白いタイル貼りの四畳半程の部屋が、君に与えられた全てだった。
部屋の中には、シャワーが一つと、排水口、ベッドがわりの大型犬用の犬小屋に毛布。
窓は一つのみ。
君の頭の上に位置する小さな曇り硝子から射し込む陽光が君に時間を教えてくれる。
もう一つ、時間を教えてくれるのは、日に三度餌皿に盛った食事を運んでくる男の存在。
君は、自ら望んでこの部屋に足を踏み入れたはずだった。
なのに、どうしてもその男が誰なのか思い出せない。
恋人か、家族か、それとも赤の他人だったのか。
そもそも、この部屋にいつから君がいるのかすら思い出せない。
生まれた時からいたような気もするし、つい最近だった気もする。
自分が知性と理性を持った大人の女だった気もするし、まだ幼さを残す少女のような気もする。
それすらも君にはどうでもよくなっていた。
犬小屋の毛布にくるまって微睡んでいると、この上なく幸せだった。
目覚めた後に待っている日常の儀式を待ち望んでいた。
白いタイルに朝の光が射し込んでいた。
君は目覚めると犬小屋から出て、光に照らされたタイルの上に丸くなる。
陽光が君の剥き出しの裸身をほんのりと暖める。
衣服は着けていない。
着る必要も無かった。
君が見に着けているのは、赤い首輪だけ。
首輪から繋がる鎖は犬小屋に固定されている。
外そうと思えば外せるが、君には外す理由が思い付かない。
光に照らされた鎖がきらきらと輝いているのを、君はうっとりと見ている。
綺麗。
君はその綺麗な鎖が自分を飾っているのを誇らしく思う。
唯一、他の場所に繋がるドアが開いた。
穏やかな表情で男が入ってくる。
手に、美味しそうな湯気を立てる餌皿を持って。
くう、とお腹が鳴る。
今朝の餌はシチューだった。
床に置かれた餌皿に、四つん這いになり顔を埋めてシチューを啜る。
手は使わない。
使う必要を感じなかった。
舌で器用に肉を掬い、咀嚼する。
柔らかく、噛む度に肉汁が溢れ出す。
美味しい。
シチューと唾液が唇から溢れ、顎を伝う。
夢中で餌を食む君の横で、男はシャワーの温度を調整している。
その水音に、じわり、と君の身体が反応した。
下腹部がムズムズしはじめている。
息が荒くなり始めていた。
一番、楽しみな時間が始まる。
人である事を止めた君が牝になる時間。
太ももを、つう、と粘液が伝った。
「おいで」
部屋に入って、初めて男が口を開いた。
ペットに語りかける優しい口調だ。
君は四つん這いのまま、シャワーヘッドを外して待っている男の元に歩いていく。
君にしっぽがあれば、嬉しげに振ってみせただろう。
男の足元で君は丸いお尻を男に向けて高く突き上げ、中心できつくすぼまった排泄器官に両手を添え、精一杯開いてみせる。
そこに、冷たい粘液が垂らされる。
ぞくり、と君の背骨を興奮が走る。
とぷり、と君の亀裂に粘液が溢れる。
君の排泄器官に指が挿入された。
君の唇から吐息が漏れる。
ゆっくりと根元まで差し込まれた指が腸壁を愛撫する。
吐息が嬌声にかわる。
にちにちと垂らされたローションがはしたない音を立てる。
君は嬌声を上げ続ける。
きゅっ、きゅっ、と締め付ける。
はしたなく動く腰を止められなかった。
指が、二本に増えた。
よだれが床のタイルにこぼれた。
それを君は舐めとる。
舐めとるそばから、よだれがこぼれ落ちる。
うねうねと指が動く。
君のツボをおさえた動きだ。
その指に君は狂う。
はしたない言葉を、君は叫んでいた。
言葉はやがて意味をなさない叫びとなり、激しく排泄器官を締め付けて、君は達した。
痙攣の後に弛緩しきった排泄器官から指が粘液の粘った音を立て抜かれた。
すぐに、かわりの異物が挿入された。
シャワーヘッドを外されたホース。
朦朧としながら、君は精一杯締め付けて待つ。
温かい湯が、君の腸を満たしていく。
止めどなく流し込まれる湯が、君のお腹をぷっくりと膨らませていく。
限界まで湯を満たされて、止まった。
君のお尻に手を当て、ホースが抜かれる。
びゅるっ、と、少し湯が漏れ、君は慌てて締め付ける。
男が歩いていく後を、君は四つん這いでついて行く。
膨らんだお腹が重い。
背を壁に凭れた男の足元にぺたりと座り込む。
火照った排泄器官と滑る性器に冷たいタイルが心地好かった。
すぐに便意が来た。
脂汗をかき、お尻を震わせてしまう。
男が囁いた。
「我慢しなさい」
君の髪を撫でる。
舌を突きだし、喘ぎながら男の足にすがりつく。
まだ、出したくなかった。
限界まで我慢して、排泄する。
その姿を見て欲しかった。
汚ならしく惨めな姿を。
君の意志を無視して排泄器官がぷくりと盛り上がり漏らしてしまいそうになる。
「出ちゃう……出ちゃう……うんち出ちゃう」
君は譫言のように繰り返す。
舌を突きだし、喘ぐ。
ひくり、ひくり、とお尻が痙攣する。
脂汗が流れ続ける。
男の足に頬をつけすがりつきながら、必死に耐える。
時間の感覚が無くなっていた。
苦痛と羞恥と興奮。
君の唇からは意味のなさない言葉がこぼれ続け……限界が来た。
座り込んだままの君のお尻の下で、汚ならしい破裂音と共に、固形物混じりの茶色の液体が噴き出した。
「見ちゃヤダぁっ!!」
君の悲鳴に媚びた音色が混じっている。
思わず腰を浮かした君の排泄器官から惨めな位激しく糞便混じりの湯が溢れ出す。
「出てる……出てる……汚いうんち出てる……」
君は排泄の快感と羞恥の快感に達しながらうっとりと呟く。
「見て……汚いわたしを……見て」
君は力尽きて後ろに倒れ込む。
君の糞便で汚れたタイルに。
大きく開いたままの君の股間から、はしたない水音が溢れる。
失禁しながら、君はうっとりと男を見上げる。
君の小便で足元を濡らした男が、チャックを下ろしている。
男の陰茎から、ほとばしる小便を君は顔で受ける。
大きく口を開き、舌を突き出してそれを浴びながら、君は失神する。
失神しながら、君の排泄器官がぬるりと排便するのを感じていた。