社長が新入社員として紹介した志織、当時短大出たばかりの二十歳でした。
隣にいた先輩がポツリと言いました。
『豆タンクみたいな子だな』
背は小さくて丸々してて、確かに豆タンク。
でも俺は違うこと考えてました。
(こいつだ!)
グレーのリクルートスーツ姿の胸の部分はかなりきつそうに見えました。
ぽっちゃり女子好きな俺には、ド真ん中ストライクの一目惚れでした。
半年ほど経ち、職場にも慣れてきた志織、それまでも何かにつけて、お近づきになるチャンスを狙ってましたがうまくいかずでしたが、ついにそのチャンスが巡ってきました。
提携する会社が展示会に出店、その手伝い役に部長は、俺と志織を指名しました。
四日間、俺は志織を自宅まで迎えに行き、帰りも志織を自宅に送る、会場から直行直帰だったんです。
社会人一年目の志織、慣れない社外での仕事に苦戦してるのをフォローする俺。
四日間、通勤やランチを一緒にしてるうちに、かなり打ち解けることが出来ました、が。
その四日間で志織には、交際中の彼氏有りも知ることになりました。
(こりゃダメだ~)
展示会最終日の帰宅途中でした。
志織の携帯が鳴り、メールを見た志織が、深いため息をつきました。
『彼氏?』
『はい』
志織の様子から、彼氏とうまくいってないのでは?そう感じました。
『ご馳走するからさ、飯一緒に食べて帰らない?』
再び携帯の画面に目を落とした志織、少し考えるような感じをしました。
そしてチクチクと携帯を操作し、パタンと携帯を閉じた志織でした。
『いいですよ』
(キター!)
ちょっとお酒もあり、そこで聞けたのは、志織の彼氏に対する愚痴でした。
先ほどの彼氏メール、展示会終わったなら今夜会わないかの誘いだったらしい。
その返事は疲れたから無理と返しながら、俺とここにいる。
そのことを聞きました。
『高校の頃からの付き合いなんですが、彼氏はまだ学生でこちらは社会人、彼氏のわがままが最近、ちょっと我慢出来なくなってて』
(よしキタ!)
チャンスと見た俺、でも焦ってはダメだと思い、愚痴聞き役に徹してました。
『ごめんなさい。四日間も色々お世話してくれたお礼言わなきゃならないの、愚痴ばかりになって』
『いや、いいよ』
一気に距離が縮まった感がありました。
(今日のとこは、これくらいにしといてやるか)
そんな感じでその日は帰りました。