その夜
・・・・・カンカンカンカンカン・・・・・。
キンコーーーン♪
多香子「ひー坊、いるーーー?食いもん持ってきてやったわよーーー」
俺 「はーーーーーーい」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
多香子「・・・・・・・ふうっ」
俺 「わっ」
カムフラージュの掛け声を一発入れーーー部屋に入って来たおばちゃんに、声をあげてしまう。
多香子「?、何よ」
俺 「・・・・・・・Tシャツじゃないなぁ、と思って」
多香子「何それ。あんたあたしがTシャツしか持ってないとでもおもってるんの?」
俺 「珍しいじゃない」
多香子「外に出るときはこんなよ。別に普通じゃない?」
言いながら、おばちゃんは自分の身なりを見直す。
俺 「・・・・・・・・・・・・・・店番する時は、外に出てることになんないの?」
多香子「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺 「な、何?」
多香子「・・・ま?最近は?泥だらけでタックルしてくるような厄介な子供は減ったけどねぇ~~~?」
俺 「は、はてさて?」
多香子「春雨サラダ持ってきてやったから、あとで食べなさいよ」
そう言ってキッチン横の冷蔵庫に半透明のタッパーをしまいこむ。
俺 「そういうの、いいって言ってるのに」
多香子「何も持たずに出入りしてるの見られたら、怪しまれるかもしれないでしょ。念のためよ」
俺 「大丈夫だと思うけどなあ」
多香子「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
じッ・・・・・ーーーと。
俺 「な、何?」
憂いと不安の色が漂う瞳に見つめられ、少し慌てる。
多香子「・・・・・・隼人に気付かれてない?」
俺 「うん」
多香子「今日も店の前で、おとーーさんと喋ってたわね」
俺 「せ、世間話をね」
多香子『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺 「信用ないなあ」
多香子「だってあんた・・・・・感嘆に口滑らせそうなんだもん。不安にもなるわよ」
本当に不安そうに、家庭のある人妻は眉をひそめる。
俺 「大丈夫だってば」
多香子「それに・・・・・・・・あたしだって」
俺 「はっ?」
多香子「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ピンク色の唇を震わすように、僅かに口ごもってから。
多香子「・・・・・もうあたし、ひー坊の顔、外でまともに見れないもの」
俺 (う、うわあ)
かわいい。
と、出かかった言葉を、ゴクンと飲み込み。
俺「な、なんでさ」
多香子「なんでって?・・・・・・・・・お、思い出しちゃうからよ」
俺 「俺とエッチしたこと?」
多香子「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺 「おっちゃんの前で、俺との浮気エッチしたことを思い出してたんだ」
多香子「そ、そういうこと言わないで」
俺 「おばちゃんのスケベ」
多香子「ああ、もう・・・・・・・馬鹿っ」
ぐぅいッッ・・・・・・・・!!
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