何度か訪れたことのある街であるが、
宿は毎回同じで仕事場への利便優先で決めていた。
そこのマッサージは「専属」と客室冊子に謳われていたし、
実際、白衣に手ぬぐい1本、というスタイルでの御登場。
可も無く不可も無く・・
シングル40分をキッチリ事務的に片付けておしまい。
前記のとおり宿泊はその後も数回したが、
そこでのマッサージは最初で最後とした。
久々にその地を訪れることになり、
スケジュール的にゆとりがあったので新規の宿を選んでみた。
マッサージもあるようだ。
専属なのか外部なのか・・
男か女か・・
遅番・早番の年齢層はどうなのか・・
初回だから事前情報は何も無い。
シャワーを済ませてフロントに申し込む。
今から(すぐ)で構わない旨を伝える。
「10~15分程度お時間かかりますがよろしいですか?」
外部委託なんだ・・
ならば稼ぎに興味はあるはず・・
部屋をノックする音が聞こえた。
控えめな音である。
かつて男性の施術師にあたったことはないが
もし自分がノックをしたらどういう音になるだろうか?
ゴツい中指第二関節の骨がモロにドアに衝突する硬い音になるはずだ。
(多分、女だ。)
そう直感したがドアを開けるまではわからない。
卑しい期待にドキドキしながらドアを開けた。
まずは的中。そして白衣の上下。
茶系の髪色と髪型のせいか若そうだが40歳台半ばぐらいか。
医療を感じさせる清楚な白衣の割に、
今、塗りましたと言わんばかりの真っ赤な口紅。
おかしいぞ・・
こんな夜に・・単にマッサージをしに出かけるだけなのに・・
何故そんな彩りを装う必要があるのだ?
ふ~む・・
手には中型の洒落たボストンバッグ。
何を持ってきているのかは知らんが、
手ぬぐい一丁の丸腰姿ではない・・
彼女の切り札が明かになっていない事は事実。
今から始まるひとときに備え、
厭らしいフローチャートを脳内に準備し始める。
TVのバラエティ番組に笑っている。
そんなに可笑しいかな?私にはそれほどには映っていないのだが・・
ただ、その笑い声が艶かしい。
ガハハ!とかブブッ!といったバカ笑いではないのだ。
ククッ、んふふ・・ぁ~あ・・
女性特有のというか、笑った後の余韻に自分自身でさらに笑うような
語尾に溜息が混じるような響きがある。
首肩を施術されている状況を想像して欲しい。
横たわった自分の耳元上からそういう溜息混じりの声が聞えるわけである。
その時さりげなく下半身に血流が増えるのを否めなかった。
彼女の作戦なのか?単なる私の妄想なのか?
いずれにしてもこういう事もなかなか楽しい。
他業者の噂とかは気になるはずだ。
ましてや相手が「専属」系ともなれば少々ライバル意識もあるはず。
かつて別宿での体験を当り障り無い範囲で話す。
「その時はシングルだったの?」
気にしている・・
この客はダブルにしてくれるか否かが絶対気になっている!
ダブル(あるいはそれ以上?)を依頼して欲しいのは明らか。
つまり身入を増やしたいわけだ。
なるほど・・
では、そういう事も踏まえた路線で会話を進めようか。
部屋の空調と体質のせいもあって手足は冷え気味。
涼しい室内で、施術する彼女の手が暖かくとても気持ち良い。
施術が気持ち良いことを多少表現に尾ヒレを付けて褒めてみた。
サービス口上であれ、向うはプロだ。話も上手い。
「手足が冷たい人は心が温かいって言うよ。これホントだよ」
「年寄りだと押し過ぎると骨を傷めることもあるんだよ
オニーさんは若いからガッチリしてるしね、若いとイイね」
若いと何がイイのだろうか・・
彼女は意味深にこちらを見つめながら言う。
視線をずらさない・・
顔や身体の姿勢が変わっても視線だけはこちらに向いたままだ。
何かを求めているのか?
これは私のマヌケな思い込み、考えすぎか?
