その日、10時過ぎに四人で美智子のマンションを退散した…
『さぁ~て、これからどうしよっか…』
『買い物しないとね。冷蔵庫、空っぽだから…』
その時香菜が…
『浅草行きたないな。浅草寺見て、スカイツリー見て、天丼食べたい』
『いいかもね。でも、今日日曜でしょ、混雑してるよね…』
『香菜、天丼食べたいだけでしょ』
『お母さんだってぇ、この前、テレビ観ながら言ってたでしょ』
『それは、番組で紹介してたから…』
『今日は、止めよう。美代子さんの手料理で我慢しよ』
『あらっ、礼ちゃん、失礼な。我慢してるの』
『そういう意味じゃなくて…天丼は、我慢しようって…』
『まぁ~いいわ、よしっ、今日は天丼にする』
香菜は、ふてくされているが、浅草は止め…
『香菜、今度連れてってやるから、そんなに膨れるな。子供じゃあるまいしぃ…』
『子供だもん、まだ未成年だから…』
『香菜は、都合が悪くなると子供になる…』
そんな香菜をからかいながら、自宅に向かった。梨香は、明日仕事だから遠慮していたが…
『梨香ちゃん、帰っても一人でしょ。だったら』『梨香さん。今年も後少しでしょ、ずっと居たら、来年は、美智子さん家だしね。お・姉・さ・ま。ウフ』
『香菜…ありがとう。なんかぁ~』
涙をためている…
『梨香ちゃん、ずっと寂しい思いしてたんだから、いいのよ…』
『そうよ梨香さん。なんだったら、礼ちゃんを1回位、貸したげる…』
『香菜、なにバカ言ってんだよ』
『香菜、調子に乗るんじゃないの』
『冗談に決まってるでしょ。アハハハハ』
時々、この母娘がわからなくなる…
人には、凄く優しいが、自分の立場は、誰よりも象徴する…
私たちは、梨香と別れて、買い物をして自宅に、
自宅の前には、キャリーバッグを持った梨香が立っていた…
『梨香さん、早かったねぇ~』
『美智子さんのところだと、電車一本だよ』
『そうだよねぇ…でも会社は、うちの方が近いと思うよ。電車一本』
まずまず、こういうところでも、自分を象徴しようとする…
『まぁまぁ、さぁ~梨香ちゃん、入って入って』『じぁ、宜しくお願いします』
リビングに座ると…
『梨香さん、私の部屋使ってぇ…隣だし』
『え~、ヤダよ。毎晩香菜のアへ声、聞きたくないからね。礼ちゃん~いい、なんてね』
『そんなぁ~、梨香さんの意地悪…』
『香菜、香菜は礼ちゃんに抱かれて寝なさい。梨香ちゃんは、私が抱いて寝るから、ね』
二人は、赤面して、恥ずかしがっている…
『ったく…どうでもいいから、お昼にしようよ、腹へったぁ』
『ごめんなさい。それじゃ香菜、手伝って、あっ、礼ちゃん、出来るまで、ビールでも…梨香ちゃん、相手してあげて』
美代子と香菜はキッチンへ、私と梨香はリビングでビールを…
『梨香、美智子さんのところへ、越すのか』
『う…ん、迷ってる。どうしたらいい』
『俺に聞かれてもねぇ~梨香の問題だから』
『私の問題だよねぇ…でもぉ、彼氏だったらどうした…』
『勿論、反対だよ』
『そうだよね。やっぱりもう…』
『梨香、今の俺を知ってるでしょう、母娘相手にしてるんだよ。他人なんて、幸せに出来るはずないじゃないか』
『そうだよね…揚げ句に元カノも抱くもんね』
『なんだそれ、まるでエロノミだみたいに…』
『それだけでしょウフフ』
『抱かれる方が悪い』
『はいはい、そうでしょうね。でも、私…まだ礼ちゃんが…』
『はい、終わり』
お昼が出来上がり、香菜が運んできた…
『お待ちどうさま、は~い、天丼で~す』
『さぁ~お味噌汁も出来たから、食べましょ』
『あれっ、三つしかないよ、どうした』
『あっ、礼ちゃんの分は、これ…』
香菜がキッチンから…
『はい、ご飯抜き天丼』『どうせ飲むんでしょ』
皿の上にのせて、汁をかけたやつが出てきた…
『ん…なんかご飯がというか、丼じゃないと…』『どうせ、ご飯食べないでしょ』
休みの日は、出掛けて食べる時以外は、ご飯を食べていない…
『飲んでばっかり…』
『まぁまぁ、飲めなくなったら、人生終了』
勝手な事言いながら、飲んだ。
『香菜、元気だから飲めるのよ。いいじゃない』『そうだけど…梨香さん、昔もそうだったの』
『飲んべえのスケベえだからねアハハ』
『当たってる…』
大爆笑になった。
香菜と梨香は、買いたい物があると出掛けた。
『梨香ちゃん、美智子のマンションに、引っ越すのかなぁ~』
『なんかぁ、迷ってるみたいだよ』
『そうだよね…いきなりだからね』
『梨香が、一人でいるよりはいいかも…』
『でも…美智子と一緒だと、ちょっと不安』
『俺も、そう思う…でも、梨香はぶれないから』『そうなの…でもこの前みたいにだと』
『あれは、誰かさんの嫉妬じゃないの』
『違います。してくれないからです』
『それが嫉妬だよ』
美代子が隣に座り、太股に手を置いた。
『美代子、昨日の夜というか…寝てる時、俺を起こしたか』
『昨日…起こしてないよ。あっ、だから…』
『そうかぁ~やっぱり』『まさか、美智子と』
『してないよ』
『ほんとに、あ~だから朝、パジャマずれていたんだね』
『だから…してないよ』『じゃぁ、なんでよ。説明しなさいよ』
浮気した旦那が、妻に問い詰められてるの感じになってきた…
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