AP通信によると、米ハーバード大学とMIT(マサチューセッツ工科大学)の共
同研究チームは、ヒトとチンパンジーがいったん分岐した後、交雑する時期を
経て、再び2つの種に分岐して現在に至ったとする新説を発表した。
同研究チームは、従来のDNA研究の800倍の量のDNAを解析した結果、分岐した
時期のみでなく、どのようにDNAが生成されたのかを分析することが可能に
なったとしている。
これまでの説では、ヒトとチンパンジーは共通の先祖から約700万年前に分岐
したものと思われていた。
ところが、新説によると、まず1000万年前に分岐し、その後400万年間、別々
に進化の道をたどった後、約600万年前に短い時期ながら2つの種が交雑し、両
方の特徴を持つ交雑種が生まれたという。
そして、この交雑種がヒトとチンパンジーへと分岐したとしている。
この新説に対し、学界の反応は両極端に分かれている。
多くの古生物学者は、この時期のヒトの化石から見て、チンパンジーとの交雑
は難しいと考えている。
今回の研究チームに参加しなかったハーバード大学の古人類学者ダニエル・
ハーバーマン教授は、「非常に画期的で独創的な分析だ」としたが、一方
で、「二足歩行の人類がチンパンジーとつがいになるとは考えにくい」とも
指摘した。
今回の研究は、DNAを細かい断片に分けて比較したが、ある部分の変異は分岐
が1000万年より前に起きたことを示す一方で、別の部分の変異は分岐が630万
年より後に起きたことを示すなど、矛盾が見られたことに注目し、新たな仮説
を立てたという。
最終的にヒトとチンパンジーが分岐したのは、540万年前ごろが有力とされて
いる。