経験乏しい私ではあるが、普通の雰囲気でないことは察しがつく。
脚の付け根内側へどう攻めてくるかがひとつのキーポイントである。
姿勢を変えて仰向けになる際には浴衣がはだける。
乱れをピシッと整えすぎると内側へタッチしにくいし、
浴衣の下は裸なので生地をたるませ過ぎると局部が露出しやすく
なんだか駆け引きが露骨でいやだ・・
太腿を掴みやすいよう適度に浴衣をはだけて様子をうかがう。
さりげなく、上手に内側に手が入ってくる。
局部の袋に心地よい温もりが伝わってくるのが
手の甲が触れていることを意味している。
下半身が心地よくなるということは
今更書くまでも無いが局部が隆起するということ。
露骨な見せびらかしは避けたいとは言えども、重要な駆け引きではある。
浴衣越しに隆起しつつある肉棒は彼女の目にも留まっている。
彼女は素知らぬ顔で揉みつづけるが、弾みで肉棒先端が顔を出してしまう。
わざわざ謝ってみる・・
そして正直に快感の波が押し寄せていることも告げる。
「そりゃ仕方ないよ。大事なトコだからね。」
「気持ちイイのにビクともしなかったら大変だもんね。」
笑いながらも私の目から視線をずらそうとはしない・・
この事をきっかけにしたかどうかはわからないが
局部への接触度が増えたような気がする。
まぁそのほうがこちらもストレートに下半身の隆起をアピールできるわけだ。
(彼女は「有り」だ・・)
期待が現実となりつつあることを概ね確信する。
彼女が何気なく腕時計に目をやるのに気が付いた。
この客はシングルで終るのか、ダブル追加をもらえるのか・・
それを察するのにそう時間はかからなかった。
正直、彼女の施術力加減が私の好みに一致していたし
もう少し揉んでもらいたいという本来の思いもあった。
ダブルをお願いしてみた。
「ダブル入れてくれるの?ありがとうね」
嬉しそうだった。
頃合いはダブルの終盤を向えるあたりであった。
現実の心地よさと淫らな妄想で肉棒は浴衣越しに天を突いている。
向うからは全く素振りを見せないのでストレートに切出してみた。
そうしたら意外、というような表情で彼女は答えた。
「あらま、でもダブル終っちゃうし・・」
ちょっと遅かったか・・
今からトリプルを頼めばアリなのか?
「ううん、それは・・ほら、ナイショで・・」
イタズラっぽく笑いながら彼女はつぶやく。
このワクワクする微妙な「間」にそれは起こった。
彼女の携帯が鳴った。事務所からである。
狭い部屋の中での受話であるから全て聴き取れる。
「あ、はい・・
今ちょうどダブル終りになるんです・・が・・
あー・・え~とですね・・続いて・・
あぁそうですか・・う~ん・・」
彼女にもいわゆる「その気」があるのが覗えた。
しかしその後の受話内容で空気が急変していくのを感じた。
結局、他ホテルから「今からすぐ」の予約が入って
そちらへ行かざるを得ない状況になったとの事である。
「ごめんね、ダブル入れてもらったのに
ホントごめんね・・ ありがとうね」
そう言い残して彼女は去って行った。
はっはっは・・面白いじゃないか。
肉欲の放出直前であっけない幕引き・・
今思えば誘いのサインは充分出てたんだと思う。
ちょっとタイミング外したなぁ・・
まだまだ場数が足りないな。
まぁ、施術前にこれが終った後の予約状況を尋ねるのも忘れてたし、
ここはあまり情報豊富なエリアでもないので期待薄で臨んでたし・・
本能の思惑は満たされない結果ではあったが、かなり楽しかった。
そこに至るまでの「過程」というかなんというか・・
ドアを開ける前に始まり、
やり取りの中で抱いていたほのかな予測がほぼ当った・・
フツウの施術をフツウにダブルで受けただけの今回のホテルマッサージ。
だがその過程にはフツウでは得られない楽しさがあった。
彼女が去ってしばらくした後、何気なく浴衣の乱れを直した。
太腿内側にヒヤッとした感触を覚える・・
見ると、我に戻った肉棒の先端から透明な粘液が糸を引いて垂れていた。
経験も含め、私はまだまだ青いな・・
駄文にお付き合いいただき感謝します。