爺ちゃんは某総合病院に入院していた。
俺は仕事帰り、よく爺ちゃんを見舞いに、病院を訪れていた。
俺が爺ちゃんを見舞い病院を出ると、爺ちゃん入院してる階担当の勤務を終えた看護師さん二人が、何か話しをしながら俺の前を歩いていた。
会話の内容から、どこか食事して行こうみたいだった。
俺はその二人、どちらも好みだったので、俺も一緒したいなと声をかけた。
背後から声かけられたもんだから、最初びっくりされたが、んじゃ一緒しますか、とあっさり。
三人で飲むことに成功した。
吉井和代さんと岡島礼子さん、その時俺24才、吉井さんは俺より年上だろうと思っていたが、なんと33才、もう少し若いかと思っていた。
岡島さんは、俺と変わらないと思っていたが、実際には四つも上の28才、二人とも若く見ていたので驚いた。
爺ちゃんは入院患者の中で、わがままも言わず、素直で評判高いと言われた。
そのせいもあってか、二人は俺に好意的に接してくれた。
お酒が進むにつれて、愚痴がやはり出てくる。
吉井さんは彼氏がいるとわかる。
岡島さんもいるようだが、うまくいってないようだとわかる。
俺は強制的に、愚痴の聞き役をさせられる。
吉井さんの携帯がなった。
彼氏からだった。
俺と岡島さんを置いて、さっさと彼氏のとこに行った。
残された俺達、岡島さんはどうするのかと思ったら、今度は逆に別な店に行こうと誘われた。
カウンターバーにてカクテル。
彼氏に電話するとか、メールするとかしなくていいのか聞いた。
すれ違ってばかりだし、何日も連絡取り合わないなんて普通だからと言う。
院内では自分の携帯を見ることすら許されないのだからと、寂しそうに言った。
そしてまたカクテルを飲む、かなり酔ってきた様子の岡島さん。
そしてこう言った。
『多分、近いうちに別れる。いや多分じゃない、確実に。私の気持ちがもう離れているから』
俺は言った。
『立候補したい。岡島さんの彼氏に』
ジロッと俺を見た。
『四つも下のくせに生意気な』
ニヤリと笑った。
脈有りと踏んだ、
岡島さんは携帯を取り出した。
それをなにか操作して、カウンターに携帯を置く。
また飲み続けた。
夜10時、出ようと岡島さんが立った。
カウンターに置いた携帯を握り締めて。
『さっき、彼氏にメールしたんだ。でも一時間半しても返事なし。仕事終わってるはずなのに。こんなもんだから』
笑った岡島さん。