すみません。本題と逸れてばかりで。
お付き合いください。
それは何の血縁もない自分にとっては考えられない事でした。
奥さまも考えていた以上の相続に思わず息を飲んだほどでした。
「これは‥」
「もちろん有効でございます。」
「でも私は牧方さんと‥」
「牧方さまのご意志ですから。」
「でも,お二人の息子さん達は‥」
「先に拝見していただきました。離れていて一同に会する機会が取れないので。」
「何と?」
「何もおっしゃいませんでした。」
「でも‥」
「お受け取りください。それが牧方さまがお望みですから。」
「でも‥このビルは会社名義とかになっているんじゃないんですか?」
「いえ。牧方さまの個人名義です。」
「でも‥」
「本当にお二人の事をお考えになられた決断だと私は思いました。ただ貯蓄を遺すだけでなく,この様な形で遺す事が生活を続けて行く上で一番良い方法だと私も思います。」
「はぁ‥」
何とも実感が掴めず気の抜けた返事をしてしまいました。
「正式な登記手続きを済ませるまで私がお二人のお力にならせていただきます。」
「この経営に関すると言うのは?」
今まで口を挟まずにただ,じっと聞いていた夫人が聞いた。
「私もそれは初めて知ったのですが,どうも牧方氏は○○○○の筆頭株主であったのはご承知かと思いますが,この○○地区の畜産家から乳製品を買い求めて○○○○へ卸すと言う形で別の会社を興していました。○○○○の経営にはお二人の息子様に相続し,こちらの会社を奥さまに遺した様でございます。」
「そうなんですか‥でも私なんか,会社を経営すると言っても‥」
「ご安心ください。直接,奥さまが指揮を取る事はたぶん無いでしょう。今まで通りの生活で何も問題はありません。社員として働く者に任せておけば。後でこの畜産家を訪問し経営者が奥さまになられた事をお伝えして回る予定でおります。」
「そうですか‥」
「そこでお二人にご提案と言いますかお願いがございます。今後の事ですが私どもの事務所をこの機会に顧問としてお手伝いさせていただく訳にはいかないでしょうか?公認会計士も税理士も抱えていますので一括してお手伝いさせていただければと思います。」
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