小6の春だったかな。学校で、午後の半日を使ってクリーン作戦(町のゴミ拾い)をや
ったんだ。その時見たものが地味に忘れられない。
隣のクラスに、関東圏から転校してきて間もない女の子がいた。その子の服装は動き
やすい黒のラメ入りパーカーとショートパンツ。
でなんと足元は長靴を履いてた。午前中は雨が降りそうだったからかな。
それは、長靴というよりはレインブーツといったほうが正しかったのかもしれない。
薄い黄色、いやレモンイエローみたいな鮮やかな色で、ものすごく筒丈が長かった。
もはや膝小僧が半分以上隠れてしまうほどの丈だ。
長靴には装飾の金具どころか、メーカーロゴの模様すらデザインされていない。
例えるなら長靴版ゴム手袋といったところだ。素材も薄くゴムはペラペラ。脱いだら
かろうじて自立する程度のシロモノだった。
なんか一見田植え用かとも思ったが、全体のデザインは細身であり、女性用に作られ
たファッション長靴なのだろう。
女の子は、長靴の頼りないゴムをブルンブルン震わせながら、町中を歩き回ってゴミ
を拾っていった。
時には公園の中に入り、雪解け水でドロドロになった落ち葉を踏みしめながら、なお
も懸命にゴミを拾っていく。
女の子の素敵で綺麗な長靴は、踝まで泥はねがついて汚れてしまった。
それを気にしてか、女の子は長靴の足裏をこすりつけ、泥を落とそうともがく。
靴裏にこびりついた泥が、長靴の足の甲に塗りたくられた。
この一連の仕草に、僕は完全に魅了されてしまった。謎の背徳感とでも言ったらいい
のか。
性癖の目覚めというのは、人それぞれなのである。エロくなくてさーせんでした。