結局兄は出会い系で女性を調達した。
パッと見、高身長の兄は雰囲気イケメン。
よく見ると愛嬌のある顔立ちだが、スーツと物腰でずいぶんと大人の男に見える。
複数の話しをしてから1週間後、繁華街の近くの駅で待ち合わせた。
複数で入れるホテルが繁華街にしかないらしい。
30分も早く着いてしまった私は近くの喫茶店に入った。
カフェなんて代物じゃない、昭和からタイムスリップしてきたような喫茶店だ。
中に入ると、初老の女性がカウンターに立っていた。
メニューを見ずにコーヒーを頼む。
暫くして、少し煮詰まったような苦いコーヒーを流し込んだ。
携帯をテーブルの上に置く、ソワソワと目線を投げ掛ける。
女主人は、何年もここで商売をして来たのだろう。
私みたいな女を何百人と見てきたのか、悟ったような顔で接客をする。
兄からメールがきた。
「どこ?」
「喫茶店にいる」
少し経ち
「わかんないから出てきて」
「ごちそうさま」
私はテーブルの上にワンコイン置いて立ち上がった。
喫茶店を出ると、すぐ傍に兄が立っていた。
「緊張してきた」
「自分で言い出したくせに。女性は?」
「まだみたい。俺達はカップルって事になってるから」
兄の携帯が鳴った。
「ホームに着いたから今から上がるって」
私は、どんな女性が来るのかドキドキした。
あ…
正直、あまり綺麗な人ではなかった。
「美咲です」
でも、ニコニコと笑うと憎めない、そんな女性だった。
「ホテルすぐそこだから」
兄は、私達の気が変わるのが怖いのかホテルに急かした。
歩いて5分。
妙に興奮して、美咲さんと会話をする。
「美咲さんは、彼と会うの初めて?」
「一度、お茶しました」
意味深な感じで笑った。
兄はスタスタと背中を見せて先を行く。
ホテルに入ると、予め問い合わせていたのかフロントのおばさんに「◯◯号室です」と言われた。
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