶ
ちまけた。
 射精は波となって、チンポを何度もしびれさせた。びゅくん、びゅくん、び
ゅくんっ……狭い膣の中で、チンポは痙攣を繰り返し、一度震えるごとに濃厚
な精液を吐き出していく……。
 少女は、洗脳された者特有の笑顔で、膣内射精を受け入れた。男も、その様
子を見て「ストライクゾーンからは外れているが、たまにはこういう子で性欲
処理するのもいいな」と思いつつ、行為後の気だるさを楽しんでいた。
 しかし、次の瞬間、状況が変わった。
 少女の目に、突然、正気の光が戻ったのだ。きょとん、と、目の前の男の顔
を見つめ、続いて下を見て……自分の下半身に起きている事態を把握し……。
「…………きゃああああああああああ――――――っ!」
 悲鳴を上げた。

・・・・・・。

「なあ、雪菜……あれ、いくら何でも酷すぎないか?」
 少女の悲鳴が、街に響き渡る。
 声のした路地裏に、警官が駆けつけるのを確認してから、俺は歩き出した。
「酷くなんてないわよ。私たちに危害を加えようとした男よ? 幼女強姦と
か、不名誉な罪で社会的に裁かれる、ぐらいの目に遭ってもらわないと、気が
済まないわ」
 雪菜の声が、俺の股間から聞こえた。真っ黒い、ジーンズのようなズボ
ン……雪菜が、変身魔法でズボンになって、俺はそれを穿いているのだ。
「いや、可哀想ってのは、偶然近くを通りかかったからって、強姦される役を
やらされたあの女の子のことでな?」
 やや呆れ気味に、俺は自分の下半身に語りかけた……雪菜は俺を大事にして
くれるが、それ以外の人間に対しては、ときどき酷くドライなところがある。
 以前、俺の両親を揃ってニューヨークに転勤させたこともあった。(俺と二
人で過ごしたいからって理由で)
「大丈夫よ。ちゃんと、彼女がトラウマ負ったりしないように、対策を講じて
きたから」
「対策? どんな?」
「成長するにしたがって、淫乱な性格になっていくように、遅行性の魔法をか
けておいたの。将来、この事件で彼女がつらい気持ちになる可能性は、ゼロ
よ」
「……………………」
 駄目だこいつ……俺が、ちゃんと手綱を取ってやらないと……。
「それより、今夜のデートが駄目になっちゃったわね。汗もかいちゃったし、
早く帰って、もう一度お風呂入りましょ。
 それとも、今ここで私が、あなたの汗を拭いてあげましょうか? 下半身だ
けだけど……♪」
 ズボンの内側で、にゅるり、と、濡れた柔らかいものが、チンポに巻きつい
た。
 この感触……間違いない、雪菜の舌だ。彼女の予告どおり、俺は歩きなが
ら、彼女のフェラチオ奉仕を受けているのだ。
「ゆ、雪菜、それ、気持ちいいけど、歩きづらい……はふうっ!」
 他にも通行人がいる街中で、俺は不覚にもマヌケな声を上げてしまった。
 尻の間にも、温かいヌルヌルが忍び込んできたからだ。彼女は、舌を何本で
も増やせるし、そんな長さにでもできる。
 長い舌が、ヘビのように尻の表面を這い回り、先端で肛門をチロチロといじ
くり、ほぐしていく。
 やがてそれは、ぐにゅううぅ~っと、肛門を割り開いて、体内へ侵入してこ
ようとして……。
「ス、ストップストップ、雪菜! それ、気持ちよすぎるから! 歩けなくな
るし、我慢もできない!」
「あ、肛門弱いんだ? いいこと聞いちゃった。
 我慢しなくていいのよ、遠慮なく出しちゃって……いつもどおり、一滴残ら
ず受け止めてあげるから」
 不覚にも、下半身という弱点を雪菜に預けてしまった俺は、家に帰りつくま
で、彼女の容赦ない攻めを延々と受け続けるハメになった。
 歩きながら、二回も射精してしまう屈辱を味わったが、それがクセになって
しまいそうな、なんともヒドイ目に遭った夜だった。

