せめてものお詫びに夕食を作ろうと近所のスーパーに行き晩御飯の材料を買いました。
カレー、サラダ、唐揚げ、スープを作って兄の帰りを待ちました。
「お帰りなさい」
「あれ?お前まだいるの?」
兄は、怪訝そうにしながらもテーブルの上の料理を見ると喜んでくれました。
二人でご飯を食べながら会話をしました。
「貴史さんは彼女いるの?」
「まぁね」
「デートしないの?」
「遠距離だからなかなかね」
「結婚は?」
「30前にはしたいと思ってるけど」
「ふーん…」
私は声が震えていました。
たぶん、愛されてる彼女に嫉妬してたのでしょう。
「いいなー私はフラれたばっかだけど」
「お前はいい女だよ」
「本当に?」
「本当。妹じゃなかったら付き合ってるよ」
兄は冗談を言って慰めてくれました。
「私も、貴史さんタイプだよ」
「そう?」
「残念だね」
「そうだね、残念だね」
兄と私はそれから無言になり、残りのご飯を食べました。
「うまかった。ありがと」
「どういたしまして」
私は食べ終わった食器を片付けにキッチンに行くと兄がキッチンまで追いかけてきました。
「麻里、何時に帰る?」
「そんなに帰って欲しい?」
「なんでそうなるの。みんな心配するだろ?」
「やだっ」
今思えば、失恋の辛さから兄にまで拒絶されたような気になってしまったのです。
「やだよ、帰れなんて言わないで」
私の目からは大粒の涙が溢れます。
「麻里…」
「貴史さん、私子供っぽいかな?」
「なんで」
「彼ね、浮気してたの。それで私がフラれたの。私負けたんだよね?魅力ないんだよね?」
「麻里はいい女だって言ったろ?」
「もういいっ!」
私はコートとバックを持ち玄関に向かいました。
ブーツを履くのに手間取ってモタモタしていると後ろから抱き締められました。
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