中出し体験告白

１２年ほど前、住んでいる町の駅前の居酒屋で、いつものように同僚と飲んでいた。
その日はいつもと趣向を変えてビルの上の階の行ったことのないスナックへ。

スナックではひげ面の５０代くらいのマスターと、
２０代前半くらいの少しかわいいお姉ちゃんが笑顔で迎えてくれた。
数十分後、店内にトイレがなかったため、
一旦店から出て廊下のトイレに向かった時、俺の後ろからお姉ちゃんがついてきた。
「どこかで会いましたよね」
どきっとした。
仕事柄、女と出会う場面はないし、もてない俺は女と付き合った経験がない。
俺がこのくらいの年頃の女の人会ったことがあるとなると、
前に１回だけ行ったテレクラくらい。

「５年くらい前に、○○までドライブ行きましたよね？」
テレクラで会ったあの子に確定。
彼女は男性経験がなく、周りの子がどんどん経験していく中で、
自分も経験してみたいという、ささやかな興味本位だったらしい。
処女だからエッチなしでフェラだけの約束だった。
でも、俺もエッチの経験がなく、彼女もやり方を知らず。
俺は童貞を暴露して先っぽだけ入れさせてほしいと懇願し、
先っぽだけのつもりが少しずつ深く入れ、半分くらい入ったところで暴発。
思わず中出ししてしまったのだった。
もう一度会いたいと思ったが、彼女に年齢を聞くとまだ学生の身、
警察に捕まることをビビった俺は電話番号も伝えずさよならしたのだった。

「やっと会えた」と言った直後、突然泣く彼女。
訳も分からず、泣いている理由を聞くと、
あのエッチの後、たった一度の中出しで彼女は妊娠。
まだ学生だったために堕ろす金もなく、親にも言えないでいるうち、
もう堕ろせない状況になり、俺にもばれ、学校をやめて出産。
俺に会いたくても名前も知らない、電話番号も知らない。
はじめのうちは親に援助してもらい、
そのうち一人で何とかその子を育ててきたらしい。

信じられなかった。
しかし、店での会話で職場も名前もバレてるから逃げられないし、
子供の顔を見れば嘘かどうかわかるかもしれないと思い、
携帯番号を交換して後日会った。
子供の写真を見せてもらったら、俺の姉の子供の頃にそっくりの女の子。
写真を持つ手がふるえたね。

俺がテレクラに行ったことは誰にも言ってない。
俺はもてない男で、彼女とのエッチがそれまでの人生で唯一のエッチだった。
彼女はと言うと、出産してから誰とも付き合ったことはなく、
エッチもしていないと言う。
午前中にパート、午後は保育園に迎えに行き、夜に寝かしつけ、
子供が寝た後に叔父のスナックでバイトをしてたらしい。
そんな生活で誰かと付き合う暇なんてないし、
叔父がいるから店で客と関係を持つこともなかったらしい。
そして、誰とも付き合わなかったのは俺を探していたから、と。

５年もの間、彼女を苦しませていた俺は、呑気に同僚と３日に一度は居酒屋通いをし、
独身を謳歌していた。
情けなくて、久しぶりに長い時間泣いたと思う。

その後、俺たちは結婚した。
出会いがテレクラだということは誰にも話してない。
スナックであの日に初めて出会い、一目惚れしたことにしている。
俺の両親にも義理の両親にも俺が子供の本当の父親だとは告げていない。
もちろん、子供にも言っていない。
はじめの数ヶ月、俺のことを「おじさん」と言っていた我が子も、
今は普通に「お父さん」と言ってくれている。
少し反抗期だが、ひどくはない。
結婚後、もう一人女の子が生まれた。
姉妹で顔がそっくりで、俺の姉に似ている。

結婚したからと言っても俺の罪が晴れたわけではない。
初エッチでコントロールできなかったとは言え、無責任な中出しだった。
あのまま出会わなければ、俺の人生全てが無責任になるところだったと今でも思う。
妻を５年間苦しませたことは忘れられない。
罪滅ぼしではないが、少し喧嘩をしても、必ず俺から折れることにしている。
洗濯は俺の仕事だ。