続く……かもしれないとも言い切れないようなそうでもないような。
109

雪菜4

投稿者:液男 ◆p.LufJKJx.
削除依頼
2008/06/26 02:02:50 (rHuQicEF)
まーた時間開いちゃった……でも「雪菜」の続き。

「何やってんのよ、バカ! 慈善事業やってんじゃないのよ、ちゃんと相手
からお金を引き出せる契約書書きなさい!」
 この街の駅前は、真夜中でも明るい。俺は、ちょうど駅ビルに入ろうとし
ているその女の顔を、明るい蛍光灯の下ではっきりと見ることができた。
 二十代後半、三十にはまだなってないと見た。スーツ姿の、なかなかの美
人だった。もちろん下はタイトスカート。背が高くて、腰の位置も高い。し
かも、バストとヒップがでかくて、ウエストは細いときてる。オーバルフレ
ームの眼鏡をかけた目はきりっと鋭く、鼻筋は通っていて、黒い髪はアップ
スタイルにまとめている。プルンと柔らかそうな肉厚の唇が、携帯電話に
荒々しく叫んでいる。
「いい、ビジネスはね、人の役に立とうなんて思ってたら成功しないのよ。
困ってる相手は助けるもんじゃなくて食い物にするの。あんた、人から頼ま
れると、断れないタイプ? だったら、向いてないからこの仕事やめなさ
い。……嫌なら、強気に攻めていい契約取りなさい! 私もすぐそっち行く
から、まだサインしちゃ駄目よ!」
 絵にかいたようなキャリアウーマンだ。厳しいけど、職場では頼りにされ
てるってところか。でも、恋人とかはいないんだろうな。こういうタイプ
は、美人でも行き遅れやすい。
 だったら別に、俺がつまみ食いしてもいいよな?
「あのー、すいません」
 俺は、携帯をしまおうとしていた女に声をかけた。女は振り向き、じろり
と俺を見た。
「なんです?」
 見た目通りの、トゲのある声だ。それに加えて、さっきの電話の内容から
して、今は特にイラついているのかもしれない。俺を見る目は「忙しい時に
話しかけるな、うっとおしい」と、如実に語っていた。
 素材はいいのに、もったいない。どれ、俺が今すぐ、おだやかな気持ちに
してあげよう。
「俺、実は今、ちょっと困ってまして……よければ、ちょっと手伝ってもら
えませんか? 忙しかったら、別にいいんすけど」
 俺がそう言って彼女の目を覗きこんだ途端、女の表情が変化した。険のあ
った表情は急に緩んで、にっこりと笑顔を作ったのだ。
「あら、それはお気の毒! 私のことなんか気にしないで下さい、お困りな
ら、喜んでお手伝いしますわ。どんなことでも、遠慮なくおっしゃって下さ
い!」
 明るい声で言う彼女に、俺は笑みを返した。うまくいった、という、ほく
そ笑みを。
「ありがとうございます。じゃ、あっちの、人気のない公園の公衆トイレに
でも……いいですよね?」
「どこへでも」

