~深夜の高速の測道~
午前一時。目覚ましのアラーム音が鳴る前にリセットします。この日は車でロ
ケーション済の高速道の側道にやってきました。町外れにあるこの道は高速道
を見上げるようなところです(たいていどこもそうですが)。
道路脇に車を停めると素っ裸になって外に出ます。舗装面にピタッと素足がキ
スをしてご満悦です。車のキーは左前輪のタイヤの上です。左側は高速道で右
側は畑。私は勢いよく飛び出して行きました。虫さん達が秋の訪れを告げてい
て、私の身体にヒンヤリとした外気がまとわりつきます。このヒンヤリ感が気
持ちいいのです。今、この空間は私だけのもの。夜風に包まれて裸の疾走が続
きます。
「裸って気持ちいい。どうしてこんなに気持ちいいの」。いつもながら素っ裸
感に酔いしれる私の姿があります。この何事にも代えがたい行為はリスクも大
きいのですが、私の身体にしょい込むスリルに比べたらリスクもなんのそので
す。「裸、裸、裸」。私の脳裏からこの行為は尽きることのないエクスタシー
となって張り付いている。いつかは必ず見つかって捕まる。その後どんなこと
になるか分かってるけどやめられない。だからこそこの瞬間を楽しむのです。
「あーぁ、裸って気持ちいい。行くのよ、行くのよ、誰かに見つかるまで前に
進むのよ。いーや、いーや、いーや、いーや」。
プリプリのお尻を可愛く?振りながら駆けていると後方から車のライトの帯で
す。私は草むらに余裕で隠れます。車が一台、私に風をぶつけて走り去りまし
た。するとその後を追うようにして駆けだします。20m程前を車のライトの
帯が錯綜します。ここは県道か小規模なメイン道路でしょうか。私は草むらに
隠れながら少しずつ前に進みます。でも今日はなんだか気のりしません。全力
疾走で引き返したのです。
全裸のまま車に乗り込むと私の恋人を助手席の下から取り出しました。私の恋
人の手錠にキスをして後ろ手錠姿になりました。今度は車のキーはつけたまま
です。
「あーぁ、いやーぁ。」。歓喜の声をあげて反ドアの運転席のドアをしり目に
駆けだします。「あーぁ、私ダメ、ダメ、もうダメ」。快感に震えながらの全
裸後ろ手錠の疾走です。後方からは車のライトの帯。今度は「あ、いや」って
戸惑いを見せながら草むらに隠れます。間一髪セーフです。草むらの中で「今
頃皆何してるんだろう」。友達のことを考えていたら急に怖くなってきまし
た。身体の震えを覚えるぐらいに怖くなってきました。そんなに距離は稼いで
いないのになんだか嫌な予感。血相を変えて引き返します。「いやー、助けて
、助けて」。
後ろ手錠の不自由な身体で必死で駆け戻ったのです。
車の中で手錠を解き放つと後部座席で服を着ます。服を着ながら涙がこぼれて
きました。私の理性の逆襲です。「こんなことして何が面白いのよ。あなたは
馬鹿よ」。そんな理性の問いかけに黙って頷くしかないのです。
今頃は大学の友達は温かいお布団でグッスリ眠りについている。それなのに私
ときたら。
家にたどり着いた私は真っ先にシャワーを浴びて、罪悪感に苛まれながらお布
団を抱きしめるようにして眠りにつくのです。露出時の快感と並走するビクビ
ク感から逃れるようにして何だか分からないけど暖かいものにすがりたい気分
の私なのです。