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魔法使い体験告白 RSS icon
※私は魔法使い、そんな私の空想H体験告白

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2009/12/11 17:59:35 (OKmb9H8.)
僕の彼女というか、僕が夫という立場で妊娠させて子どもを設けることを約束させられている将来の
結婚相手について書きたいと思う。

彼女は、生物学的には人間ではある。が、一般の人間とはちょっと違う。いや、ちょっとどころの話
ではない。

何が違うのかというと、彼女は自分の思ったことなら何でもできてしまう魔法の力を持っているとい
うことだ。超能力なんて、そんな子供だましのものではない。本当に自分の意のままに何でもできて
しまうのだ。もちろん、よく物語出てくる魔女がやるような大がかりな儀式なんてものは一切不要
で、心の中でちょっと念じるだけ。たまに、指先を使ったりすることもある。

彼女は現在15歳の高校1年生。肌の色は透けるように白く、とても愛くるしい瞳と唇の持ち主であ
る。その瞳で見つめられると、男も女も、一瞬にして体の力が抜け、メロメロになってしまう。これ
は別に、彼女が魔法の力を使うまでもない。

彼女は毎日、パンツが見えそうなくらいの超ミニスカートの制服姿で登校してくる。スカートからの
ぞく、真っ白でむっちりとしたツヤツヤの太ももに、まわりの男性は立ち止まって振り返り、そのほ
とんどが一瞬にして勃起してしまっている。もちろんこれも、彼女が魔法の力でそうさせているわけ
ではない。

バストはまわりの女性よりもはるかに大きく、夏ともなればピチピチに大きく盛り上がった乳房の肉
が、ブラウスの下でゆらゆらと妖しく揺れる様子を目の当たりにすることができる。腰はキュっとく
びれ、反して大きなお尻。完璧な肉体。

彼女は、このように女性としての強烈な色気と、何でもできる魔法の力を持っているのだ。

彼女の学業成績は、常に学年トップである。しかも、ダントツで。彼女が勉強している姿を見たこと
はないが、不思議なことに毎回毎回、全科目で100点満点なのだ。一度、「試験に魔法を使うなん
て、ずるいヨ」と言ったことがあった。しかし、そんなことはしていないと彼女は言う。彼女は、ま
さに全能なんだなと思う。

ただ1つだが、彼女にはできないことがあると教えられたことがある。それは自分自身を自分の魔法
で妊娠させること。子どもを作るには、普通の人間と同じように、自分の体内に男性の精液を取り込
み、卵子と精子を結合させなければならない。つまり、男性との性交渉が必要なのだ。

その相手として選ばれたのが、何を隠そう僕なのだ。だから、表向きには彼氏とか夫ではあるのだ
が、実際には魔女である彼女を妊娠させるためだけに選ばれた性の奴隷、種馬、もしくは僕(しも
べ)にしかずぎない。

彼女の家系では、女性は彼女と同じように美しく、何でもできる魔力をもっているのだが、男性の場
合は普通の人間なのである。子どものころは魔法は使えないのだが、初潮を迎え、子どもが生める身
体になると、体内で眠っていた魔法の力が一気に目覚めるのだという。そう彼女に聞いたことがあ
る。

このお話は、彼女が魔法を使うようになったころ、つまり10歳になったばかりの、初潮を迎えた小学
4年生の3月から始めようと思う。
(続く)

101
2000/06/25 21:34:11 (hz2Iv7YO)
前回、時間を止める魔法で色々な女の子の時間を止めてから数日。連れてきた
女の子にも飽きてきたので、また町へ出て、新しい女の子を確保しに行くことにし
た。
あれから訓練を重ねて、ものを大きくしたり、小さくしたりすることも出来るよう
になった。もうおわかりだと思うが、今までは目立っていた女の子の運搬も、小さ

してしまえば誰にも気づかれずに持っていくことが出来るのである。
 さて、今回は近くを走る電車の車内で行うこととした。朝はラッシュで大変なの
で、
夕方の下校時刻を狙って行うことにした。
  午後4時のとある駅。私はホームで下校する女子高生を物色していた。そこに
滑り込んでくる電車。
 早速乗り込む。電車が発車すると同時に魔法をかけて時間を止める。ここからは
私の独断場。
以前から目星をつけていた女の子15人に別の魔法(元に戻っても、その子の時間
は戻らない魔法)をかけ、
さらに小さくする魔法をかけて人形サイズにして持ってきた袋に入れる。他の車両
でも
目星をつけておいた女の子に同じ事をして、今日1日だけで150人近い女の子を
人形にした。
やり終えたところで時間を元に戻す。何事もなかったかの様に電車は動き出す。
次の駅で降りて、近くの女子校へ行き、さっきと同じ事を繰り返す。これで両方併
せて
300人近い女の子を人形にした。そして自宅へ戻り、元の大きさに戻す。
しかし、元に戻しても彼女たちの時間は止まったままなので動くことはない。
等身大の人形と化した女の子の前で今日も自慰にふける。極楽だ。
102
2010/07/02 23:24:35 (ZiuHaeXC)
・・・・・・。

「それじゃ、生放送本番いきまーす。三月ちゃん、スタンバイよろしくー!」
「はぁ~い! よろしくお願いしまぁす!」
 グラビアアイドル・桃川美月がテレビカメラの前に立つ。よく熟れた桃のよ
うな、瑞々しさと色気とを兼ね備えた微笑を浮かべている。
 体の、どこもかしこも柔らかそうな美女だった。ヘアスタイルは栗色の内巻
きボブ。やや垂れ気味の目、プルンとした肉感たっぷりの唇。着ている服は、
白のブラウスに、黒のタイトスカートだ(エロいと評判だった、女教師コスプ
レを意識している)。Gカップのバストは、服の下から存在を主張するように
大きく盛り上がり、きゅっと締まった腰がその存在感をさらに高めている。タ
イトスカートにくるまれた、むっちりとしたヒップや、そこから伸びる長い脚
も、まっとうな性欲を持つ男なら、誰しもむしゃぶりつきたくなるような極上
品だった。
(今日は初めて、一人で番組をやるのよね……生放送で、しかも、全国区の人
気番組! これで成功すれば、他にも色んなテレビのお仕事が入ってくるか
も……ステップアップのためにも、今日は特別頑張らなくちゃ!)
 気合いを入れて、しかし売りの癒し系スマイルはそのままに、番組の開始を
待つ。
 ディレクターがカウントを始めた……3、2、1……Q。
「はい、七月一日木曜日の正午を回りました! 『地元悠々ぶらり散歩』のお
時間です!
 本日のレポーターは私、桃川美月がつとめさせて頂きまぁす! 今回私がや
ってきましたのは、○○県の××駅前商店街で――……」
 緊張することもなく、自然にセリフをつむぎ出していく美月。問題ない、う
まくいっている。
 この番組の成功を、見ている誰もが確信していた……。