 俺は魔法使いだ。外国で偶然手に入れた魔法の書物が、俺を魔法使いにし
てくれた。
【慈悲と友愛の書】というこの本には、人の心のパラメータを自由に上下さ
せる魔法の使い方が書かれていた。
 大きくは善や悪の心、細かくは誰々への嫉妬心とか、食べ物の好き嫌いと
か。そういうのの意識を、好き放題に変えられる。
 俺は今日のターゲット(このキャリアウーマンだ)に話しかけた時、彼女
の「善意」、「無償の愛」、「自己犠牲の精神」、「ボランティア精神」な
ど、人の役に立ちたいという気持ちを、思いっきり高めてやった。
 今の彼女は、奉仕精神の塊だ。電話でしゃべってたような厳しさは、決し
て現れない。人の役に立つために、人のためにならなんでもする、聖女のよ
うな女になったのだ。
「すみませんねー。手に力が入らなくて、ズボンを下ろして用を足すことが
できないから手伝って、だなんて、変なお願いしちゃって」
「いいえ、困った時はお互い様ですもの」
 男子トイレの個室の中で、俺は立って、彼女は俺の前にひざまずいて、ズ
ボンのベルトをはずしてくれていた。チャックを下ろし、ズボンとパンツを
一緒に下ろして、チンポを取り出す。彼女は、初めて会った男のチンポを見
ても、嫌悪感を抱いたりはしない。それどころか、優しく手を添えて、先端
を便器に向けてくれた。
「さ、オシッコ出しちゃって下さい。ガマンは体に悪いですよ?」
 俺は、言われた通りに小便を出し始めた。シャーッと音がして、黄色い液
体が和式便器に溜まっていく。
 本来、座って用を足すべき場所で立ち小便しているから、あたりに飛び散
るしぶきもすごい。彼女のダークグレイのスーツ、そのスカート部分には、
早くも濡れた証である濃い色のしみが浮かんでいた。
 また、チンポの発射口からも副流が出ていたとみえて、彼女の手をポタポ
タと小便がつたって、落ちていく。袖口はもうぐっしょり濡れているよう
だ。しかしそれでも、彼女は不快そうな顔をしない。
「……終わりましたか? たっぷり、出ましたね……」
 小便のしぶきがついた眼鏡をかけた、彼女の顔が微笑む。その笑顔には、
役に立ててよかった、という満足感しかない。
 俺がお礼を言えば、きっと誰にも見せたことのない、明るい笑顔を見せて
くれるだろう。だが、それはまだ後だ。もう少し、俺は楽しみたい。
「ええ、全部出ました……最後に、尿道に残ってる尿を、取り除いてもらえ
ませんか? それが残ってると、残尿感が酷くて」
「まあ! 申し訳ありません、気付きませんでしたわ。でも、尿道の尿を取
り出すって、どうすればいいのかしら……?」
 困って首を傾げる彼女に、俺はアドバイスをしてあげる。
「口でチンポを咥えて、チューチュー吸い出すんですよ。簡単でしょ?」
「なるほど! それは思いつきませんでした。では、さっそく試してみます
わね。失礼します……あむ」
 女は、あーんと口を開けて、尿で濡れそぼったチンポへと、唇をかぶせて
いった……。指とは違う、口腔内の粘膜が俺のチンポを包み、その快感に、
俺はうおっと声をあげた。
「んふ、じゅるるるーっ……じゅぽっ、じゅるっ、ずずっ、じゅっ、じゅ
っ……」
 思いっきりバキュームし、頬肉を内側からぴっちりと俺のチンポに密着さ
せて、彼女は俺の残尿を搾り出そうとした。
 頬がへこみ、ひょっとこ顔になっている……しかし、女のフェラするとき
のひょっとこ顔は、醜いというより、エロい。これを写真に撮っといたら、
それだけでしばらくはオカズに困らないだろう。
 それに、このめくれ上がった唇。ピンク色でプリプリしてて、フェラさせ
たら絶対気持ちイイだろうと思っていた。その予想は大正解だった。その唇
は、サオにグロスとルージュをすりつけながら、チンポの根元を、輪っか状
に締め付けていた。
「おおっ……おー……。そ、その調子……あとは、し、舌でカリ首を、舐め
回すようにして下さい……刺激が加われば、残尿が出やすいですから……」
「んぷ……ふあ、お安い御用ですわ♪ はむっ、ちゅぷ、チュウウゥッ、に
ちゅっ、ぬちゅっ、グチュ、じゅぽっ、ぬちゅっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じ
ゅぷっ」
 吸いつきながら、舌を蠢かせながら、頭を左右に振って、チンポに口で与
えられる限りの刺激を加える彼女。
 見えないが、アドバイスしたとおり、ねっとりした舌が、唾液をたっぷり
まとって亀頭に絡みつき、表面を這い回っているし、ときどき尿道口を、舌
の先端でくすぐるというオリジナル技も見せてくれる。チンポを頬張る口の
端からは唾液が漏れ、スーツの胸元を濡らしている。こんな熱のこもった奉
仕は、ソープに行ってもなかなか味わえないだろう。
 俺は速い方ではないが、今回はすぐに限界が来た。女の綺麗にセットされ
た髪の毛を掴み、チンポをひときわ深く、ノドの奥まで突っ込み、言った。
「出しますよっ」
 女はノドを突かれて、「んごっ」とむせそうになったが、なんとかこらえ
て、頷いた。いつでもどうぞ、ということらしい。俺のためなら、この程度
の苦痛はなんでもないと言いたげな表情……たいした自己犠牲だ。
「イク、イキますよ、あなたの口の中に、排泄します……う、ううっ!」
 ドプッ、ドビュッ、ビュルッ、ビュルッ、ビュルルルーッ……。
 彼女の頬肉が、チンポに完全に密着していたので、自分が射精する時の脈
動を、強く感じることができた。
 彼女の口腔に溜まっていく精液……ジワッと温かくなる感触で、それがわ
かった。彼女のノド、舌、歯、歯の裏、彼女の口の中は、俺の精液で隅々ま
で汚された。
 それを口の中に溜めたまま、彼女はジュルルーッとチンポを吸った。尿道
に残っていた小便でなく精液が、一滴残らず吸い出された。俺はあまりの快
感に肩を震わせながらも、なんとか正気を保ち、ゆっくり彼女の口からチン
ポを引き抜いた……ぴったりと唇をサオに密着させてくれていたので、引き
抜かれた俺のチンポから汚れはこそげ落とされ、薄い唾液に濡れただけの綺
麗な姿になっていた。
「んは……ご満足、いただけまひたか……?」
 女は口を開いた。コップにヨーグルトを溜めたみたいに、口の中全体が白
濁で汚されていた。上下に開いた唇や歯には、白い粘性の糸が引いている。
それだけで、マニアには垂涎モノだろう。
「ああ、ありがとう……助かりました」
 俺が礼を言うと、予想通り女は笑顔になり、便器を向いた。そして、口の
中の精液を、そこに吐き出した……どろっと、精液と唾液の混ざった白濁
が、黄色い小便の海に、糸を引きながら落ちていく。
「おいおい、何してるんですか、あんた」
 俺は、ちょっと怒った声を出した。女は「え?」と、不安そうに、こちら
を振り向いた。
「せっかく、便器が汚れないように、あんたの口に射精したのに、台無しじ
ゃないですか。あんたが出された精液をそのまま飲めば、掃除する人は楽だ
ったでしょう? そう思いませんか?」
「あっ……」
 女は、イタズラを見られた子供のように、怯えた顔になった。
「わ、私、そんなつもりじゃ……でも、確かに、思慮が浅かったですね……
どうしましょう、掃除の人を困らせてしまうなんて!」
 人のためになることしか考えない彼女は、人の迷惑になることをしてしま
ったという事態を、この世の終わりのように思ったようだった。そこで、優
しい俺は助け舟を出してやる。彼女の耳元で、こう囁いた。
「なに、大丈夫ですよ。汚した部分を、あなたが掃除すればいいだけです。
それで元通りですよ。
 掃除用具はここにないから……舌で便器をペロペロ舐めて、吐き出した汚
れを清めてもらいましょう。すごく汚い仕事ですけど、できますね?」
 俺の言葉に、彼女は顔を上げ、神様でも見たように感謝した。
「その通りですわ! ええ、もちろんやります! 便器を舐めて綺麗にしま
す! 私、人の役に立つのが大好きなんです。汚いだなんて……喜んで、や
らせていただきますわ!」
 彼女はすぐに四つんばいになり、便器に顔を近づける。その便器はたぶ
ん、もう何年も掃除されていないのだろう、もともとかなり黄ばんでいて、
固まった大便らしい茶色い汚れも、ところどころに付着していた。しかし、
彼女はためらうどころか、嬉々としてそれに口づけていった。
「ずずっ……じゅるるるーっ、ごく、ずるるっ、ゴクッ、ゴクッ、ゴク
ッ……」
 黄色い水と、そこに浮いている白い粘液が、彼女の唇に吸い込まれてい
く……。

