マッサージで感じちゃった俺の体験談

都会のノスタルジィってやつは、
いい加減な奴がいい加減な事を言って、いい加減な事をしてさえいれば、簡
単に手に入るものだ。こんな曖昧な快楽は、日々連綿と成り立って自分のす
ぐ横を流れていく川となっている。ビジホに泊まる客となった俺は捻じれた
快楽の川にゆっくりとその身を融かして行った。
　俺は特に熟女マニアというわけではないが、ハプニングというか、突然の
流れでそれまでの筋道がガラリと裏道に変わるエロチカとドキドキ感がたま
らなく好きなのだ。ビジホというキャラメルの箱には在りし少年の日を思い
出す鉛色の玩具が沢山詰まっている。今俺は高鳴る興奮を抑えながら、その
箱を開けた。
　ネットという落書きには90%の嘘の中にキラリと光る真実がある。まるでド
ブ川に流れ着いた砂金のように、いい加減な奴らがいい加減な事を書いてい
るうちにこっそりとポケットの奥に隠していた真実が飛び出してしまうもの
なのだ。今回はそんな情報をもとにビジホを選び、按摩さんたちの個性が出
易いといわれる土曜日を決行当日とした。舞台は(山手線O駅徒歩5分)老舗中
級ホテルである。
　俺は到着してすぐフロントに電話、失敗しても「おかわり」の可能な早い
時間帯を狙ってみた。事前にサウナに行き禊をしておいた体は、まるでロシ
アンルーレットをするかのような期待に振るえ発熱した。ハプニングを仕掛
けるにはそれなりの準備が必要なのだ。俺はわざと浴衣を着ず、いかにも今
着きましたといわんばかりの格好で待った。下着は通販で買ったビキニのTバ
ックに履き替えた。中年太りの尻にはかなり無理のあるきつさだが、派手な
蛍光色はそれなりに女をそそらせるだろうモノを選んだ。
　案の定、予約の５分前に立て続けに２回チャイムが鳴った。
一呼吸おいてドアを開ける。
「ちょっと早かったですかね?」と彼女は俺の格好を見て言った。年齢高めの
普通のおばさん。
「ボクも今ついたばっかりで(笑)、いやぁ慣れない街を歩いて疲れました
よ」とさりげなく地方のリーマンを演じる。
相手の目をじっと見て、まず笑顔で挨拶をする。これだけでも相手はかなり
安心し警戒感を早く解くものなのだ。笑顔で相手の目をじっと捉えたまま、
少し堅い嘘話をしながらノーネクタイのワイシャツをするする脱ぎ、さっと
ズボンを下ろした。あらかじめ仕込んでおいたTバックビキニをその眼前で存
分にみせつけた。
「これきついから、脱いじゃうね」と言って、返事も待たずさっと浴衣の中
で裸になった。彼女は出逢ってたった５分間で俺の全てをみた。「客」とい
う絶対的な地位格差を利用され否応なしの空気の渦に彼女は巻き込まれる。
俺は浴衣の紐をせずに「あー疲れた」とかわいい声色を放つと糊の利いた掛
け布団の上にごろりと横たわった。彼女は掛け布団の上だと揉みにくいから
起きてくださいと言う。
「ああ、そうなのっ」といいながらわざと寝返りしてむき出しにした獣棒を
浴衣からはみ出せた。
彼女は「すみませんねぇ」と言って布団をまくるが俺の下半身をわざと直視
しない。俺の中のハプニング願望のボルテージはぐんぐん上がり始めた。横
向きになった俺は、その肌蹴た裾を直そうともせず獣棒むき出しにしたまま
按摩を受け始めた。
「時間はどうなさいます?」と聞いてきた。
ここで一番長いコースを宣言すれば大人のお遊びコースが順当に準備されて
しまいドキドキするハプニングにはならないだろう。俺はわざと一番短い40
分のコースを頼み、彼女の思惑を戸惑わせた。(このひと、竿まで出している
のにショートコースなんて・・きっと私は対象外なんだわぁ)と思わせる心理
戦を展開した。布石とはその二手三手先の為に打つものをいう。お堅いまじ
めなマッサージは肩から、エロマッサージは腰から始まるというが、彼女は
肩から始めた。
いい揉み具合だ。ちゃんとした技術とエロチカを持ち合わせているこれは
「当り姫」だと直感した。腰に手を当てさすさすと撫で回される。これから
進む蜜の時間と揉みの快感で勃起する。強く勃起する。ここで俺は「気持ち
良過ぎるから延長してくれる?」と褒め、「時間は大丈夫?」と訊ねると「も
ちろん良いですよっ」とはぎれの良い返事が返って来た。
(当りだ)　
ここからどうハプニングっぽく仕上げるか大切な後半戦に突入する。左右が
終わった後、うつぶせに誘われる。うっとりする腰の指圧が股の髄に染み込
むようだ。俺の男がシビレながら熱くなる。いくら気持ちよくてもここで時
間を費やすわけにはいかない。
「うつぶせ長いと腰が痛くなっちゃうから上向いていい?」というと「どうし
ます?後は内腿とお腹しかないけど」と返事が来る。
(うちモモだぁ?　お腹も捨てがたい・・反り返った竿にコツコツ当たるかも)
と数秒葛藤した後あえてまだノンケを気取り「最近お腹の調子が良くないか
らお願いしようかな」と言って上を向く。もう浴衣なんて無いに等しい。ず
るむけでとんでもない量の喜汁が先端から糸を引いて垂れ下がっている。彼
女は何も言わずもくもくとお腹を揉む。「ああっ」という雄叫びを何度も上
げてみた。無言のじらしなのか、それとも真性の真面目按摩さんなのか、も
うどちらもいいと思える程興奮している。とうとう彼女の手首に濡れてベト
ベトになった亀頭が当り・・それからは何度も、何度も当たる。しかし彼女
は何も言わない。こちらが何か言い出すのを待っているのだろうか?どんな状
態であってもこちらからは言い出せない。だから余計に興奮してしまう。
「歩いて疲れたから内モモもお願いします」というと彼女は無言のまま
まるでバナナの皮を剥くように左右の裾をはだけて内モモを優しく摩り上げ
る。我慢しても声は声帯をくぐり抜け少し漏れてしまう。
これだけの状況になっても彼女はまだ何も言わない。だらりと展開された袋
にも擦れ当たっている。快感に根負けしそうになるが、こちらも意地になっ
て彼女のやわらかく硬い手の甲に喜汁を飛ばす。内モモをさらに強く摩りな
がら、とうとう彼女が口を開く時が来た。
「アノ・・」
俺のごくっと唾が喉の奥に落ちる音が響く。
「時間です」
あはっ・・俺らしい終わり方になった。再延長もコールせず、俺はポーカー
フェイスのまま「８千円でよろしいですか」と言ってさっとお金を渡した。
下半身ははだけて寝崩れた浴衣と硬くなって立掛けた竿がなんとも言えない
男の哀愁を放っていた。
「ありがとうございました」と言って彼女は笑顔で部屋を出て行った。
俺の画策したハプニングは本当のハプニングになった。でも最高に興奮した
ことはこの上なかった。彼女はあえてそんな本当の俺の喜びを見抜いていた
のかも知れない。
俺はあえて抜かずにそのままテレビをつけて寝た。

翌日何事もなかった様に街に出る俺は、なにも知らずに家で待っているカミ
さんに珍しく花を買った。なんでだろう・・

都会のノスタルジィってやつは、
自分のすぐ横を流れていく川なのだ。