・・・・・・。

《はい、七月一日木曜日の正午を回りました! 『地元悠々ぶらり散歩』のお
時間です……》
 ぶ厚いカーテンを閉め切った、薄暗い部屋の中。男は、古びた革装丁の書物
をめくりながら、テレビを睨みつけていた。
 テレビの画面の中では、笑顔の桃川美月が、××商店街を案内していた。た
だし、それは現在放送中の番組ではない。テレビの下の、ビデオデッキが再生
している、録画映像だ。現実の時間は、壁にかかった日めくりカレンダーが告
げていた……七月二日。番組が放送された、翌日だ。
 昨日の番組を見ながら、男はぼそりとつぶやく。
「やっぱりテレビに出るだけあって、美人だな……でも、僕は美人は嫌いだ。
いや……女自体が嫌いだ」
 男は手を止める。しかし、書物のページは、自動的にパラパラとめくられ続
けていく。
「女が嫌いっていっても、ホモなんかじゃない。ただ単純に、女って生き物に
虫唾が走るだけなんだ」
 バリバリッ、と音がして、一枚のページが外れ、宙を舞った。バリバリ、バ
リバリッ……書物のページが、次々にやぶれ始める。一枚一枚、まるで蝶のよ
うにヒラヒラ飛ぶ紙片は、やがて一ヵ所に集まり始めた。
 あるページは、くるりと筒状に丸まった。あるページは、他のページと身を
寄せ合って、ぶ厚い三角形の板のようになった。あるページは、折りたたまれ
て小さな部品になり……それらが、まるでプラモデルのように組み合わさっ
て……男の手の中に、再び戻った。
 その書物は、とても書物とは言えない形に変形していた。生まれ変わったそ
れは……銃にしか見えない。筒の長い、ライフル銃だ。紙でできた、ライフル
銃だ!
「僕は、女に魅力なんて感じない。女にペニスを挿入するなんて考えるだけ
で、吐き気がするよ。
 だが……酷い目に遭って、恥をかく女を見るのは、興奮する!
 頭の悪そうなグラドルめ。この【矢と稲妻の書】の威力を試すにはもってこ
いだ……お前には、僕のストレス解消の道具になってもらうぞ!」
 ジャキーン! 男は、ライフル状になった【矢と稲妻の書】を、テレビの中
の桃川美月に向けた。
 そして、彼女の顔に照準を合わせ……。
「モードは負のエントロピー……対象は七月一日、十二時三分。……発射
っ!」
 引き金が引かれる。銃声はしないが、何かを発射した反動が、銃を構える男
の体に伝わった……。

・・・・・・。

 桃川美月は、順調にレポートを続けていた。駅から、駅前公園を通り抜け
て、商店街へ向かう。 
「××駅は、去年改装したばかりの新しいキレイな駅舎で、駅前の公園も清潔
そのものです!
 今日はいい天気なので、散歩するにはうってつけ! 緑の木々や、青い空が
気持ちいい~」
 そう言って、大きく背伸びしながら、顔を空に向けた……その瞬間、最初の
異常が彼女を襲った。
 ビチャッ! ビチャビチャッ!
「きゃっ!?」
 何か液状のものが、彼女の顔に降りかかったのだ。
「え……何?」
 慌てて、手で顔に触れる。ぬるっとした感触が、美月の指に絡みついた。
 白っぽい、ネバネバした液体。しかもなにやら、青臭い、嫌な臭いもする。
 これって、まさか……?
 呆然とした美月の表情を、カメラはしっかりとらえていた。額から右目、
鼻、頬、唇にまで、白い粘液に汚されたグラビアアイドルの美貌を。まるで、
AVの撮影で顔面射精されたかのような、卑猥な顔のアップを……。
「おい、カメラ! 美月ちゃんを画面から外して! 公園の様子を、ぐるっと
撮っとけ。そっちのお前、美月ちゃんにタオル持っていけ! 早く!」
 異常に気付いたディレクターが、すばやく指示を出す。美月が一時的にフレ
ームアウトし、その間にADが美月のところに、タオルを持って駆けつける。
「桃川さん、これでお顔拭いて下さい! ……鳥の糞ですかね? まったく、
生放送中にとんだハプニングだ……」
「あ、ありがと……うん、きっと鳥ね……ビックリしたぁ」
 そう言って顔についた粘液を拭いながら、美月は、鳥の糞だというADの予
想を、頭の中で否定していた。
(鳥じゃないわ。空を見た時、鳥なんて一羽もいなかったもん。
 それに、この白いネバネバの臭い……私だって、男の人と付き合った経験が
ないわけじゃないわ。高校生の時、付き合ってた先輩に、顔にザーメンかけら
れたっけ……あの臭いに、そっくり……)
 しかし、その液体が精液ではないか、という疑問は、長続きしなかった。
 テレビ撮影中に、どこから、誰が精液を飛ばして、顔にぶっかけたりすると
いうのか。鳥の糞が落ちてくるより、あり得ない。
 しかし、現実には、そのあり得ないことが起きていたのだ。
 彼女の顔にかかったのは精液だったし、それは遠いところから、彼女目掛け
て発射されたものだった。

・・・・・・。

「よし、命中した」
 画面の中で、顔を精液で汚された桃川美月が呆然としているのを見て、男は
ガッツポーズをした。
「ふふ、まさか魔法で、遠く離れた場所から狙われているなんて思いもしない
だろうよ。
 しかも、離れているのは距離じゃない。時間だ……桃川美月、お前がどんな
に警戒しても、この【矢と稲妻の書】による狙撃から逃れることはできないの
さ」
 彼の持つ魔法書【矢と稲妻の書】の能力は、極めて単純だ。モノを未来や過
去へ送ることができる……ただそれだけである。
 エントロピーというものがある。宇宙の熱拡散の度合いのことで、通常、こ
の値は常に増大しており、その逆、つまり減少は起こり得ない。不可逆である
がゆえ、大胆な言い方をすれば……エントロピーとは、時間の流れそのものを
指すと言ってもいい……いや、それだとさすがに誤解を招くかもしれない
が……とにかく、そんな感じのものだと思って欲しい。
 しかし、【矢と稲妻の書】は、物体のエントロピーを正にも負にも操作でき
る。
 例えば、オナニーして出したばかりの精液に、負のエントロピーを与えたと
したら……それは、通常の時間の流れをはずれ、過去に向かって逆行してい
く。そして、過去のある時点において元の時間流に戻り、実体化する。ちょう
ど一日前の、桃川美月の顔面に出現したように。
「誰にも手出しできない未来の世界から、過去の世界へ、あらゆる恥辱を送っ
てやる……。
 そろそろ、次の弾丸を撃ち込んでやるか……二度、三度と攻撃を受けて……
耐えられるかな、桃川美月……?」
 再びライフルを構え、引き金を引く。画面の中では、美月は食事処に入ろう
としていた。

