月曜日の朝、三人で会社へ向かった。
さすがに、月曜日の朝で、電車は満員で、重々づめで身動き出来ない…
『礼ちゃんが、寝坊するからこんな…』
『香菜、主任のせいなの…昨日の夜頑張ったからじゃないのウフ』
『んも~、梨香さんたら朝から…』
『下まで聞こえたよ。香菜のいい声が…』
『やだぁ~』
二人の会話は、隣にいる私にハッキリ聞こえる…
『オイオイ、回りに聞こえているぞ』
『別にいいじゃない。香菜の泣き叫ぶ声よりは』『り、梨香さん…』
香菜は、赤面している。
電車は、駅に着いた。
吐き出されるよう、電車から降り、足早に会社へ向かった。
寝坊したせいか、ギリギリセーフだった。
事務室に入ると、課長から会議室に呼ばれた。
中には、部長と女性が座っている。
女性の後ろ姿に、見覚えがある…
『部長、おはようございます。どういったご用件でしょうか』
『久保田くん、実は課長が、今年度で退職なんだが、体の調子が良くないそうなんだよ』
『そうでしたか…』
そう言いながら、椅子に座り、女性の顔を見て驚いた…
『久保礼ちゃん、お久しぶり~』
『あぁ~ミキティー…』『コラコラ二人とも、部長の前だぞ』
『まぁまぁ課長、いいから。ところで、課長が今年いっぱいで、退職したいそうだ』
『3月まで頑張るつもりだったが、もう、膝も腰も限界で…』
『そうなんだよ。ドクターストップなんだよ。で、後任として、新年から、課長として戻ってもらうことになる…』
『石橋君なら、前いた課だから大丈夫だと思うんでね。久保田君も、ホローしながら、頼むよ』
『課長、私はもう、平木ですよ。久保田くん宜しくね』
『はい、石橋いや、平木さん。こちらこそです』
課長と私は事務室に戻り、席に着くと、香菜が小声聞いてきた…
『礼ちゃん、なんかあったの…』
『後でね。お昼に…』
梨香が香菜の側に近づき、心配そうに…
お昼になり、休憩室の一角に三人で食事を…
『今日は、梨香さんと一緒に作ったから』
『ヤバイな、毒いりじゃないだろうね』
『入ってるかもよ』
冗談を交わしながら食事して、屋上のベンチへ…
『礼ちゃん、課長からの呼び出しってなんだったのよ…』
『そう…香菜なんか心配で、仕事にならないくらいだからね』
『ん…課長が今年いっぱいで、退職すんだと…ドクターストップだよ』
『そんなに悪かったんだぁ…後少しで、円満退職だったのにねぇ』
『そうなんだよ。後三ヶ月、でぇ~後任で、ミキティーが1月から…』
『えっ、ミキティー…』『そう…』
『ミキティーって誰…』『あ…香菜は知らないかぁ、4年前まで、課長代理だったのよ』
『何処に行ってたの』
『一応、母親の看病という事で、仙台支社に転勤したの、実家が仙台』
『わぁ~、お父さんもお母さんも仙台よ』
『そうなんだ…』
『そっ、二人して、駆け落ち気味に東京に出てきたみたいよ』
『なんで駆け落ち気味なんだよ』
『だってぇ、16才も違うのよ。親が反対して…』『へぇ~そうなんだぁ』『ミキティーさんて、何歳なの…結婚は』
『離婚したのよ。それで…、歳は、40か1かな』『離婚、なんでぇ』
『ん…不倫、ミキティーのね。しかも…若い社員とね、まっ、噂よ…』
『ミキティーさんて、名前なんて言うの』
『石橋は、旦那さんで…なんだっけ、主任』
『あ…平木美樹だよ』
『平木美樹さん…なんか聞いた事ある…』
『香菜が、知ってるわけないだろうが』
『そうだよねぇ~でも、お母さんの同級生に、同じ名前の人いたみたいな気がする…』
『何処にでもある名前だからね』
『ただ…お母さんの卒業アルバムに…』
お昼も終わり、事務室に戻ると梨香が…
『面倒な事にならないといいのにね』
耳打ちして席に着いた。
勤務終了間際に、課長が今年いっぱいで退職すると皆に伝え、後任で平木美樹さんがと伝えた。
ミキティーが事務室に入って挨拶を…
『ただいま。1月から、またお願いします。えっとぉ~知らない人は、四人いるけど、自己紹介して下さいね』
順番に挨拶をして、香菜が最後になった…
『佐々木香菜です…あの~、佐々木美代子の娘ですが、もしかして…』
『えっ、香菜ちゃん、みっちゃんの娘の…大きくなったわねぇ~何年ぶりかしら…』
『確か、8歳でしたから、12年ぶりです』
『そっかぁ~、私の結婚式以来だわねぇ~お母さん、元気』
『はい、元気満々です』『そう、良かった。今度お邪魔させてもらうから、言っといてね』
香菜とミキティーは、懐かしそうに話している。梨香が近より…
『主任さ~ん、益々ややこしくなってきたね』
『梨香、美代子にも、香菜にも言うなよ』
『えっ、何が…あれって噂でしょ。事実なのウフ』『梨香、お前なぁ~』
『黙ってるから』
仕事も終わり、三人で帰宅した。
香菜は、早速美代子に話している。
『お母さん、平木美樹さんが、同じ会社で、今度、うちの課長なのよ』
『えっ、美樹ちゃんが…久しぶりだねぇ~』
なんか、あんまり気分的にすぐれなくなってきた…何の問題もなく、過ぎてほしいと願った…
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