その日は朝から生理で体が重たかった。
出勤時間の少し前にメールが鳴る。彼からだ。
「今、お前の家向かってる」
「今日仕事だよ。約束してた?」
「お前が無理でもとりあえず行く」
私は会社に電話を入れて休みを貰った。
入社して初めてのずる休みだった。
「休み貰ったから会えるよ」
「すまない」
それだけ返信がきてしばらく静かな時間。
2時間が経ち家のドアホンが鳴った。
「急にごめん」
「うん、入って」
彼はソファーに腰をかけるとずっと下を向いてる。
私は黙って暖かいコーヒーを出した。
彼は手の中でカップを包みながら飲んだ。
飲み終わる頃に彼は口を開いた。
「仕事辞めてきた」
「…そう」
「驚かないのか?」
「前から、ちょっと無理かもって言ってたしね」
彼のチームに女性の上司がいて、事ある事に彼を目の敵にするのでやりずらい。と前から聞いていて何度かアドバイスもした。
「かばってくれるやつもいたけど…」
「辞表は?」
「朝、出してきた」
「受理された?」
「あぁ簡単に。君はその歳になって幸せな奴だなって言われたよ」
彼は自嘲気味に笑うと、また下を向いた。
「俺、いつもこんな感じなんだ」
「こんな感じ?」
「人間関係が苦手で。俺、地元の友達に離婚した事言ってないんだ。どう思われるか怖くて」
「…そうなの」
「俺がぽちゃ好きになった理由知りたいか?」
「うん、教えて…」
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