つづく。
103
2010/07/02 23:21:50 (ZiuHaeXC)
「【旅人と砂粒の書】の反応が途絶えました。
 おそらく、書自体が破壊されたものと思われます……これ以上、量子マップ
での追跡は不可能です」
「そうか。あれを放出してから、まだ一ヵ月しか経ってないのにな……。
 書を拾った奴が、自分の意思で始末したのか……それとも、あの書の能力に
勝てる魔法使いが出現したのか……?
 まあ、どちらにせよ、書そのものが無くなってしまったんじゃ、これ以上の
実験は無意味だな」
 薄暗い部屋の中、男がふたり、テーブルを挟んで言葉を交わしていた。
 まるで、何か邪なことを企んでいるかのように、声を潜めて、慎重に情報を
やり取りしているようだった。
 片方がささやく。
「しかし、【旅人と砂粒の書】のような強力な魔法書を使い捨てにしてよかっ
たのですか?
 どのような遠大な目的があるにせよ、あなた自身があの書を使いさえすれ
ば、一瞬で叶えられるはずでしょうに」
 もう片方は答えた。
「残念ながら、その考え方は正しくない。あの書の能力は、願いを叶える時、
主観的な願いしか叶えられないという欠点がある。
 例えば、そうだな。君に、病気の恋人がいたとしよう。不治の病にかかっ
て、今にも死にそうな恋人だ。その恋人を助けるために、君があの【旅人と砂
粒の書】に願ったとしたら、何が起きるか?
 次の瞬間には、君は病気が完治した恋人に出会えるだろう。主観的には、問
題は解決される……。
 しかし、それは君自身が『恋人の病気が治っているパラレルワールド』に移
動しただけのことで、もともと君がいた世界には、治らない病気で苦しむ恋人
が取り残されることになる。客観的に見て、これは問題が解決されていること
になるだろうか?」
「なりませんね」
「そうさ。結局のところ、あの書にできるのは、持ち主を夢を叶えるという困
難から逃げ出させる、というだけのことに過ぎない。俺は、あんな書の力に頼
らず、自分の力で目標を達成したいんだ。他ならぬ、この世界でな」
「……わかりました。それで、これからどうします? 【旅人と砂粒の書】を
使った実験は破棄するとして、次は何をしましょう?」
 問われた男は、ニヤリと唇の端を歪ませて、答えた。
「同じさ。他の魔法書で実験をする。魔法を、世の中に対して無作為に使用
し、影響を与え……そこから先は、結果を見て決めるのさ。
 そうだ、いいこと思いついた。お前、俺の魔法書を実際に使ってみろ」
「え~っ!? 僕が、ですかぁ?」
 その思いつきに、提案された方は驚きの声をあげる。
「男は度胸! 何でも試してみるものさ。案外、病み付きになるかもしれない
ぜ……お前さん、魔法を使った経験は?」
「あ、ありません。空間移動の痕跡を追跡する量子マップだって、科学的なセ
ンサーですから」
「そうか。だったらなおさら頼むよ……実験には、魔法に詳しくない、自由な
発想で魔法書を使ってくれる奴を起用したいからな」
「わ、わかりました。本当に、自由に使っていいんですね?」
「ああ。欲望のままに、遠慮なく使いな。ちょうどいいのを、今選んでやる
よ」
 そう言ってテーブルから立ち上がり、壁際に寄る。そこには、大きな本棚が
しつらえてあって……大量の本が、整然と並べられてあった。
 驚くべきなのは、その本棚に並んでいる本が全て……古い、革装丁の書物
(我々は、この体裁を知っている!)……その本棚に並んでいる本が全て、魔
法書であるということだ!
 その数は、ゆうに千冊を超えていた。
「世界中から集めた、俺の宝物……これを全部浪費してでも、俺は俺の願いを
叶える……。
 ああ……お前さんにはこれがいい……受け取れ、【矢と稲妻の書】だ……」
 彼は、一冊の本を取り出し、仲間に手渡した。
 受け取った方は、かしこまって頭を下げ、感動に震える声で言った。
「謹んで、お受けいたします。『詩人』様……」
 その言葉に、男は……詩人は、満足そうにうなずく。
 大量の魔法書を所有する男、詩人。その魔法書で、なにやら怪しげな実験を
行なっている男、詩人。その実験によって、世の中にどんな影響が出ても、ま
ったく頓着しないであろう危険な男、詩人……。
 その詩人が何者なのか、誰も知らない。

・・・・・・。

「なあなあ。今日の昼休みさ、ガッコ抜け出して駅前行かねぇ?」
 ある日、学校に行くと、悪友の岸野が、そんな誘いをかけてきた。
「昼休みに駅前? なんでそんなハンパな時間に行くんだよ。あそこのゲーセ
ンなら、放課後だって行けるだろ」
 ハンパな時間のサボり勧誘に、俺は露骨に気が進まないという言い方をして
やった。
 しかし岸野は、人を馬鹿にしたように肩をすくめ、かえって強く言ってき
た。
「ばっか、ゲーセンじゃねぇよ。目的は駅前の商店街だ。今日の昼、あそこに
『地元悠々ぶらり散歩』のロケでテレビの撮影隊が来るんだよ! それを見に
行くのさ!」
 その番組なら、俺も知っていた。くじ引きで適当な街を決めて、そこにタレ
ントが出かけていって、地元の名物なんかをレポートする人気番組だ。平日お
昼の生放送番組としては、『い○とも』に並ぶ視聴率を取ってるとか取ってな
いとか。
「そんな全国区の番組が来るってだけでも珍しいのに、その上、今回のレポー
ターはあの桃川美月だぜ? こりゃ、見に行かない方が難しいだろ!」
 その名前も知っていた。19歳のグラビアアイドルで、中学生みたいな童顔
とHカップのバストを併せ持つ、なんとも男心をくすぐる美人だ。水着姿はも
ちろんセクシーだが、トークも上手で、最近はバラエティ番組を中心に露出が
増えている。
「桃川三月といえば、岸野。こないだの深夜番組で着てた、女教師のコスプレ
はエロかったな?」
「お! お前もアレ見たか。やっぱ巨乳が白いブラウスを着ると、ふくらみが
目立っていいよなー。あと、タイトスカート最高」
「同感同感。でも、ナース服もよかったよな。あんな看護婦さんに、シモの世
話とかしてもらいてぇ」
 男同士が友情を深めたければ、猥談をするに限る。というわけで、俺たちは
始業前の時間を楽しく有意義に使っていたわけだが、その価値を理解しない人
物が、ここに介入して来た。
 ぱこん、ぱこんと、俺と岸野の頭の上を、丸めた教科書がスキップしていっ
た。
「ふたりとも? そういう話をするなとは言わないけど……女子のいる教室で
は、もう少し小声でやりなさいな」
「げっ、生徒かいちょ」
 笑顔で、しかしその奥に静かな怒りを秘めた雪菜さんの登場である。
 彼女は、俺たちが通う高校の生徒会長をつとめている。成績も素行もよく、
リーダーシップにも優れる彼女は、いかにも絵に書いたような生徒会長だった
ため、クラスメイトからも、名前より「生徒会長」という役職で呼ばれること
の方が多かったりする。
「ちぇー、なんだよー、いいじゃんいいじゃーん。エロい男子を嫌う女は、彼
氏できねーんだぞー」
「あら。エッチなお話が大好きな、いかにも男の子らしい岸野君が、女の子み
たいなジンクスを口にするなんてね。今日は槍でも降るのかしら。
 まあ、そんな戯言はどうでもいいとして、もうそろそろ始業の時間よ。さっ
さと自分の席にお戻んなさい」
 岸野を野良犬のようにしっしっと追い払って、奴がいた俺の隣に、今度は雪
菜が立つ。
「……で、あなたは、女教師とかナースとかの格好をした、グラビアアイドル
がお好みなのかしら」
「イエ、モチロン雪菜サン一筋デス」
 ガラスの棘みたいに鋭い視線で睨まれると、俺はもう彼女の奴隷になるしか
なくなる。将来は愛妻家になるつもりだが、恐妻家になる可能性も高い。
「ふーん? 何なら今夜は、桃川美月……だっけ? そのアイドルそっくりに
変身してあげてもいいわよ?
 ただしSMプレイ限定ね。桃川美月を見るのも嫌になるぐらい、縛って叩い
て蝋燭を垂らしてあげるわ」
「イエイエ何ヲオッシャイマスヤラ、アリノママノ雪菜サマトラブラブシトウ
ゴザイマス」
 耳元で、甘ったるい声で……刺激の強いことを囁かれる。
 学校や人前でこそ真面目人間な雪菜だが、俺とふたりっきりの時はエロの塊
のようになる。今朝も実は、学校に来る前に、朝勃ちをかるーく処理してもら
った。生徒会長らしい清楚な雰囲気を漂わせる雪菜の唇が、つい数十分前には
俺のチンポをしゃぶっていた……それを思い出すだけで、また性欲が頭をもた
げそうになる。
「ふふ、アイドルばかり見るようになっちゃったら困るけど……あなたがエッ
チな気分になることは、私は大歓迎よ? それだけ、私とくっつく機会が増え
るってことだもの」
 そう言って、笑顔と甘い香りを残して、彼女も自分の席に戻っていった。
 この短い会話のせいで、本格的にまたチンポが勃ってまった……次の休み時
間にでも、また雪菜に処理してもらうことになりそうだ。
 その日は、そんな風にいつも通り、平和に始まった。
 異常が起きたのは、昼を過ぎてから……しかも、この高校から少し離れた、
駅前でのことだった……。