 やがて、俺はひとりで、その公衆便所を出た。
 女はまだ、あの個室で、便器の清掃活動にはげんでいる。ピカピカにする
まで頑張ると言っていたが、それも俺があと九十メートル移動するまでだ。
 俺の魔法は、俺から半径百メートル以内にいる人間にしか、効力を発揮し
ない。その範囲から出ると、術が解けて、正気に戻るのだ。
 あの気の強そうな女が正気に戻って、汚い便器を舐めている自分に気付い
た時、どんな表情をするのかは気になったが、俺はトラブルは嫌いなので、
早々に離れさせていただく。
 そして、次の獲物を探すのだ。
 魔法を身につけてから、俺の精力は増大していた。一日一回射精すれば満
足していたのが、五回は抜かないと満足できないようになっていた。
 そこで、こうして魔法を悪用し、精力発散に努めているのだ。射精に使う
女は、一発ごとに換えている。やっぱり、いろんな女を楽しみたいのだ。次
は、誰を狙おうか。
 そんなことを思っていると、若いカップルが、公園の前を通って、繁華街
方向に行こうとしているのが見えた。
 ふたりとも、幼い顔だ。高校生だろう。女の方は……可愛い。長いつやや
かな黒髪に、白い肌。綺麗な人形のようだ。
 さっきの肉感的な大人の女もいいが、こういう美少女もいいな……。
 でも、横に彼氏がいる。
 人の彼女を襲うってのは、まずいよな……いや、別にいいか。彼氏と彼
女、両方に術をかければいい。
 彼氏の方を、何もできないくらい臆病にして、その目の前で、彼女を淫乱
にして犯すとか、どうだ? NTRシチュも悪くねえなあ……。
 俺は舌なめずりをしながら、二人の後ろを尾行し始めた。
 会話の内容から、彼女の名前が「雪菜」だとわかったのは、大通りに出る
少し前のことだった。

続く……のか?
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