静香は、周りの視線が気になって、よく味わえなかったようだ。
コートの襟元からセーラー服の襟が丸見えだった。
さらにツインテールも似合ってはいたが、化粧をした顔は、どう見ても現役JKには無理があった。
俺達の席を見て、ひそひそと何か揶揄している声が聞こえる。
昼飯を食べ終え、俺達は一度駐車場に戻った。
車のカギを開ける。
静香が車に乗ろうとするのを止め、コートを脱ぐように命令する。
「えっ?ここで?イヤよ、さっきだって凄く恥ずかしかったんだから」
静香にも、周りの囁きが聞こえていたらしい。
「いいから早く脱げ!これから行く場所はこの上だ」
映画館は、今いるビルの地下駐車場の真上だった。
渋々脱いだコートを受け取ると、車の中に放り込みカギを閉める。
「えっ?まさかこの格好で行くの?」
俺は静香の声を無視して、車から取り出した犬の首輪を静香の首につける。
そして、俺はそのままリードを引っ張りながらエレベーターに向かう。
俺はわざと、エレベーターから一番遠い場所に車を停めていた。
エレベーターにたどり着くまで、何人かのイヤらしい男達の視線に晒された。
「姉ちゃん、どこの店?」
男達がすれ違い様に冷やかして行く。
ここは、成人映画館も入っているが、このビル自体は完全な風俗ビルだった。
エレベーターを待つ間も、乗ってからもどこの店?とジロジロ見られ続けた。
1階が映画館だったから、俺達はすぐにエレベーターから降りた。
ドアが開くと、すぐ目の前が映画館の受付になっていた。
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