つづく。
104

雪菜7

投稿者:液男 ◆p.LufJKJx.
削除依頼
2010/06/28 02:32:25 (8mBu5V9D)
俺と雪菜の早朝デートは、開始早々台無しになっていた。
 突然現れた、薄汚い露出狂……これが実は、俺たちに悪意を向ける(チンポ
出してる時点で、そう判断せざるを得ない)魔法使いだったのだ。
 雪菜は、敵が【旅人と砂粒の書】なる魔法書を使っているらしいと看破する
が、看破すると同時に、逃走を開始した。
 経験豊富な魔法使いである雪菜を、ここまで警戒させる【旅人と砂粒の書】
とは、いったい……?
「【旅人と砂粒の書】はね、ドラえもんで言うと、もしもボックスみたいなも
のなの」
 早朝の、ひと気のない街中を走りながら、雪菜はそう説明した。
「持ち主の望んだ通りのパラレルワールドに、瞬時に転移できるの。別な言い
方をするなら、望まないようなことが起きる世界からは、あの男はさっさと脱
出しちゃうわ。
 ねえ、あなただったら、どう? あなたに向かって槍が飛んできたとして、
大人しくそれに当たりたいと思う?」
「もちろん、思わないな」
 俺は雪菜に併走しながら、背後を振り向いて見た。追いかけてくる【旅人と
砂粒の書】を持つ魔法使いの方を。
 相変わらず、チンポ丸出しでニヤニヤ笑っている。雪菜さえ恐怖させる、と
んでもない魔法使いには見えないが……説明された奴の魔法の力は、確かに恐
ろしいものだった。
「私があの変態を攻撃しようとしても、絶対に当たらないのよ。必ず、回避か
防御をされてしまう。攻撃が自分に命中する世界には、彼は存在しようとしな
いから。
 つまり、逆を言えば……」
 雪菜は急に立ち止まり、振り向きざまに再び髪の毛で槍を形成し、男に向か
って放った。
 まっすぐ飛んだ黒い刃が、男の胸に直撃……するかと思いきや、その直前
に、男はパッと姿を消していた。
「……危険な攻撃を、命中するように撃てば、私たちのいる世界からは、アレ
を追い出せる。攻撃を回避したパラレルワールドに、瞬間移動したのよ」
 消え去った男が、数秒経っても姿を現さないので、雪菜はようやく、肩から
力を抜き、戦闘体勢を解除した。
「でも、この世界の私たちはこれでいいけど……別世界の私たちが大変なのよ
ね……別世界で、奴は攻撃を避けて、元気たっぷりに、別世界の私たちに襲い
かかってるでしょうから。
 奴の退治は、別世界の私たちに丸投げするしかない……でも、退治されそう
になったら、奴はまたさらに別の世界に逃げ込む。……最終的には、必ずどこ
かの世界の私たちが、あの変態の餌食になっちゃうの。
 私があの魔法を恐ろしいと思うのは、それが原因なのよ……」

