僕には2つ年上の彼女がいます。名前は沙織。21歳。美容師を目指して、現在修行中です。
付き合い始めて4ヶ月、『お母さんが「見せろ見せろ!」とうるさいのよ。』と言われ、初めて彼女の家を訪れました。
沙織の父は亡くなくなっており、お祖母さんとお母さんの女人家族3人暮らし。43歳のお母さんは気も若くて、友達のように接してくれました。
テーブルにはとても豪華な料理が並びました。沙織のお祖母さんが『僕が来るから。』と自慢の腕前を振るったのだそうです。
特に、ちらし寿司は絶品でした。食べ終わって、『これ、また食べさせてください。』と素直に言えるほど。
お祖母さんも、それには嬉しそうに笑顔で答えていました。
まだまだ結婚は先ですが、明るく振る舞ってくれる沙織の家族はとても居心地がよくて、その後も訪れる回数が増えて言ったのです。お寿司目当てもあります。
『お祖母ちゃん、せいくんのこと気にいったみたいよ。昨日から、メッチャ嬉しそうにご飯作ってるわぁ。』と沙織から聞きました。
家に訪れると、その通りに豪華な料理が並び、もちろんちらし寿司も作ってくれていました。
食事も終わり、少しくつろいでいた時に『お祖母ちゃん、せいくんとラインしたら?優しいから、絶対に返事くれるよ。』と沙織が言い出します。
話を聞くと、最近になって初めて携帯電話を持ったらしく、ラインを猛勉強中とのこと。文字もまだ満足に打てないそうです。
『ああ、いいですよ。お祖母ちゃん、やりましょ~。やりましょうよ。』とお祖母さんとラインの交換をしたのです。
お祖母さんとのラインが開通しました。お祖母ちゃんといっても、まだ66歳。文字変換もすぐに覚えましたが、勢いで大量に届くのです。
『覚えたてだから、楽しいのかなぁ。』と最初は優しい気持ちで返していましたが、あまりの平凡なラインぶりに、僕も段々と面倒くさくなって来ます。
彼女のお祖母さんです。お世辞でも誉めてあげることしか出来ません。最初は料理を誉め、それは次第にお祖母さんの美観の部分に変わっていきます。
『66歳には見えんもん!』『絶対、美人ですよねぇ。』と誉め言葉を並べるのです。もちろん、お世辞です。
ところが、そのお祖母さんの返事がおかしなものになっていくのです。
初携帯に初ライン。お祖母さんにとってみれば、僕の冗談的なラインでも、そのまま僕の言葉として受け止めていたのです。
どこか愛情を感じるお祖母さんのラインに、僕は冗談で『好き!』『最高の女性ですねぇ。』『愛してるよん。』と返してしまっていたのです。
お祖母さんとのラインは4ヶ月を過ぎていました。その内容はもう、とても沙織に見せられるものではなくなっていました。
現実にはありえませんが、ラインの中では『陽子さんと遊びに行きたいなぁ~。』と恋人のような言葉が飛び交っていたのです。
『沙織に怒られるよー。』、何か恋人的なラインを送る度に、お祖母さんからはこんな言葉が返って来ました。
逆にこの言葉を言わせようと、僕もいろいろと考えるのです。面白いものでした。
更に時が過ぎると、『陽子』『せいやさん』とラインの中では呼び合うのです。これは、とても危険でした。
お祖母さんのほうではなく、僕の方にです。ラインとはいえ、高齢の女性と繋がりを持つのは、どこか刺激があるのです。
朝には『陽子起きたー?』、夜には『陽子、寝てるー?』とマメに送り、時間があれば二人でラインを繰り返すのです。
そして、『愛してるよん。』と打てば、『私も。』と返って来ました。『愛してるって言ってよ。』と言えば、『愛してる。』と返って来ます。
ラインの文字から、お祖母さんの声が聞こえてくる、不思議な感じでした。
秘密の関係が続いていた頃も、沙織の家に行く機会も何度もありました。どこかやましい気持ちもあるため、なに食わぬ顔をするしかありません。
けど、心の中ではお互いに意識をしていたと思います。ラインの中では恋人なのです。そして、初めてのコンタクトが取られます。
何度も足を運んだため、僕は婿のような扱いになっていました。おかげでかなりくつろげるようにもなり、床に寝転がることも出来るようになっていました。
そして、こたつに寝転がり、隣に座っていたお祖母さんの手を取ったのです。最初は触れて様子をみました。
臆病そうに手を引っ込められましたが、お祖母さんもまんざらではないようで、僅か数センチ逃げただけ。すぐに追撃が出来ました。
一度手を取ってしまえば、後は僕にされるがままでした。シワのある指を何度も触ってあげ、両手で手のひらを包んであげます。
更に引き寄せて、指にキスをしてあげると、もうお祖母さんの手は動こうとはしませんでした。気がつけばお祖母さんの指は、僕の口の中に入っていました。
お祖母さんの手を取るまでは、沙織の彼氏と沙織のお祖母さんの関係でした。それが、いまやラインの中の二人に変わっていたのです。
指を1本舐めていた僕に、もう一本が怖々と寄って来たのです。最後には、お祖母さんは自分からその指を押し込んで来ました。
その指をペロペロと舐め、終わると頬に寄せるのです。もう、このお祖母さんが気にならない訳がありません。