身体中の生気を吐き出した様な長い放出感だった。
「奥さん‥」
顔を上げて目で笑いながら口を放した。
「ありがとうございます。気持ち良かった‥」
「たくさん出たわね。」
「奥さん‥」
指先に付いた汚れを奥さまの鼻先に寄せると顔をしかめた。
「もう‥圭一ったら‥。」
「良い匂いですよ。奥さんの匂いです。」
「もう‥」
二人で浴槽にお湯を張り,浸かります。
「本当に嫌いにならなかった?」
「本当ですよ。ますます好きになりました。」
「本当に?」
「はい。また,見たいです。」
「圭一もね。」
「え?」
「だってそうでしょ。おたがい様で,圭一も見せてくれないと。」
「僕もするんですか?」
「そうよ。どんなに恥ずかしいか味わってもらわないと。」
笑っていました。
「ご主人もしたんですか?」
「あの人は‥しなかったわ。」
「そうなんですか?なぜ?」
「なぜかしら。見せてって私が言わなかったのもあるわね。」
「そうなんですか。」
「見たいと思わなかったからかしら。」
「そうですか。」
「でも,圭一は見たいの。見せてね。」
排泄行為は自分もそうですが一番人に見られたくないものだと思います。
それを見せると言う事はある意味でその人に全てを晒してしまう事になるのでしょう。
「圭一,何を考えているの?」
「え‥恥ずかしいけど奥さんが望むなら見せても良いかなと。」
「えぇ。見せて欲しいわ。」
「はい。その時は‥」
「え~今じゃないの?」
「すみません。心の準備がまだです。」
二人で笑ってしまいました。
「奥さま。」
「何?」
「他にもご主人とした事ってありますか?」
「他にも?」
「えぇ。ちょっと言えない事とか。」
「あるかな‥でも言わない。」
「え~教えてくださいよ。」
「言わない‥全部,圭一としちゃったらあの人がかわいそうでしょ。」
「そうですね。」
奥さまの中では,氏と過ごした一つ一つが良い思い出となっているのを理解しました。
「圭一‥」
「はい。」
「ありがとうね。」
なぜ奥さまがその時,お礼を言ったのか僕にはわからなかった。
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