・・・・・・。

 男は、チンポをプラプラさせながら、朝っぱらからデートしてやがるけしか
らんカップルを追いかけていた。
 彼氏の方はどうでもいい……男はとにかく、カップルの女の方(彼氏は、彼
女のことを「雪菜」と呼んでいた)に魅かれていた。
 黒髪のロングヘア、肌が白くてととのった顔立ち、脚が長くてスタイルもい
い。上品で、ものすごくイタズラ心をくすぐる美人だ。この娘にザーメンぶっ
かけて、嫌な気分にしてやりてぇ!
 ただし、彼がこの雪菜に関心を寄せるのは、その美貌だけが原因ではない。
 雪菜という少女は、チンポ丸出しで現れた彼に、いきなり攻撃を仕掛けてき
た。それも、なんと自分の髪の毛を槍にして、投げつけてくるという方法で!
 この子も、自分みたいに、何か妙な神様に守護されているのだろうか? し
かも、【旅人と砂粒の書】のことを知っているらしい言葉を口走った。
 彼を守護する魔法書の神。それについて、もっと知りたい。
 この雪菜ならば、俺の知らない色々なことを教えてくれるかもしれない
ぞ……そう思いながら、彼は追跡を続けていた。
 走って逃げていた雪菜が急に立ち止まり、振り向きざまに再び髪の毛で槍を
形成し、彼に向かって放った。
 まっすぐ飛んだ黒い刃が、男の胸に直撃……するかと思いきや、ほんのわず
かの誤差で、槍は男の脇の下を通り抜け、後ろへと飛んでいった。
「く……ここは『回避された世界』ってわけ……!?」
 雪菜が悔しそうにつぶやき、またしても髪で槍を形成する。
 そして放つ。今度は一本ではない、数十本の槍が、男めがけて殺到する。
 避けようがない、まさに矢襖。槍なのに矢襖だ。男の視界全体が、槍の先端
で埋まるような、凄まじい物量攻撃だった。
 しかし、男は恐れない。彼の【旅人と砂粒の書】の力は、どんな苦境からも
持ち主を守ると、彼は信じていたからだ。
 最初に彼のところに到達した槍は、彼の右耳をかすめて外れた。
 二発目は、彼の股間をくぐり抜けた。三発目は、腰の右側を通り過ぎ、贅肉
を揺らしただけだった。四発目と五発目は互いにぶつかり合い、大きく的を外
して地面に突き刺さった。六発目も、七発目も、八発目も……一発たりとも、
当たらない。全部、ギリギリのところで外れていく。
 数十本の黒い槍を避けきる、この奇跡に要した時間は、わずか1.5秒。し
かし、彼はその短い間に、二十回以上の量子テレポートを行い、同じ数のパラ
レルワールドを跳躍したのだ。
「ああ、もう! 無数にある可能性世界の中で、私は特別運の悪いひとりみた
いね……嫌になるわ」
 そう悪態をつく雪菜は、肩をゆっくりと上下させていた。呼吸が荒くなり、
額から汗が滴り落ちる。
 彼女は、目に見えて疲労していた。
 その原因はもちろん、魔法の使い過ぎによるものだ。肉体を変化させる彼女
の魔法は、精神力を消耗する上、変化の対象となる肉体にも疲労を蓄積させ
る。エッチなことに使うぐらいなら大したことはないが、攻撃用の武器とし
て、すばやく劇的な変身を行なうと、あっという間にエネルギーが枯渇してし
まうのだ。
 ちなみに、時空間移動という大魔法を使用していても、【旅人と砂粒の書】
は、持ち主の男を少しも消耗させたりはしない。瞬間移動に大量の精神力を消
費しても、移動先が「持ち主の精神力が充実している世界」であればいいの
だ。能力の使用によるエネルギー消費が、エネルギーの充電を兼ねている……
本当に、どうしようもないぐらいチートな魔法であった。
「はあはあ、よ、よくわかんないけど、髪の毛固めて撃ってくるのは、もう打
ち止めみたいだね~?
 疲れてるんでしょ? それだったら無理しないほうがいいよ~。お、大人し
く、俺のチンポじっくり見てよ~」
 ガニ股になって、腰を左右にふりふりしながら、男は雪菜に近付いていく。
彼我の距離は、もう三メートルもない。
(とりあえず、この雪菜ちゃんのお顔にチンポ擦り付けて、嫌悪感で泣いちゃ
ったところに精液ぶっ掛けてやりたいな~。で、その後、お持ち帰りして、
【旅人と砂粒の書】について知ってることを聞き出そう。もちろん、ベッドの
上で、お互い裸になって尋問会だ……へへへ、夢が広がるなぁ……)
 よだれを垂らして妄想にふけっている男を、再び【旅人と砂粒の書】は量子
テレポートさせた。いつも通り、迫った危機から、持ち主を守ったのだ。
 固く握られた拳が、男の頬肉をかすめた(ひとつ前の世界にいたままだった
ら、鼻の骨を叩き折られていただろう)。男は、つまらなさそうに殴ってきた
人物を見た。それは、すっかり忘れられていた、雪菜の彼氏だった。
「雪菜が疲れたってんなら……俺が代わりに、相手になってやる!」
 殺意のこもった鋭いパンチが、男に向かって繰り出される。
 しかし、もちろんそれも無駄だ。男はろくに避ける動作もせず、ただ、偶然
パンチが命中しないパラレルワールドに移動することで、ダメージの全てを回
避する。
 それどころか、ここに来て初めて、男は「攻撃」のために、自分の魔法を使
ったのだ。
「お、お前、さっきからじゃ、邪魔だよ……あっちいけっ」
 彼がそう言って、殴りかかってきた彼氏を手で払いのけると……その瞬間、
彼氏の姿が忽然と消えていた。
 これには、魔法書の神の加護を信じている男も驚いた。
(いろんなことが自分の思い通りになるとは思ってたけど……まさか、人ひと
りこの世から消しちゃうなんて! 俺の神様は、ホントに全能だったのかぁ
~!?)
 正確には、彼氏が消えたわけではない。この男の方が「雪菜に彼氏がいない
パラレルワールド」に移動しただけだ。彼氏は見事に、自分と同じ世界に住む
雪菜は、守り切ったことになる。
「ど、どこ行っちゃったんだろ、あの男……まさか死んじゃったのかな~? 
まあ、どうでもいいけど……邪魔者がいなくなったんだから、べ、別にいいか
~」
 きょろきょろしながらブツブツつぶやく男に、雪菜が皮肉っぽく言い放っ
た。
「何? 私に彼氏がいる世界でも経由してきたの? おあいにく様、私は人に
守られるほど、弱くは……うっ……!」
 雪菜の疲労は、今もなお蓄積し続けていた。体から力が抜け、とうとう地面
に片膝をついてしまう。
 ほんの数秒、顔を伏せて呼吸を整える。そして、再び敵意に燃える瞳を男に
向けた時……彼女が目撃したのは、目の前数センチにまで接近した、醜いチン
ポだった。
「はあはあ、雪菜タンの息が、俺のチンポに当たってるよぉ……ううっ、興奮
しちゃうなぁあ~」
 雪菜は、膝をついて屈んでいるため、その美しい顔が、男がチンポを擦り付
けやすい位置にまで下がっていた。
 熱気と悪臭が届くぐらいにまで接近され、雪菜は嫌悪感をもよおし、反射的
に飛び退こうとした。だが、男は、雪菜が離れていくことを望みはしない。
「あっ!?」
 動かした脚が空転する感覚を、雪菜は味わった……靴底が滑って、体が傾
く。後ろに行こうとした動きは、意に反して、前に進む動きとなって……。
 べちゃっ、と、雪菜は男の下半身に寄りかかるように倒れこみ、この変態露
出狂の薄汚いチンポに、思いっきりキスする羽目になってしまった。
「う、うあっ……や、やだっ……!」
 しかも、雪菜の唇が接触したのは、男の勃起した亀頭付近。すでにオナニー
していたせいで、カウパー液でヌルヌルに濡れていた部分。透明なヌルヌル
が、雪菜の唇にグロスのように付着し、チンポと唇との間に、透明な糸を引い
た。
「おほぉっ! ゆ、雪菜タン、顔に似合わず積極的ぃ~! もっと、もっと舐
めて~!」
「ば、バカ言わない……でっ……うぷっ!」
 喜んだ男が、さらに雪菜の顔にチンポを擦り付けようと腰を動かす。雪菜
は、怒り顔で文句を言おうとする……その、文句を言おうと大きく開いた口
に、カポッとタイミング良く、男のチンポが挿し込まれた。
「んんっ!? んぐぅーっ! んっ、んんんーっ!」
 男のサオを根元まで咥え込まされ、嫌悪にうめく雪菜。口の中に塩味や渋
み、エグみが広がり、尿のアンモニア臭やチンカスの発酵臭が、鼻に漂う。不
潔なモノを口に入れていることを嫌になるほど認識させられ、普段冷静なはず
の雪菜は、さらに動揺する。
 雪菜は慌てて、チンポを口から抜こうと行動を開始した。鼻で呼吸をしなが
ら、舌を動かし、必死で口内の異物を押し出そうとする。
 だが、それは単にチンポを舐め回して、男を喜ばせる結果しか生まなかっ
た。
「おおおおっ……雪菜タン……! フェラ、すっごい上手だよ……。
 お、俺、勇気がなくて、眠ってる女や、酔っ払って意識のない女にしか、チ
ンポ咥えさせたことないんだよね……。
 でも、意識があって、嫌がってる女の子にムリヤリ咥えさせるってのも、
い、いいもんだなあ、ひひひ!」
 その言葉を聞いて、雪菜は眉根を寄せ、殺意のこもった眼差しで、男を睨み
つけた。
 しかし、チンポをしゃぶりながら、上目遣いで睨んだものだから、かえって
男の嗜虐心を煽ることになってしまった。
「そ、そういえば雪菜タン、さっき髪の毛を槍みたいにして、俺に投げつけて
きたよねー。
 あれは何だったの? もしかして雪菜タンも、古い本の神様に守られてて、
そのご加護であんなことができたの?
 少しの間だけ、口を自由にしてあげるから、教えてくんない?」
 そう言って、ずるりっと雪菜の口から、唾液まみれのチンポを引き抜いた。
