昨年の夏、激しい下腹痛を訴え、患者が家族に付き添われ来院しました。
その患者の顔を見るや、高校時代の同級生のS子と直ぐ分った。
S子は少し男の子にモテルことを良い事に、私を陰湿に2年間イジメ抜き卒
業した。
8年も経つのに、その顔を見ると身の毛がよだつのです。
彼女は激痛に苦しみ、私には全く気づいていない。
先生は診察の後、「子宮外妊娠の為 緊急に手術が必要です」と家族に了承
を得、緊急手術が始まった。
近く、S子が結婚すると、風邪のうわさでは聞いていました。
彼女を全裸にし、手術衣を着せ剃毛を行い、手術台に両脚を開脚させ両手足
首を完全に固定しました。
「S子 貴方の腹を開腹して 腐っている処を切り取るけれど だいじょう
ぶよ 」と話しかけ、軽く微笑んで見せた。
S子は、始めて同級生の私に気づき、顔から血の気が引いていく。
間もなく、応援の麻酔科医が手術室に入ってこられ全身麻酔となった。
気の失った顔すら、憎らしい顔をしている。
私が助手を務め、開腹が始まった。
子宮の上下方に膀胱が見える。
高校時代のあのイジメが思い出され、「膀胱に穴でも開けてあげようか」と
言う衝動に駆られた。
輸卵管を露出させる為に、排尿つかさどる神経が通る組織を器具で軽く押さ
える。神経を覆う組織が薄いので強く押さえると、簡単に排尿障害を起こし
てしまう。簡単に言うと「尿漏れ」です。
S子の腹黒い臓物を見ていると、つぃつぃ、器具を握っている手に力が入る
のです。
手術後、先生から家族に「手術は成功いたしました」と告げられました。
しかし翌日、S子は尿漏れを起こしたのです。
先生は「手術後ですから・・ 軽度ですし 1・2ケ月もすると治るでし
ょう」と告げられ、10日後に退院をした。
S子の排尿をつかさどる神経組織の3割は壊死し、機能不全に陥っているの
です。
S子は、一生 尿漏れとの付き合いです。
尿漏れの新婚生活の始まりなのです(笑)