1年前、営業サポートとして採用された30代半ばの独身女ミホ。
年の割りには童顔で可愛い感じだが、ノリがとにかく悪く真面目そのもの。
現在、うちの部署には4人の営業サポートがいるのだが全員20代でノリもいい。
運の悪い事に俺の担当がミホになってしまった。
歓迎会をすると言っても遠慮する振りして来ようとしない。
怒り気味に「社会人なんだから」と説得して渋々参加させた。
しかしノリが悪く自分の事をほとんど話そうとしない。
こういう会は苦手なんだろう、2次会に行く流れになった時には既に消えていた。
数ヶ月が過ぎたある日。
お得意様から「電話でしか会話したことなのでミホと一度挨拶したい」という要望を承った。
相変わらず態度は硬い感じが、仕事はしっかりこなすミホ。
お得意様からもそれなりの信頼を得ていた。
挨拶に伺った後、せっかくだからと夕食の場に誘われた。
さすがにお客様からのお誘いなので、ミホも空気を読んで何も言わず素直についてきた。
職場飲み会では考えられないくらい、ミホはお酒が進んでいた。
というより、飲まされていた。
最初こそ「あまり強くない」と宣言して少量に留めていたが、日本酒が出てきたあたりから徐々におかしくなってきた。
普段飲み慣れない日本酒を勧められるままに口に運ぶミホ。
しらふなら絶対答えないような質問にも普通に受け答えしていた。
「彼氏いるの?」
「いないです」
「どのくらいいないの?」
「5年近くいないです」
「結婚したくないの?」
「したいけど、相手にしてくれる人がいないです」
お得意様も俺もこの状況に淡い期待を抱いている様子だった。