その日の夕方
カァ カァ カァ・・・・・・・・・。
てれてれてれ・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
俺 「あれっ?」
慶次「やぁ、ひー坊」
俺 「おっちゃんーーー店は?」
そう言ってーーー証明が落とされた看板を伺う。
慶次「今日は水曜日じゃないか。定休日だよ」
俺 「・・・・・・・あ、そうか」
慶次「あはは、すっかり忘れてるね。小学生の頃はしっかり覚えてただろうに」
俺 「そうすね」
慶次「隼人に用かい?今日は出かけたけど」
俺 「知ってる」
どこに行って何をするかまでーーー具体的に。
慶次「・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺 「おっちゃんは、どっか行くの」
慶次「いやあ、ふふふ、そうなんだ。ふふふふ」
俺 「な、何?」
慶次「実はねーーー今日は以蔵に行けそうなんだ」
以蔵というのは、商店街の端にある小さな居酒屋。
小学生の時。
「以蔵にいるはずだから、つれて帰っておいで!!」
おばちゃんにそう命令されーーー忠実な兵士気取りの俺と隼人は、おっちゃんを連れ戻しに行ったことがある。
慶次「いやあ、久しぶりだなぁって思って、うふふふ」
俺 「久しぶりなの?」
慶次「最近は・・・・・今日はたまたま家に誰もいなくなるから。ふふふふ」
俺 「・・・・・・・おばちゃんも?」
慶次「これから婦人会の集まりなんだってさ」
俺 「へえーそれは」
多香子「おとーさーーん?どこーーーー?」
俺 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
多香子「あら不良学生。隼人ならいないわよ?」
俺 「知ってるよん」
口の中に分泌される唾液を飲み下しながら。
多香子「おとーさん、ゴハン用意しといたから適当に食べてね。あたしはもう出なきゃなんないから」
慶次「ああ、わかってるよ」
多香子「心置きなく呑みに行ける、とか思ってないでしょうね?」
慶次「・・・・・え、な、何が?」
俺 「お、おっちゃん、とぼけるの下手すぎ」
慶次「こ、こら、ひー坊」
多香子「はあ?ちょっとお父さん、どういうことッ」
慶次「い、いや、母さん、いやいや」
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