解 説
ウマビルは環形動物ヒル綱のヒルド科に属する種で,大きな個体は15cmにもなるとされています.
ご覧のように背面は鮮やかな緑色で,はっきりとした縦線があります.画像の個体は丸まっていますが,体を伸ばすといちじるしく扁平になり,尺取り虫のような動きで移動しますし,体全体を波打たせて泳ぐことができます.この泳ぎは,ヒルとは思えない?ほどの速さです.
画像の個体は10cmほどで,他に2cmほどの個体がいました.本種は吸血性ではありませんが,手に取って観察しようという気にはなりませんね.なお,吸血はしなくても,噛みつくことがあります.ウマビルのウマはおそらく,“大きい”ことに由来すると考えられます.
ヒル綱の学名はHirudinea,ヒルド科の学名はHirudinidaeで,ラテン語のhirudoに由来します.hirudoには,治療用の吸血性の虫(worm),すなわちヒルと,医者という意味があります.もちろん,日本語のヒル(蛭)はヒルドに由来するのではありません.なお,英語でヒルの仲間はleechです.
ウマビルもめっきり減りました.じつは,この画像を撮影したすぐ上流の一画に無農薬・減農薬の稲の圃場があります.ここにはトノサマガエルが生息しており,個体数は少ないもののメダカの群れも見ることができ,他とは歴然と異なります.農薬がヒルさえも駆逐したことは,肝に銘じておく必要があるでしょう.