某マッサージ店に勤めております。
就職難の折り、バイトで入り3年で正社員となりました。特別な資格も技術もありません。先輩の手技を見よう見まねで。あとはお客さんとのコミュニケーションで騙しだましここまでやってきました。
某政令指定都市の主要駅ビルに店があり、仕事帰りのOLさんも多くいらっしゃいます。特にリクエストがなければ男女関係なく施術します。
利用されたことがある方はおわかりかと思いますが、マッサージを受けるのに、カッチリした格好やジーンズなどは御法度で、ゴム製のトレパンに、Tシャツといった服装になります。レンタルもありますが、常連さんはご自分で用意されます。
施術が始まる前に、仰向けになり顔にタオルをかけリラックスしていただきます。そこから特にコリがひどいとお客さまが指示される場所を重点的にほぐすのですが、もちろん、不必要なボディタッチはできません。
もっとも、何年もやっているとあまりそちらの気は起こらなくなります。
ただ…。
ただ、匂いを嗅ぎたい衝動だけはどうしても抑えられません。
脚の施術は、指の一本一本の筋を確かめ、軽く引っ張ります。夏場は汗ばんだミュールやヒール。今の時期は、ムレムレのブーツを脱いでの素足の施術です。
上半身の施術では、仰向けのままバンザイの格好で、肩周りから脇の下の筋を伸ばします。親指を脇の下の窪みに当て、肩を摘むように筋をほぐします。夏場はもちろんですが、冬場は厚着の上、地下鉄の暖房がよく効いています。また、昼間は仕事で緊張する場面も多いことでしょう。精神性の発汗で独特の匂いを発しています。
極ごく希ではありますが、下着の締め付けを嫌ってノーブラになるお客さまや、ノースリーブでワキ全開のお客さまもいらっしゃいます。脱毛されていないので結構なジョリ脇で、直接触れる手が思わず震えてしまいます。
カーテンで仕切られた二人だけの空間で、仰向け、顔にタオルという状況です。直接嗅ぐことはさすがにできませんが、自分の指にしっかりと匂いをすり付け、堪能しております。
薄給のうえ、7割は脂ぎったオヤジという過酷さもありますが、なんとかバランスをとっております。