M子の話は続いた。
実家に戻るつもりは無かったので、この部屋を購入したが、今回の事態で、どうしようか悩んでいたらしい。
売却も考えたが、すぐに売れるとも限らない。
ならば、自分が実家に戻っても、私とT美の関係は続くのであれば、T美を住ませば、良いのではと考えた。
ただし、支払いは、すでに完済しているが、管理費だけは、払って欲しい。
遊びに来る事があれば、無条件で受け入れる。
私と別れる事があれば、部屋を出る。
この3つが条件提示された。
私にすれば、勝手知ったる部屋である。
言う事は無い。
だが、T美からすれば、確かに、今の住居よりも、遥かにグレードも上がり、ましてや、家賃も1/3になるが、どう足掻いても、M子の影が残ってしまう。
それが気掛かりであり、M子も相談という形を取ったようだった。
暫く、T美は考え込んでいた。
M子『やっぱり嫌かな…?ここは…』
沈黙を破るようにM子が口を開いた。
T美『いえ…、そうじゃなくて…』
M子『何?』
T美『ここに住めるのは、夢のようで、嬉しいんです…。でも…。』
M子『でも?』
T美『引っ越せば、当然、病院にも届けないとダメですよね?』
M子『そうね。保険や免許も手続きがいるものね』
T美『それは良いんです…。でも、その…、理由が…』
M子『理由?あぁっ!そんなの心配いらないわよ(笑)』
T美『えっ…?』
M子『私がここを買ったのは、みんな知ってるのよ(笑)だから、空き家にするのは、勿体無いからT美ちゃんに住んでもらうって言えば良いんだから』
私『いやいや、そやなくて、何故、T美って話やん?』
M子『だって、T美ちゃん家って、遠いし、不便でしょ?それで十分理由になるでしょ?』
確かに、言われた通りではある。
T美の部屋は、M子の部屋から、さらに歩いて15分程掛かる。
病院からだと、ゆうに、40分程の距離。
普段は、自転車だが、雨の日は大変らしい。
おまけに、周りにコンビニくらいしかなく、買い物も、いつも、M子の部屋近くのスーパーで買って帰っていた。
私『まぁ、確かに、理由としては成立するな』
M子『後は、T美ちゃんの気持ち次第なんだけど…。どう?』
T美『ホントに良いんですか?』
M子『当たり前よ!私から言い出したんだから(笑)』
T美『じゃあ…、お願いします』
T美は、M子に頭を下げた。
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