私は、浩司の元へ向かった。
マンションの入口で電話をして、部屋の前に着くと、丁度良く浩司が…
「さぁ~入った入った。今、仁美が買い物に出たところなんだよ」
「そうでしたか。で、どんな用件ですか。まぁ~大体の察しはついてますが…」
「そうか、ん、だったら話ははやいな」
「義父さんは、いつ、戻るんですか」
「10日には、向こうに着きたいんだがね。一度、自宅に顔だそうかと…」
「ちょっと待ってください。それはまずいですよ。美代子さんにバレてますから…」
「そっかぁ~ん…香菜の顔見たいのに、バレてしまったか」
「隣の美樹さんに、見られたんですよ。香菜は、私がなんとかします」
「すまんなぁ~宜しく頼むよ。美代子のこともな。アッハッハ」
「義父さん…それはないでしょう」
「まぁ、ほどほどにね。礼二君が浮気相手なら、安心だよ」
何が安心なのかは、私には理解出来ないが、この夫婦には、もう、愛の欠片もないのは、一目瞭然である。
そんな話をしていると、石塚が戻って来た。
手には、沢山の品物を抱えていた。
浩司は足早に駆け寄り、石塚の手から品物を取って、冷蔵庫に入れている。
(へぇ~、こんな一面もあるんだ)そう思い、感心した。
「礼二君、それじゃ乾杯しよう」
「浩司さん、何かつまんでてよ。直ぐにご馳走造るから…」
「石塚さん、何もいらないですよ。そんなにながいはしませんから」
「礼二君、休みなんだろう、ゆっくりしていかなさい。気を使う事ないから」
「そうですよ。久保田さん、浩司さんの相手して下さい。私は飲まないんで…」
全く、どこの世界に、自分の愛人宅に、義理とはいえ、息子と酒飲みしたり、自分の妻を、娘の旦那との浮気を進めたり…
狂っている。まぁ~それにドップリと浸かってしまっている自分も、一蓮托生、同じ穴の狢であるが、そう思いながら、浩司に進められままに飲んでいた。
「礼二君、例の件だか…」
「あっ、大丈夫ですよ。私の同級生何ですよ。ただ、宇都宮なんですが…」
「宇都宮…なんでまた」
「私の実家、今は宇都宮ですから。生まれは、福島ですがね」
「えっ、久保田さん、福島の生まれですか。私、伊達市ですよ」
「伊達市、知ってます。当たり前かも知りませんがね。内の従弟が、伊達から嫁さんもらったんですよ」
「そうですか。で、お名前は…まぁ~聞いてもわからないでしょうけどねウフフ」
「名前ねぇ、みかこですよ。旧姓は知りませんが、今は木崎ですよ」
「美香ちゃん、私の同級生ですよ。幼稚園の先生してた…旦那さんが克之さん」
「そ、そうですよ。へぇ~」
「世間は、広いようで狭いな。礼二君の従弟の嫁さんが、仁美の同級生とは…」
「そうですよ義父さん。お隣さんが、美代子さんの同級生のようにね」
そんなこんなではなしも盛り上がり、石塚も
徐々に、心を開いて話すようになった。
「ところで礼二君、いつ頃になるかなぁ~、8日には、日本を立ちたいんで…」
「わかりました。明日にも、連絡してみますから」
「そうか、宜しく頼むよ」
それからしばらくご馳走になり、マンションを出た。
時計を見ると、7時を回ったばかりである。
美智子のマンションに、みんながいるはずだが、面倒になり自宅に向かった。
自宅の前に着くと、電気が点いている。
「ただいま」
返事がない。チャイムを押しても、なんの反応がない。少し不安になり、鍵を開けて中に入った。リビングの電気は点いているが、誰もいない。
トイレに行くと、浴室の電気が点いていて、湯舟の音がする。
脱衣場には、脱いだ下着がある。突然…
「美代子さん、戻ったの。今出ますから」
聞き慣れない声が、誰だろう…
「あれっ、美代子さんじゃないの」
「ち、違うけど…おたく、どちらさん」
「あっ、礼二さん。優子です。美代子さん買い物に行ってるから…」
「そう…それはいいけど、どうしてお風呂に入ってるの」
「あっ、その、今日、泊まる事になって…美代子さんが、買い物に行ってくるから、お風呂でもと…」
「そうでしたか。わかりました」
「すみません…驚かせて」
「いやいや、ごゆっくりどうぞ」
私はリビングにもどると…
「ただいま。あれっ、鍵開いてる」
「美代子、帰ってたよ」
「礼ちゃん、早かったのね」
「美代子、泊まってこなかったんだ」
「うん、優子ちゃんから電話あって、相談したいからって」
「そうなんだぁ~それでお風呂に」
「あっ、まさか見たんじゃ…」
「見てないよ。脱衣場に、見た事ない下着があったから、開けるの止めたよ」
「そう、良かった。私か、香菜と間違えて入ったら、大問題ウフフ」
「なんでだよ。間違いはしょうがないだろう、それに…」
「あのねぇ~、男を知ってる女性が、礼ちゃんの見たら、欲しがるからねウフフ」
「何がだよ。そんなのは、変態の佐々木家と、梨香だけだよ」
「まぁ~失礼な…そういう久保田家も、変態じゃないのアハハ」
そんな話をしている所に、バスタオルを巻いた優子が現れた。
「美代子さん、着替えありませんか」
「そうね。じゃ、こっちに来てよ」
優子を連れて寝室に行った。
ジャージと、トレーナー姿で優子が戻ってきたが、明らかに、ノーブラである。
胸の膨らみ具合と、乳首のポッチが見え見えであった。
なるべく見ないようにしていると、
「礼ちゃん、じろじろ見ないの。さっ、お風呂でもしてきたら」
「じゃ、お風呂してくるよ」
「私も直ぐに行くからね」
優子は、美代子の言葉にびっくりして…
「み、美代子さん、一緒に入るの」
「そうよ。なんか問題ある…ウフフ」
「だって、香菜ちゃんの旦那さんでしょ…」
「そう、だからぁ私の息子よ」
「息子って…血の繋がっていないし、それに二人とも、大人でしょ」
「大人だろうが、血の繋がりがなかろうが、息子は息子。ウフフ」
そう言いながら、私の後から風呂場に向かった。
※元投稿はこちら >>