続きです。
止めた車の中で、私は躊躇していました。
でも…ここまできたら…農場の前まで歩いて行ってみよう…
そこで、犬たちに吠えられたりしたら、すぐに逃げよう。
車の鍵はつけたままにしました。
逃げる時、落としたり探したりしてられないし…
そっと車を下りました。
農場の入口の電柱の灯りまで早足で向かいました。
もうドキドキが止まりません。
入口近くで忍び足に…
電柱の灯りにさらされないようにして…
近くまで来ると、ゆっくり深呼吸をしました。
堆肥の匂いがします。
上がった呼吸を整えて、柵の前まできました。
驚いた事に、犬たちは皆起き上がってこちらを見ていました。
六つの目が光ります。
吠えてはきません。
柵の脇から入ります。
唸り声が聞こえました。
「ポチ、ラッシー、マリっ」と小さい声で呼んでみました。
唸り声が止まります。
甘えた声がしました。
ゆっくり近付きます。
ついに…犬たちの前に来てしまいました…
ポケットからドッグフードを出して、一番右端のマリに近付き首を撫で「ポチとラッシーを貸してね…」と囁きながら、ご飯の入れ物に入れました。
マリは食べるのに夢中でした。
真ん中のラッシーに手の甲を出しました。
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