部屋に入ると、寂しげな石塚が…
「どうしたんですか、浩司さんはどちらに行かれたんですか?」
「なんか、電話があって出かけました」
「そうでしたか…で、どうしたんですか。なんとなく寂しげですよ」
「一人になると、不安で…ごめんなさい」
「いやいや、大丈夫ですよ。休みの日は特に用事ありませんから」
「ありがとうございます。礼二さんて優しいんですね。香菜ちゃんや、美代子さんが羨ましいです。もっと早く…」
「えっ、なんですか、早くどうしました」
「こんな私が言うのはなんですが、優しい人に惹かれるんです…」
なんとなく、香菜に似ているような気がして、聞いてみた。
「石塚さんは、父親はどうしてます」
「お父さんは、3歳の時に亡くなりました。その後お母さんは再婚して、子供ができて、私は、邪魔者扱い…」
「邪魔者扱い…あ~それでファザコンなんですね」
「ファザコン…そうかもしれません。浩司さんに父親を感じていたかも…」
「そんな思いが、愛情に変わったんだね」
「恥ずかしいんですが、私…浩司さんが、初めての人だったんです…」
「えっ、じゃ浩司さんしか…」
「違います。何人かと付き合いましたよ。でも、肌が合わないというか…ただセックスするだけ…射精すれば終わり。なんとなく虚しくなって…」
「ん…若い子は、そうなんだよね。私も二十代の時そうだったからね。ん…」
「でも…今の礼二さんは、とても魅力的ですよ。初めて会った時、感じました。香菜ちゃんが羨ましい…」
「そんな…照れちゃうなぁ~」
「礼二さん、お願いがあるんですが…病院に行くとき、一緒に…」
「あっ、それは大丈夫ですよ。浩司さんからも頼まれているんで…」
「そうでしたか。宜しくお願いします。それともう一つお願いが…」
「はい。何ですか」
「あの…その…こんなお願いして、嫌われるかもしれませんが…」
もじもじしたり、俯いたりしてハッキリしない。ちょっと苛立ち…
「石塚さん、ハッキリしない方が、私は嫌いですね。どうしました」
「はい…わ、私を抱いて下さい」
なんて事だ。義父の愛人から、抱いてと頼まれてしまったのだ…
「石塚さん、自分で言ってる事理解してるんですか。仮にも義父さんの愛人を…」
「わかってます。礼二さんこそ、自分の義母さんを抱いているでしょう。だったらまだ私の方が他人ですから」
確かに理屈は合っている。それに返す言葉はない。でも、それとこれは…
「礼二さん、、私…」
その時、私の携帯が鳴った…
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