 ゲホゲホとせき込み、男の臭いで汚された唾液を吐き出そうとする。その様
子を、男は黙って見ていた。
 こうして自由になった時点で、雪菜には逃げ出すという選択肢があった。し
かし、男は雪菜が質問に答えることを望んだ。その時点で、ここは「雪菜が冷
静さを失って、ヤケになって自分の手の内を晒してしまうパラレルワールド」
だったのだ。
「……ええ、そうよ。あれが私の魔法。魔法書【墓場と地下牢の書】から学ん
だ魔法よ。自分の体を、自由に変化させることができるわ。
 あなたが持っているのは【旅人と砂粒の書】でしょう? 確かにそれは、持
ち主の望むパラレルワールドに持ち主を連れて行く、自動的で強大な力を秘め
た魔法書だけど……私は、自分の持っている魔法書をよく読んで、学んで、修
行したわ。
 あなたなんかに、このまま負けたりしない。魔法使いとして……必ずあなた
を、ねじ伏せて、みせる……!」
 気丈に挑戦の言葉を突きつける雪菜に対し、男は得心したように、満面の笑
みを浮かべていた。
「そ、そっかぁ。【旅人と砂粒の書】って、そういうものだったんだぁ~。
 なるほど、だから今まで、あんな都合のいいことばっか起きてたのか……。
じゃあやっぱり、【旅人と砂粒の書】を持ってる限り、俺の望んだことは何で
も実現するんだね? どんな無茶なことでも……。
 例えば、雪菜タンの……えーと、自分の体を変化させる魔法、だっけ? そ
れが暴走して、雪菜タンが動けなくなっちゃったらいいのにーとか、望めば実
現するんだよねぇ~?」
「……え……?」
 雪菜の顔が、さっと青ざめる。
 そして、次の瞬間には、そこは彼の望んだ出来事の起きている世界だった。
「きゃっ!? な、何……? わ、私の魔力が……せ、制御、できな……いや
ああぁぁっ!?」
 雪菜の長い黒髪が、彼女が操作していないにもかかわらず、のたうち始め
た。そしてそれは、蛇のように雪菜の四肢に絡みつき、動けないように拘束す
る。
 しかも、それだけでは終わらない。暴走した彼女の髪は、明らかに彼女の前
に立つ男の利になるように動いていた。
 人形使いがマリオネットを操るように、髪は絡め取った雪菜の手足を器用に
動かし、まず彼女をその場に座らせ、二本の脚を、男に股間が見えるように、
ぐぐっと開かせていった。
「嫌っ……ちょっ、嘘……まさか……!」
 M字開脚というやつである。黒いプリーツスカートの中の、ピンク色の下着
を鑑賞しやすいように、スカートを少したくし上げさせるあたり、意思のない
髪の毛のくせにサービスが行き届いている。
「おほぉっ! お、俺にそんな格好してみせるなんて……雪菜タンのおマン
コ、俺に捧げてくれるってことかな~?」
「そんなわけ、ないでしょう……う、あんっ!」
 髪の毛のひと房が触手のように蠢き、本体を傷つけないよう、履いていたパ
ンティを引き裂いた。
 さすがに、脱がせるほどの精密な動作はできなかったようだが、男にとって
は話が早くていい。
 今、男の目の前で、雪菜が股を大きく広げている。スカートはまくり上げら
れ、下着は引き裂かれ……女性の一番大事な部分が、さあいつでもお使い下さ
いとばかりに、彼の目前に晒されてしまった!
「はあ、はあ、こ、これが、雪菜タンのおマンコかぁ……。高校生ぐらいなの
にツルッツルなのは、体質? それとも、趣味で剃ってるのかな? でもま
あ、ボーボーよりはこっちの方がソソるなぁ。幼女犯すみたいでさ、へへ
へ……」
「くっ……み……見ないで、よっ……!」
 自分の恥ずかしい部分を凝視され、雪菜の顔は耳たぶまで真っ赤に色づいて
いく。誰にも見られるはずがないと思っていたので、油断していた部分につい
て、指摘されたのも恥ずかしさを助長していた……下の毛は、無い方が便利な
のだ……主にトイレで用を足す時とか。
「割れ目がぴったり閉じてるなぁ……でも、さっきの雪菜タンのおしゃぶりの
おかげで、俺のチンポはヌルヌルに濡れてるし……このまま入れても、たぶん
大丈夫だよね? ね?」
 目を血走らせ、熱い鼻息で小鼻を膨らませて、豚のような醜い男が、雪菜に
覆い被さっていく。
 小柄とはいえ、太さのある重たいオスに乗っかられ、か細い雪菜は息苦しさ
に喘いだ。しかし、そんな苦しみは、直後にやってきた苦痛と屈辱に比べれ
ば、それこそカスのようなものだ。
「ぃっ! ……う、あ……ああああぁぁぁぁっ!」
 男性を受け入れるために存在している、股間のささやかなスリット。雪菜の
そこが、初めて使用されようとしていた。ただし……好きな男性との子供を作
るためという、人間的な使われ方ではなく、ただ強いオスの性欲を処理させる
ためという、あまりに獣じみた使われ方で。
 濡れた亀頭が、ぴったり閉じた割れ目を押し開きながら、グニュウゥッと膣
内に侵入していく。
 侵入者の圧力と体温を感じ、雪菜は必死になって逃れようと、身をよじっ
た。しかし、自らの髪で縛られた彼女の抵抗は、男がやすやすと押さえつけら
れる程度のものでしかなかった。
 完全に動きを封じられた雪菜の目の前には、醜い男の顔……にきびだらけの
肌、だんご鼻、ニヤニヤ笑うぶ厚い唇の奥には、黄ばんだ歯。見ているだけで
寒気のするそれが、だんだん近付いてきて……ついに、唇を奪われた。
「むぐっ! んーっ! ん、んーっ!」
 にんにくとカレーと便所を混ぜたような口臭が、直に口に流し込まれた。ぬ
ちゃぬちゃとネバっこい唾液もだ。男は、雪菜の小さな唇にむしゃぶりつきな
がら、慌てる雪菜の表情を堪能していた。
 雪菜の、アーモンド型の大きな目が見開かれ、そこにはいっぱいに涙が溜ま
っていた。そして、真珠のような涙が流れ落ちたのは……男のチンポが、雪菜
の膣の途中にあった膜状の何かを、ぶちっと突破した瞬間だった。
「んほおおおおっっ! い、今の……もしかして処女膜かい雪菜ちゃん!?
 こ、こんな可愛い子のバージンで筆おろしできるなんて、さ、最高だああぁ
っ!」
 興奮した男は、雪菜の細い体を抱きしめ、力強くピストン運動を始めた。
 少女の上で、ぶよぶよしたぜい肉の塊のような男が腰を振る様子は、豚との
獣姦を思わせる背徳感があった。「豚」であり「犯す側」の男には、その背徳
感は痺れるような快感をもたらしたが、「人間」であり「犯される側」の雪菜
には、悪寒と吐き気しかもたらさなかった。
 しかし、どんなに嫌がっていても、肉体は侵入してきた男性器を喜ばせるた
め、自動的に動いてしまっていた……温かい破瓜の血液と、肉体の防御反応と
して分泌される愛液が、ニチャニチャとチンポに絡みつく。ひだひだの膣壁
が、チンポをぎゅっと締めつけ、優しく刺激する。
「はっ、はっ、はっ、はっ、これが、これがセックス……! うああっやべえ
えっ、これやべえよおおっ!
 何発でもヤレるっ、何時間でも続けられるぞっ、こんな気持ちイイことなら
あぁっ!
 雪菜タンもしたいよねっ!? 俺と何時間でも、何日でも、セックスしまく
りたいよねっ!?」
 男の叫びに返事をするだけの元気も、今の雪菜にはなかった。あらゆる苦痛
と屈辱に、心も体も打ちのめされ、彼女にできるのは、男の乱暴な動きに合わ
せて、頭をガクガクと揺らすことだけだった。
 男は、そんな雪菜の顔をべろべろ舐めながら、うっとりと腰からせり上がっ
てくる快楽に身を任せた……ただひたすらに雪菜の膣をかき混ぜ、子宮口を突
き、彼女の体をダッチワイフのように扱った。
 やがて、最初の絶頂が訪れる。
「ぷぎゃああぁぁっ!」と、本当の豚のように一声鳴いて、男は雪菜の中で果
てた。ゼリー状の濃厚な精液が、子宮口に接した亀頭から、子宮内部に直接注
入される。
 下腹部で広がる熱い何かに、雪菜は何をされたのかを知り、一瞬怯えの表情
を浮かべた。
「はー、はー、種付けしちゃったぁ……雪菜たんのお腹ん中で、俺の精子が受
精したらいいなぁ、うひひ……。
 いや、絶対受精する! 何でも、俺の思い通りになるんなら、俺は雪菜タン
が俺の子を孕む世界を選択するぞぉ!
 俺と雪菜タンの子供だったら、どんな顔の子が生まれるのかな? うへ、う
へへへっ……!」
 この時の雪菜の心は、ただ諦観のみだった。【旅人と砂粒の書】の持ち主が
それを望んだなら、必ずそうなる。どんな手を尽くそうと、雪菜はお腹の中
に、この豚のような変態強姦魔の子供を宿さなければならないのだ。
「ふーっ、ちょっと休んだら、またズッコンバッコンしようねぇ雪菜タン……
きみはもう、俺の恋人で嫁ってことで決定だからねぇ……?
 うへへ、本当に【旅人と砂粒の書】には感謝しなくちゃ。何でも思い通りに
なって、セックスできて、こんな可愛い恋人も手に入って……そうだ、あとで
雪菜タンの持ってる魔法書ももらっちゃおう。自分自身の体を自由に変化させ
られるようになったら、さらに無敵だもんなぁ」
 雪菜は、おぼろげな意識の中で、男の言葉を聞いていた。
 この男に、自分の【墓場と地下牢の書】まで奪われたら、自分はどうなって
しまうのか? 魔法書がなくても、その内容はちゃんと覚えているから、魔法
は使える。でも、肉体変化の魔法は私だけのものだ。この豚とおそろいの魔法
を使うようになるなんて、おぞましいにもほどがある。
 でも……肉体変化以外の魔法は、私はあまり詳しくないし……他の魔法書な
んて、持ってない……から……。

