翌週、M子と約束の日。
一旦部屋へ行き、着替えて、少し静かに呑める居酒屋へ行った。
最初は、何時も変わらぬ話をし、今後のT美の調教等も話ていた。
M子『万さん…』
意を決したようなM子。
私『本題やな』
M子『うん…』
私『終わり…、やろ?』
M子『えっ…?』
驚いた顔で私を見る。
私『大体の予測はできる』
M子『…』
俯くM子。
泣いていた。
暫く様子を見ていると、話始めた。
M子は、元々、他府県の出身である。
当然、年に数回は、実家へ帰っていた。
しかし、この半年程は、よく帰っていたのを不思議に思っていた。
どうやら、母親の具合が良くなく、様子見に帰っていたらしい。
だが、前回帰った際、余命宣告を受けたと。
半年。
残された母親の時間。
本来ならば、すぐに帰るべきなのだが、仕事もある、ましてや婦長という立場。
病院に迷惑は掛けられないという思いもあり、引き継ぎを考え、翌月に退職をする事にしたと。
長女であり、妹が居ると聞いていたが、その妹は嫁いでいる為、実家に戻る事はできない。
残された父親の面倒を見る人間もなく、呼び寄せたが、来る気は無い。
母親の最後を看取りたい、父親の世話をしなければならないとの理由で決意したようだった。
しかし、決めたものの、私への思いもあり、言い出せなかったと。
もう、話せる状態ではなくなっていたM子。
ただ、ひたすら謝り続け、泣き続けていた。
私『そうか…』
M子『ゴメンね…』
私『家族の事や。ましてや生き死にの話やしな』
M子『万さん…』
しがみ付いてきたM子。
私『しゃあないやろ?お前が決めた事や。反対はせん』
抱き寄せ、声を掛けてやる事しか出来なかった。
私『元々のスタートは、身体だけやったんやし、泣くような事やないやろな』
M子『でも…』
私『オレに飽きた。それでエエ』
ただ、泣き続けていた。
M子の気持ちが痛い程判っていた。
私も、M子と離れるのは辛く、胸を締め付けられる思いだった。
しかし、引き止める事はできず、寧ろ、突き放すくらいでないとM子の気持ちが揺らぐ気がした。
私『残された時間は、出来るだけ一緒に居る。その代わり、帰ったら、キレイサッパリ、オレの事は忘れろ』
M子『ヤダ…、無理だよ…』
涙と鼻水、化粧が崩れたグチャグチャな顔を上げ、更に、グチャグチャにしていた。
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