かつて勤務していたバイト先のゲームセンターでの話。
退勤間近の午後9時頃。水分補給のため休憩室に戻ると、先に退勤していた青山さん(仮名)が寛いでいた。
彼女は一年前に採用された若手の女性バイトで、僕と同い年の当時20代後半。大島優子似の綺麗な人だった。「子どもが居る」と言っていたが、旦那の話を聞かないので、多分シングルマザーだろう。
青山さん「あ、お疲れ様です」
僕「お疲れ様~」
青山さん「今日平日なのにキツかったですよね~」
僕「本当だよ~。マシンエラー多すぎだよ今日」
…と、他愛ない会話を軽く交わす(青山さんが同い年なのに敬語なのは、多分僕が、バイト陣でもかなりの古株だったからだろう)。
水分補給を済ませ、青山さんに「ごゆっくり~」と声を掛け、フロアに戻った。
その後勤務を終えた10時頃、退勤のために休憩室に戻ってきた(この店は構造上、休憩室を通って事務所に行く)。すると、休憩室のテーブルにビニール袋が置かれていた。
(青山さんの忘れ物か?)
その時は長時間の勤務で疲れていて、「早く帰りたい」という思いが先行し、あまり気にならなかった。
事務所で終礼を済ませると、退勤対応した社員は、フロアに戻っていった。僕も荷物を持って店を辞去しようとしたとき、例のビニール袋が目に入った。そして、中身が見えた。
この店の制服のポロシャツ。その上に乗せられた、黒い塊。
(これは…まさか!)
黒い塊をさっと手に取る。黒いハイソックスだった。足裏には、うっすらと足の形が白く浮かび上がっていた。
状況的に、青山さんの物に違いなかった。あの美人の青山さんのソックス…嗅がない手はない!
爪先に鼻を押し付け、匂いを嗅いだ!ところが…。
(…洗剤の匂いしかしねぇ)
ソックスの爪先は、汗の湿りすら感じられなかった。青山さん、少なくとも足汗はかかない体質なのだろうか。
ちょっとガッカリしつつも、まだ希望は捨てられなかった。まだポロシャツがあるじゃないか。
人の気配に警戒しながら、ポロシャツを取り出す。腋辺りに触れてみるが…こちらも湿りは感じられず。あまりクサイのは期待できそうにない。まぁ、女性の甘い匂いも嫌いではないのだが…。
腋を嗅いでみる。
(!!?)
(ちょっとだけ…臭い!)
いかにも「腋」という感じの酸味のある匂いがした!
夢中で匂いに食らいついた。
スー、ハー…。
(あぁ、臭いなぁ…青山さんの腋…。酸っぱいなぁ…)
大島優子似の美人の腋臭は堪らなかった。
今日の店はマシントラブルでドタバタだったから、それなりに汗をかいたのだろう。それに青山さん、日中にメダルゲームの直しづらい詰まり解消にチャレンジしていたから、緊張で余計汗をかいたのだろう。
(青山さん…今日も頑張ったもんね。お疲れ様。青山さんの頑張りの証、しっかり堪能させてもらうよ)
幸運にも、休憩室には誰も現れず、僕は気が向くままに青山さんの匂いを堪能した。
数分後、店のバイトのライングループに青山さんのメッセージが届いているのに気付いた。
青山さん「お疲れ様です。私、制服おきっぱにしてませんでしたか?」
僕「あー、ありますよー」
青山さん「すいません、ありがとうございます。明日持って帰るんで、そのまま置いといて下さい」
ラインでやりとりをしながら、言い様もない興奮と罪悪感にさいなまれていたのだった。