 その時、雪菜の脳髄に電流が走った。

「よーし、汗も引いてきたし、第二ラウンドいこうか雪菜タン。
 チンポ抜かずに、そのままズコズコしちゃうからねー。子宮内にどんだけ精
液溜めれるか、試してみようよ、えへへ……」
 やがて、短い休憩時間が終わり、男は再び雪菜にのしかかっていった。
 ここから先も、雪菜は反撃もできずに犯され続ける。男がそう望むからだ。
【旅人と砂粒の書】は、彼の望みを叶える世界へ、彼を連れていく……!

 ばちぃっ!

 ゴム風船が割れるような、水っぽい音が響いた。
 男は、信じられない気持ちで、雪菜を見下ろしていた。雪菜は、会心の笑み
を浮かべて、男を見上げていた。
 男の、厚ぼったい頬に……握りしめた、雪菜の拳がめり込んでいた。
 女の細腕からは想像もできないような、力のこもった一発だった。男の顔面
を完璧にとらえたその一発を、雪菜はそのまま、思いっきり振り抜く!
「ぷぎゃうっ!?」
 醜い悲鳴を上げて、男は仰向けに倒れこんだ。その瞬間、雪菜を苛んでいた
チンポが、彼女の性器からちゅぽんっと抜き取られ、精液と血液にまみれたグ
ロテスクな姿を晒した。
「ば、馬鹿なぁっ!? あ、あんなパンチが当たるなんて……!?」
 男は、驚きに震える声で叫びながら、ジンジン痛む頬を押さえた。
 そうしているうちに、雪菜は立ち上がっていた。彼女の目に、もう絶望感は
ない。
 二本の脚でしゃんと立ち、男の前に立ちふさがる。男を見下ろすその表情に
は、かすかに笑みのようなものまで浮かんでいて……。
「ひ、ひいっ! 何かわからんけど、【旅人と砂粒の書】! 俺を守るんだぁ
あぁーっ!」
 彼の望まない世界から、瞬時に彼を脱出させる魔法書は、彼の意思を読み取
り、彼の望む通りのことをした。
 がすっ!
「げぴっ!?」
 雪菜のローファーの靴底が、男の顔面にめり込んだ。
 世界は元のまま……どこのパラレルワールドにも、移動していない。
「な、なんでだ? なんで、俺は攻撃を食らうんだ!? そういうのが避けら
れる世界に、移動できるんじゃないのかよぉ?」
 半狂乱で叫ぶ男に、雪菜は……にっっっっこりと、これ以上ないくらい優し
い笑顔を浮かべて、言った。
「ええ、移動できるわ。あなたが本当に、私の攻撃を避けたいって思っている
のなら、ね」
「なん……だと……?」
 意味不明の言葉に、男はあっけに取られた。避けたいに決まっているじゃな
いか。誰が好き好んで、痛い思いをしたいものか。
「ところが、痛い思いをしたい……と思っているのよ、あなたは。
 私に殴られたい、蹴られたいって思ってるから、【旅人と砂粒の書】は、あ
なたの願いを叶えるために、その望みが叶うこの世界から、あなたを移動させ
ないってわけ……。
 マゾヒストなのよ、あなたは。私を屈服させるより、私に痛めつけられて、
虐げられて、敗北させられたいと思っている……ううん、思わされている、と
いうのが正解かしら」
 言いながら、雪菜は胸ポケットから、一冊の古びた革装丁の本を取り出し
た。
「これはこの前、偶然私の手に入った魔法書よ。肉体を変化させる【墓場と地
下牢の書】じゃないわ。【慈悲と友愛の書】っていうの。
 この書に記されているのは、人の心のパラメータを変動させる精神魔法。こ
の魔法を使えば、人の性格を自由に操ることができるの……女の子をいじめて
楽しんでいた男の人を、根っからのドMに変えることだって、一瞬でできちゃ
うわ。
 さて……この本の魔法のおかげで、あなたは今、心の底ではいじめられたい
って思わされているわ。
 苦しい目に遭うことこそ、あなたの今の望みなの……。
 だから、ね……これから、あなたに酷いことしようとしている私がいるこの
世界から、【旅人と砂粒の書】が、あなたを移動させる必要があるかしら?」
 雪菜の目が、すっと細くなる。それだけで、春の野原のような暖かい優しい
笑顔は、極寒の氷原で凍りつく水晶のような、冷たい笑みに変わった。
 男は、仰向けに倒れたまま、がたがた震えて雪菜を見上げている。恐怖! 
危険が迫った時の根源的な恐怖が、彼の心の中を占めていた。
 しかし……それでいて、彼のチンポはバッキバキに勃起し続けていた。
 彼が今まで感じたことのない興奮が、恐怖の中に確かに潜んでいたのだ。
「私の魔力の暴走も、どうやらおさまったみたいね。体が自由に動くわ」
 しゅるしゅると、雪菜の髪がよじれ、束ねられ、一本の長くて黒い棒を形成
した。
 その棒は、しなやかに湾曲しながら振り下ろされ、バチーンと男の腕を叩い
た。
 男の悲鳴と共に、桃色のみみず腫れが生まれる。その黒い棒は、SがMをい
じめる時に使う伝統的な道具……鞭となっていた。
「豚の悲鳴でも、聞き続けていたら心地良くなるかしら……? ちょっと、試
させてね」
 笑顔で……雪菜は、男に鞭を振り下ろした。
 振り下ろした。再び振り下ろした……数え切れないほど、振り下ろして、振
り下ろして、振り下ろした……。

