男たちの立ち位置次第で見え隠れする母の笑顔。
それは息子の僕から見ると、男たちを上手にあしらうために
作られた感じの笑顔だけれど男たちの目には
堪らなく可愛く映っているのだろう。
母が笑いながら、触れるかどうか判らない程度に男の腕に手を伸ばす。
当の男は嬉しそうな面を晒し、周りの男も母ににじり寄る。
スキンシップという名目で母に触れようとする態度が露骨な男たちに
母がレイプされているようで僕は不愉快だった。
通りすがる叔母さんや従姉妹がその輪に加わることで
辛うじて僕は冷静になった。
夕方から始まった会食の終わりを告げる挨拶の声がマイクを通じて
広間に響いた。
一緒に槌んでいた従兄弟たち適当な理由をつけて
その場を離れた僕は即座に母のもとに向かった。
次に行こうと鼻息荒く迫る男たちを断り切れない母の困ったような
表情も美しく、かえって男たちのスケベ心を刺激しているようだ。
僕は息子だと挨拶し、その場から母を引き槌がすと
男たちの恨めしそうな視線をしり目に料亭を出た。
すっかり暗くなっていた外は寒く、まだ大勢の親戚で賑わっており
僕らを見つけた妹と従姉妹たちが駆け寄ってきた。
カラオケに行くという彼女たちにあまり遅くならないよう注意を促し、母と僕は帰路についた。
親戚が予約してくれたホテルまでの道のり、さっきの従姉妹たちが一層奇麗になったとか、
会食で並んでいたデザートをもう少し食べたかったとか、他愛のない話をする母がフラついて
僕に手を添えるのが嬉しかった。
すっかり飲まされたのだろう。少し紅潮した母から何とも言えぬ色気を
感じ、僕は興奮した。
束の間、恋人のような気分の僕に「まだ早いし、かわいい息子と飲み直そうかな?」と酔った母が
悪戯っぽく言いながら笑う。
ホテル周辺の居酒屋に入って親戚と遭遇したら面倒だから
部屋飲みで済まそうと僕が提案したものの、二人きりになった部屋で
母の顔をまともに見ることも出来ず、息が詰まるのでは
ないかとホテル近づくにつれて不安になった。
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