その翌週末、俺は志織をアフターに誘って見ました。
最初は断られました。
先週展示会の絡みで会ってない彼氏と、会うんだろうなは簡単に予想出来ました。
予想しつつもあえて誘ってみたんです。
夕方、出先からの帰社途中、俺の携帯が鳴りました。
志織からでした。
『彼氏の方キャンセルしたので、行きます』
(キタキタキタ~!)
誘ったときの志織の様子から、もしかしたらこうなるかも、それも予想してました。
でもまさかほんとにそうなるとは思ってなかったですが。
待ち合わせて志織と会いました。
『彼氏、怒ってたでしょ?』
『はい、それもメチャクチャ怒ってました。でも社会人には会社の付き合いってもんがあるの、そう言ってやりました』
そう言って悪戯っぽく笑い、ぺろっと舌を出した志織に、脈はあると直感しました。
『彼氏と別れちゃいなよ』
う~んと唸った志織。
そして沈黙。
『だって彼氏をキャンセルして、俺とこうしてる、気持ち離れてるでしょ?』
沈黙からまた、う~んと唸ってました。
『なんとなく』
そう言った志織は再び沈黙、言葉を選んでるようでした。
『先が見えてきたような、彼氏と』
『先?』
『続けてられないな~、みたいな』
志織が社会人になり、すれ違いが増えて、衝突することが増えていたそうです。
『会うと、まず彼氏の機嫌を直す作業からなんですよ。正直楽しくないし、疲れるんです』
本音が聞けたような気がしました。
『Hしてやっと機嫌直る、そんなとこでしょ?』
Hと言う言葉に、ピクッと反応した志織。
『まぁ、そう、ですね』
『それじゃ楽しくはないよな』
『なんでそんなことまでして、機嫌とらなきゃならないのか、疑問に感じるんです。前はそんな疑問、感じませんでしたけど』
(終わってるな~)
そう感じました。
攻撃に転ずるタイミングを計りながら、話をしてました。
そんな時、志織は質問を投げかけてきました。
『亮介さんはどうしてそんな、私と彼氏を別れさせたいんですか?』
直球勝負に出る、そう思いました。
『社長から新入社員と紹介された志織ちゃん見て、一目惚れだったから。彼氏の後釜に座りたいからさ』
おそらく志織は、俺の気持ちに気づいてました。
やっぱり、みたいな納得したような態度でしたが、嬉しそうではありませんでした。
二者択一を迫られたと思ったんでしょう。
『今は何も答えられません』
困惑気味の志織を、それ以上追い詰めてはと思いました。
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