 ……二十分後。
「はひいいいっ! 雪菜タン、雪菜タン、もう駄目ええぇぇ勘弁してぇぇっ!
 もう俺駄目っ! これ以上やられたら死んじゃううううっ! 天国イッちゃ
うよおおおぉぉっ!」
 男は全身傷だらけになりながら、しかし恍惚とした表情で、のたうち回って
いた。
 何百回も鞭で打たれて、着ていた服はボロボロだ。露出している皮膚もアザ
だらけ、とても見れたものではない。しかも、数回打たれるごとにチンポがビ
クンビクンと反応し、触ってもいないのに射精して、ナマ臭いものを辺りに撒
き散らすのだから、これはちょっとした生物兵器と言える。
「駄目よ、まだ満足したら駄目……もっと殴らせてちょうだいね。私の味わっ
た苦痛の、百分の一も返していないんだもの……」
 雪菜も雪菜でトリップしていた。黒い鞭を振り回し、転がる男を的確に打ち
据える。一発当てるごとに、こちらもうっとりと頬を染めている。【慈悲と友
愛の書】は、彼女に対しても、ドSになるように性格改変を行なったのだろう
か。
「はああっ! 雪菜タン、またイッちゃう! 叩かれて、精液出ちゃううう
っ!」
「きゃっ! ……もう、汚いわね……靴にかかったじゃない。舐めてキレイに
しなさい。命令よ」
「わ、わかったよぉ! 雪菜タンの命令なら、俺、なんでもするよおおっ!」
「素直でよろしい。でも『タン』はもう禁止ね。これからは雪菜『様』と呼び
なさい」
「はいいいいぃぃぃぃっ! かしこまりました雪菜様ああぁぁっ!」
 四つんばいになって、ピチャピチャと雪菜の靴を舐め始める男。そこについ
ているのが、自分が出したばかりの精液だというのに、躊躇う様子もない。
 さらに彼は、足首からふくらはぎまで舌を伸ばし、雪菜の脚を徐々に上へ舐
め上げていった。
 先ほどのレイプの際、雪菜の膣内に吐き出された彼の精液が、雪菜の白いふ
とももをつたって流れ落ちてきたから、それも舐めてキレイにしようとしてい
るのだ。
「あん、もう……駄目よ……そこまで舐めろ、なんて、命令してないわ……」
 雪菜は、そう言って彼の行動をたしなめたが、内ももを舐められる感触に、
その声は熱を帯びたものになってしまう。
「し、仕方ないわね……特別に許可してあげる。ちゃんと、脚の付け根までき
れいに舐めて……私の中に出した、あなたの汚い精子も、全部吸い取るのよ?
 しっかり、私が満足するまで吸いだせたら……ごほうびに、踏んであげ
る……♪」
 豚男の舌が、徐々に脚を這い上がって、スカートの中に入り込んでくるの
を、雪菜は期待と共に待ち受けた。
 雪菜は、この変態で、男のクズのような、醜い豚男をどうするべきか?
 さすがに、殺しまではしたくないが、まだまだ復讐は終わっていない。これ
からも痛めつけ続けてやりたい。
 となると、この世界に縛っておくためにも、【旅人と砂粒の書】は取り上げ
て、焼いてしまわなくては。突然別の世界に逃げられたら、困るもの。
 ずーっと私のそばに縛りつけて、毎日殴って、蹴って、酷い目にあわせ
て……ときどきこうして、オナニーの道具に使ってあげよう。
 そうだ、首輪をつけて、私のペットにしてあげたらどうかしら。普通のペッ
トでもミニブタとかあるし、豚みたいな男をおうちで飼っても、別にいいわよ
ね……。
「ベロベロベロッ、ぷはぁっ、雪菜様っ、雪菜様ああっ!」
 男は、ぬめった舌を雪菜の性器の中にねじ込むようにして、膣の奥の方まで
必死に舐め、精液も愛液も、一緒くたに飲み込んでいた。
「何でも従いますっ! ご満足頂けるように頑張りますっ! だからもっと!
 もっといじめて下さいいいっ!
 愛してますぅ、雪菜様ああああぁぁぁぁっ!」
 とても人とも思えない、醜い男の叫びを聞いて……この世界の雪菜は、軽く
オルガズムに達したのだった。

・・・・・・。

 いくつか前の世界。
 雪菜に、ちゃんと彼氏がいる世界。
 メタ的に言って、これから先継続していく「雪菜」の世界。

「……もう、戻ってこない……よな。あの変態」
「たぶんね。もう、魔力反応も感じないし。まったく、冷や汗かいたけど……
無事にあれを追放できてよかったわ……うっ」
「おっと……大丈夫か、雪菜?」
 何発もの髪の毛の槍を撃ち、疲労した雪菜に、俺は肩を貸した。
「ん、ありがと……こんなことなら、もっと普段から魔力を温存しておけばよ
かったわね。変身エッチを控えたりして」
「いや、それは困る!」
 雪菜としてはちょっとした冗談だったのだろうが、俺はかなり真剣に異を唱
えた。
 その様子がおかしかったのか、彼女はクスクスと笑う。
「ふふ、そんなにしたいんだ……じゃあ、これからどこかホテルにでも入っ
て、スッキリしちゃう?
 どうせ、今のままじゃ、デートも楽しくないだろうし……気分転換に、
ね?」
 恐ろしい魔法使いと対決した直後なのに、もう俺は誘われていた。
 彼女の、見事な気持ち切り替え術に驚きながらも、俺もその提案には賛成だ
った。汚い他人のチンポを見せられて、悪くなった気分を回復するには、美し
い雪菜の裸身を見るのが一番だ。
「じゃ、決まりね。といっても、あんまり変身する魔力は残ってないから、私
の普通の体でするのがメインになるだろうけれど……。
 ああ、本当に残念……あんな変態魔法使いに出くわさなかったら、もっとじ
っくりいろいろ、凝ったプレイができたのに……」
「ま、それは次に期待するさ。あんな魔法使いに襲われるなんて、そうそうあ
ることじゃないだろうし」
「そうなん、だけどね……」
 雪菜は、そう言って言葉を濁した。

 そう、魔法使いに襲われるなんてことは、そうそうあることじゃなかったの
だ。
 というより、普通ありえないことだったのだ。
 雪菜はそれを知っていた。だから、この時も疑念を抱いていたのだ。そうそ
うないことが、どうしてあり得たのか?
(ただの偶然ならいい。でも、もし人為的な何かが働いていたなら……)
 雪菜はそんな疑念を抱いたが、さすがにそれは考え過ぎだろうと、すぐに頭
から追い払った。
 しかし、それは決して考え過ぎなんかじゃなかった。
 魔法みたいな強い力なら、利用したいと思う奴だって出てくる。今回の事件
が、魔法を利用して何かをしようとした何者かの、遠大な計画の一部だという
ことに気付くには、俺たちはまだ、幼かったのだ。


 ……思わせぶりに言ったけど、続くかな?
105
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