~帰り道がわからない~
11月だというのに気温は18度。温かさは継続中です。今日はお昼過ぎからチラシの配布と会社のPRといつものやつ。これに取引先回りとササっと済ませて国道の裏側のマイナーな道路のコンビニに車を停めて近くの小学校まで歩いていきます。時刻は15時40分。小学校の前の狭い道路を通って左側の空き地にある倉庫の裏に回って全ての衣類とベタパンプスも脱ぎます。もう素っ裸です。
空を見上げるとどんよりとした曇り空。少し迷ったのですがスリルを求めて後ろ手錠をかませます。目を閉じて身震いします。そして飛び出します。
素足が荒い舗装面の感触を受けて駆け抜けます。前後を振り返りながらどんどん足が勝手に前へ前へ進んでいきます。
「あぁ、すごい、すごい。素っ裸よ。真昼間に素っ裸よ。気持ちがいい」。
しばらくして右の車が離合するのに大変そうな住宅街に侵入します。左右を気にしながらスリル感を堪能します。こんな姿見つかったらどうしようもなくなります。
右の細い道路の15m先におじいさんの姿が目に入りました。でも私は止まりません。もう前に進むしかありません。右の方に市会議員の看板があります。外を裸で歩ける条例出してくれないかなと思っているとパッと開けた場所に出ました。左側は畑で遠くで作業をしているおじさんが居ます。それを尻目にして右に曲がると左手に保育園があります。手前の遊具のある場所を通過します。奥の方には小さくてかわいい靴がきれいに並んでいます。その近くを私は後ろ手錠の素っ裸で走っています。もうゾクゾク感が支配して何が何だかわかりません。右に左にと曲がっていきます。古い住宅街のカーブミラーに人が映りました私は大慌てで後退しますがしゃがみ込むことしかできませんでした。自転車を押してる子ともう一人小学校低学年の男の子でした。こちらには来ませんでした。絶対に見られてはいけない人物です。
そして、この時に自分が迷子になったことに気づいたのです。「あーぁ、いや。こんなのいや。助けて」。
もう焦りに焦って気が動転していたのです。ただやみくもに走り抜けます。「いや、助けて。お願いお願い」。
仕事中に外で全裸になってた間抜けな女の記事が頭をよぎります。それなのに私のオマンコはひくひくしていやらしく舌を出して身体を反らしながら駆け抜けます。
「あっ、いやっ。どうしようどうしよう。神様お願い。もうしません。絶対にしません。あぁ、いや、いや」。
物凄いスリリングな世界に包み込まれます。そんな時にぽつぽつと雨が降り注いできたのです。「あ、いい。すてき。すてきよすてき。あ、雨強くなってきた。いい。気持ちがいい」。
素敵な世界に取り込まれたのですがすぐに雨は小康状態になりました。その時に市会議員さんの看板が目に入りました。すぐに引き返してそちらの方向に進んでいきます。我を忘れて駆け抜けたので何人かに見られたかもしれません。長い髪をなびかせて走ってた全裸の女が。
確信を得た私は車や人を交わして何とか無事に帰還することができました。手錠を解錠して車まで行った時には16時25分でした。もしあの時に看板が目に留まらなかったらと思うとゾクッとします。完全に迷路にはまって困惑する自分の姿を思い浮かべるとたまりません。